20年度に廃止される公営企業金融公庫の保有資産の承継者固まらず | 公会計の動向

20年度に廃止される公営企業金融公庫の保有資産の承継者固まらず

 読売は10月19日に「公営企業金融公庫 積立金2.6兆争奪戦 地方団体「支払った利息」 財務省「国が100%出資」」〔中沢謙介〕を配信。

 記事は、政府系金融機関改革で20年度に廃止される公営企業金融公庫の保有資産をめぐり、財務省と地方自治体の綱引きが激化しており、2・6兆円の積立金について、財務省が国庫への返納を主張しているが、地方側が地方自治体の共同出資で設立する公営公庫の後継組織に全額引き継ぐよう求めていると報じる。全国知事会は、18日に開いた地方分権推進特別委員会で、全額を後継組織に承継するよう求める方針を決めたとのこと。財務省と総務省は11月中をめどに結論を出す方向だが、議論は難航が予想されると記事は伝える。焦点となっているのは、公営公庫が将来の金利上昇に備えて積み立てている2・6兆円の引当金(金利変動積立金)の行方で、地方側は、後継組織が国に頼らず市場から資金調達するには安定的な財務基盤の確保が必要だとして全額を新組織に承継するよう求めており、その根拠は、政府が改革の方向性を示した「制度設計」で、「承継組織の財務基盤安定化に必要な措置を講ずる」とされていることにあるとか。18日の知事会の特別委で各知事からは、「円滑な業務の実施には、全額が確実に新組織に引き継がれるべきだ」とする意見が相次ぎ、「引当金は地方自治体が公庫に支払った利息を蓄積したもので、全額を新組織に承継することは当然だ」との意見が大勢とのこと。これに対して、財務省は「国が100%出資する公庫の資産は全額が国に帰属している。新組織への全額承継には理屈がない」と反論しているとか。引当金2・6兆円のうち半分程度は現在の貸出金(24兆7658億円)に対する備えと見なして、新組織への承継を認める方針だが、「国が新たな関与を行わない」という政府系金融機関改革の改革方針を踏まえ、残り半分については国庫への返納を求めているとのこと。安倍内閣が「簡素で効率的な筋肉質の政府」を掲げていることもあり、「改革の成果として引当金を国債の償還に回し、財政健全化につなげるべきだ」(財務省幹部)と主張しているとか。公営企業金融公庫は政府保証債を発行して市場から資金を調達し、地方自治体が行う上下水道や病院など生活関連事業に、長期・低利で融資してきた組織で、地方自治体が共同出資する新組織に移管されると、国の信用力を背景にした資金調達から、地方が主体的に資金調達していく仕組みに変わるため、資金調達を円滑にするためには、強固な財務基盤が必要だというのが地方の主張で、知事会など地方6団体は月内にも、積立金の全額移管を求める方針を決め、総務省に要望する予定で、総務省は「地方の意見を十分踏まえながら検討する」(公営企業課)と財務省との対決姿勢を強めているとのこと。ただ、今回の政府系金融改革の狙いは、「官から民」への資金の流れを実現し、地方にも市場原理に基づく資金調達を求める点にあるが、18日の特別委では個別の自治体がどう資金調達すべきかという議論はなく、新組織頼りの声ばかりが目立ったと記事は評する。官の関与を少なくするという政府系金融機関改革の狙いを実現するためにも、組織のスリム化など新組織の自助努力のあり方も論議の対象になりそうと記事は伝える。