行政委員の月額報酬制に異論を唱える判決
河北新報が9月16日に掲出した「仙台市非常勤行政委員訴訟 支出差し止め地裁命令
」〔水野良将〕は、仙台市の非常勤行政委員に月額で報酬を支払うのは勤務実態に合わず不当だとして、仙台市民オンブズマンが報酬の支出差し止めを求めた訴訟の判決で、仙台地裁が15日、「勤務の実情は常勤職員と懸け離れており、月額報酬は著しく不合理」と違法性を認め、奥山恵美子市長に委員1人当たりの月額報酬10万1000円~29万8000円の支出差し止めを命じたと報じる。オンブズマンによると、非常勤行政委員に対する月額報酬の支出差し止めを命じた地裁判決は、21年1月の大津地裁に次いで全国で2例目とか。差し止めの対象は有識者から選ばれる監査委員と、人事、市と区の選挙管理、教育の各委員、委員長約30人分とか。記事は、「地方自治法によると、非常勤職員の報酬は日当制が原則だが、市は条例で例外規定を設け、委員らの報酬を月額支給している」と伝えているが、これだとあたかも法律の例外を条例で定めているかのように読めるが、地方自治法第232条の2第2項は「前項の職員に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない。」としていて、条例で日額以外の支払方法を許容している。しかし、裁判長は18~21年度の勤務実態と報酬額について検討し、比較的報酬額が低い市議選出の監査委員を除き、「月平均の勤務日数は3日未満で、1日当たりの報酬額は、国が定める報酬限度額の約2.0倍~約4.2倍に上る。各委員が常時待機しているとも認められない」と指摘したとか。その上で「市財政が容易に好転するとは考えにくい状況で、市や市議会が(月額報酬制を定めた)条例の改正を検討した形跡はない。是正や検討に必要な期間が経過しており、市議会の裁量権の範囲を逸脱し、違法だ」と認定したとの由。市議選出の監査委員については「著しく不合理とはいえない」と述べ、支出差し止めの対象とはしなかったとのこと。記事によると、地裁は訴訟で、差し止め対象の委員らの証人尋問を実施。「本業に支障はない」(人事委員)、「総選挙だからといって、大変ということはあまりない」(選挙管理委員)などの証言を得ており、膨大な議事録も読み込んだほか、市に対し、震災後に報酬の見直しを検討したかどうかを確認するなど、報酬の妥当性を丹念に検証した上で、「市の報酬規定は、法が議会に与えた裁量権の範囲を逸脱している」と厳しく指摘したという。記事は、非常勤行政委員の月額報酬の支出差し止めを求めた訴訟は、差し止めを命じた21年の大津地裁判決の後、原告側が敗訴するケースが相次いでいたが、仙台地裁がこの傾向に待ったを掛けた背景には、仙台市の深刻な財政状況がある、と説くが、これは司法の立法に対する容喙を評価するかのごとき言説と思う。
地元議会が存続に否定的な鉄道
読売サイトが23年9月3日に掲出した「「十鉄」廃線現実味増す…沿線議会は存続否定的 」は、青森県の十和田観光電鉄(本社・青森県十和田市)の鉄道事業の存廃問題で、十和田市議会が2日、財政支援の是非を検討する全員協議会を開いたが、出席者からは、「展望が開けるなら支援に価値もあるが、そうでないなら延命策に過ぎない」などと否定的な意見が相次いだと報じる。先月あった三沢市議会も同様で、利用者の多くを抱える十和田、三沢両市の議会が足並みをそろえたことで、財政支援は困難な見通しとなり、十鉄の廃止が現実味を帯びてきたと記事は伝える。同日の十和田市議会全員協議会には、同社の白石鉄右エ門社長が出席し、2020年度までに駅舎改築や変電所更新などの設備投資として、約7億3000万円が必要になると説明して、十和田、三沢、六戸の沿線3市町に総額約5億2000万円の財政支援を改めて要請し、乗降客数などを基に十和田市には約半額の約2億6000万円を要望したが、議員からは消極的な意見が多く、支援に前向きな意見はまれで、「おんぶに抱っこで虫がよすぎる」(田中重光市議)といった痛烈な批判や、「勇気ある決断を」と逆に白石社長に廃止を迫る場面もあったとか。三沢市議会も8月29日に総務文教常任委員会を開いたが、否定的な意見が大勢で、バス事業への転換を推す意見も出たとの由。また、六戸町議会は5日に全員協議会を開くが、吉田豊町長は読売新聞の取材に、「今回支援すれば将来にわたって出すことになる可能性が高い。事実上の3セクになりかねず、慎重にならざるを得ない」と消極的な姿勢を示しているとか。同社は議会とは別に今月中旬までに、沿線3市町で順次、住民説明会を開き、財政支援に理解を得たい考えだが、2日夜に三沢市であった初の市民説明会では、賛否が割れ、支援に否定的な意見が目立っており、行政側と市民がそろって消極的となれば、同社が一層苦しい立場に追い込まれるのは確実と記事は伝える。
仙台空港線は上下分離方式へ
河北新報社サイトが23年9月6日に掲出した「仙台空港アクセス線鉄道資産 宮城知事、買い取り表明
」は、村井嘉浩宮城県知事が5日、経営難に陥っている第三セクター「仙台空港鉄道」(名取市)再建のため、仙台空港アクセス線の駅舎や橋脚など同社の鉄道資産を買い取る方針を表明したと報じる。自治体が施設を保有し、鉄道会社は運行に専念する「上下分離」方式の導入で、早期の黒字化を目指すと記事は伝える。村井知事は定例記者会見で「アクセス線は県の経済発展を支える重要な社会資本。震災復興を進めるためにも、安定的に維持・継続させる必要がある」と述べたとか。経営悪化の要因については「当初の見込みより利用客が少なかった上、震災で半年以上も運行できなくなる特殊要因が重なった」と説明し、「買い取りにより、会社の負担は間違いなく軽くなる。早期に経営を軌道に乗せたい」と理解を求めたとの由。利用客1日1万人の需要予測に関しては「(7割にとどまった)結果が全て。予測が甘いとの批判は甘んじて受ける。真摯に反省したい」と責任を認めたが、「(鉄道建設は)間違った投資ではなかった」と強調したとか。村井知事は仙台空港の国内線が増便されたことを挙げて「アクセス線も利用客を呼び戻せる可能性は十分ある」との認識を示し、「会社は経営の効率化を図った上で、運賃引き上げも検討すべきだ」と注文を付けたとか。一方、県幹部は5日、同社に出資する山形県や仙台、名取、岩沼各市に対し「直接的な負担は求めないが、何らかの支援がもらえるよう相談したい」との考えを示したとのこと。今回、県が買い取るのは全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地で、取得費は85億1000万円とか。補正予算案に計上し、15日開会の県議会9月定例会に提出するが、買い取りが実施されれば、会社は売却益と自己資金で金融機関からの借入金約87億円を繰り上げ返済するため、金利や固定資産税の負担が軽減されるとの由。
大阪府庁舎移転問題
MSN産経ニュースが23年9月6日に掲出した「橋下知事推進の湾岸庁舎、併存で負担増1200億円 府が試算 」は、大阪府の橋下徹知事が、本庁舎(大阪市中央区)の咲洲(さきしま)庁舎(住之江区、旧WTC)への全面移転を断念した問題で、両庁舎を併用した場合に今後30年間の経費が約1202億円に上ることが6日、府の試算で分かったと報じる。咲洲庁舎を早期に売却、本庁舎のある大手前に集約するほど府の費用負担は少なくなるとしており、11月27日に想定される大阪市長と知事のダブル選を前に、橋下知事の責任も問われそうと記事は伝える。府の試算では、両庁舎を併用した場合の財政負担は今後30年で約1202億円であり、東日本大震災で咲洲庁舎に被害が出た長周期地震動に対応するための改修費(約45億円)に加え、咲洲の維持管理費は465億円と、大手前(280億円)の約1.6倍に上るとか。一方、咲洲庁舎を平成32年末に売却した場合の財政負担は、咲洲庁舎の売却収入を加算しなくても約1057億円であり、担当部局は、売却が遅れるほど管理費が増大すると指摘しているとか。WTC購入を検討した平成21年9月当時、府は庁舎を咲洲に全面移転した場合(約409億円)の方が、本庁舎を耐震補強した場合(約512億円)より「安い」と試算し、橋下知事は咲洲全面移転を提唱、現在は約2000人の職員が勤務しているという経緯がある。だが、8月に専門家が巨大地震の際の安全性に疑問を示し、橋下知事は咲洲への全面移転を断念したとの由。橋下知事は6日、報道陣に対し「重要なのは購入時の判断がどうだったか。自然災害は予測不可能で、当時最善の判断をしたのであれば、理解いただきたい」と述べたとか。
議案・報告未提出について自浄作用が働いた例
毎日jp長野ページが8月25日に掲出した「飯田市:議会に未提出115件 賠償案件、5年間で /長野 」〔石川宏〕は、飯田市が24日、18~22年度の5年間で、地方自治法などに基づき、議会の議決や議会への報告が必要な損害賠償案件計115件(賠償額計約1357万円)を、議会に未提出だったと発表したと報じる。被害者への賠償は既に保険で支払われており、市は「提出すべき案件だという認識が職員になかった」と謝罪したとのこと。市は24日付で、渡辺嘉蔵副市長をけん責(一般職の戒告に相当)の懲戒処分にし、部長級職員4人に文書による注意指導をしたとか。市によると、5月の臨時議会に、側溝に転落した女性との和解の議案を提出した際、提案まで時間が遅れたため、似た例を各部課で過去5年分、調べたところ、判明したもので、市条例では、議会の議決は、損害賠償額が30万円超(病院事業は100万円超、水道事業は50万円以上)、▽報告は、30万円以内--で必要と定めており、調査で、議決が必要な8件(賠償額計約466万円)、▽報告が必要な107件(同約892万円)が未提出だったとか。内容は、物損事故や、道路の穴などによる車両の損傷などで、会見で牧野光朗市長は「二度と起きないよう損害賠償の事務処理に関する訓令を定めるなど職員への徹底を図る。おわび申し上げる」と陳謝したとか。115案件は31日開会の市議会定例会に提出するとのこと。
国税当局の指摘で不適正経理が発覚
毎日jpが8月6日に掲出した「帯広畜産大:不正経理4億9000万円 業者への預け金など--02~10年度 」〔三沢邦彦〕は、帯広畜産大(北海道帯広市、長沢秀行学長)が5日、農水省などの公的研究費を別の研究機器の購入に充てるなどした不適正な会計処理が、14~22年度に計約4億9000万円あったと発表したと報じる。同大は不正があった研究費の全額を返還する方針とか。農水省は来年度から4年間、同大の研究費の応募や参加を停止する措置を取ったとも。帯広畜産大によると、関与していたのは現職34人と、転・退職した20人の計54教員で、年度内に研究費が使い切れなかった際に、教員が研究用の消耗品や試薬などを買ったように見せかけ、業者に預け金としてプールさせたり、別の研究機器の購入費に充てるなどしていたとの由。うち3人は国際研究集会の開催名目の経費を個人口座に入金したり、海外出張に同行した妻の旅費に充てたりし、計約3640万円を私的に流用したとのこと。同大は昨年9月、札幌国税局から不適正な経理を指摘され、同12月に約1億5600万円の不正が判明し、教授1人の諭旨免職を含む32人を処分し、その後も調査を続けていたとか。長沢学長は「大学の信用を損なうだけでなく、科学研究振興体制そのものを揺るがしかねないということを強く自覚し、再発防止に取り組みたい」とのコメントを出したと記事は伝える。
読売オンラインが8月10日に掲出した「帯広畜産大不正経理、21人を公表
」は、北海道帯広市の帯広畜産大(長沢秀行学長)の研究費不正経理問題で、内閣府食品安全委員会と農水省が、不正経理に関与した同大の54人の教員や退職者のうち、同委員会と同省にかかわりのある教員計21人をホームページ上で公表し、来年度から4年間、研究委託や公的研究費への応募・参加資格を停止すると発表したと報じる。また、大学に対しては不適切な会計処理額(5810万円)を返還するよう要求したとのこと。不適切な経理に関与した残りの現職・元教員33人に研究費を支出した文部科学省、厚生労働省、経済産業省なども、不正額が確定し次第、同大に返還を求める方針とか。内閣府と農水省は、同大が不適切経理を発表した今月5日、それぞれのホームページ上で不正に関与した教員名、所属先、事業名、不適正処理額認定額を公表しており、関与した教員は当時、現職が17人、転出者4人で、いずれも教授、准教授だったとか。
21年度の国のバランスシートは372兆円の債務超過
ブルームバーグニュースが6月28日に掲出した「財務省:国の負債、10年3月末に初の1000兆円台-372兆円の債務超過 」は財務省が28日、企業会計の考え方を活用し、国の資産や負債を算定した21年度の「国の財務書類」を発表したと報じる。それによると、国債や公的年金預り金などの負債が前年同期比36.8兆円増加し1019兆円と初めて1000兆円台を超えており、内訳は国債が720.6兆円、公的年金預り金が130.4兆円などで、前年同期比39.3兆円増加した国債の増発が債務増加の主な要因となったと記事は伝える。一方で、貸付金や国有財産など有形固定資産を含めた国の資産合計は同17.7兆円減の647兆円となり、372兆円の債務超過ととのこと。