(1)マンションの修繕工事の中身を知っておこう
P: 今回は、 前回(宅建t14)予告したとおり、マンションの(長期)修繕積立金の中身についてですね?
S: はい。
マンションの修繕積立金については、国交省がガイドライン(PDF版)を作成していまして、そのページ2に”マンションの修繕積立金について何が問題なのか? ”書いてありますので、一部を引用します。※0
『マンションの分譲段階では、分譲会社が、長期修繕計画と修繕積立金の額をマンション購入者に提示していますが、マンション購入者は、修繕積立金等に関して必ずしも十分な知識を有しているとは限らず、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される等の例も見られます。
また、既存のマンションでは、経年とともに給排水管、エレベーター、機械式駐車場等の大がかりな修繕工事が増加する一方、2回目・3回目の大規模修繕に向けた適切な長期修繕計画の見直しが行われていない等の例も見られます。
その結果、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった問題が生じている』
P: 前段(下線部)は、まさしく 前回記事(宅建t14)で紹介した、最初だけ費用を安く見せる段階増額積立方式の手口ですね。
そして、後段は、Sさんが心配している「修繕積立金不足」。
S: 中古マンションを買ったときに、徴収される積立金額が1万円で安いと喜んでいたら、実は…実際の修繕費用が足りなくなったら、一戸あたり百万円以上の追加出費が必要になるかもしれません。※1
P: いわば隠れ負債だと。
S: 現時点で、修繕積立金不足の危険があるマンションの見抜き方は、下記のサイトほか、ネットでいろいろ調べられます。
ただ、そもそも「マンションにおける主な修繕工事」ってどんなものか? その前提知識がすっぽり抜けているという自覚があったので、今回、記事にしたわけです。
P: 上記の国交省ガイドライン(以下、ガイドライン)に、主な修繕工事の項目として19項目が載っていましたね。
うち、計画作成や監理を除く17項目が
仮設工事、屋根防水、床防水、外壁塗装等、鉄部塗装等、建具・金物等、共用内部、給水設備、排水設備、ガス設備、空調・換気設備、電灯設備等、情報・通信設備、消防用設備、昇降機設備、立体駐車場設備、外構・附帯施設
でした。
S: 一戸建ての場合も、昇降機(エレベーター)や立体駐車場などはないとか、建物の規模も違いますが、年月とともに屋根防水や外壁塗装、給排水設備ほか、修繕工事はいろいろ必要になってきます。※2
(2)マンションの設備・構造に関する参考書を数百円で入手
P: ガイドラインの24ページに、19項目の内訳(事例の平均値)を円グラフにした図が載っていました。
外壁塗装費の割合が一番大きく(13.6%)、仮設工事とその他を除くと、次は「建具・金物等」8.7%。
外壁塗装はなんとなく見当がつきますが「建具・金物」とは?
S: ふだんはネットで調べてますが、マンションの設備関連についてはある程度まとまった知識が必要かな? と思いまして、今回、下の参考書をB古書店で買いました。
P: 「管理業務主任者」については、「宅建t⑧」でご紹介しましたので、筆者は戸惑いませんでしたが、普通は「管理業務主任者? いったい何の管理?」と思いますよね!
しかも、「マンション管理士」と「管理業務主任者」、どちらもマンション管理に関する国家資格だという…。
S: 「宅建t⑧」で書いたように、
◎マンション管理士はマンション管理組合側のアドバイザー
◎管理業務主任者は管理会社側。いわば「宅建士の”マンション管理版”」
という立場の違いはあるんですが、資格試験の内容は共通点が多く、ダブル受験する人も多いようです。
なので、マンション管理士試験の参考書(基礎知識を知りたいだけなので古いもので十分)でも良いと思います。
私が買った上記の本では、「17章 設備・構造」に、今回の記事に関係する知識が表に整理されて載っていました。
Pくんが知りたかった「建具・金物」の内訳は、
①建具関係
1-1 点検・調整(12年周期)
1-2 取替(36年)
➁手すり(取替36年)
③屋外鉄骨階段
3-1 補修(12年)
3-2 取替(36年)
④金物類(集合郵便受など 取替24年)
⑤金物類(メーターボックス扉など 取替36年)
に分かれます。
「建具」はドアや引き戸などのことで、”マンション共用部の建具”といえば、エントランスの自動ドアや、廊下の防火扉などです。
P: 17項目の中に「消防用設備」もありますが、「防火扉」はそちらに入らないんですね。
S:「消防用設備」は、
①屋内消火栓設備(取替25年)
➁自動火災報知設備(取替20年)
③連結送水管設備(取替25年)
です。
上記の本の「17章 設備・構造」の中に、「消防法・消防用設備等」のくわしい説明もありまして、そこ読むと主に「消火」に関わる設備が「消防用設備」に含まれるようです。
一方、マンションの防火扉の設置基準は、建築基準法(施行令第112条)に規定されているため、「建具」の扱いなんでしょうね。
ちなみに、宅建試験でも「建築基準法」が毎年出題されていますが、さすがに過去「防火扉」の出題例はないようです。
(3)ピンホール事故に関連する知識も載っていた
P: (2)では、17項目のうち2項目を見たんですが、それだけでも細かいし、点検周期も入り組んでますね!
S: 試験を受けるわけではないので、あまり気にせずに「17章 設備・構造」をざっと読んだんですが、宅健t⑫でご紹介した、経年マンションでのピンホール事故に関わりのある、「給湯管の材料」についても「第7節 その他の設備>ガス設備」の箇所に載っていましたので、材料名をご紹介しておきます。
P: 中古マンション購入時に旧い配管材料のままの設備だと、修繕計画で想定していなくても、いずれ大規模な取替工事の必要=追加出費 のおそれがありますので、材料は要チェックというわけですなね?
S: 詳細は、上記のような参考書か生成AIでお調べいただくとして、
「給湯管」※専有部分の設備
A-昔使われた材料
亜鉛メッキ鋼管、ステンレス鋼管、発泡ポリエチレン被覆鋼管
B-現在使用されている材料
①耐熱性硬質塩化ビニル管
➁水道用ポリブデン管
③水道用架橋ポリブデン管
P:ちなみに、「給水管」(共用部分の設備)は「第3節 水道法・給水設備」の項目に
①水道用亜鉛めっき鋼管 ※現在はほとんど使われていない
➁水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
③水道用ステンレス鋼管 ※②より耐久性が高い
そして、「給水管」の項には、ほかに
・ライニング更生工事
・ウオーターハンマー(水撃作用)
・バキュームブレーカー
などの専門用語と説明も載ってましたね。
S: ネット検索や生成AIで調べるときは、そもそもどういうキーワードで調べるか? によって、回答が違ってきますので、先ほども言ったように、斜め読みでいいので「17章 設備・構造」(本書の場合)に目を通すといいですよ。
P: 次回は、このごろ首都圏でも地震や豪雨(浸水)の危険がニュースになっていますので、引き続き「管理業務主任者 基本テキスト」を参考にしつつ、”建物の耐震性”や”地下設備(電気・給水など)”についての記事を予定しています。
【補足】
※0 この記事では、「マンション修繕積立金ガイドライン(26年6月改訂)」PDFにリンクしていますが、今後も各種工事費用の値上げが続くと思いますので、実際の費用については、その時点での最新データをネットで確認してください。
※1 修繕積立金の額の目安 ※0に書いた通り、あくまでも26年6月改訂版に記載の数値です
国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF) 6ページから引用
※2
マンションの大規模修繕工事の対象は、あくまでも「マンション共用部」です。区分所有している「専有部」(自室)のメンテナンスは、別途自己負担になります。
また、一戸建ても、大規模修繕はいずれ必要で、そのためS家でも、修繕してそのまま住み続けるか? 住み替えるか? 迷っているわけです。ちなみに、筆者の親戚の家(Hハウス)は、構造躯体など主要部分が初期30年保証。
30年目に大規模補修(外壁塗装などは別)をすると、あと30年は大丈夫らしいです。
ただし、その補修に4~500万かかるようで、仮に480万円とすると、30年間・月額1.3万円くらいの積立が必要になります。
☆マンション管理組合の関係者向け補足情報
長期修繕計画を実際に作成する場合のガイドラインとしては、「長期修繕計画作成ガイドライン」があります。
こちらのガイドラインに出てくる「推定修繕工事」「計画修繕工事」「大規模修繕工事」などの違いやそれぞれの算定方法(概略)なども、上記の基本テキストに載っています。
【BGM】
S選曲(P推薦曲):STUTS 「99 Steps (feat. Kohjiya, Hana Hope)」
P選曲:I Don't Like Mondays. 『ODORE feat. SHO-SENSEI!! [Prod. by ⭐︎Taku Takahashi (m-flo)]』
【写真】トップ:提供Pixabay、文末:筆者撮影




































