日本数学オリンピック2018年予選の問題

 

今回は2018年のJMOの予選第5問を取り上げます。

小さな例で実験→観察→規則性の把握→一般化」という規則性の問題の基本的な考え方(麻布中学校1999年算数第5問筑波大学附属駒場中学校2008年算数第2問四天王寺中学校2018年算数第4問の解答・解説を参照)をしっかりマスターしていれば、小学生でも難なく解けるでしょう。

いきなり11個のオセロの石を考えるのは厄介なので、とりあえず少ない個数の石で考えます。
(a)において、両端が●で、●と〇が交互に並んでいることに着目して、奇数個の石が(a)と同じように並んでいる場合を考えます。
1個の場合は与えられた作業ができないので、3個の場合から考えます。
 ●〇●
両端の石を裏返しにすることはできませんね(以下同様)。
左から2番目の石を裏返しにすると、●●●となります。
結局、3個の場合の石の裏返し方は1通りあります。
この1というのは、両端の石を裏返しにすることはできないことから、3-2ということですね。
次に、5個の場合について考えます。
 ●〇●〇●
左から2番目の石を裏返しにすると、●●●〇●となります。
[●●●]〇●の[●●●]の部分は以後同じ動きをする(この場合は裏返すことはできません)ので、[●●●]の部分を1つの●と考えることができ、3個の場合の石の裏返し方を考えればいいですね。
左から3番目の石を裏返しにすると、●〇〇〇●となります。
●[〇〇〇]●の[〇〇〇]の部分は以後同じ動きをするので、[〇〇〇]の部分を1つの〇と考えることができ、3個の場合の石の裏返し方を考えればいいですね。
左から4番目の石を裏返しにした場合は、対称性を考慮すると、左から2番目の石を裏返しにした場合と同様に考えられますね。
結局、5個の場合の石の裏返し方はは3×1=3通りあります。
この3というのは、両端の石を裏返しにすることはできないことから、5-2ということですね。
もう決まりが分かりましたね。
11個の石の裏返し方は
  (11-2)×(9-2)×(7-2)×(5-2)×(3-2)
 =9×7×5×3×1
 =945通り
あります。

 

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 右ページのような①~⑦の三角形があります。三角形は裏返してはいけません。また、計算で必要なときは、図の★は2.6、●は2.5として計算しなさい。
(1)2つの三角形を選び、一辺を合わせます。長方形ができるのは何番と何番を選んだときでしょうか。
(2)②~⑦の三角形のうちどれかを選び、①の三角形と一辺を合わせると、角アの大きさを求めることができます。どの三角形を選んだらよいか番号を答え、角アの大きさを求めなさい。
(3)①~⑥の三角形のうちどれかを選び、⑦の三角形と一辺を合わせると、イにあてはまる数を求めることができます。どの三角形を選んだらよいか番号を答え、イにあてはまる数を求めなさい。

 

図形パズル的な問題で、算数オリンピックなどで出されるタイプの問題です。

(2)、(3)は様々な解法が考えられる問題なので、自分で様々な解法で解いてみるとよいでしょう。

(2)は2つの解法、(3)は3つの解法を紹介しています。

因みに、(2)も(3)も図形のセンスだけでなく、数のセンスも問われています。

10と50、36と24、36+60と60+24を見れば、何を考えればよいかすぐにわかるはずです。

詳しくは、下記ページで。

 南山中学校女子部2025年算数第10問(問題)

 南山中学校女子部2025年算数第10問(解答・解説)

下の問題(図形パズル的な問題)もぜひ解いてみましょう。

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 1221のように一の位が0でなく、一の位から逆の順番で読んでも元の数と等しい数を回文数といいます。4桁(けた)の整数で3の倍数となる回文数は全部で[ ]個あります。
 また、4桁の整数で11の倍数となる回文数は全部で[ ]個あります。
 

回文数の問題は、算数オリンピックとジュニア算数オリンピックで過去に出されているので、算数オリンピックやジュニア算数オリンピックにチャレンジする子はぜひ解いてみましょう。

4桁の整数で回文数となるものは〇△△〇(〇は1以上9以下の整数、△は0以上9以下の整数)となります。

(前半について)

各位の数の和は(〇+△)×2となり、これが3の倍数となりますが、2は3で割り切れないから、〇+△が3で割り切れることになります。

〇と△に入りうる整数を3で割った余りで分類します(0に関しては、△でのみ使用可能)。
 (あ)3で割ると1余る数・・・1、4、7
 (い)3で割ると2余る数・・・2、5、8
 (う)3で割り切れる数・・・0、3、6、9

〇+△が3で割り切れるのは、次の各場合になります。

 〇=(あ)、△=(い)のとき・・・3×3=9個

 〇=(い)、△=(あ)のとき・・・上と同様に、9個

 〇=(う)、△=(う)のとき・・・3×4=12個

したがって、4桁の整数で3の倍数となる回文数は全部で

  9+9+12

 =30個

あります。

(後半について)
11の倍数判定法より、すべて11の倍数となることが分かりますね。
4桁の整数で11の倍数となる回文数は全部で

  9×10

 =90個

あります。
なお、3の倍数判定法と11の倍数判定法については、下記ページの説明を参考にすればよいでしょう。

 倍数判定法について

下の回文数の問題もぜひ解いてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第31回算数オリンピックトライアル問題5(算数オリンピック2022年トライアル問題5)

今回は、算数オリンピック2022年トライアル問題5を取り上げ、解説します。

算数オリンピックの問題ですが、ジュニア算数オリンピックに出されても何の不思議もない問題でしょうね。

この年の算数オリンピックの予選が開催されたのが2022年6月12日だったので、2022と612という数字が出ています。

因みに、今年の算数オリンピックの予選は2025年6月15日になります。

さて、問題を解いていきましょう。

1桁、2桁、3桁、4桁の整数をそれぞれA、BC、DEF、GHIJとすると、
 A+BC+DEF+GHIJ=2634
となります。
式を完成させなさいという問題ではなく、?にあてはまる数を求めなさいという問題であることに着目して解きます。
2634の各位の和は15で9で割ると6余る数となります。
開成中学校2022年算数第1問(2)と同様にして解きます。
A+BC+DEF+GHIJを9で割ったときの余りは
 A+B+C+D+E+F+G+H+I+J
を9で割ったときの余りと一致します(9の倍数判定法が9で割ったときの余りの判定法であることをしっかり頭に入れておくべきでしょう)。
A~Jのうち?の数以外の和は45で9で割り切れるから、?は9で割ると6余る数、つまり6しかありえません。

4+25+637+1968-612=2022などとすれば与えられた式が実際に成り立ちますが、見つけ方の具体的な手順は省略します。

算数オリンピックにチャレンジするような子であれば、1分もかからずに見つけられると思いますよ。

 

 

 

 

 日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2025年予選の問題

 

今回は、日本ジュニア数学オリンピック2025年予選第2問を取り上げ、解説します。

正のというのは、0より大きいということです。

一見すると難しいそうな問題ですが、中学受験をする小学生なら解いたことがある問題と同じような問題です。
一直線上に並ぶ3つの数の和が全部同じということから、魔方陣がすぐに思い浮かぶでしょう。

その魔方陣を解く際の手法(久留米大学附設中学校2018年算数第1問(3)の解答・解説を参照)と同様の手法を用います。

説明の便宜上、図のように記号を振ります。

  

Dがらみの3つの数の和が等しいことに着目すると、

  A+G=B+F

となり、Eがらみの3つの数の和が等しいことに着目すると、

  C+G=B+H

となり、この2つの式の和を考えると、

  A+C+G×2=F+H+B×2

となります。

両辺に、B+Gを加えると、

  A+C+B+G×3=F+H+G+B×3

  10+G×3=10+B×3

  G=B

となり、与えられた条件を満たすためには、BとGに割り当てた数が等しくなければならないことがわかりますね。

ここで、A、B(G)、Cに割り当てた数をそれぞれ〇、□、△(ただし、〇+□+△=10)とします。

ADGに着目すると、Dに割り当てた数は△となり、CEGに着目すると、Eに割り当てた数は〇となり、BDGに着目すると、Fに割り当てた数は〇となり、BEHに着目すると、Hに割り当てた数は△となり、与えられた条件を常に満たしますね。

結局、〇、□、△の決め方が何通りあるか考えればよいことになります。

10個の☆を並べ、各☆の間9個のうちから2個を選んで/を入れ、左から1個目の/より左側の☆の個数を〇に割り当てた数、2つの/の間の☆の個数を□に割り当てた数、左から2個目の/より右側の☆の個数を△に割り当てた数と考える(例えば、☆/☆☆☆☆☆/☆☆☆☆であれば、〇、□、△に割り当てた数はそれぞれ1、5、4となります)ことができ、

  (9×8)/(2×1)

 =36通り

考えられます。

最初のところの式変形で若干技巧的なことをしていますが、具体的な数で2、3個実験したところ、Bに割り当てられた数とGに割り当てられた数が等しくなったので、おそらく一般的に成り立つだろうと考えて、実際にそれを導き出そうとしています。

最後のところの処理は、下の問題の解説と同様に考えることもできます。

 

 

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