宅建Tシリーズについては、序章をご覧ください。

① そもそも宅建試験(宅地建物取引士資格試験)とは?

P: 当シリーズは、もともと60代のSさん(派遣社員としてフルタイム就業中)が、

 目的:リタイア後に今の家・土地を売って、トカイナカへの移住(住み替え)を目指す

 手段:売買に役立つ知識を、宅建士の受験テキストから効率よく得る

をコンセプトに始まりました。

途中で、Sさんが宅建試験にも挑戦したいと考えはじめ、24年度の受験も予定されているわけですよね。

S: 受験はしますが、今のところ「合格」は25年度をめざしています。

なので、今年度の合格を目指すという方は、即④をご覧ください。

P:さすがに、独学で今年の合格は難しいと?

S: 単純に合格をめざすだけなら、今の時期(2月上旬)から10月20日の試験日まで、約260日。勉強時間が300時間として、平日1時間、休日2時間でクリアできる計算になります。

でも、私の場合は 「自宅を売って、新居を買う」=不動産売買に役立つ知識を得る が、あくまでも「めざすゴール」です。

しかもリタイアは今のところ数年先の予定なので、大まかに、

  24年度→「自宅を売って、新居を買う」=不動産売買のための知識を、宅建士の受験テキストをベースにまとめ、当ブログでアウトプットする。

  25年度→宅建試験の過去問で知識をチェックする(過去問を解くと、宅建士全般の正確な知識がいやでも身につく)   

  26年度→実際に住み替えのための自宅売却先や、移住先を本格的に検討する

と考えています。

そもそも、当ブログを読んでくれる方は、65歳までの継続雇用(25年4月から義務化)、そして70歳までの就業機会確保(〃努力義務)を見据えて、「次」を考えようという50~60代のプレシニア層が多いと思いますので、この3か年計画のペースで良いかと思ってます。

P: Sさんは、大学で民法を学んでいたので宅建試験の勉強時間300時間との見積でしたが、法律初心者の場合は、独学だと600時間以上、資格スクールなどに通う方は400時間が目安と聞きます。

合格率も15~18%とのことで、そもそも簡単な試験ではないですよね。

S: すでに不動産の実務をされている方が受験するパターンも多いので、合格者の多くは「関係者とその予備軍(就活生など)」だと思います。

宅建試験については、↓

 

 

P: 幸い、筆者の仕事は資格試験とは無縁ですが、当ブログのエンジニアZくんシリーズのレギュラーで、大手メーカー・エンジニア3年目のZくんの職場は、昇進試験の代わりに某公的資格を取得しないといけないそうで、やはり「法律用語に苦戦した」といってました。

Zくんの大学でも、大学の教養科目の「法学入門」と、1・2年の工学部必須科目が重なっていて、そもそも法学関係は受講できなかったそうです。

② 法律初心者が民法を学ぶためのお助け本

S: 序章で、宅建士の受験テキストの中でも、初心者向けに分かりやすい「基本テキスト」をご紹介したんですが、

 

 

宅建の「権利関係」=民法、不動産登記法等を勉強するには、やはり

  ・物権

  ・債権

などの基本概念と基本用語を理解しておくことが大事だと思いました。

上記のテキストでは、民法の体系については書いていません。

一方で、本格的な法律本 ↓(あくまで例です)で、そもそも物権とは~と語られても、初心者は困りますよね。

 

P:そうです!

S:そういうときは、まず近くの図書館で、民法関係で自分が分かりやすいと思った「入門書」を探して、1冊通読することをお勧めします。いったん、民法等の基本的な考え方が理解できると、基本テキストを読んでいても、点(個別の用語)が線でつながる、つまり関係性が分かるようになるので、丸暗記するより結果的には効率的に、権利関係の学習がすすむはずです。

P: Sさんお勧めの本は↓ ですね。

 

 

S: この本の特長は、民法の重要な概念ごとに「具体例(問題)」をあげて、その解決のためには、民法の概念を道具としてどのように使えばよいか? を、分かりやすく説明している点です。 

上記の基本テキストでも、「心裡留保」はじめ、いろいろ具体的な事例で紹介してくれていますが、「物権」については、この本の方が事例が多く、説明も詳しいです。「担保物権」「債権」についても同様です。

ただし、2019年刊行のため、たとえば「相隣関係」(※補足1)など、最新の民法の改正には対応していません。

P: 筆者は「心裡留保」でギブアップしたので、そこに「担保物権」とか「債権」、さらに「相隣関係」? 次々に用語が出てきて??が膨らむばかりなんですが…。

S: 上の本(民法のツボと~)の、不動産関係の事例があがっている項目、たとえば

 ・詐欺による取り消しと登記(だまされて土地を売却)

 ・契約の解除と登記(売買を解除したけど第三者に売られた)

 ・弁済の提供と供託(大家が家賃を受け取ってくれない)

 ・配偶者居住権(夫が死亡しても住み慣れた家に住み続けたい)

などを読んで、それでも難しいと感じた方は、無理に宅建試験合格までめざす必要はないでしょう。

ここに、「登記」というワードが出てきますが、「登記」「相続」は司法書士に相談できますし、深刻な法律トラブルは弁護士に相談できます。

そして、家の売買(住み替え)に関する基本事項は、宅建01のようなステップで、これから当シリーズで解説の予定です。

P: 参考として、直近の令和5年度の宅建試験問題(問1・部分)です。

ちなみに、2問目にでてますね~「相隣関係」。実際に、過去問を見ていただいて、試験に挑戦するか? はご判断ください。

③ 「負けない」ための準備

P: 上の本(民法のツボと~)を読むと、「相続」も含めて、不動産に関係する事例が、ずいぶんたくさん出てきますね。

S: やはり、金額が数千万円単位と大きいので、法律的なトラブルになりやすく、受けるダメージも大きいです。

S家は、自宅を売ってその代金で新居を買う前提なので、借入金(債権債務)や、担保物権(抵当権)、利息などの話は、後回しになりますが、「住宅ローン」や「つなぎ資金」等で家の購入を考えている方は、少なくともここであげたキーワードは理解しておくと安心です。

また、序章でも触れたとおり、S家では自宅の登記上の所有者が「おじいちゃん」のままでした。幸い「遺産分割」でもめることはなさそうで、あとは、一連の手続きの手間だけなんですが…。

「相続」は何かともめやすいので、P家(Pくんのお父さん・お母さん)も備えておきましょう。

P:筆者の故郷だと、むしろ「空き家」が問題になっていて、いずれはSさんに教えてもらった「相続土地国庫帰属制度」のお世話になるかもしれません…。

S: 制度はどんどん変わると思いますので、Pくん自身が相続するころにはどうなっているか分かりませんよ。

P: でも、こういう制度があることを知っているか、知らないかの差は大きいですよ。

そして、Sさんがわざわざ宅建試験の受験まで視野に入れてるのは、こういった「住み替えに関する情報の量と質」をアップするためなんだろうなと、感じました。

ちょうど「孫子」に、「戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし」という言葉があって、Sさんは

 

 

「負けない」ための準備をされているのだと。

S: 「60代から終の棲家を見つけるのに、後悔はしたくない」と考えているのは、事実です。

そのために、自分でできるだけの準備はしようと。

あと、Pくんが紹介した上の記事を読んでて、「ルール3 自分だけで頑張らず優秀な人を頼る」はその通りだと思います。先ほど挙げた、司法書士や弁護士がそうですね。

また、宅建士についても、私自身が商売をするわけではなく、信頼できる・優秀な宅建士に売買を頼みたいからこそ、こういう取り組みをはじめたわけです。

 

④24年度中の宅建士合格を目指すなら

S: 一方で、就活や転職、現に業界で働いているなどで、どうしても24年度中に宅建士試験自体の合格を目指したい=勝ちたいなら、スク-ルに通学しろ…とまでは言いませんが、私だったら、時間(効率)とお金(コスト)を天秤にかけて、WEB(通信)講座を利用します。

P: タイパ(タイムパフォーマンス)の観点から、筆者も「業務命令」で勉強する羽目になったら、多分そうするでしょうね~。ちなみに、スタディングの通信講座では、生成AIが個別指導するらしいです。※補足2

S: もう、そういう時代になりましたか…。

宅建通信講座の比較情報も、ネットでいろいろ見つかりますので、検討してみてください。

 

・補足1 「相隣関係」

 隣家から伸びた柿の木の枝を、勝手に切るのは違法(旧・民法233条1)だが、タケノコは切りとっても良い(旧・民法233条2)という規定は、Sさんの学生時代から有名だったそうで、「S:ついに改正(2023年4月施行)ですか~」「P:変更にそんなに時間がかかるものなんですか?」という感想でした。しかし、民法の条文が、現代語化(明治以来、カタカナ・文語体→ひらがな・口語体)されたのが、平成17年と聞いて、え!?

・補足2

Google Bard(生成AI)に、「宅建士とは? 」と聞いてみたら
『宅建士とは、「宅地建物取引士」の略称で、不動産取引の専門家を指す国家資格です。不動産の売却や購入に関する実務や法律上の専門知識を持ち、公正な不動産取引をサポートします。<中略>
宅建士は業務独占資格でもあり、不動産取引における重要事項の説明や、重要事項説明書への記名・押印、契約書への記名・押印ができるのは宅建士だけです。』→2024年2月時点の回答…Sさんの指摘によれば、2022年施行の宅建法改正で、「記名」だけで良くなった(つまり押印不要)そうです。ちなみに、書類が紙だけでなく「電磁的方法」もOKになったなどの改正もありますが、これらはいずれSさんが記事にまとめる予定です。

「宅建試験の通信講座(インターネット利用)でお勧めはありますか?」「宅建の効率の良い勉強法は?」なども質問してみまして、かなり納得できるアドバイスがもらえましたが、上記のように、回答を鵜呑みにしないで注意する必要があります。

 

【写真】

上:筆者(小平市・なかまちテラス 設計:妹島和世) 中:Pixabay 下:筆者(港区・虎ノ門ヒルズ)

 

【BGM】

S選曲:Roxy Music 「More Than This」

P選曲:Alexandros 「Todayyyy」