公会計の動向 -94ページ目

国債発行は順調

 10月25日付け日本経済新聞朝刊20面の「20年債入札好調、応札倍率4.17倍に」は、財務省が24日発表した新発20年物国債(第91回10月債)の入札が、応札倍率が4.17倍となり、前回9月の3.13倍を大きく上回ったと報じる。応札倍率が4倍台となるのは昨年5月(77回債)以来とか。「生命保険会社などの押し目買いへの期待から好調な結果となった」(みずほインベスターズ証券の井上明彦マーケットアナリスト)との見方があるとのこと。8千億円程度の発行予定額に対して3兆419億円の応札があり、7299億円が落札し、表面利率2.3%で、平均落札利回りは2.283%(平均落札価格は100円23銭)、最高落札利回りは2.285%(最低落札価格は100円20銭)だったとか。落札額が1658億円と最も多かった野村証券は「投資家の押し目買いが期待できる水準まで調整してきたため在庫を確保した」としていると記事は伝える。

国の非上場組織への出資先は240

 10月25日付け日経金融新聞2面に「政府出資の損失どう処理――8兆円分、財政の焦点(ポジション)」〔菅原誠吾〕の記事。

 記事は、安倍首相が所信表明演説では「国や地方の無駄を放置したまま国民に負担を求めることはできない」と強調したが、非効率な部分はなお多いとして、独立行政法人などに対する国の出資がその一例と報じる。会計検査院が18日に公表した国会向けの報告書では、住宅金融公庫や都市再生機構など財投機関39法人を調査したところ、約6兆7800億円あった国の出資金が、16年度までの4年間で大幅に減っていて、政府出資金の損失を2兆4094億円としているとか。記事は、この損失は国全体からみれば氷山の一角に過ぎないとし、財務省がこの夏に公表した「国の財務書類」(16年度)によると、公団や公庫、独立行政法人など非上場の出資先は約240法人、出資額は約45兆6千億円に上り、うちこれまでに評価損を計上したのは25法人、損失額は約8兆3200億円と全体の2割弱に達するとか。こうした損失は事業団や公団などが独立行政法人に移行する際、政府出資金と相殺処理する例が多く、17年10月には核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所が統合し、政府出資金で欠損金を穴埋めして4兆円を超す財政負担が発生したとのこと。国の資産を管理する国有財産台帳では旧法人の出資が消え、新法人への出資に書き換えるだけなので、損失額がわかりにくく、財投機関の調査を担当した会計検査院の上席調査官は「出資金を償却した時の責任が明らかになっていない」と話しているとか。8兆円を超す国の資産が失われた責任をあいまいにしたまま国民に増税を求めるのは難しく、「国債発行額を減らせるかどうかは、コスト削減や増税に対する政権の実行力次第」(ABNアムロ証券の市川達夫チーフ債券ストラテジスト)と市場関係者も注視すると記事は伝える。国の公債残高は5百兆円を超え、国と地方を合わせた債務残高は18年で対GDP比175%に達し、主要先進国のなかで最悪の水準で、ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる日本国債の格付けはA2(シングルAに相当)とポーランドと同格、イタリアよりも低いとか。しかし、国債の信用力を取引するデフォルト・スワップ・スプレッドは両国を下回る水準で推移しており、このように市場が日本の信用力を相対的に高いとみているのは、世界第2位の経済力に加え、1400兆円の個人金融資産が銀行に流れ込み、銀行が国債を大量に買い支えているためだが、ゼロ金利政策解除でこの構造は崩れ始めていると記事は伝える。金利上昇で預貯金の魅力が薄れ、「銀行から資金が流出して国債の需給に影響を及ぼしかねない」(大和証券SMBCの末沢豪謙チーフストラテジスト)状況で、都市銀行は8、9月と国債を売り越しており、金利が低下しても債券残高を圧縮し続けているとか。政府は2010年代初頭の基礎的財政収支の均衡を目指すが、「国債残高圧縮への単なる通過点に過ぎない」(スタンダード・アンド・プアーズの小川隆平ディレクター)もので、国債残高を対GDP比で減らすには「基礎的財政収支でGDP比1.5%以上の黒字が必要」(中央大学法学部の富田俊基教授)とされ、ハードルはかなり高いとのこと。行政コスト削減にはまず実態把握と責任明確化が必要で、市場構造が変わりつつあるなかで政府が低金利と好景気に気を緩めていては市場の信頼が揺らぎ、いずれ長期金利の上昇圧力が高まりかねないと記事は警告する。


 旧科学技術庁関係法人の出資金については、建設公債で科学技術予算を支弁するために、科学技術開発の成果は還元されるはずという前提で出資金にしていたもの。もともと短期的に採算が取れるとは誰も思っていない出資であり、これを損失というのは可哀相だ。

国交省の調査では国でダンピングして地方で談合しているゼネコンの印象

 Sankei Webサイトは10月22日東京朝刊からとして「国で損して地元で稼ぐ 中堅ゼネコン、実績作り落札操作」〔三枝玄太郎〕を掲出。

 記事は、国土交通省が、同省発注工事を落札率80%未満の安値で落札した関東地方の23業者について、その後の落札状況を追跡調査したところ、国発注工事では安値落札を繰り返す一方、自治体発注工事を高落札率で受注する傾向が鮮明に表れたと報じる。調査対象の業者は中堅規模の地場ゼネコンがほとんどで、国の工事を採算度外視で受注して実績を作り、自治体の工事では談合を疑わせる高値落札で利益を上げている実態が浮かび上がったと記事は伝える。同省が業者の落札状況を追跡調査したのは初めてで、過度なダンピングをなくす制度作りのため実態を調べたが、自治体の入札で100%すれすれの高落札率が多いことが分かり、自治体発注工事では談合が横行していることをうかがわせる結果となったと記事は評する。調査は、平成15年に関東地方整備局が発注した工事634件のうち、80%未満の低い落札率で落札された工事の受注業者23社が対象で、それから17年まで2年あまりの間、この23業者が同局や都県発注の工事をいくらで落札したか追跡したところ、23社がその後に落札した工事は計105件で、うち80%未満の低落札率で受注したのは28件で、内訳は国発注が25件、都県発注の工事が3件だったが、逆に、80%以上の高落札率で受注した工事77件の内訳は、都県発注分が58件、国発注分が19件で、4分の3が自治体の工事だったとか。80%未満の低額落札は、都県発注分では61件中3件だけだが、国発注分は44件中25件にのぼったとのこと。このうち1社の落札率推移をみると、15年10月から17年4月までに7件の工事を落札しているが、都県の工事5件はいずれも90%台後半の落札率で、国発注の2件はいずれも70%台だったとか。国交省は、予定価格の80%を割り込む場合、採算が取れないダンピングの可能性が高いとみており、今回の調査結果について、公共工事入札では、過去の同種工事の実績が参加条件となるため、「国の工事を赤字覚悟で落札して実績作りをし、都県の工事で利益を上げているのではないか」と分析しているとか。調査対象の業者は、中堅・大手クラスの地場ゼネコンが多く、「地元の工事をひとつでも多く受注したいのが実情」(国交省関係者)とのこと。

労働局のカラ残業

 読売は10月23日に「カラ残業・出張、ヤミ休暇も…労働局不正に動かぬ証拠」を配信。

 記事は、厚生労働省の労働局を巡る不正経理問題で、カラ残業、カラ出張、果てはヤミ休暇など様々な不正の手口の実態が、読売新聞の全国調査で明らかになったと報じる。このうちカラ残業は、夜間の庁舎管理用に導入された無人警報装置の作動記録データが動かぬ証拠となり、不正が発覚していたとか。会計検査院による調査では、福島、高知などの労働局で、約1億円のカラ残業が判明しているとのこと。関係者によると、実態に合わない超過勤務手当を一律に支給していた複数の労働局では、職場を最後に退庁する職員が、無人警報装置のスイッチを入れることになっていたが、同手当を受け取っていた職員の多くは、同装置の作動開始時間後も、庁舎内に残って残業していたことになり、不自然な支給実態から不正が見つかったとのこと。また、宮城労働局では、超過勤務の申告を数日分まとめて行っていたが、中には、所属する部署の全職員が出席した懇親会が行われた日にも、「午後10時まで残業」と申告する職員もいたとか。「ヤミ休暇」があったのは愛知労働局で、実際は休んでいるのに出勤扱いにする手口で、延べ77人が約280万円を不正に受給し、さらに、カラ残業で延べ55人が約530万円、出張の日程を途中で短縮しながら予定通りの宿泊費や日当を受け取ったカラ出張でも、延べ40人が約110万円を不正に受け取っていたとのこと。このほか、鹿児島労働局では、庁舎内に喫煙ルームを設置する予算(約100万円)が実際には約36万円余ったにもかかわらず、業者からの請求書では予算通りの経費がかかったことにしてもらい、職場用に冷蔵庫などを購入していたとか。京都労働局では、出張記録の「旅行命令簿」を改ざんし、実際より多くの職員が出張したかのように水増しして旅費を浮かせ、タクシー代や夜食代などを捻出(ねんしゅつ)していたとのこと。

国税収納金整理資金の17年度の状況

 中日新聞サイトは10月23日に「05年度、税金未納3兆円 会計検査院調査」を掲出。

 記事は、17年度に期限までに納付されなかった税金が約1兆円で、繰り越し分を合わせた未納付総額が約3兆円に上ったことが会計検査院の調査で分かったと報じる。国税庁は、督促後も納付されていない同年度の「滞納残高」を約1兆8000億円と発表しており、まだ督促されていない分は約1兆2000億円となると記事は伝える。検査院は毎年、国税庁の提出資料を検討し税金の徴収漏れなどを指摘しているが、今回はこのほか、税金還付の事務円滑化を目的に歳入・歳出と切り離してプールされた「国税収納金整理資金」の17年度の状況を検査しており、その結果、新たに発生した未納付は消費税・地方消費税が計約4000億円、揮発油税・地方道路税が計約3000億円など、総額約1兆円と判明し、16年度以前からの繰り越しは約2兆円だったとか。分割納付が可能な相続税など、まだ納付期限を迎えていない税金も含めた「債権総額」は約10兆9000億円とのこと。

三井住友FGが公的資金完済

 10月23日付け日経金融新聞3面に「三井住友、公的資金完済を発表、9月末、国、売却益2000億円得る」の記事。

 記事は、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が20日、株券の引き渡しを含め公的資金の返済に関するすべての手続きを終了したと発表したと報じる。併せて公的資金(優先株分)の返済経過を発表し、それによると、国は優先株の転換価額の修正直前に一部返済を受け、約2千億円の売却益を得たとのこと。国が三井住友に注入した公的資金は優先株で1兆3010億円、劣後債で2千億円の計1兆5010億円で、このうち優先株について三井住友FGは、国に要請して優先株を普通株に転換してもらったうえで自己株式として買い入れる方式で段階的に返済してきており、今回の返済交渉で焦点になったのは「10月1日」が優先株から普通株への転換価額の修正日にあたっていた点で、修正後は国の含み益が大幅に目減りすることになっていたため、金融庁と三井住友が協議し、一部を修正直前の9月28日に返済することで決着し、金融庁は国庫に2千億円の売却益を確保したとのこと。国が注入した三井住友FGの優先株の売却益は合計4400億円に膨らみ、結果的にみずほFGなどへの公的資金注入に比べて「高利回り運用」となったとか。三井住友FGは完済にあたり「1998年以来、公的資金に支えていただいたことにお礼申し上げる」とコメントしたとか。

財務省が研究成果公開促進費の無駄遣いを指摘

 10月21日付け日本経済新聞朝刊5面に「iPod購入はデータベース費!?、科技関連予算で無駄遣い――財務省調査」の記事。

 記事は、財務省が20日、大学や学会が研究成果を公表するための予算の使い道を調査した結果を発表し、それによると、「データベース作成」の名目で携帯音楽プレーヤー「iPod」や実験器具などの購入事例が判明し、厳しい財政状況の中で優遇されている科学技術関連予算に無駄遣いが潜む実態が明らかになったと報じる。財務省は19年度予算編成で厳格に査定する方針とか。調査は17年度に交付した「研究成果公開促進費」30億5千万円のうち、日本学術振興会を通じて交付したデータベース作成費と学術定期刊行物出版費(合計7億3100万円)を対象に実施したもので、データベース作成費ではこのほか、アルバイト料の7割を消耗品の購入に流用した例も見つかったとか。刊行物でも出版したうちの9割が在庫となり、数年間保管した後に廃棄されるなど、明らかに過剰な予算請求があったとも。

県職員を架空購入のキックバック容疑で逮捕

 毎日は10月20日に「詐欺:備品購入名目で130万円詐取 愛知県職員逮捕」〔加藤潔、清藤天〕を配信。

 記事は、備品購入名目で約130万円をだまし取ったとして、愛知県警捜査2課と東署などが19日、同県美術館業務課主事(38)を詐欺容疑で逮捕したと報じる。調べでは、主事は昨年12月から今年1月に、名古屋市の事務用品販売業者から耐震金具などの備品を購入したように装い、県に130万円を支払わせた疑いで、容疑者はこの業者に架空の契約書を作らせ、県から業者の口座に現金を振り込ませた後、業者から124万円分の郵便切手を受け取って金券ショップで換金していたとみられるとのこと。容疑者は容疑を否認しているとか。容疑者は16年4月から現職に就き、備品購入を担当しており、一方、この業者は17年2月から今年8月までに約1000万円の納入実績があり、県警は容疑者が業者から計500万円分の切手や、パソコン数台を受け取っていたとみていて架空発注の実態について調べているとのこと。県民総務課長は「美術館の消耗品や備品は特殊なので、担当と業者任せになっていた。発注額が予算の範囲だったので気づかなかった」などと釈明したと記事は伝える。

20年度に廃止される公営企業金融公庫の保有資産の承継者固まらず

 読売は10月19日に「公営企業金融公庫 積立金2.6兆争奪戦 地方団体「支払った利息」 財務省「国が100%出資」」〔中沢謙介〕を配信。

 記事は、政府系金融機関改革で20年度に廃止される公営企業金融公庫の保有資産をめぐり、財務省と地方自治体の綱引きが激化しており、2・6兆円の積立金について、財務省が国庫への返納を主張しているが、地方側が地方自治体の共同出資で設立する公営公庫の後継組織に全額引き継ぐよう求めていると報じる。全国知事会は、18日に開いた地方分権推進特別委員会で、全額を後継組織に承継するよう求める方針を決めたとのこと。財務省と総務省は11月中をめどに結論を出す方向だが、議論は難航が予想されると記事は伝える。焦点となっているのは、公営公庫が将来の金利上昇に備えて積み立てている2・6兆円の引当金(金利変動積立金)の行方で、地方側は、後継組織が国に頼らず市場から資金調達するには安定的な財務基盤の確保が必要だとして全額を新組織に承継するよう求めており、その根拠は、政府が改革の方向性を示した「制度設計」で、「承継組織の財務基盤安定化に必要な措置を講ずる」とされていることにあるとか。18日の知事会の特別委で各知事からは、「円滑な業務の実施には、全額が確実に新組織に引き継がれるべきだ」とする意見が相次ぎ、「引当金は地方自治体が公庫に支払った利息を蓄積したもので、全額を新組織に承継することは当然だ」との意見が大勢とのこと。これに対して、財務省は「国が100%出資する公庫の資産は全額が国に帰属している。新組織への全額承継には理屈がない」と反論しているとか。引当金2・6兆円のうち半分程度は現在の貸出金(24兆7658億円)に対する備えと見なして、新組織への承継を認める方針だが、「国が新たな関与を行わない」という政府系金融機関改革の改革方針を踏まえ、残り半分については国庫への返納を求めているとのこと。安倍内閣が「簡素で効率的な筋肉質の政府」を掲げていることもあり、「改革の成果として引当金を国債の償還に回し、財政健全化につなげるべきだ」(財務省幹部)と主張しているとか。公営企業金融公庫は政府保証債を発行して市場から資金を調達し、地方自治体が行う上下水道や病院など生活関連事業に、長期・低利で融資してきた組織で、地方自治体が共同出資する新組織に移管されると、国の信用力を背景にした資金調達から、地方が主体的に資金調達していく仕組みに変わるため、資金調達を円滑にするためには、強固な財務基盤が必要だというのが地方の主張で、知事会など地方6団体は月内にも、積立金の全額移管を求める方針を決め、総務省に要望する予定で、総務省は「地方の意見を十分踏まえながら検討する」(公営企業課)と財務省との対決姿勢を強めているとのこと。ただ、今回の政府系金融改革の狙いは、「官から民」への資金の流れを実現し、地方にも市場原理に基づく資金調達を求める点にあるが、18日の特別委では個別の自治体がどう資金調達すべきかという議論はなく、新組織頼りの声ばかりが目立ったと記事は評する。官の関与を少なくするという政府系金融機関改革の狙いを実現するためにも、組織のスリム化など新組織の自助努力のあり方も論議の対象になりそうと記事は伝える。

16年の総務省の改善要請が活きていない特殊勤務手当

 10月19日付け日本経済新聞朝刊1面に「地方公務員、特殊手当660億円、17市では保険料軽減――検査院2004年度調査」の記事。

 記事は、会計検査院が18日に、地方財政、財政投融資、国の特別会計に関する検査報告を公表し、初めて検査対象とした地方財政では、総務省が見直しを求めていた地方公務員の特殊勤務手当が16年度で単純合計すると、約660億円に達したことが判明したと報じる。福利厚生のための補助金も6百億円強に上ったとか。検査院の指摘に対し自治体側には是正義務はないが、無駄遣いへの批判が強まる可能性もあると記事は伝える。特殊勤務手当は基本給や時間外手当などとは別に支給されるが、総務省は(1)国家公務員にない手当、(2)給与などと重複する手当、(3)日割りなどが適当なのに月額で支給される手当、の見直しを16年に要請しており、今回の調査では、見直し後もなお(1)が289億円、(2)が117億円、(3)が261億円支給されていたとのこと。一部で重複もあるが、単純に合計すると660億円になる計算とか。また、福利厚生面でも、結婚などの祝い金や旅行費用の助成を手掛ける職員互助組合に603億円の補助金が投入されており、浜松市や大阪市、岡山市など17市は、雇用主と被雇用者の折半が原則の医療給付などの保険料を10―18%割り増し負担していたとのこと。地方交付税の総額を決める根拠となる地方財政計画と実際の使い道との乖離も大きく、15年度決算で給与関係費が1兆1千億円、一般行政経費が6兆8千億円計画を上回ったとのこと。各自治体が他の経費を給与経費などに「流用」したとみられると記事は伝える。