James Setouchi

2026.7.17

 

「お花畑」の人の考え方

 

(先に言っておくと、私は「支持政党なし」のいわゆる「無党派層」です。しかし護憲派です。)

 

 伊藤真氏の「護憲のための理論武装 「自衛隊明記」改憲で現実に起きること」(『紙の爆弾』2026年8月号)をベースにして書いている。伊藤先生のご発言に賛成だ。なお、伊藤真氏は、伊藤塾の先生で、非常に尊敬されている方である。ネットで検索すれば色々と読むことができる。

 

軍隊は国民を守るもの」というのは、お花畑の思想だ・・JS:軍隊は一部の権力者や「上級国民」だけを守り、「国体」なるものを守るために国民を犠牲にし、あるいは軍隊自身しか守らない、というのは、世界の過去の歴史が示している。旧日本軍が沖縄で住民を犠牲にした、またアジア各地で現地住民にひどいことをした(食料を無理矢理徴発したりあるいは・・!)のは有名だ。今の自衛隊は災害対策などで貢献し国民の多くは好感を持っているだろうが、イザ戦争となればどうなるかわからないのだ。自衛隊員の若者にひどいことをさせないためにも、戦争は始めてはならない。

 戦時でなくても、軍産複合体ができて暴走すると、軍隊と軍事産業は利権のために自らを膨れ上がらせる。今がそれ? 「防衛予算GDPの1%以内」の枠をはずして果たしてそれでよかったのか? 大きな声で「防衛予算防衛予算」と叫ぶ人たちは防衛産業(軍事産業)とつながっていないか? 「軍隊は一部の人の利権に貢献するもの」という面も確かにあるよね・・

 

「自衛のため」に限れば戦争を制限できる」というのは、お花畑の思想だ・・JS:古来「自衛のため」「やむなく」「相手が暴虐だから致し方なく」「平和のために」と称して戦争をして、最悪の事態を招いていたのが、現実だ。

 

抑止力を高めれば相手は従うし、抑止が破られることはない」というのはお花畑の思想だ。・・:JS:一方が「抑止力」を高めれば他方も対抗上「抑止力」を高め、互いにエスカレートして、そこから偶発的な事故も含めて戦端が開かれ、結局最悪の事態を招いた過去を、私たちは知っている。「安全保障のジレンマ」と伊勢崎賢治も言っていた。特に相手を某超大国だと考えているのだとすれば、先方は人口は10倍、総経済力も先方の方が大きい。「抑止力」競争で対抗しあって到底かなう相手ではない。・・それにしても「抑止力」って何だ? 本当の「抑止力」は、相手よりも強い武器を持とうとすることではなく、相手と友だちになることなのだが。

 

戦争が始まればアメリカが必ず助けてくれる」と思い込むのは、お花畑の思想だ・・JS:アメリカにはアメリカの都合があり、アメリカがどうするかはアメリカが決める。アメリカにとってより関心が高いのは、アメリカの国内事情、次いでヨーロッパと中近東であり、東アジアの優先順位は低い。アメリカは今までしばしば「ジャパン・パッシング」(日本を飛び越えて中国と直接話をする)をやってきた。佐藤内閣の時何があったか? アメリカはベトナムから引き、アフガニスタンから引き、イラクから引いた。(引かずに戦い続けていれば悲惨な戦争状態が長引くわけで、現地の人にとってはそれもつらい時間が続くことになる。何がいいのか、もはやわからないね。「戦争が始まれば」ではなく、「戦争は始めない」のが一番だね。)「アメリカが必ず助けてくれる」とは限らないのだ。自民党の一部の人はアメリカが必ず助けてくれると「信仰」を持っているようだが・・? ウルトラマンなら必ず助けに来るのだろうけれど、・・・?

 あのね、アメリカは鉄鋼業が衰退しているのは誰でも知っているよね、ということは舟を(戦艦も空母も輸送艦も潜水艦も)作れないということだよね。考えたことありますか?

 

戦争すれば勝てる、または日本に被害はない」というのはお花畑の思想だ。・・JS:戦争すれば勝てる保証は無いばかりか、むしろ負ける。負けないまでも双方の民に多大の犠牲が出る。日本にも被害が出る。東京も大阪も福岡も攻撃対象になる。(大阪を副首都にしても戦争ではやはり危険。別の視点だが、大阪は埋め立て地なので災害に弱いはず。)その前にサイバー攻撃で各企業や官公庁がやられて、さらに基地、空港、港湾、発電所、石油備蓄基地などが攻撃される。学校や病院に軍事基地があるとされてそこが攻撃され子供たちが死ぬ。ウクライナやガザを見ればわかる。くわばらくわばら。

 

食糧自給率38%、エネルギー自給率12.6%でも戦争はできる」とはお花畑の思想だ。・・JS:日本は食糧もエネルギーも外国からの輸入に頼っているので、戦争になりここが止まると、大変なことになる。某国が売ってくれないばかりか、途中の船舶(貨物船など)も沈められれば直ちに日本は枯渇(こかつ)する。大勢が餓死する。(単純計算すれば、38%の人しか生き残れない。または全員の体重が62%減るか。コワイコワイ。)エネルギーもないから、電気がつかない。「夏で暑いからエアコンを」と言ってもエアコンがつかない。電車も工場も全部止まる。どうやって暮らすのか? 東京エリアの3~4千万人の人は北関東の山中に移動してクマと競争しながら木の実を食べるのか? 天明(てんめい)の大飢饉以来の大惨事だ。太平洋戦争の島々で将兵が餓死していったやつの拡大版だ。おそろしい。

 

原発を含め国内は攻撃やテロの標的にならない。サイバー攻撃でインフラが狙われることはない」とはお花畑の思想だ。・・JS:日本は原発、石油備蓄基地、自衛隊や米軍の基地があり、攻撃やテロの標的になる。ドローンやミサイルが飛んでくる、誤爆して住宅地に落ちる。あるいは本格的に都市が空爆される。太平洋戦争はそうだったよね。日本はシェルターもほとんどない。どうやって生き延びるのか? サイバー攻撃はすでにあちこちで起きているがそれはマフィアによるものかどこかの国によるものか知らないが、日本はセキュリティが甘くてサイバー攻撃にやられやすいのは確かのようだ。サイバー攻撃で各種インフラが止まると、物流もエネルギーや食糧の供給も上下水道も何もかも止まる。きわめてまずい。あそこの国が、サイバー攻撃で相手の防衛網をストップさせ、悠々と爆撃した、という事例があるよね。

 

自衛官だけが戦い、自分は関係ない」とするのもお花畑の思想だ。・・JS:攻撃は市民生活にも及ぶ。自衛官が数が足りないので、いわゆる「経済的徴兵制」であなたの息子を組織し、それでも足りないので「徴兵制」を実施してあなたの息子と弟と夫と父親を、いや、今日の戦争では女性をも、戦場に連れて行く。意に反して「苦役」に従事させられてはならないから徴兵制は不可、だったのが、改憲して「自衛隊」を明記したので「苦役」ではないから「徴兵制」は合憲、とされてしまう危険性があるのでは? 

(今の(2026年)政府はどうして憲法を踏みにじろうとするのか? 政府は憲法を遵守(じゅんしゅ)すべきなのに? 高市さんも小泉さんも小林さんも自分は戦場に行かず(軍需産業で稼ぎ、あるいはアメリカのポチになってアメリカに「いい顔」をして))国民を兵士にして戦場に送りつけるつもりなのだろうよ。実に不快だ。)

 

軍事費が増大しても、生活や年金・子育てに影響はない」とするのも、お花畑の思想だ。・・JS:軍事費にカネを入れれば、生活の手当に回すカネがなくなるのは当たり前ではないか。増税し、福祉や教育や医療や上下水道や道路改修などなどに回すお金を減らす。国民の生活福祉(人権)を踏みにじって軍拡し戦争をする。軍事国家はどこもそうだ。だまされてはいけない。軍人と軍需産業は利権を貪る。批判の声が起これば弾圧する。日本も戦前に経験したことだが、今も世界中にそういう国がある。今の日本は・・?

 円安で1ドル100円から160円になったので、ファントムが1機100億円で買えたはずが160億円払うことに。もうかるのはアメリカの軍需産業、ひどい目にあっているのは日本国民。160ー100=60だが、60億円あれば困窮世帯にかなり食事をしてもらうことができるよ。いやそもそも160億円あれば・・!

 かつての日本は国民から金属を出させて武器を作り(鍋や釜、ピアノ線からお寺の釣り鐘まで出させた)、中学生や女学生をろくに勉強もさせず学徒勤労動員で工場に集めて武器を作らせ(そこで空襲にあって級友が死んでいった)、寄宿舎では育ち盛りなのに食べ物が乏しい(毎日わずかなイモがゆばかり)、戦時だからしかたがない」の理屈で国民生活を圧迫した。戦時中だけではないよ。そもそも日清日露戦争頃から長年軍隊に予算をかけすぎた挙げ句におかしなことになったのだ。戦後は軍事におカネをかけずに日本の民は民需で豊かになったのだ。思い出して下さい。

 

日本の政治家は、アメリカの要求を拒否できるだけの能力と胆力がある」と思うのもお花畑の思想だ。・・JS:今までアメリカのポチのような政治家が多かった。「アメリカにNOと言える日本」を体現する政治家が何人いたか? 最近はアメリカのポチみたいな政治家が政権中枢にいるよね。(言っておくが私はかなり親米的な人間だ。だが、昨今の戦争ばかりしているアメリカに日本が追随するわけにはいかない、むしろアメリカとは少し違った立場で戦争を止めてあげた方がいい、くらいのことはわかる。)

 

戦争をできる国になっても、政治家が戦争を政治利用することはない」と見るのもお花畑の思想だ。・・JS:国内に問題があると、国民の関心を他のことにそらそうとする政治家が結構いる。五輪や万博もそのために利用する。戦争をそのために利用する。「相手国が悪い」「だからみなで一致団結して戦おう」「私(政治家)の不祥事や国内の貧困や差別や抑圧を問題化している場合ではない、そんなことを今言っているやつは「非国民」だ」「とにかく悪いのは相手国だ」と戦争を政治利用する政治家が、世界中に沢山いる。ほら、あの国のあの人も、その国のその人も。「内憂外患」と言うけど「内憂」から国民の目をそらせるために「外患」をわざと作り出しているのだよ。日本ではどうかな・・・?

 

 加えて、核抑止はリアリズムだ」というのも、お花畑の思想だ・・JS:核兵器があれば必ずそこが狙われ大惨事の舞台になる。原発だけでも危ないのに。そこを守るためにガードマンを増やしコンピューターのセキュリティを強化するなら、またコストがかかり、経済対策や貧困対策などはまた後回しになる。国民生活が困窮する。これがリアリズムだ。また、中国もインドもパキスタンも核兵器を持っているが、互いに「国境紛争」が絶えない。イスラエルは核兵器を持っているが、中東戦争で攻め込まれた。アメリカは核大国だが、9.11テロでやられた。ロシアは核大国だが、首都がテロでやられた。フランスもイギリスも核を持っているが、テロでやられた。核兵器は戦争やテロを抑止できないばかりか、テロを呼び込む危険性が高い。これがリアリズムだ

 

 もう一つ言おう。これは伊藤真先生は言っていないのだが、どうせ核戦争になったらみんなが一瞬で死んでしまい世界が終わるから同じこと」というのも一種のやけくそのお花畑思想だろう。実際には、劣化ウラン弾あたりから始まり、限定核戦争、数発撃ってもまた何発残っているかがその後の軍事的な力関係を左右する、放射能とキノコ雲と黒い雨の降り注ぐ中で全身火傷と白血病で呻き無力感をかみしめながら「日常生活」を何年も何十年も続けていくことになる。これがリアルだ。恐ろしい。

 

 では、どうすればいいのか? はじめから戦争をしないこと。敵だ敵だと言わず友だちになること。相手と友だちになるのが最大の「抑止力」だ。東京と神奈川は憎み合って戦争したりしないだろう? 文京区と千代田区も。中世には散々戦争していたけどね。アメリカと日本もかつては敵同士だったが今は仲良くしている。友だちになるために色んなことを今までもやってきたし、これからもやっていくとよい。どこの国民も、戦争などしないで平和裡(へいわり)に平穏無事(へいおんぶじ)に暮らしていきたい人が(一部の狂信的な軍国主義者を別にすれば)圧倒的多数なのだよ。

 

 伊藤先生がどう言われるかわからないが、私見では、自衛隊は自衛隊のままで十分だ。憲法に書き込む必要はない。今まで解釈改憲で戦後安定的に築き上げてきたものがある。そのままでよい。特に現在(2026年)の高市政権は、先の総選挙のやり方や国会質疑などを見ていると、ゴマカシが多く国民を欺くことが多いので信用できない。私には彼女は国民を詐術(さじゅつ)で欺き操作(オペレート)しても構わないと思っているように見える(いわゆる「朝三暮四」ですな)が、もしかしたら、国民を欺いているという自覚もないほど狂信的(カルト的)な状態に陥っているのか? 国民の命を預ける重要な決定を高市政権に委ねるわけにはいかない。改憲不要。今憲法を変えようとするとどんな恐ろしいことを始めるか分からない。どうですか?

 

 「憲法を変えれば日本は昔の(1980年頃の)繁栄を取り戻せる」と思い込むのもお花畑だ。それとこれとは全く別の問題だし、憲法を変えて軍隊が暴走して国民生活が困窮し今よりも困った事態になる危険性の方が大きいのだ。(多分、だが、高市さんが「昔の日本」と言うとき帝国日本・軍国日本を考えて言っているのではないか? 困ったお方だ。)

 

 別の視点。今の平和憲法はアメリカから押しつけられたものではない。日本には長らく東洋平和の思想がある。仏教も老子も平和思想だ。明治以降も平和思想・非戦思想は常にあった。北村透谷(日清戦争前)・内村鑑三(日露戦争だけでなく)・水野広徳(みずのひろのり)・明石順三(あかしじゅんぞう)ほかを見よ。戦後も日本人の作った「憲法研究会」(調査会ではない)が今の憲法の原案となった。これにも平和条項がある。

 むしろ戦前の憲法の方がドイツ憲法の真似だ。(社会進化論、富国強兵思想など偏った思想に煽られて)世界は帝国主義の競争だ、早く西洋の真似をしなければ、と思い込んで恐慌に駆られた連中が慌ててドイツの真似をして作ったとも言えるのだ。明治の高官たちはもっと落ち着いていればよかったのに。「富国強兵」にして「国民が貧しい」ものにしてしまったのは大きな誤りだった。それで数十年で大日本帝国は滅亡した。(ドイツ第二帝国=ウィルヘルム1世・2世らの国=も短期間で亡んだ。)無理のある軍国主義国家は短命だと相場が決まっている。