公会計の動向 -109ページ目

自治体に財務諸表を求める方向

 6月22日付け日本経済新聞朝刊5面に「民間並み財務諸表、自治体、3年内に作成――総務省有識者会議、市町村も連結会計」の記事。

 記事は、総務省が地方自治体に民間企業並みの財務諸表の作成を求める方針と報じる。貸借対照表など4種類の財務諸表で、公務員の退職金など将来発生する費用をあらかじめ見込んでおく方式の採用や、公社をはじめ関連団体を含めた連結ベースの資産・負債の開示も求めるとのこと。地方債を購入する投資家や住民に財政状況をより正確に伝えるよう促すとともに、自治体の財政規律を高めるのが狙いと記事は伝える。同省が設置した有識者会議が自治体向け公会計の基準をまとめたもので、自治体に作成を求めるのは、貸借対照表(バランスシート)と行政コスト計算書(損益計算書に相当)に加え、キャッシュフローを把握するための資金収支計算書、純資産変動計算書の4表で、20年度決算までに都道府県や人口3万人以上の市町村が導入することを目指すとか。自治体の会計は単年度の収支を重視する傾向が強く、ストック面での財務分析が不十分との指摘があり、このため、後年度の負担が把握しやすい純資産変動計算書を新たに導入するとのこと。公営企業や地方三公社(土地開発・住宅供給、地方道路)、第三セクターなども含めた連結バランスシートの作成も求め、都道府県や政令市は今春から公表しているが、市町村ではあまり普及しておらず、三セク破綻では自治体に財政負担が生じる可能性があり、地方債発行の完全自由化や自治体の破綻法制導入に向けて、投資家が債務の全体像を把握しやすくする狙いがあるとか。


参考:新地方公会計制度研究会の報告書ができたが……

雇用保険の国庫負担を1千億円減額へ

 読売は6月21日に「雇用保険の国負担、1千億円前後削減へ政府が調整」を配信。

 記事は、政府が、歳出歳入一体改革の一環として、18年度予算で3939億円の雇用保険事業の国庫負担を19年度予算で1000億円前後削減する方向で調整に入ったと報じる。近年の景気・雇用情勢の改善により、雇用保険財政は好転しており、14年度に約4000億円に落ち込んだ積立金は、18年度予算で約2兆5000億円に増加しているとのこと。このため、政府は、19年度の国庫負担を2~3割、800億~1200億円程度削減することにしたとか。国庫負担の大幅削減は10年度の約3割削減以来となるとのこと。

国債の落札利回り

            FB3ヶ月物          交付税特会6ヶ月借入れ 
18.6.21.実施分 平均0.3395% 最高0.3454%  平均0.4819% 最高0.523 %


満期保有国債の検討が本格化

 6月22日付け日本経済新聞朝刊5面に「財務省検討、満期保有前提の国債、会計上の損失リスク回避」の記事。

 記事は、財務省が満期までの保有を前提とする「非市場性国債」の発行に向けた検討に入ったと報じる。市場での売買を通じ価格が変動する通常の国債と異なり、購入後に金利が上昇した場合に生じる会計上の損失を回避できるのが特徴で、需要動向を踏まえたうえで、銀行などの機関投資家向けに2―3年後にも発行できるよう詰めるとか。財務省が21日に開いた国の債務管理の在り方に関する懇談会で、今後の検討課題として示したもので、投資家からは新型国債について償還までの期間が5年程度の商品を要望する声が上がっているとのこと。満期保有を条件に時価会計を適用しないルールとするため、何らかの譲渡制限を設けて売買を規制する仕組みなどを検討するとか。一般の国債は市場での売買が可能で、満期まで保有すれば発行時の額面で換金できるものの、金利が購入時より上昇すれば市場での売買価格は下がるため、金融機関などは毎期ごとに時価での評価による含み損益を決算に計上する必要があるが、日本経済のデフレ脱却が近づく中で、今後金利は上昇局面に入るとの見方が強まっており、機関投資家から「金利上昇局面に入っており毎期の決算で損益処理が不要な国債商品がほしい」との声が出ていたとのこと。日本郵政公社の民営化などにより国債の安定消化先は今後減る公算があり、英米では市場で流通する通常型と「非市場性」の二本立てで国債を発行していて財務省も検討を急ぐことにしたとの由。ただ市場には「新型国債の発行が膨らめば時価形成がゆがみ財政規律もゆるむ」との指摘もあると記事は伝える。

会計検査院が補助事業での契約を競争化するよう指導?

 朝日は6月21日に「大阪ガス関連会社、燃料施設巡り談合」を配信。
 記事は、クリーンエネルギーの普及を目的に国が建設費の大半を補助する天然ガス車の燃料スタンド「エコ・ステーション」の入札をめぐり、大阪ガスのグループ会社「大阪ガスエンジニアリング(OGE)」(大阪市)が、府内など11カ所の施設工事で談合に関与し、うち3カ所について落札していたと報じる。大ガスは今年2月に談合の報告をOGEから受けていたがこれを放置し、朝日新聞が疑惑を指摘した今月19日になって、独占禁止法違反の疑いがあるとして、OGEが公正取引委員会に申告していたとのこと。両社は「認識が甘かった」としており、近く関係者を処分する方針とか。OGEは従業員約110人で、全株式を大ガスの100%出資会社が所有するとのこと。OGEや大ガスによると、11件の工事のうち、OGEが談合を主導して受注したのは3件で、いずれも自らエンジニアリング会社などに声をかけて入札参加者を確保し、応札価格を各社に指示しており、他の8件については談合に参加し、他社の指示にもとづき価格調整に応じていたとのこと。経済産業省の外郭団体「財団法人エコ・ステーション推進協会」などによると、補助額の上限は9000万円(今年度から8000万円)で、ガソリンスタンドを経営する石油小売会社などの事業者が補助を受けて工事を発注するが、設備を含めた実際の工費は9000万~1億2000万円とされ、大半を補助金で賄える仕組みになっているとか。今年2月にエコ・ステーション事業をめぐる不正を外部から指摘され、OGEが社内調査したところ、談合が発覚したとのこと。施工業者の選定は、13年度まで随意契約が認められたが、会計検査院の指導で14年度から原則、一般競争入札が義務づけられていて、OGE側は取材に対し、こうした入札制度の改定を背景に挙げ、「汗をかいたところが落札できるよう、担当者が勝手に対応していた」と説明しているとのこと。

薬価を毎年見直す方針を検討

 6月15日付け日本経済新聞朝刊1面に「薬価、来春も引き下げ、政府・自民検討、最大10%、毎年改定に、1000億円削減」の記事。

 記事は、政府・自民党が、公的医療保険が医療機関に支払う医薬品の公定価格(薬価)を来年4月に引き下げる方向で検討に入ったと報じる。削減幅は最大10%で調整し、約1千億円の国庫負担の軽減を見込むとか。薬価は今年4月に削減したばかりだが、今回の見直しを機に、ほぼ2年に1度の薬価水準改定を毎年実施に改めるとのこと。増大する社会保障費の抑制には、医療費の2割を占める薬剤費の圧縮が不可欠と判断したと記事は伝える。今後5年間の歳出削減案作りを主導する自民党歳出改革プロジェクトチーム(PT、座長・中川秀直政調会長)は14日の医療制度改革法の成立を受け、医療分野の本格議論に着手し、薬価引き下げを同分野の目玉に据えたい考えだが、医療機関や医薬品業界の反発で調整が難航する可能性もあると記事は伝える。薬価は現在、ほぼ2年に1度の診療報酬改定の中で、市場価格調査に基づいて見直しており、過去10年間で4―10%(薬価ベース)ずつマイナスを続けているが、公定価格より市場価格が低い薬価差はなお多く残っており、30兆円を超える医療費のうち薬剤費は6兆円強を占めていて、薬価差の縮小が医療費抑制の課題になっていると記事は評する。薬価の下げ幅が10%になれば、過去10年間で最大とか。政府・自民党内では国民負担を増やさずに歳出削減が可能になるため、有力な具体案に浮上しているとのこと。薬価を毎年改定するよう改めるのは、市場価格に迅速に近づける狙いで、厚生労働省は毎年改定にするだけで1千億円超の薬剤費圧縮ができると見込んでいるとのこと。他に先駆けて認可を受けた先発医薬品が販売された後、6年間が過ぎると、同じ成分・効能の後発医薬品の販売も認められており、先発品に比べ7割以下の薬価で済むため、後発品の利用を一段と促進するとか。先発品の公定価格を後発薬の値段に連動して下げる制度の導入も検討するとのこと。ただ、自民党厚生労働関係議員は薬価差が10%を割り込んでいることを理由に、大幅な引き下げに消極的で、薬価と市場価格との差が利益となる医療機関なども薬価差縮小に反発を強めるのは必至と記事は伝える。政府・自民党は医師の技術料など薬価とともに診療報酬を形成する「本体部分」については、ほぼ2年に1度の改定のままとする方針とか。

郵政公社の郵便事業純利益速報値は実際の10分の1

 6月14日付け日本経済新聞朝刊5面の「郵便事業純利益、20億円台に修正――郵政公社、入力ミス」は、日本郵政公社が5月に発表した2006年3月期決算で、2億円としていた郵便事業の純利益が10倍以上の20億円台に上方修正される見通しとなったと報じる。国際郵便や切手の取り扱いなど複数の分野で「数字の入力ミスが発覚した」(公社幹部)ためとか。


関連:郵政公社は好決算

社会保険事務所の年金免除の不適正手続

 読売は6月13日に「年金免除の不適正手続き、20万件超す…社保庁調査」を配信。

 記事は、国民年金保険料の不正免除問題で、不適正な手続きは全国36都道府県で20万9136件に上ることが社会保険庁の調査でわかったと報じる。5月末に調査結果を公表した段階では、26都府県で11万3975件だったが、その後の追加報告などで、2倍近くに膨れあがったとのこと。このうち、被保険者本人の意思を確認せずに、無断で免除や猶予の手続きを行った悪質なケースは16万2159件で、北海道、青森、宮城、新潟、千葉、兵庫、愛媛、島根、鹿児島、沖縄の10道県で新たに判明し、これまでの判明分とあわせ20都道府県となったとか。このほか、電話で本人の意思を確認しただけで手続きを進めたケースが3万977件、免除、半額免除、猶予のうち、申請のあった項目以外の処理をしたのに、本人の意思確認をした記録が残されていないなど、新たな種類の不適正処理も1万6000件あり、職員が申請書に印鑑を勝手に押していたケースもあったとか。2週間余りで件数が2倍近くになったことについて、社保庁は「短期間で行った調査だったので、精査が不十分だった。(社会保険事務局や社保事務所の中には)隠していたところもあったと思う」としていると記事は伝える。同庁では、274万人分に上る申請書類の調査などを今月9日から始めており、来月中旬までにすべての報告をまとめる方針とか。

 同日の読売の配信「長官視察に合わせ納付率アップ?1926人分不正猶予」は、社会保険事務所による国民年金の不正手続き問題で、埼玉県所沢市の所沢社会保険事務所が1926人分の保険料納付の猶予手続きを不正に行っていたことが分かったが、社会保険庁の村瀬清司長官が2月に視察するのに合わせ、1月の納付率をよく見せかけようとしたとみられると報じる。

寄付金の調定に手間取る事態

 6月9日に日本海新聞サイトは「寄付金管理ずさん 鳥取市、7カ月間公金処理せず」を掲出。

 記事は、鳥取市に昨年4月に贈られた寄付金30万円が7カ月も公金処理されず、秘書課長名義の口座に振り込まれたままになっていたと報じる。寄付金の受領・領収書が寄付者に発行されていない実態も浮き彫りになっており、津村憲儀企画推進部長(兼秘書課長)は「事務処理が適切でなかった」と謝罪し、これまで明確でなかった寄付金の取り扱い要項を定める方針とのこと。市によると、昨年4月に県民文化会館で開かれた歌謡ショーの席上、市内の企業から竹内功市長が寄付金を受け取ったが、11月まで秘書課長名義の口座に保管されたままの状態となっており、寄付から10カ月後の今年2月になって初めて受領書を渡したとか。また、過去にも2回、寄付金を公金処理せずに秘書課長名義の口座に2カ月ほど保管しており、さらに、14年に別の企業から受け取った寄付金の受領書が送付されていないことも明らかになったとのこと。寄付金の扱いについて、市は一般的に受けた当日に公金処理し、その日に受領・領収書を送付することにしているとか。今回の指摘について、津村企画推進部長は「寄付金の使用目的や受領書の送付先がはっきりしなかったのが原因だが、扱いが適切でなかった。ひとまずは雑収入として処理すべきだった」としていると記事は伝える。

財務省の調査では関連団体相手の契約中随契理由成立は2割以下

 朝日は6月10日に「随意契約「必要性1~2割のみ」 官邸、抑制指示へ」を配信。

 記事は、各省庁が17年度に独立行政法人や天下り先企業などと結んだ随意契約のうち、実際に随意契約とする必要があったのは「1、2割」に過ぎないことが明らかになったと報じる。政府が契約内容を精査してまとめた結果で、週明けの閣僚懇談会で安倍官房長官が各閣僚に伝え、コスト削減のため原則として一般競争入札に切り替えるよう求めるとのこと。調査は、17年度に各省庁が独立行政法人や公益法人、天下り先の民間法人など関係の深い団体と結んだ随意契約を対象にしたもので、財務省が結果をとりまとめ、9日に小泉首相に報告されたとか。財務省によると、17年度の随意契約の件数は5月11日時点で2万7381件、総額1兆3817億円に上っており、最終集計の段階では、さらに上積みされる見通しとか。会計法では、原則は一般競争入札で、随意契約は競争相手がなく入札に適さない場合などに例外的に認められるが、各省庁が天下り先などと不透明な随意契約を結ぶケースが目立ち、防衛施設庁の談合事件が起きたこともあって見直しを求める声が強まっていたと記事は伝える。野党が「原則例外のはずなのに、件数ベースで随契が7割を占める」(民主党)と批判し、「税金の無駄遣い」と攻勢をかけていたため、小泉首相が各省庁に見直しを指示し、財務省が不適切な随意契約を割り出す作業を進めてきたとのこと。谷垣財務相は5月末、随意契約にするかどうかは省庁側が判断せず、原則としてすべて取引相手を公募するよう指示し、結果的に競争相手がなく、随意契約を結ぶ場合も業者の選定理由をホームページで公表するよう求めているとのこと。