※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

【2025年10月追記】実際に25年度の宅建試験を受験されたSさんの感想はこちら

●A 試験まで5か月、25年試験用の問題集選びは?

P: あっと言う間に5月になりますね。

お正月に、25年の新基本テキスト「出る順宅建士 合格テキスト」を紹介して、筆者はまだ「権利関係」も全部は読み終わってませんが…。

S: Pくんは、この宅建Tシリーズの進捗に合わせて、必要な部分を読んでいただければ問題ないです。

一方、私は、今年いよいよ「宅地建物取引士資格試験」受験を予定しています。

昨年は、7/1~31がインターネットでの申し込み受付期間でした。 ※1

P: 試験が10月19日予定なので、Sさんも7月から、ブログ更新は休んで、受験モードに入る予定と聞いてましたが。

S: そうでしたが…その話は●Cで。

P: 基本的には、過去問集を解いていく予定ですよね。

大学受験だと、核になる問題集を何周するか? が話題になりますが、宅建試験でもそうですかしら?

S:下記のサイトのアドバイス、

『さらに、問題集は1周しただけで満足してしまったら勿体ないです。
レベルにもよりますが、2,3周することを前提に取り組みましょう。
例えば、1周目に何も見ず8,9割正解できたものなら、不正解のものだけ復習すればよいですが、半分ほどしか正解できなかったものであれば、2,3周してやっとその問題集の全容が見えてくるはずです。』

のとおり、1周目でどれくらい正解できるか? で、(できない問題を)何周するか?は決まってくると思います。

 

P: ちなみに、このTシリーズでは、まだ権利関係(民法など)の「賃貸借」までしか記事にしていませんが、Sさんは、他の出題範囲「宅建業法」、「法令上の制限・税・その他」にも、昨年から目を通していて、また大学時代の専攻が「民法」というアドバンテージがありますが、もし筆者がいきなり問題集に取り組んでも玉砕するのは目に見えていますね…。

S: 国立大・理系の院生の方が、60日間の勉強で宅建試験(24年度)に合格した体験記よみましたが、

この方の場合、やはり、

  20代(暗記ができる)で、勉強習慣が身についている

  60日間、大学受験生と同じようなペースで勉強ができる環境にあった

  理系もちまえの集中力(興味のあることや決めたことに全力投球する)

などがあっての短期合格で、著者のもやしさんも

『自分の勉強期間は60日ほどでしたが、一日のほとんどを勉強に使える状態で60日かかったので、社会人の方や主婦の方が宅建に受かろうと思ったら半年~1年かかっても全然おかしくないと思います。』

と書いています。

●B 「史上最強の宅建士問題集」(25年度版)を選んだ理由

 

P: 今回、「史上最強の宅建士問題集」(25年度版 以下、最強問題集)を、選んだ理由は?

S: 宅建試験は、50問中37問(24年度データ)が合格ラインなので、37問以上をどうやって正解するか? がすべてです。

宅建試験の問題集の収録問題数については、下記サイトに紹介されていまして、

 

 

最少300題~最大677題でした。

私の場合、まだ仕事もしていますし、試験は初挑戦なので、問題収録数が多い本よりも、300題くらいをしっかり勉強する方が良いかな? と思いました。

P: 上のサイトでは、ユーキャン、LEC、TAC、日建学院の問題集の紹介はされていますが、「最強問題集」の紹介はないですね。

S: この4社は、宅建受験指導で定評のあるところですが、ほかにも、「水野健の神問題集」(カドカワ)はLECの人気講師の執筆ですし、「2025年度版 宅建士 棚田式分野別過去問題集」(TAC出版)は、人気のYoutubeチャンネル・不動産大学の棚田行政書士が執筆しています。

P: その中で、今年「最強問題集」を選んだ理由は?

S: 本の表紙にも大きく出ている、カバー率96.8%という数字のインパクトですね。

この数字は過去4回の試験の平均だそうですが、出版元のナツメ社のサイトだと、

『平成10年~令和6年の宅建試験の過去問題から、選択肢ごとに切り分けてデータベース化。本試験の95%以上が確実に解けるように問題を精選して項目ごとに配列しました。』

となっています。

P: 来年くらいには、「生成AIが~」をうたい文句にした問題集もでてきそうですね。

●C 問題集を前にして

S: この問題集は、分冊になっていて、写真左が、実際の問題集。

右は、暗記カードという名前ですが、実際は頻出論点のレジュメですね。直前3か月の暗記用に使えそうです。

そして、写真では、問題集のボリューム感が伝わらないと思いますが、約510ページの厚みは手に持つとずっしりきます!

P: 分冊にはなってないんですね。

S: いずれ、宅建業法/権利関係/それ以外 の3パートに、自分で切り離すかもしれません。

直前期には、どうせ、書き込みだらけになりますので。

P: 大学受験でも、「問題集マネジメント」は必須ですからね ↓

 

ちなみに、電子版の利用は考えていないのですか?

S: 当ブログの記事でも、各問題の解説に、いろいろな過去問サイトを紹介していますが、問題を解くのは、やはり紙ですね。

本試験自体が、紙ですから。

P: そういえば、先日の読売新聞の報道だと、紙の教科書の学習効果を重視する声が、教育関係団体から相次いでいるそうですね。

 

 

S: Pくんのように、ブログの形式で「自分の文章として書く」と、デジタルでも記憶の定着はよいと思いますが、テキストなども単にスマホで読むだけだと「理解」が難しいと思います。

P: 勉強では、やはり手を動かす作業は大事ですからね。

S: そして、実際に問題集に目を通してみると、この分量をやりこむには、GW以降は「受験モード」に切り替える必要があると、実感しました。 ※2

P:つまり、ブログ記事更新は、受験するまで当面お休みと…。

S:このTシリーズの第一目的は「住み替え」に必要な知識を身に着けることなので、たとえば「相続登記の義務化の最新動向」のようなトピックがあれば、短い文章は書くかもしれません。

P: 今回は、Sさんが選んだ問題集を紹介しましたが、「やはり書店で実物を見て、それぞれの本の問題文/回答の書き方を見比べて、自分にあった問題集を選んでほしい」とのアドバイスでした。

 

※1 令和7年のスケジュールは、下記サイトに掲載される予定です。

 

 

※2 孫子いわく

先に戦地におりて敵を待つ者は佚(いっ)し、後れて戦地におりて戦いにおもむく者は労す。ゆえに善く戦う者は、人を致して人に致されず

【写真】提供:Pixabay

【BGM】
S選曲:Kis-My-Ft2 「Glory days」
P選曲:World Order 「Neo SAMURAI」

※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

A)民法の契約としての「賃貸借」

P: 宅建3940では、「賃貸借」と、他の典型契約(使用貸借、消費貸借)の相違を、過去問でチェックしました。

宅建40の冒頭で紹介した過去問(2022年・問6)では、わざわざ「A所有の甲土地を、Bが資材置場とする目的~」としていましたね?

S:「賃貸借」は、民法がベースなんですが、たとえばPくんが部屋を借りる場合は借地借家法(賃貸借の後は、借地法・借家法を予定)が優先して適用されます。

そこで、2007年の宅建・過去問(問15)などでは、

 ・動産の賃貸借契約

 ・建物の賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。)

の二つの違いについて、四肢を出題しています。

まだ、借地借家法は説明してませんので、この過去問の内容については ↓。 ※補足1

 

P: 「動産の賃貸借」といえば、難しそうですが」、要するにレンタルのことですよね?

S: そうです。

動産は「有体物」(形のあるもの)で、ソフトウェアやデータのような「無体物」は対象になりません。

「有体物/無体物」は、宅建試験には、まず出題されないと思いますが、民法学習の最初に説明されるはずです。

A-1)賃貸借契約の条文(民法 第601条)

S:そして民法での「賃貸借」は、

民法第601条

『賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。』

とされています。

P: Sさんから筆者が、空気清浄機を、1か月だけ1000円で借りる約束をした場合、

『賃貸人Sが空気清浄機の使用及び収益をPにさせることを約し、賃借人Pがこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた空気清浄機を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。』

となるわけですね?

S: そうです。

賃料=有償 で貸す点が、前回(宅建40)とりあげた「使用貸借=無償」との違いです。

そして、前回紹介した過去問(2022年問6)の肢4が、

※A,Bなどをカッコで補足

『甲土地について契約の本旨に反する(借主)Bの使用によって生じた損害がある場合に、(貸主)Aが(Bに)損害賠償を請求するときは、

 ①(賃貸借契約)では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならない

のに対し、

 ②(使用貸借契約)では甲土地の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。』

で、ここは①の賃貸借契約も1年という、ひっかけ? でした。
P: 民法600条の2項

「前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」

当ブログでおなじみの、民法改正2020がらみでしたね…。

A-2) 賃貸借物の修繕(民法 条文606条)

実は、民法改正がらみで、同じように出題されそうなのが、

民法第606条 ※上の問題文のA,B追加

『(1) 賃貸人Aは、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人Bの責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
(2) 賃貸人Aが賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人Bは、これを拒むことができない。』

1項の『ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。』が、プラスされましたので、次はここ? と思ったら、すでに翌年の2023年問9に出題されていましたね! ※補足②

P: 問9は、民法の規定に限定して、※以下、貸主・借主を補足

『(1) 甲建物の修繕が必要であることを、貸主Aが知ったにもかかわらず、貸主Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
(2) 甲建物の修繕が必要である場合において、借主Bが貸主Aに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、貸主Aが必要な修繕を直ちにしないときは、借主Bは甲建物の修繕をすることができる。
(3) 借主Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、貸主Aは甲建物を修繕する義務を負わない。
(4) 甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、借主Bは甲建物の修繕をすることができる。』

S: この問題は、606条だけでなく

民法第607条
『賃貸人Aが賃借人Bの意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人Bが賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人Bは、契約の解除をすることができる。』

民法607条の2

『賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
① 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
② 急迫の事情があるとき。』
も関係します。

ただ、上の条文を知らない(か忘れた)としても、肢1(相当の期間),2(直ちに)を比べると、どちらかが×か? と見当をつけて、あとは肢3,4は常識的に問題なさそうなので、スキップ。

では、Pくんは肢1,2のどちらが×と思いますか?

P: 貸主に責任があれば、「直ちに」ですが、そうでなければ、貸主の事情もあるので「相当の期間」が妥当。つまり、肢2が×ですかね?
S: 正答と、詳しい解説は下記リンクで  ↓。

 

B) 賃借権の登記

S: 所有権などの登記については、宅建09(所有権移転登記)はじめ、紹介してきました。

そして、所有権が「物権」という話は、宅建26でほかの主な物権(地上権、地役権など10種)とあわせて説明しました。

物権のなかでも、登記ができるのは、

 所有権、地上権、地役権、先取特権、質権、抵当権など

逆に

 占有権、入会権、留置権、使用貸借権

は登記できません。

そして、賃借権は本来、「債権」なんですが、不動産賃借権だけは、特別に登記が認められています。

P: 「賃借権 物権化」で生成AI(Google gemini)にきいたら、

『賃借権は、本来は債権であり、物権ではありません。しかし、不動産賃借権については、第三者に対抗できる物権に近い効力を認められており、これを「賃借権の物権化」といいます。
賃借権は、賃貸借契約によって、賃借人が賃貸人に対して、賃借対象物を使用収益する権利を主張できる権利です。債権であるため、原則として、賃貸人と賃借人との間でのみ効力を発揮し、第三者に対抗することはできません。
しかし、不動産賃貸借の場合、賃借権を登記することで、第三者に対抗できる権利として認められています。これは、賃借人を保護するために、特別の扱いがなされているからです。


具体的には、次のような点が認められています。
・賃借権を登記した場合、第三者に対抗できる:
・賃借権を登記していれば、その不動産を取得した第三者に対しても、賃借権を主張できます。
・賃借権を登記していなくても、建物を登記していれば第三者に対抗できる:
・賃借権を登記していなくても、借地の上に建てた建物を登記していれば、第三者に対抗できます。
・第三者の妨害排除請求が可能:
第三者が賃借権を妨害した場合、賃借権の物権化によって、妨害排除請求ができるようになります。
・占有による時効取得:
不動産賃借権は、一定期間占有することで、所有権を取得できる場合があります。』(2025年4月12日()

S: 不動産の賃貸借の登記については、民法605条に

『不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。』

とされています。

ただし、地上権などの物権と違って、特約をしていなければ、賃借人に登記請求権は認められません。

あくまで「債権」なので…。

P: すると、賃貸人はあまり協力してくれないような気がしますが…。

S: そこは、ケースバイケースで、宅建32で紹介した、「不要土地」などは貸す方も協力的になるでしょうね。

P: 具体的には、次回、宅建過去問で、いくつかのケースを紹介予定だそうです。

S: 事前に関連の過去問をみたいかたは ↓ 

 

 

【補足】

① 民法の賃貸借と借地借家法

民法の賃貸借契約と借地借家法の関係については、「基本テキスト」314ページで説明されています。

賃借人に有利な特約 > 借地借家法の適用 >民法

※賃貸人に有利な特約は無効

②606条の保存と、保存行為

2項の「賃貸物の保存」が分かりにくかったので、生成AI(Google gemini)に、「民法 606条2項 保存行為とは」できいたら、
『民法606条2項における「保存行為」とは、賃貸人(大家)が賃貸物件(家賃を支払って借りている物件)の現状を維持するために必要な行為を指します。

具体的には、修繕やそのための立ち入り調査などが含まれます。

例えば、賃貸物件の壁に亀裂が見つかり、修繕が必要な場合、賃貸人は賃借人(借主)に対して修繕のための立ち入りを求めることができ、賃借人はこれを拒むことはできません.
(中略)
◎保存行為の受忍義務:
2項では、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするとき、賃借人はこれを拒むことができないとされています。これは、賃借人が賃貸人の保存行為に対して受忍義務を負っていることを意味します.
◎具体的な例:
修繕:賃貸物件の配管が破損して漏水が発生している場合、修繕は保存行為に該当します。賃貸人は修繕を行う権利があり、賃借人はこれを拒むことができません.
立入り調査:修繕をするために、賃貸物件の内部状況を確認する必要がある場合、立入り調査も保存行為に含まれます。賃借人は、賃貸人の立ち入りの要求を拒むことはできません.』(2025年4月5日)

 

【写真】

冒頭:提供「写真AC」 盛岡市の石割桜(盛岡地方裁判所の敷地内)。中:筆者、末尾:提供「Pixabay」

【BGM】

S選曲: 五十嵐 悠 starring 綱 啓永 「特別なんて」 ※映画「女神降臨」挿入歌

P選曲: sombr (ソンバー) 「back to friends」

※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

(A)民法の賃貸借と使用貸借との違い 宅建試験2022年過去問・問6

(A-1)肢①~④

P: 前回(宅建40)予告した、過去問(2022年・問6)ですね。

ここでは、A所有の甲土地を、Bが資材置場とする目的で、期間2年で

 あ:ABで賃貸借契約

 い:ABで使用貸借契約

した前提ですね。

S: 肢①~③は、前回の知識プラス、常識? で、正答できると思います。ね、Pくん。

P:肢① 貸主Aは、借主Bに土地を引き渡す前なら

 賃貸借→口頭での契約の場合に限り自由に解除できる

 使用貸借→書面で契約を締結している場合も自由に解除できる

これは、前回きいた使用貸借の条文

民法第593条の2
『貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。』

により×。

S:ちなみに「賃貸借が口頭での契約の場合に限り自由に解除できる」の正誤は?

P:  これも前回触れた、賃貸借は諾成契約&有償契約(売買契約の規定を準用)なので、たとえ口頭でも、貸主は自由に解除できないでしょう。

S: ちなみに、「契約の解除」については、宅建21で紹介しています。

P:肢②  借主Bは

 賃貸借では貸主Aの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできない

 使用貸借では貸主Aの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる

これは、

  使用貸借=貸主Aの承諾なしで転貸OK >賃貸借=貸主Aの承諾が必要

と言ってますが、前回の2005年問10・肢3と同じで、使用貸借はそもそもAが無料でBに貸してあげているので、Aの承諾は必要。なので×。

肢③は、借主Bは

 賃貸借では期間内に解約する権利を留保しているときには、期間内に解約の申入れをし、解約することができる →ここでは特約で、解約できる権利をもっているので〇

 使用貸借では期間内に解除する権利を留保していなくても、いつでも解除することができる→…ここは、条文の知識が必要かな?

S: たしかに、民法の条文(第598条3項)に、
借主は、いつでも契約の解除をすることができる。』

とありますが、下の解説記事にあるように、借主BがAから無料で借りた土地を、早くAに返還しても、貸主Aにデメリットはないので、契約解除OKという理解でよいと思います。

 

逆に、貸主Aが使用貸借で解除ができるのは、同条(598条)の
(1) 貸主Aは、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主Bが使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
(2) 当事者(AB)が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主Aは、いつでも契約の解除をすることができる。
です。
ここで、下線の「前条第二項に規定する場合」は、
第597条 
(2)当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。
なので、簡単にいえば、
 ・当事者(AB)が返還の時期を定めなかったとき→同項の目的に従い借主Bが使用及び収益をするのに足りる期間を経過したとき
 ・当事者(AB)が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったとき→Aはいつでも契約の解除ができる
そもそも、Aが厚意でBに貸してあげていたので、納得できるかと思います。
P: 条文の言い回しは難しいですが、Sさんのレコードの貸し借りのたとえ(筆者の時代はCD)で、判断できそうです。

S: 肢④は、甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合
に、Aが損害賠償を請求できる期間

 賃貸借→返還を受けた時から5年以内

 使用貸借→返還を受けた時から1年以内

P:貸主Aからいえば、賃貸借(5年)>使用貸借(1年)

で、〇と思いましたが…。もしくは、あざといですが、年数が違うとか…。

S: ここは、条文の知識がないと、正解できなかった箇所で、

民法第600条 ※(2)が民法改正で追加

(1)契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

(2)前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

が、賃貸借にも適用されるため、

  賃貸借→返還を受けた時から5年以内

が×でした。

P: 賃貸借も使用貸借も1年というオチでしたか…。

S: ただし、600条2項の追加は、消滅時効との関係で重要な改正でしたので、詳しくは下記の解説をごらんください。

  

A-2) 民法(改正2020)の条文で、使用貸借と賃貸借でイコールな部分と、違う(準用されない)部分

S:さらに、

(改正後)民法第622条
第597条第1項、第599条第1項及び第2項並びに第600条の規定は、賃貸借について準用する。

となりまして、使用貸借=(準用)=賃貸借は、600条のほかに

◎第597条

 (1)当事者が使用/賃貸借の期間を定めたときは、使用/賃貸借は、その期間が満了することによって終了する。

◎第599条

(1)借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用/賃貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
 (2)借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。

があります。

逆に、賃貸借に準用されないのは

×597条

 (2)当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
 (3)使用貸借は、借主の死亡によって終了する。

×599条

 (3)借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

です。
P: 「賃貸借」については、宅建特別編で、退去時のトラブル、とくに原状回復などを紹介しましたので、使用貸借とイコールにならないのは納得です。

S: 「民法の賃貸借と使用貸借との違い」が、25年度の宅建試験で出題される可能性は低いと思いますが、広い意味での賃貸借(民法、借地借家法、宅建業法ほか含む)についての理解を深めるうえで、2022年の過去問(問6)は解説記事を読んで、肢ごとにチェックしておくとよいでしょう。

B)金銭消費貸借契約ほか

B-1)実は住宅ローンも…

P: 使用貸借、賃貸借のほかに、前回(宅建39)ふれた13の典型契約の中に、「消費貸借」がありましたね。説明に

 ・使用貸借(無償で何かを借りる契約)
 ・賃貸借(使用料を支払った上で何かを借りる契約)

に対して、

 ・消費貸借(種類や品質、数量が同じ物を返還をする旨を約束した上で、財産を受け取る契約)

とありましたが…。

S: Pくんにもなじみがあるのが、「金銭消費貸借」、つまりお金を借りて、将来同じ金額(プラス利息)を返す契約、いわゆる「借金」でしょう。

友人・家族間のお金の貸し借りは、無利息でも民法上は問題ありません。

というか、ここも2020民法改正に関わる変更箇所なんですよ。

民法589条

(1)貸主は、特約がなければ借主に利息の請求をすることができない
(2)利息の支払いの特約があるときは、貸主は、借主が金銭を受け取った日以後の利息を請求することができる

P: つまり、特約がなければ利息は払わなくてもよいと。

S: 現実には、友人や親せき以外で、お金を無利息で貸してくれるところなんて、まずないですよね。

そして、当シリーズで何度も話題にしている「住宅ローン」も、

  貸主:銀行 ⇔ 借主:家の購入者

間の金銭消費貸借契約です。

P:そこに、もれなく? 抵当権の設定契約も付いてきますが…(宅建28)。

B-2)語句としておさえておきたい「金銭消費貸借」:宅建試験2022年過去問・問5

S: 抵当権のときも話してますが、住宅ローンは金融機関と借り手との話で、宅建試験での出題は、「住宅金融支援機構法」関連が主です。

そして、「金銭消費貸借」が1問で出題されたケースは、1991年問9

 

 

くらいで、今後も、1問丸ごと「消費貸借」で出題されることはないと思いま。

ただ、今回A)で紹介した宅建試験2022年過去問・問6の直前の「問5・肢2」に、「金銭消費貸借」という語句がでてきましたので、この問5を紹介しておきます。

※不動産適正取引機構HPより

P: 「期間の計算」についての出題ですね。

S: 大学の民法の授業だと、「総則」で出てくるはずですが、この問題も以下の民法の条文を知らないと、正解はむずかしいかな?

民法139条  
 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。
民法140条  
 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
民法141条  
 前条(140条)の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
民法142条  
 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

 

とくに140条は「初日不算入の原則」と言われているものですが、これに当てはまらない例外も、出題(142条-肢3)されていますね。

P: 肢2には

「令和4年8月31日午前10時に、弁済期限を契約締結日から1か月後とする金銭消費貸借契約を締結した場合、令和4年9月30日の終了をもって弁済期限となる。」

とありますが、ここは売買契約でも当てはまるわけですよね?

S: 「期間の計算」について、「消費貸借」契約だけの条文は、ありません。

この問題では「金銭消費貸借契約」 という語になじみのない、Pくんのような? 受験生を惑わすために、あえてこの語句にしたかもしれませんね。

 

ただ、問5については、A-2)でも「期間の満了」などのワードがでてきましたので、その「期間」の意味を深堀する目的もあって、ご紹介しました。

問5についてくわしくは、下記のリンク先記事をお読みください。

 

P: 「期間の計算」については、補足1に、参考説明を掲載しました。

次回は、「賃貸③ 賃貸人・賃借人の権利/義務」を予定しています。

 

【補足1】

Google geminiに「民法 期間の計算 具体例」できいたら

『民法における期間の計算の具体例には、次のようなものがあります。
期間の起算点が「時間」である場合、その時点から期間の計算を開始する
期間の起算点が「日、週、月、年」である場合、期間の初日は算入しない
期間の末日が日曜日や祝日、休日の場合は、その翌日が期間の末日となる
期間の計算が週、月、年によって定められている場合は、暦に従って計算する
【具体例】
6月1日午後6時に「今から30時間以内に1万円を支払う」と約束した場合、6月2日午後12時に期間の計算が終了する
1月1日から起算して2か月は、平年なら2月28日、閏年なら2月29日が満了日
1月20日から起算して2か月は、3月19日が満了日
1月31日から起算して1か月は、平年なら2月28日、閏年なら2月29日が満了日
5月30日を起算日として1か月を計算する場合、期間は暦にしたがって計算されますので、6月29日が満了日となります
5月31日を起算日として1か月と定めた場合、応当日となる6月31日が存在しないので、その月の末日たる6月30日が満了日となります』 (2025年3月28日)
 

【BGM】

S選曲:秦基博・カバー 「なごり雪」

P選曲:ケツメイシ 「さくら」(2021年 ver.)

【写真】 冒頭:Pixabay 中・下は筆者撮影

※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

A) 賃貸借と使用貸借の違い

P: 2年ごとの賃貸の更新料を支払うタイミングで引っ越しを考えるんですが、結局見送ってます。

S: 更新料自体は、民法などに定めがあるわけではないので、あくまで「賃貸契約」で、大家さん(貸主)と借主の合意の上で、つまりPくんがそれに納得して支払うものです。 ※補足1

もしも、「部屋が見つかるまで」の約束で、親戚から空き部屋を無料で貸してもらえたら、こちらは「使用貸借」といい、民法学習では「賃貸借」と比較されることがあります。

P: 2022年の宅建試験(問6)で、しっかり出題されていますね。

S:それ以前にも,2015年に比較問題が出題されていて、順に見ていくと、「賃貸借」と「使用貸借」の違いを通して、「賃貸借」への理解が深まると思いますが、その前に、2005年に「使用貸借」が単独で出題されていますので、まずこちらから。

A-1)2005年問10

P: 災害で家をなくした友人Bに、Aさんが家を無料で貸したという前提ですね。

ちょうど、この時期(3月上旬)は3.11関連の報道も多くて、当時を思い出しました…。

S:  「使用貸借」は、A・B間の信頼関係に基づく契約ということが分かっていれば、肢①~③は正答できると思います。ね、Pくん。

P:まず

① 「Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。」

→ AB間の約束なので〇。
②「 Aがこの建物をCに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。」

→ そもそも、「使用貸借」が登記できる=対抗力をもつ権利 とはいえないので、×。
③「Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に転貸して使用収益させることはできない。」

→Aが無料でBに貸してあげているので、Aの承諾は必要、ということで〇。

S:次の④
④「適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な時間を経過した場合は、AはBに対し、この建物の返還を請求することができる。」

は、有名な判例(最高裁・昭和34年8月18日)がベースになっている問題ですが、常識的に考えれば、「適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な時間を経過した場合」は、AはBに「返還の請求ができる」は〇と判断できると思います。

この問題では、「存続期間の定め」がない前提で出題されていました。

期間については”その2”で、賃貸借との比較でふれる予定です。

【参考リンク】

 

A-2)2015年 問3

P: ここでは、A所有の建物を、契約により

 あ:Bに賃貸借

 い:Bに使用貸借

した前提ですね。

S: 肢①、②は、A-1)の「使用貸借」の知識と、「賃貸」の常識で、正答できると思います。

P: 以下、問題文をわかりやすいように変えて

①借主Bが死亡した場合、

 「賃貸借では契約は終了しないが、使用貸借では契約が終了する。」

→使用貸借は契約終了。

→賃貸借は、特約がなければ、権利/義務がBの相続人に相続される。

なので、〇

②借主Bは、

 「賃貸借では、甲建物の貸主Aの負担に属する必要費を支出したときは、Aに対しその償還を請求することができるが、使用貸借では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。」

→使用貸借は、ただで貸してもらっているので、必用費は自分で支払う

→賃貸借は、この文章ではわざわざ貸主Aの負担に属する必要費を(借主Bが)支出」とあるので、償還できる。結論〇

S: 肢②は、Pくんの言うとおり、「貸主Aの負担に属する必要費」と問題文にあったので、回答できたと思います。

賃貸借の必要費については、

民法608条1項

『賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。』

とあります。

ただし、何が必要費か? は議論のあるところで、実際には、前々回の宅建T:特別編で紹介した「東京ルール」や、契約書の「特約」などで取り決めされます。
P:肢③、④は、当シリーズでおなじみの、民法改正2020がらみのようですね?

S: 肢③は、参考にさせていただいた下記サイト

 

では、

「AB間の契約は、賃貸借も使用貸借も諾成契約である。」

と、問題文が改正民法対応になっています。

ここで、「諾成契約」というのは、「要物契約」と対になっている、民法の基本概念の一つで、生成AI(Google gemini)に、「諾成契約 要物契約 わかりやすく」できいたら、

『諾成契約は当事者の合意のみで成立する契約、要物契約は当事者の合意と目的物の引き渡しによって成立する契約です。
【諾成契約】
 企業で取り扱われるほとんどの契約が該当する
 例えば、売買契約や贈与契約など
 顧客が商品を注文し、その注文を店側が了承した場合の売買契約が該当する
【要物契約】
 契約の成立には、当事者の合意に加えて、目的物の引き渡しが必要となる契約
 例えば、金銭消費貸借契約など
民法改正(債権法関係、2020年4月施行)までは、消費貸借、使用貸借、寄託の契約が要物契約として規定されていた
民法改正により、代物弁済契約、消費貸借契約、使用貸借契約、寄託契約など、以前は要物契約とされていた契約が諾成契約に変更されました。

書面または電磁的記録によらない消費貸借契約のみが要物契約に該当することになりました』(2025年3月15日)

P: 民法改正(2020)の中身まで、しっかり説明してくれていますね。

S: 改正後の条文が、

民法第593条

『使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。』

ちなみに、

民法第593条の2
『貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。』

P:使用貸借は、実際に建物などの引き渡しをしなくても有効だが、借主が受け取る前なら、貸主が契約解除できる…ということですね?

S: 書面ではなく、口約束ならば…ということですが。そういえば、昔は、友人同士でレコードの貸し借りとかよくありましたが。

では、肢④はどうですか?

P: AはBに対して、甲建物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとき、

  賃貸借では担保責任を負う場合がある→〇

  使用貸借では担保責任を負わない→これも〇では?

S: 実は、肢④の予備知識として、

  賃貸借契約は、有償契約として売買契約の規定が準用される。

ちなみに、宅建25で「契約不適合責任(売主の担保責任)」は説明済みです。

  使用貸借は、無償契約として贈与契約の規定が準用されます。

 そして、改正民法(2020)で、

551条 

『① 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。』

となりましたので、2025年時点では△(使用貸借でも、一切担保責任を負わないとまでは言えないが、この問題文では判断できない)ですかね?

ちなみに、有償契約/無償契約も、民法の基本用語のひとつなので、この機会に契約にまつわるほかの基本用語も含めて、下記ページに目をとおしておくと、民法関係のいろいろなサイトをみるときも、戸惑わないと思います。

あっ、無理に覚えようとする必要はないですよ!

 

 

P: 次回は、賃貸借②として、 2022年の宅建試験・問6について(使用貸借vs賃貸借)と、金銭消費貸借を予定しています。

 

【補足】

① 不動産業者に支払う仲介手数料については、宅建業法で上限が定められています

 

 

【BGM】

S選曲: 米津玄師 「BOW AND ARROW」

P選曲: SPYAIR 「Buddy」

【写真】

中間(筆者撮影:三鷹市)以外、提供:Pixabay

※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

A) 個人根保証契約とは

P:「保証」「連帯保証」に続いて、「根保証」ですか~?

S: 宅建35で、Pくんが、上京してきた中学時代の友人Uくんの賃貸の保証人になった例をあげましたが、その時に「民法2020改正資料」 ↓にも触れました。

https://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf

同資料の17ページの図が ↓です。

P: 根保証=将来発生する不特定の債務を全部保証するって!? 

S: 後で紹介する条文(民法第465条の2)のように、「一定の範囲」に限定はされますが。

---実は賃貸の連帯保証人になる契約も、根保証契約なんですよ。

前回の特別編で紹介したように、賃借人に家賃の滞納がなくても、退去時に思わぬ額の請求を受けることもあります。

が、さすがに事情をよく知らないで保証人になったPくんのような「個人」を保護するために、「極度額(きょくどがく)」の設定が、2020年改正で義務づけられました。

条文をあげます。

民法465条の2 ※下線などは筆者

『① 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
② 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
③ 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。』

P:①(1項)に、根保証・個人根保証契約、極度額に含まれる中身などが、書いてありますね。

そして、②によって、極度額を定めない個人根保証契約は無効になると。

③の第446条は、宅建34の「電磁的記録」で条文も紹介してましたね。
『(1) (略)
(2) 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
(3) 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。』

要するに、個人根保証契約は、書面か電磁的記録で=口約束は× と。

S: 宅建36

  A-2) 宅建試験で出題された保証/連帯保証/極度額(2020年10月・問2)

で、宅建過去問(2020年10月・問2)を紹介しましたが、この問題の肢2が個人根保証契約、肢1が書面契約についてでした。

P: 一つ一つの事項は、シンプルなのですが、2020年10月・問2のような形式で出題されると、混乱しますね!

S: 2024年の宅建試験の問8などは、「民法に規定されている=〇」を4肢から選ぶというもので、逆に民法に規定されていない=× を、判別しないといけないので、条文の暗記までは必要ないですが、条文の中身をある程度理解していないと正解できなかったと思います。

それこそ、シンプルだけど、4つの肢にまとめて出題すると難しい問題は、今後も増えそうですね…。

 

A-2) 身元保証人も「個人根保証契約」だった

S: 前回、新社会人・新大学生むけに、賃貸契約、とくに退去時の原状回復トラブルについて話しまして、保証人(たいていは親御さん)は

  お金を請求されるリスクを負う

という話をしました。

P: 個人根保証契約が、「極度額」までになったので少し安心かな?

S: では、Pくんも就職のときに、「身元保証人」として、やはり親御さんに書類にサインしてもらったと思いますが、この「身元保証契約」は、「個人根保証契約」でしょうか?

P: 保証人の側から言えば、わざとではないにしろ問題を起こすかもしれない子どもの損害を、親が保証しますということですから、それこそ「個人根保証契約」では?

S: はい。具体的な根拠は、民法以外の法律によりますが、「個人根保証契約」に該当するので、やはり「極度額」の記載がないと、契約は無効となりました。

 

 

P: そういえば、身元保証の期間は限定されているんですか?

S: 上のリンクページにも書いていますが、別の法律で、

『身元保証契約をした時より3年、期間を定めなかった場合は成立の日から5年、5年を超えた期間は5年』とされています。

P:あれ、当ブログのエンジニアZくんシリーズで紹介しているZくんやDくん(21卒エンジニア)も、今年4月で入社5年目に突入か! 
最長5年は長いような、あっというまのような…。
S: ちなみに、生成AI(Google gemini)に「身元保証人 極度額 相場」できいたら、
『身元保証人の極度額の相場は、一般的に給与の2~3年分程度とされています。
ただし、法律では特に規定が定められていないため、会社が業種や規模、従業員の業務内容などを総合的に判断して決める必要があります。』(2025年2月8日)
P: 新入社員でも、年収〇百万円ですから、けっこうな額ですね! 
S: 犯罪行為(バイトテロ含む)などは別ですが、実際には全額でなく、本人がどれくらい割合で損害賠償しなければならないか? で額も変わります。
5年もたったら、会社の社員教育の問題でしょ!  と思いますが。

 

B)根抵当権

S: 根保証契約の概念が理解できていれば、「根抵当」も理解が早いと思います。

ちょうど、2014年の宅建過去問、問4が、「抵当権」と「根抵当権」の違いでしたので、紹介します。

前提として、

 甲土地所有者A

 債権者B(抵当権/根抵当権設定者)B

 債務者C

そして、AがBとの間で、Cの債務を担保するために、抵当権を設定した場合と根抵当権を設定した場合とで、次の4肢が出題されました。正しいのは1つです。

【肢】 ※分かりやすくするために、「が、」を改行に変更し、[ ]のキーワード付加

① [被担保債権の範囲]

抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならない。

根抵当権を設定する場合には、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。
②[第三者への対抗要件] 

抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には登記が必要である。

根抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。
③[抵当権の実行] 

Bが抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することができる。

Bが根抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することはできない。
④[順位の譲渡]

抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができる。

元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。

 

P: 「抵当権の順位の譲渡」は、この連載ではやってませんが、「元本確定前」というキーワードがあったのと、肢1~3は消去法で×として、肢4が〇ですか?

S: 肢4の詳細は、下記のリンクページをご覧いただくとして、根抵当権の場合は、そもそも元本確定=担保する範囲が確定した後でないと、金額もわからないわけですから、元本確定前にできることは限られています。 ※補足1:元本確定

 

 

ちなみに、肢1の「(根抵当権が)BC間のあらゆる範囲の不特定の債権」を担保する」も、根抵当権の条文の知識(下記、参考URL)はなくても、今回とりあげた根保証(家賃保証や身元保証)とおなじように、普通は「ある一定の範囲の取引関係」に限定されるよね? と、Pくんも思ったんでしょう。

 

 

P: Sさんによれば、根抵当権は宅建試験であまり頻繁に出題されないので、今回の記事の内容以外は、過去問をやった後に、基本テキストで関連知識を確認する順序でよいのでは? とのことでした。

 

次回からは、「賃貸借契約(民法/借地借家法)」を予定しています。

 

【補足1】 根保証の元本確定

生成AI(Google gemini)に「根保証 元本確定とは」できいたところ

『根保証の元本確定とは、根保証契約において、主たる債務の元本が確定する時点を指します。

元本確定すると、その時点で存在する債権を元本として、それ以降の借入は保証の対象外となります。

【元本確定の理由】
根保証契約では、契約時に保証人の責任の範囲が確定していません。
根保証契約では、一定の範囲に属する不特定の債務を担保するため、法律関係が不確定になりがちです。
根保証契約では、保証人がどのような場合に元本が確定し、保証債務から解放されるかを明らかにする必要があります。
【元本確定事由の例】
債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき
主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
主たる債務者又は保証人が死亡したとき』(25年3月22日)

根抵当権については

 

 

【写真】

提供:Pixabay(冒頭、中間)、末尾 筆者撮影(東京都の住宅街)

【BGM】

S選曲 三代目 J SOUL BROTHERS 「What Is Your Secret?」

P選曲 Ooochie Koochie(奥田民生×吉川晃司) 「GOLD」