公会計の動向 -92ページ目

財務相は同族会社の内部留保金追加課税の撤廃に前向き

 11月7日付け日本経済新聞朝刊5面に「財務相、来年度改正で、同族会社の内部留保金、追加課税の撤廃検討」の記事。

 記事は、尾身幸次財務相が6日に大阪市内で記者会見し、同族会社の内部留保金に追加課税する制度について、「ベンチャー企業が力をつけていく観点から、この税制が足を引っ張っている実態もあり、なくす方向で検討したい」と述べ、来年度の税制改正で撤廃を検討すべきだとの考えを表明したと報じる。中小企業の経営者が事業を引き継ぎやすくする事業承継制度の見直しにも前向きな姿勢を示したとか。制度改正は記者会見に先立って開かれた関西経済団体との意見交換会で経済界が要望し、財務相は見直しに理解を示しており、安倍晋三政権が経済成長を重視していて、中小企業を税制面から支援することで活性化につなげていくと記事は解説する。留保金課税は、株主の過半数が経営者の親族らで占める同族会社が配当せずに利益を内部留保するのを抑制するため、中小企業が法人税などを払った後の内部留保金に追加課税する制度で、財務相は制度について「ベンチャーの内部留保を充実させていくという大きな流れに逆行している」と指摘し、撤廃を視野に見直すことを明らかにしたとのこと。ただ、同日に財務省内で会見した藤井秀人次官は見直しについて、「歳入面で財政健全化にどう影響を与えるかと、(留保金課税)制度そのものと両面から検討していく話だ」と発言しており、減税の影響を見極めながら慎重に検討していく構えをみせたとか。企業の経営者が子や孫に事業を引き継ぎやすくするように、事業用の宅地の相続税を減額するなどの事業承継税制については、減額する範囲や利用できる年齢制限の緩和などが検討課題になっており、関西経済界との意見交換会で財務相は「中小企業にとって(事業継承の)問題は一番の悩みの種。承継できる体制をぜひ作っていきたい」と見直しに前向きな認識を示したとか。


 財政再建は大丈夫なのか。

再チャレンジ税制は新たな財政支出はないが財政負担にはなる

 毎日は11月3日に「再チャレンジ税制創設へ フリーター雇用企業へ寄付促進」を配信。

 記事は、政府が19年度税制改正で、「再チャレンジ税制」を創設する方針を固めたと報じる。職業訓練やフリーター雇用などの「再チャレンジ支援」を実施している企業に寄付金を出した企業を対象に、寄付金の一定額までを損金算入して税負担を軽減できるようにするもので、安倍政権の目玉政策である「再チャレンジ支援策」で、税制面の優遇措置は初めてとか。失業者の職業訓練と再就職を支援する企業や、フリーター、高齢者を再雇用する企業などを、政府は再チャレンジ支援企業と位置づける方向で、こうした支援企業の経営を、別の企業が寄付を通じて援助することが、新税制の狙いとなり、寄付金を出した企業が、課税対象となる所得から寄付金の一定額までを損金として差し引ける制度を検討しているとか。新税制によって、直接に再チャレンジ支援をしている企業は他社からの寄付金で潤い、寄付金を出す側の企業は減税の恩恵を得られ、政府にとっても、新たな財政支出をすることなく再チャレンジを支援できる利点があると記事は説くが、歳入が減ることは忘れられている。

会計検査院が公衆電話を調べている

 毎日は10月31日に「<公衆電話>1割が独身寮や遊技場に設置 常時利用できず」を配信。

 記事は、災害時などの通信手段として総務省令で一定の範囲内に設置することが定められている公衆電話の約1割が、独身寮や遊技場の中にあるため常時利用できないことが会計検査院の調べで分かったと報じる。検査院は30日、NTT東日本、西日本に対し改善を求めたとのこと。NTT東の12%、NTT西の13%が常時使用できない状態だったとか。

 共同は同日に「公衆電話に「地域格差」 最大7倍、検査院調査」を配信し、全国一律のサービスを確保するため、設置目安が定められている「第1種公衆電話」の設置状況を会計検査院が調べた結果、都道府県別で最大約7倍の格差があることが分かったと報じる。第1種電話は、電気通信事業法の施行規則で全国を24万2000区域に分割し、各1台の配置を求めており、区域は市街地で500メートル四方、その他は1キロ四方で、検査院によると、17年度末の区域カバー率は35%で、1万1000区域には複数台ある一方、15万8000区域には一台もなかったとのこと。道府県別では、カバー率が最も低いのは大分県で、県内4600区域のうち13%。最も高い東京都の86%と比べ、約7倍の開きがあった。1種電話が最も多い区域は東京・銀座で、500メートル四方に20台あったとか。

緑資源機構発注の測量・建設コンサルタント業務で談合の疑い

 読売は10月31日に「緑資源機構の入札で談合容疑、公取委が立ち入り検査」を配信。

 記事は、農林水産省関連の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市、前田直登理事長)が発注する測量・建設コンサルタント業務の入札などで、談合が行われた疑いがあるとして、公正取引委員会が31日午前、同機構や、コンサルタント会社など十数の受注先を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査したと報じる。同機構も立ち入り先になっており、同機構職員が受注調整に関与した官製談合に発展する可能性もあると記事は伝える。立ち入り検査が行われているのは、川崎市幸区の同機構本部や、各地の出先機関、さらに、林野庁所管の財団法人「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)や「ウエスコ」(岡山市)などで、関係者によると、コンサルタント各社などは、同機構が発注した林道整備に必要な測量や環境影響予測などコンサルタント業務の入札や、発注のための競争見積もりで、談合を繰り返したとみられ、受注予定者の決定に同機構職員がかかわった疑いもあるとか。旧森林開発公団と旧農用地整備公団の事業を引き継いだ緑資源公団が15年10月、独立行政法人に移行し、同機構となっていて、水源林や幹線林道、農用地などの整備が主な事業で、国が資本金約6530億円(17年度末現在)を全額出資していることから、官製談合防止法が適用される特定法人に該当するとのこと。理事長は前林野庁長官、5人の理事のうち3人も、農林水産政策研究所次長、四国森林管理局長、中国四国農政局長を務めた農水省OBとか。談合が疑われる入札の中には、同省や同機構のOBが再就職したコンサルタント会社が、高い落札率で受注したり、複数の随意契約を結んだりしているケースもあるといい、公取委は、談合と天下りの関連についても調べる方針と記事は伝える。

預金保険機構で出張旅費の過払い

 11月1日付け毎日新聞東京朝刊の「預金保険機構:職員に631万円過払い」〔清水憲司〕は、預金保険機構が31日、国内出張の旅費支給について、12年4月からの6年間で、職員120人に429件631万円の払い過ぎがあったと発表したと報じる。そのうち16人が訓告などの処分に該当したが、いずれも出身母体の官庁に戻るなど同機構を退職しており、処分は見送られたとのこと。48人(73件217万円)については、実際には格安航空券を利用したのに、事前にキャンセルした正規運賃の航空券の領収書を提出するなど、意図的な水増し請求だったとか。同機構は、すべてについて返還請求するとのこと。

長崎県で「預け金」や「差し替え」

 11月1日付け日本経済新聞西部朝刊17面に「長崎県裏金、1億8000万円――99年時点、知事認識、7年公表せず」の記事。

 記事は、長崎県の裏金問題で金子原二郎知事が31日に記者会見し、物品の架空発注で支出した公金を業者に管理させる「預け金」と呼ばれる裏金の存在を正式に認めたと報じる。11年6月時点で県庁全体に約1億8千万円あり、今年4月の時点でも約2080万円が残っていたとのこと。知事は裏金の存在を知りながら7年間公表せず、自身の責任問題について「今後の調査で考える」と語ったとか。11年に金子知事が裏金の存在を知り、幹部に改善を指示したが、その後、当時の幹部は知事に「12年4月末時点で、すべての部署の残高がゼロになった」と虚偽の報告を上げていたとのこと。金子知事は11年時点で公表しなかったことについて「職員を萎縮させたくなかった。当時明らかにすべきだった」と述べ、「その後(裏金は)なくなったものと信じていた。深く反省し、申し訳なく思っております」と謝罪したとのこと。県によると、11年6月当時、裏金を持っていたのは本庁の漁業や農業、土木関連の12課と、支庁や土木事務所など15の出先機関で、裏金は主に、帳簿記載や決裁をしない備品の購入などに使われ、予算の多い部署が少ない部署に融通することもあったとか。部署や機関ごとに与えられた予算を、年度内に使い切ったように見せ掛ける目的だったとのこと。職員の私的流用があったかどうかについて、金子知事は「現時点では確認できていない」と述べたとか。2千万円まで残高が減ったことについて、県は「残金を優先して使用したり、予算の少ない部署に事務用品を配分したりした結果のようだ」としているとか。裏金のほかに、請求書の品目とは違う品物を業者に納入させていた不正経理が、31の部署・機関で約740万円分あったことも判明し、この日公表したとか。庁舎の引っ越し費用や食器棚の購入に充てられていたとのこと。

政府預金の利子の決定方法を改定

 日経は10月31日に「財務省、「政府預金」の利率決定方法を変更」を配信。

 記事は、財務省が31日、国庫にある余裕金を日銀に預ける「政府預金」の金利の決定方法を来年1月1日から変更すると発表したと報じる。これまでは政府短期証券(FB)の入札のたびに、入札の平均利回りによって金利を決めていたが、年明けからは金利改定を週1回とし、直近13週間分のFBの入札の加重平均利回りを基準にするとのこと。来年1月から6カ月物のFBを新たに発行するため変えるもので、基準を13週間分の平均にすることで金利の乱高下を防ぐ狙いがあると記事は伝える。現在はFBの入札を1週間に複数回実施することもあり、金利改定を週1回にすれば効率化にもつながるとか。政府は税収入やFB発行などで得た資金を国庫で管理しているが、余裕分を日銀に預けて利子を得ているとの由。

労働局不正経理でOBが着服

 読売は10月30日に「奈良労働局のOB、1400万円着服…刑事告訴せず」を配信。

 記事は、厚生労働省の労働局を巡る不正経理問題に絡み、奈良労働局のOBが、国の委託費に絡んで約1400万円を着服し、繰り返し高級外車を購入していたことが、会計検査院などの調べでわかったと報じる。また秋田労働局では職員が300万円を超える公金を着服していた疑いが浮上しているとか。他の労働局でも、備品の転売や家財道具購入など悪質な私的流用が発覚し、懲戒処分が行われたが、多くは刑事告訴・告発が見送られており、身内に甘い処分となっていると記事は伝える。私的流用が確認されたのは、奈良労働局管内の職業安定所(ハローワーク)の出張所長を務めた後、奈良商工会議所に天下りしていたOBで、検査院などによると、同労働局内に12年まで事務局があった関連団体「雇用安定・創出対策協議会」が11~12年度、国から委託された「緊急地域就職促進プロジェクト」を同商議所に再委託した際、OBが委託費のうち計1386万円を流用していたとのこと。同商議所によると、OBは、出金伝票に支払額を上乗せするなどして約20回にわたって資金を引き出し、ベンツやジャガーなど、少なくとも3台の外車(いずれも中古車)を次々と買い替えており、通勤にも使っていたとか。同商議所は、OBが70歳代と高齢で、返還の意思があるとして刑事告訴は見送っており、流用分は同商議所幹部が今年1月、肩代わりして国に返還し、OBが毎月、幹部に約10万円を返済しているとのこと。

旅券のネット申請手続が10月で終了

 読売は10月30日に「旅券のネット申請、2年で幕…40億かけ利用300件」を配信。

 記事は、国を挙げて推進するオンライン申請のうち、「旅券(パスポート)電子申請システム」が31日、利用低迷を理由に、運用開始から2年8か月で停止されると報じる。システムにつぎ込まれた公費は約40億円に達するが、利用は約300件しかなかったとか。国のオンライン申請中、不名誉の廃止第1号となるが、「政府の強い押しで始めた事業」「事業決定したのは外務省」と、外務省と内閣官房などが責任を転嫁しあっていると記事は伝える。同システムは、16年3月に運用開始され、これまでに費やした運営費は計約20億円、システム開発費は計約20億円に上るが、利用はわずか303件で、1件あたり1300万円以上かかった計算とか。外務省は9月末で受け付けを終了し、今月末でシステムを完全に停止するとのこと。外務省は事前に、利用の需要予測を行わないまま実用化に踏み切ったが、〈1〉10年か5年に1度しか利用機会がない、〈2〉申請には住民基本台帳カードの取得や、住基カード読み込み用機材(約3000円)の購入が必要、で、当初からハードルは高かったとか。

郵政公社が高卒社員の採用を継続へ

 読売は10月28日に「郵政公社、一転新規に2100人の外務職員採用」を配信。

 記事は、日本郵政公社が27日に2006年度の一般職外務職員(高校卒業程度)の採用凍結方針を見直し、07年4月も例年並みの2100人を新規採用すると発表したと報じる。外務職員は、郵便物の配達や簡易保険、郵便貯金のセールスを行う。郵政公社はコスト削減のため、外務職員の代わりにアルバイト職員(ゆうメイト)の配置を進め、今年4月には外務職員の採用中止を打ち出していたが、景気回復を受けて、都市部を中心にアルバイトの確保などが難しくなる傾向にあることなどから、方針を転換したとのこと。