公会計の動向 -143ページ目

根拠条例はあるが予算に計上していない手当は支払うべきなのか

 13日の共同「千葉・銚子市職員830人、調整手当の支払い求め提訴」は、千葉県銚子市が条例で定めた市職員の調整手当支給を4月から停止したのは不当として、市職員労働組合連絡協議会に加盟する市職員ら832人が13日、市に4月分の支払いを求め千葉地裁に提訴したと報じる。訴状などによると、市長は厳しい財政状況を理由に昨年9月以降、3回にわたり市議会に手当支払い停止のための条例改正案を提案したが否決され、手当を支給していたが、手当が計上されていない17年度予算案が可決されたことを根拠に不払いに踏み切ったとのこと。調整手当は、人事院規則で物価が高い地域などで働く国家公務員の給料に上乗せするするもので、国に準じて制度化している自治体もあり、銚子市は昭和62年に条例を定め、特別職らを除き本給などの2%を支給していたとのこと。


 非常に興味深い事案。予算に計上されていない手当は支払ってならないのは当然のことだが、予算の議決科目をどう整理していたかが問題。諸手当ということで議決され、手当て支給条例があれば、支払うべきだ、という主張にも一理がある。しかし、予算で予定されていない手当は支払うべきではない、という主張にも一理がある。当事者の立論構成が気になるところである。

自己浄化努力を評価したい金バッジ騒ぎ

 読売は12日に「機構流ムダ金術…全職員に配布の金バッジ→延べ板に」を配信。

 記事は、独立行政法人「雇用・能力開発機構」が特殊法人だった1999年から昨年までの5年間、金入りのバッジを約7100個作製し、全職員に支給していたと報じる。機構では、バッジを回収して金部分を抽出し、今年3月に売却したが、作製費の約半額でしか売れなかったとのこと。金バッジを導入したのは、勤労者福祉施設の“投げ売り”を始めたのと同じ年で、識者からは「コスト意識のない機構の体質を象徴している」との声が出ていると記事は伝える。


 記事は金バッジの作製を問題視しているが、話のポイントは雇用促進事業団から雇用・能力開発機構に移行した11年に金入りの新しいバッジをつくることにしたということではなく、16年3月に特殊法人から独立行政法人に衣替えした際に、バッジ自体を廃止することにし、「少しでも収入になれば」と金部分だけを抽出することにしたということだろう。過去の意思決定を改めるためには相当の労力を必要とするはず。このバッジの廃止の意思決定を高く評価し、賞賛することが必要なのだと思う。この廃止と売却の立案をした人物は、「お前が言い出さなければ、そのまま記念品として持たせておくことになり、世間から注目されることもなく、マスコミに叩かれることも無かっただろうに」と白い眼で見られているのではないかと危惧する。がんばれ、生真面目に筋を通す者。

都の税収が順調

 12日付け日本経済新聞地方経済面15面に「都税収、500億円増、昨年末予想比――04年度、M&Aが寄与」の記事。

 記事は、東京都の16年度の都税収入が、昨年末時点の予想を5百億円以上上回る見通しと報じる。石油や金融といった業種で外資系企業の業績が好調だったほか、大手企業の合併・買収(M&A)に伴う一時的な税収増加が目立つなど法人税収が伸びたためで、昨年度の都税の徴収率も97%と過去最高を更新する見込みとか。総務省は都市部に偏る法人税収を地方に移す検討を始めており、都税収入の増額修正は18年度の税制改正の論議の行方にも影響を及ぼしそうだと記事は解説している。

売却予定のNTT株は17年度で売り切る見込み

 13日付け日本経済新聞朝刊5面に「財務省、今年度予定分、NTT株、市場外売却――自社株買い応じる」の記事。

 記事は、財務省が17年度に売却予定のNTT株112万3千株を市場を通さずに直接、NTTに売却すると報じる。同社の自社株買いに応じるもので、すべての株式を処分できる可能性もあり、市場での売却は見送る公算が大きいと記事は伝える。政府は、発行済み株式の40.8%にあたる642万7千株のNTT株を保有しており、法律で保有を義務付けられている3分の1を超える約112万株すべてを今年度に売却しようとしているとのこと。NTTは6月の株主総会で、125万株・6千億円を上限とする自社株買いを決議する見通しで、財務省は市場売却よりもNTTの自社株買いに応じたほうが、株式市場の需給悪化を避けられると判断したとか。売却価格は通常の自社株買いのルールによって決まるとのこと。財務省は16年度も80万株の自社株買いに応じているとの由。


 どうでもいいが、無利子貸付けのような馬鹿げたことは2度とやらないでほしい。NTTに市中の国債を買わせて、株式代金を国債で支払ってもらいたいくらいだ。

予算書・決算書の見直しが着々と進んでいる

 財務省サイトに4月27日の「財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会 公会計基本小委員会 及び 公企業会計小委員会 合同会議」の議事要旨 が掲出された。

 議事の3番目は「予算書・決算書の見直しに関する検討状況について」。

 「事務局より予算書・決算書の見直しに関する検討状況について、資料4に基づき説明を行った後、各委員等から発言があった」とかで次の発言が紹介されている。


「・施策別に科目を見直しを行った場合、従来の科目は使われなくなるのか、場合に応じて情報を使い分けるのか。


(事務局) 新しい施策別の予算書・決算書に移行して、従来の表示科目は残さないと考えている。ただし、結果として従来のものが残ることもあると考えている。また、目については特に大きく変えることは考えていない。」


 事務局の説明は当然のこと。平行してやるのは無意味だし、予算統制の意義を損ないかねない。


「 ・施策の中で複数年にわたる事務事業のあるものの取扱いはどうなるのか。


(事務局) 事務事業が複数年にわたるかどうかによってこの整理が変わるものではないと考えている。先ずは歳出予算を中心に検討するが、継続費、国庫債務負担行為についても見直すべきところがあれば見直したい。」


 このやりとりは意味不明。委員はこの答で満足したのだろうか。はなはだ疑問。

有料道路料金の収受業務を警備会社が受託

 11日付け日本経済新聞地方経済面22面に「セコム上信越、長野県から料金所業務受託」の記事。

 記事は、セコム上信越が長野県道路公社が管理する有料道路の料金所業務を受託したと報じる。道路公社が管理する5本の道路で通行車両から料金を徴収し、道路公社の口座に振り込む業務で、1年契約で受託料は年間約1億2千万円とのこと。セコム上信越が料金所業務を手がけるのは初めてとか。常駐警備を手がける子会社セコムジャスティック上信越(新潟市)を通じ業務を開始したと記事は伝える。長野県道路公社は料金所業務を随意契約してきたが、外部監査の指摘を受け今年度分から一般競争入札を実施したところ、セコム上信越が五輪大橋、志賀中野道路、松本トンネル、白馬長野道路、三才山トンネルの料金所を落札したとの由。


公表資料:平成14 年度包括外部監査報告の概要

財務省が霞ヶ関庁舎の官民比較を行った

 読売は10日に「霞が関庁舎は賃貸より“持ち家”が得…財務省が試算」を配信。

 記事は、財務省が10日、東京・霞が関一帯にある政府の庁舎を建て替えた場合、国が自前で建設して保有し続けた方が、土地をいったん民間などに売却して賃借するよりも得になるとの試算を初めてまとめたと報じる。官公庁の庁舎などの国有財産を巡っては、政府が3月に閣議決定した規制改革・民間開放推進3か年計画で、「個別に採算性を正確に試算したうえで、賃借も視野に入れて推進する」と明記しているだけに、試算は今後の庁舎の利用形態を考えるうえで論議を呼びそうだと記事は評する。試算は、財務省が同日の財政制度等審議会国有財産分科会に提出したもので、霞が関地区に延べ床面積約10万平方メートルの合同庁舎を新設する場合を想定し、その上で、〈1〉国が建設して保有し続ける〈2〉国が土地を民間に売却し、民間が建設した庁舎を国が借りて入居する――の2ケースについて年間の負担額を比較した結果、保有の場合、建設資金の利払いや維持管理、修繕などに年間20・3億円かかるが、賃借だと家賃などで年間56・3億円かかり、保有のほうが年間36億円も少なかったと記事は伝える。保有の場合にかかる当初の建設費401・8億円を含めた総コストでも「建築後12年目から保有の方が安くなる」とのこと。


 民の方が効率的になる面をどの程度評価するかだ。

財務相が地方公務員の給与削減に言及

 共同は10日に「地方公務員の給与下げ必要 谷垣財務相が見解」を配信。

 記事は、谷垣禎一財務相が10日の閣議後の記者会見で、地方公務員や地方に勤務する国家公務員について「給与水準がやや高いという指摘がある。何らかの前進を図る必要がある」と述べ、給与水準の引き下げが必要との見解を示したと報じる。谷垣財務相は、前日東京で開催した財政再建に関する国民との意見交換会について「多くの方が財政再建の必要性を認識していたが、(国民に負担増を求める前に)無駄な歳出の排除を求める発言がほとんどだった」と指摘した上で「日本の公務員数の人口に占める割合は、国際比較で低い方に属するので(削減に)過大な期待をいただいても難しい。しかし地方公務員の給与水準(引き下げ)は残された(歳出削減の)分野だろうと思う」と語ったとのこと。

障害者自立支援法は障害者に負担を求める

 朝日は10日に「自立支援法―障害者には苦い薬だが」を配信。

 記事は、、障害のある人も住み慣れたところで安心して暮らせるようにすることを狙いとする障害者自立支援法案の審議が国会で始まったとして、2年前、障害者が自分でサービスを選べる支援費の制度ができたが、国の財政的な裏付けが不十分だったため、初年度から財源が不足して、破綻したことから、今回の法案はこれに代わるもので、今までの障害者福祉を全面的に見直すものと紹介する。最も大きな柱は、利用したサービスの量に応じて障害者に1割の負担を求める一方で、国の財政的な責任をはっきりさせたことで、サービスの利用量が予算を超過すれば、補正予算を組んで補うとのこと。2年間の支援費制度では、サービスが使いやすくなり、埋もれていた需要が掘り起こされ、それまで使っていなかった人も利用するようになったとか。しかし、障害者の大半は1カ月6万~8万円の障害年金に頼っており、厚生労働省は低所得者への対策をきめ細かく取り入れたというが、それでも障害者の不安は根強く、障害者の暮らしの実態に即した仕組みにする必要があると記事は主張している。特に障害者の団体が問題にしているのは、負担が家族などの同居者に及ぶという点で、法案では、負担の上限は家族の収入に応じて決めることになっており、親やきょうだいに一定の収入があれば、減免を受けられなくなるのだとか。これでは、障害者はいつまでも自立した存在として扱われないことになり、ここは本人の収入に応じて負担を決めるようにすべきだと記事は主張している。サービスの内容は、国が統一的な基準をつくり、市町村が障害の程度に応じて必要な種類や量を決めるとかで、サービスの量が基準を上回る場合には、市町村に新たに設けられる審査会でチェックするとか。

道路3公団が法人住民税を納税していなかった

 朝日は6日に「道路3公団、計1千万円の法人住民税申告漏れ」を配信。

 記事は、日本道路公団が6日、県や市に納める法人住民税のうち14府県112市町村に計998万円以上を昨年度までに滞納していたと発表したと報じる。首都高速道路公団も昨年度だけで21自治体に計87万円、阪神高速道路公団も2自治体に計10万円の申告漏れがあり、3公団は延滞税を含めた納税額を各自治体と協議中とのこと。申告漏れは数年~30数年前から続き、日本道路公団は「特殊法人は法人税(国税)が非課税ということもあり、税金の知識がなかった」と説明しているとか。法人は地方税法により、事務所や事業所のある都道府県と市町村に法人住民税を納める義務があるが、3公団は主な事務所のある自治体にしか申告・納付していなかったとの由。


公表資料:法人住民税(道府県民税・市町村民税・都民税)の申告納付を適正化します