(1) メーカーで必要な知恵はすでに研究室で学んでいる

今年の3月、首都圏国公立大学・工学系修士を修了、4月から某大手メーカーのエンジニアとして働き始めたZくんと、10月に都内のカフェでリアル打ち合わせ。 

初めての一人暮らし、初給料、職場環境など筆者も知りたかったことを聞いてみました。

あくまで、一例ですが、22卒(予定)の方は、内定式を終え、来年4月からの社会人生活への期待と不安があると思います(本記事と

 

 

②)。一方、これから就活本番の23卒は、大手メーカー選択の参考にしてください(まず2.5を掲載)。

 

今回の(1)では、4月からの一連の合同研修を終えて、配属先でOJT(On the Job Traning)中のZくんが、予想以上に元気そうだったので、まず職場のこと。

Zくんは、入社式(各拠点からオンライン)の後、すぐに「秘密保持誓約書」ほか、もろもろの書類にサインしたあと、数日にわたってコンプライアンス研修などを受講しましたから、当然、「仕事内容」については書けませんが。

次回記事 (2)は、初めての一人暮らしで買ったものの紹介を予定しています。

① 良くも悪くも? 大学の研究室に似ている職場だった

P: オンラインでは、いろいろ連絡してましたが、実際に会った感想は「あれ? ずいぶん元気そうじゃない?」でした。

Z: 最初の1か月くらいは、オンライン研修で、学部生の講義受けてるみたいだな~ と思ってました  ※1 

その後、職場に配属されたら、雰囲気が研究室にそっくりなんですよ。

P: Zくんは、ジョブマッチング採用ではありませんが、結果として大学での研究内容と近い分野の研究開発職になったそうですね。

Z: 分野は同じですが、中身は全く違います。

また設備が段違いに良かったり、1グループのメンバーが多くて分担が細かい。関係先も多いので、相手の会社名・役職、名前を覚えるのも大変です。

P: あまり女性がいない…という点も、工学部の研究室と一緒らしいですね。

Z: 管理部門には女性も多くて、コロナ前は、社内のサークル活動もいろいろあったそうですが…。※2

② 大学の研究室で大丈夫だったら、メーカーでもやっていけると思う

P: メーカーの技術職ですと、新卒のZくん(当然一番の下っ端)から、再雇用の60代ベテランまで、40歳くらい年の差があると思いますが、世代ギャップはありませんか?

Z: 大学の工作センターにも、定年後に技術指導員になった方がおられて、ぼくは毎日のようにお世話になってたので、気になったことはないです。

P: 農工大・工学部のニュースにも、68歳で博士号を取得された大槻俊明さん(2018年)が紹介されていました。若い院生との交流が楽しみとのことでしたが、逆に学生も、長いエンジニア生活を生き抜いた方が近くにいて、励みになると思います。

Z: 実際のOJT教育担当は、中堅社員(30代と40代)2名。あと、グループ内の雑用=先輩の実験や計測の補助をしてますが、これも学部4年生のときに、まず院生の手伝いをしていたので、とりあえず猫の手にはなってると思います。

学生の時のように、論文を書くプレッシャーはありませんが、仕事に必要な知識が足りないと思ったら、自分で調べろ、覚えろですね。

失敗や操作ミスは、1回目はまだ素人なのでOK。2回目は新人なので、ぎりセーフ。3回目はさすがに怒られますよ。

 

P: 以前の記事「研究室に入った”その後”」で、学部3年生向けに、

『ぼくの研究室は礼儀作法というか、ビジネスマナーについてけっこう注意されていたので、「自分の部屋」ではなく、「アルバイト先」くらいのイメージで、ふだんの研究室生活は気をつける。
P: おやつを食べたあと、ゴミはクズ箱に捨てるとか、ジャケットは所定の場所に掛ける…くらいのレベルですか? 
Z:食べた後のカップラーメンやペットボトルを共同テーブルに放置しない。
 メールやSlackでの「報連相(ほうれんそう 報告、連絡、相談)」も、先輩がみんな「ビジネスメール」のような書き方をされているので、それにならって書きました。』

と書いたんですが、研究室でビジネスマナーの基本を身につけてれば、職場でも注意されないでしょう。※3

Z: やっぱり「報連相」は大事です。

あと、多くの研究室で9時-5時とかのコアタイム制をとってるのも、いま思えば社会人になる手前でのトレーニングだったんですね。

22卒のみなさんは、ジョブマッチング採用の方以外は、どんな部署に配属されるか? 決まってない、知らされていないと思いますが、理系の研究開発職の場合は、やってることも、メンバーも、みなさんの研究室の「上位互換」(プレッシャーも…)という感じですね。

P: 研究室によっては、OBも参加する新年会があったり、教授の○○賞受賞祝賀会などで、歴代OBが集まったりします。その人たちの多くが、メーカーの中堅エンジニアでしょうから、これからリアル飲み会が復活したら、22卒のみなさんは、他社とはいっても新生活についていろいろ聞いてみると良いでしょう。

 

 

※1 Zくんたちは、すでに理系大学院生だったため、少人数ゼミ形式の授業が中心で、学部生のようなオンライン講義は受けていません。

※2 Zくんは職域接種で、1回目のワクチン接種は終わり、近日2回目という時期でした。管理部門は、とくにリモートワーク推奨だったようです。これからは?

※3 筆者は昔、Sさんから「研究室でこれくらいのマナーは守るべし」ということで、

 『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』

という本を紹介されました。一部抜粋すると、

  ・何でもみんなで分け合うこと
  ・ずるをしないこと
  ・使ったものはかならずもとのところに戻すこと
  ・誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと
  ・釣り合いのとれた生活をすること 毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し働くこと
  ・不思議だなと思う気持ちを大切にすること

 

【BGM】

Z選曲 緑黄色社会 「Mela!」

S選曲 TM NETWORK 「Self Control」(浅倉大介アレンジで)