淳平は、沙羅に蜂蜜とりの名人:熊のまさきちの話をする。淳平が夜中に小夜子に呼び出されたのは、たびたびヒステリーを起こしとび起きる娘:沙羅に手をやいてだ。たぶん神戸の地震のニュースを見たせいだと言う。地震男がやってきて、自分を小さな箱の中に入れようとする夢を見るらしい。淳平と高槻と小夜子は、大学時代の友人だった。人見知りする淳平だったが、一つ年上の高槻が気軽に声をかけてきて友となった。そして、密かに小夜子に好意を寄せる淳平に、高槻は小夜子が好きだと告げ交際をはじめ……。
『神の子どもたちはみな踊る』に書き下ろしとして掲載された短編に、ドイツ人イラストレーターの絵がつけられたアートブックです。
なるほど、それで”HONIGKUCHEN"とドイツ語なのね。
本文のイラストは、リキテンスタインっぽいです。
ちなみに、表紙の熊
は、まさきちではなく、鮭を取るのが上手なとんきちです。
キュートですねぇ。
とんきちの友人(熊
やけど)まさきちは、蜂蜜取りの名人(熊
やけど)です。
そして、『神の子どもたちはみな踊る』既読だけど、やっぱり忘れてました。![]()
36歳独身の淳平は、神戸出身。
24歳のときに描いた短編小説が文芸誌の
新人賞をとり、芥川賞の候補にもなった短編小説を得意とする(長編は書けない)作家です。
卒業後、新聞記者になった高槻と大学院に進んだ小夜子は結婚し、娘:沙羅が生まれます。
そして、淳平は彼女の名付け親となります。
しかし、高槻に恋人ができ、小夜子との関係は破局を迎え離婚。
沙羅は小夜子が引き取ることに。
友人の想いを知りながら、抜け駆けして
結婚しちゃう三角関係と言えば、漱石の『こころ』ですね。
しかし、淳平は死にません。![]()
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まぁ、それを言うなら、高槻だって死にません。
それどころか、結婚後も二人との付き合いは続き、生まれた娘の名付け親にまでなっています。
そして、酔いにまかせてではあるけど、鈍感だだの、アホだのと高槻に罵られても、淳平はクールにかわしています。
否、気づいてないのかも。![]()
とは言うものの、心の底では傷ついています。
その証拠のように、彼の書く短編小説は、どれも報われない
愛の物語です。
高槻も小夜子も解っているのに、彼だけが……。
まさきちととんきちの物語が、メタファのような役割をしていて、村上春樹っぽいなあと。。。
ラストは、希望が見えていい感じ
でした。
【おまけ】
◆『鱒』
小夜子がハミングするシューベルトの『鱒』。
『鱒』には、隠された裏の意味があるのだとか。
「鱒」は「若い女性」で、「釣り人」は「チャラ男」。
う~ん、小夜子と高槻かぁ……。
なら、鱒を釣りあげるのを見ているのは淳平か。
曲調は爽やかなのにね。
そー言えば、『野ばら』もだよな。
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