1221のように一の位が0でなく、一の位から逆の順番で読んでも元の数と等しい数を回文数といいます。4桁(けた)の整数で3の倍数となる回文数は全部で[ ]個あります。
 また、4桁の整数で11の倍数となる回文数は全部で[ ]個あります。
 

回文数の問題は、算数オリンピックとジュニア算数オリンピックで過去に出されているので、算数オリンピックやジュニア算数オリンピックにチャレンジする子はぜひ解いてみましょう。

4桁の整数で回文数となるものは〇△△〇(〇は1以上9以下の整数、△は0以上9以下の整数)となります。

(前半について)

各位の数の和は(〇+△)×2となり、これが3の倍数となりますが、2は3で割り切れないから、〇+△が3で割り切れることになります。

〇と△に入りうる整数を3で割った余りで分類します(0に関しては、△でのみ使用可能)。
 (あ)3で割ると1余る数・・・1、4、7
 (い)3で割ると2余る数・・・2、5、8
 (う)3で割り切れる数・・・0、3、6、9

〇+△が3で割り切れるのは、次の各場合になります。

 〇=(あ)、△=(い)のとき・・・3×3=9個

 〇=(い)、△=(あ)のとき・・・上と同様に、9個

 〇=(う)、△=(う)のとき・・・3×4=12個

したがって、4桁の整数で3の倍数となる回文数は全部で

  9+9+12

 =30個

あります。

(後半について)
11の倍数判定法より、すべて11の倍数となることが分かりますね。
4桁の整数で11の倍数となる回文数は全部で

  9×10

 =90個

あります。
なお、3の倍数判定法と11の倍数判定法については、下記ページの説明を参考にすればよいでしょう。

 倍数判定法について

下の回文数の問題もぜひ解いてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第31回算数オリンピックトライアル問題5(算数オリンピック2022年トライアル問題5)

今回は、算数オリンピック2022年トライアル問題5を取り上げ、解説します。

算数オリンピックの問題ですが、ジュニア算数オリンピックに出されても何の不思議もない問題でしょうね。

この年の算数オリンピックの予選が開催されたのが2022年6月12日だったので、2022と612という数字が出ています。

因みに、今年の算数オリンピックの予選は2025年6月15日になります。

さて、問題を解いていきましょう。

1桁、2桁、3桁、4桁の整数をそれぞれA、BC、DEF、GHIJとすると、
 A+BC+DEF+GHIJ=2634
となります。
式を完成させなさいという問題ではなく、?にあてはまる数を求めなさいという問題であることに着目して解きます。
2634の各位の和は15で9で割ると6余る数となります。
開成中学校2022年算数第1問(2)と同様にして解きます。
A+BC+DEF+GHIJを9で割ったときの余りは
 A+B+C+D+E+F+G+H+I+J
を9で割ったときの余りと一致します(9の倍数判定法が9で割ったときの余りの判定法であることをしっかり頭に入れておくべきでしょう)。
A~Jのうち?の数以外の和は45で9で割り切れるから、?は9で割ると6余る数、つまり6しかありえません。

4+25+637+1968-612=2022などとすれば与えられた式が実際に成り立ちますが、見つけ方の具体的な手順は省略します。

算数オリンピックにチャレンジするような子であれば、1分もかからずに見つけられると思いますよ。

 

 

 

 

 日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2025年予選の問題

 

今回は、日本ジュニア数学オリンピック2025年予選第2問を取り上げ、解説します。

正のというのは、0より大きいということです。

一見すると難しいそうな問題ですが、中学受験をする小学生なら解いたことがある問題と同じような問題です。
一直線上に並ぶ3つの数の和が全部同じということから、魔方陣がすぐに思い浮かぶでしょう。

その魔方陣を解く際の手法(久留米大学附設中学校2018年算数第1問(3)の解答・解説を参照)と同様の手法を用います。

説明の便宜上、図のように記号を振ります。

  

Dがらみの3つの数の和が等しいことに着目すると、

  A+G=B+F

となり、Eがらみの3つの数の和が等しいことに着目すると、

  C+G=B+H

となり、この2つの式の和を考えると、

  A+C+G×2=F+H+B×2

となります。

両辺に、B+Gを加えると、

  A+C+B+G×3=F+H+G+B×3

  10+G×3=10+B×3

  G=B

となり、与えられた条件を満たすためには、BとGに割り当てた数が等しくなければならないことがわかりますね。

ここで、A、B(G)、Cに割り当てた数をそれぞれ〇、□、△(ただし、〇+□+△=10)とします。

ADGに着目すると、Dに割り当てた数は△となり、CEGに着目すると、Eに割り当てた数は〇となり、BDGに着目すると、Fに割り当てた数は〇となり、BEHに着目すると、Hに割り当てた数は△となり、与えられた条件を常に満たしますね。

結局、〇、□、△の決め方が何通りあるか考えればよいことになります。

10個の☆を並べ、各☆の間9個のうちから2個を選んで/を入れ、左から1個目の/より左側の☆の個数を〇に割り当てた数、2つの/の間の☆の個数を□に割り当てた数、左から2個目の/より右側の☆の個数を△に割り当てた数と考える(例えば、☆/☆☆☆☆☆/☆☆☆☆であれば、〇、□、△に割り当てた数はそれぞれ1、5、4となります)ことができ、

  (9×8)/(2×1)

 =36通り

考えられます。

最初のところの式変形で若干技巧的なことをしていますが、具体的な数で2、3個実験したところ、Bに割り当てられた数とGに割り当てられた数が等しくなったので、おそらく一般的に成り立つだろうと考えて、実際にそれを導き出そうとしています。

最後のところの処理は、下の問題の解説と同様に考えることもできます。

 

 

 算数オリンピック・ジュニア算数オリンピック・キッズBEE対策プロ家庭教師の生徒募集について

 算数オリンピック・ジュニア算数オリンピック・キッズBEE対策プロ家庭教師のお申込み・ご相談

 

 

 

 

 次の空欄にあてはまる数を答えなさい。
 0、1、2、3、4、5が書かれた6枚のカードがあります。この中から3枚を使って3桁(けた)の整数をつくるとき、できる3桁の整数は全部で[ア]通りあります。このうち、3の倍数であるものは全部で[イ]通りあります。ただし、百の位には、0が書かれたカードは使えません。

(前半について)
ほんの数秒で答えが求められますね。
百の位の数が0以外の5通りあり、そのそれぞれに対して、十の位の数が百の位の数以外の5通りあり、そのそれぞれに対して、一の位の数が百の位の数と十の位の数以外の4通りあるから、3桁の整数は全部で
  5×5×4
 =100通り
できます。
なお、3桁の整数の個数から2桁の整数(デジタル表示で考え、百の位が0の整数)の個数を引いて、
  6×5×4-(1×)5×4
 =120-20
 =100通り
とすることもできます。

この問題をこの考え方で解くのは面倒なだけですが、あえて余分なものをカウントして、その後でそれを取り除くという考え方は大切です。
(後半について)
まず、カードの数字を3で割った余りで分類します。
 (あ)3で割ると1余る数・・・1、4
 (い)3で割ると2余る数・・・2、5
 (う)3で割り切れる数・・・0、3
3桁の整数が3の倍数となる組み合わせは、(あ)、(い)、(う)のそれぞれのグループから1個ずつ使った場合(P)と(あ)、(い)、(う)の同一のグループから3個使った場合(Q)になりますが、この問題では、(Q)の場合はありえませんね。
まず、使う3つの数の選び方を考えます。
(あ)からどの数字を選ぶかで2通りあり、そのそれぞれに対して、(い)からどの数字を選ぶかで2通りあり、そのそれぞれに対して、(う)からどの数字を選ぶかで2通りあるから、全部で
  2×2×2
 =8通り
あります。
次に、選んだ3つの数の並べ方を考えると、3×2×1=6通りあります。
したがって、3桁以下の3の倍数(実際には、3桁と2桁の3の倍数)は
  8×6
 =48通り
あります。
このうち2桁の整数(デジタル表示で考え、百の位が0の整数)が何通りあるか考えます。
まず、使う3つの数の選び方を考えます。
(う)からどの数字を選ぶかで1通り(0を選ぶことに確定していますね)あり、そのそれぞれに対して、(あ)からどの数字を選ぶかで2通りあり、そのそれぞれに対して、(い)からどの数字を選ぶかで2通りあるから、全部で
  (1×)2×2
 =4通り
あります。
次に、選んだ3つの数の並べ方を考えると、(1×)2×1=2通りあります。
したがって、2桁の3の倍数は
  4×2
 =8通り
あります。
結局、3桁の3の倍数は
  48-8
 =40通り
あります。
詳しく説明すると長々しいですが、実際には、2×2×2×3×2×1-2×2×2×1=40通りというようにできるので、解くのに30秒もかからないでしょう。

各位の数の和が3の倍数となるものの組合せを書き出した後その並べ替えを考える地道な解法で解くこともできますが、最難関中学校の受験生であれば、上の解法を当然マスターしておくべきでしょう。

なお、下の灘高校の問題の解説では、地道な解法も紹介しています(メインの(3)の問題が解きやすいので、地道な解法を利用しています)。

 灘高等学校2009年数学第3問

 

 中学受験算数プロ家庭教師の生徒募集について

 中学受験算数プロ家庭教師のお申込み・ご相談

 

 

 

 

 

 

 次の□にあてはまる数を求めなさい。
 1/(2×3)+2/(3×5)+3/(5×8)+5/(8×13)=□

 

各分数の分母が部分分数分解を示唆してくれているので簡単な問題ですね。

因みに、15年ぐらい前にアップロードした下の計算問題の一部になります。

上の問題をアップロードした当時の中学入試では、分子が同じ数のものしか出されていませんでしたが、今は分子が異なるものも普通に出されます。

 

 

 

基本的な部分分数分解の問題(キセル算の問題と呼ばれることもあります)を正しいやり方で解いていれば、分子が異なっても何も変わりませんね。

詳しくは、大阪教育大学附属池田中学校2025年算数第1問(1)の解答・解説で。

因みに、Copilotに解いてもらうと、次のようになりました(分数で答えることを要求しなかったら、約0.369と答えてきました)。

それぞれの項を計算すると、

 1/6+2/15+3/40+5/104

この式の分母の最小公倍数を求めて通分すると、

 260/1560+208/1560+117/1560+75/1560

これらを足し合わせると、

 660/1560

さらに約分すると、

 11/26

したがって、分数形式での計算結果は11/26です。

部分分数分解の問題を何問か紹介しておくのでぜひ解いてみましょう。

 高槻中学校2013年後期算数第1問(5)

 洛南高等学校附属中学校2008年算数第1問(2)

 洛南高等学校附属中学校2011年算数第1問(4)

 須磨学園中学校2013年第3回算数第1問(4)

 洛南高等学校附属中学校2014年算数第1問(2)

 洛星中学校2020年前期算数第1問(3)

 

 中学受験算数プロ家庭教師の生徒募集について

 中学受験算数プロ家庭教師のお申込み・ご相談