※宅建Tシリーズについては、序章(前の記事)をお読みください。
A:住み替えのスタートからゴールまで
①売りと買いのタイミング 『買い替え特約』
P: 今回は、S家が、今住んでいる東京・多摩地区の家を売却して、新しい家に住むまでの大筋を紹介して、その過程で、宅建の知識がどう役立つか? をSさんに解説してもらいます。
前回記事(序章)が、絵で言えば構図段階だったのが、今回はスケッチ(素描)という感じですか?
S:そうですね。
家の住み替えのステップについては、ネット記事もたくさんあるので、まずそちらを読んでいただくとよいでしょう。
たとえば、下記を参考にすると、まず
A:家を売る
B:家を買う
のタイミングが検討課題になります。
自動車などとは違って、希望通りの土地&住宅がすぐに見つかる保証はないですからね。
今のところ先に家を売って、もろもろの経費を引いた残金の範囲内で新居を購入する「売却先行」を考えていますが、そこで出てくるキーワードが「買い替え特約」。上の記事の説明 ↓を引用すると
『買い替え特約とは、指定した期限内に希望価格で旧居が売れなかったときに新居の購入を白紙にしてもらえる約束』
宅建試験では、民法の「履行遅滞(停止条件付契約)」や、宅建業法の「不動産売買契約書(37条書面)」に関連する内容です。
記載例が ↓
P:……こういう『契約書』の内容を理解するために、宅建の勉強が必要だというわけですね?
S:そうです。上の「契約書」の文例を見ると、「権利関係」の勉強は、契約トラブルの防止のためにとても大事なんだと実感できると思います。
② 家を売る その前にトラップ! 「不動産登記法」と法改正
P:では、売る→買うの順番ですすめるとして…。
S:実は、「売る」前に、大事な手続きがあったんですよ…。
P:何かトラブルですか?
S:トラブルではなく、トラップというか…、土地と建物の登記上の持ち主が「おじいちゃん」のままだったので、その変更をする必要がありました。
P:「登記」ですか…。
S: そもそも「不動産の登記」とは? からを、「不動産登記法」で勉強します。
下↓ の説明が、宅建試験とも連動していて分かりやすいと思います。
宅建試験での出題は1問ですが、S家の不動産の売却をするには土地と建物の「所有権移転登記」が絶対必要です。
また、24年4月から不動産登記法の改正により、「相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない」ことになりましたので、S家と同じように、ずっと土地と建物の登記上の持ち主が亡くなった方のまま…というご家庭は、27年3月までに、登記の手続きをする必要があります。
P: 相続がからむケースも多いので、そもそも「所有権って?」はじめ、ここは別記事(宅建03~05)でまとめる予定です。
③ 家を誰に売る?
P: ようやく家を売る準備ができたとして…。
S: 実は、「家を売る」と言っても3パターンあるんですよ。
『仲介』『買取』『個人間売買』です。
普通は不動産業者の「仲介」ですね。宅建試験では「仲介手数料」関連で2問出題されるのをはじめ、そもそも宅建業者ができる業務など、重要な項目が複数あります ★。
P:以下、★の内容は独立した記事を予定しています。
S: 宅建試験には出ていないようですが、「買取」は首都圏の立地の良い場所の土地を持っている方なら、注目です。
P: 建売業者などが、直接、売主から買い取るケースですね。
S: そうです。家の売却は、売る側としては値段勝負なので、宅建試験とは別にネットで売値の調査をすすめます。
ただし、土地の売却相場というのは、宅建試験の「地価公示法」「不動産鑑定評価基準」を理解していれば、だいたい見当はつくので、ここも宅建試験では、毎年1問(上記のどちらか)の出題なのですが、独立した記事にする予定です。★
P: 序章で触れた、宅建業法の「3大書面」
・宅建業法35条書面(重要事項説明書)
・同 34条書面(媒介契約書)
・同 37条書面(契約書)
も、独立した記事になりますよね?
S: 逆に、この書面をしっかり読めるようになるために、わざわざ宅建の試験勉強まで考えているわけで。
宅建の試験でも、「住み替え」計画でも、ここがけっこうなヤマ場だと思います。
なので、各書面を35-その1とか、枝番つきで解説することになりそうです。★
ちなみに、35条書面は「売主」には交付されません。
④ 売買にかかる諸費用と税金
P: 無事に不動産が、n千万円で売れたとして、不動産業者への手数料とかもろもろの費用が掛かるわけですよね。
初歩的な質問で恐縮ですが、消費税はかかるんですか?
S:自宅を売ったときなどは、売却代金は消費税の課税対象にはなりませんが、
・不動産業者の仲介手数料
・司法書士への報酬(不動産登記の手続きを頼んだ時)
などは、消費税の対象となるようです。
売った時にかかる税金は、所得税(譲渡所得税)ですが、自宅を売った時にはいくつか特例があって、宅建試験でもこの特例から1問でるケースが多いようなので、買ったときにかかる税金や、印紙税、固定資産税などと併せて独立した記事にする予定です。なお、宅建03で相続登記の「登録免許税」については簡単にふれました。★
P:税金、仲介手数料、司法書士への報酬以外にかかる費用は?
S:宅建試験と直接関係ないですが、引っ越し費用や保険料(火災保険、地震保険)も検討課題です。
あと、今の家の築年数が〇十年なので、中古住宅になるか? 土地のみ(取り壊し費用発生)か、古家付き
https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00221/
物件として売るのか? も悩ましいところですね。
さらに断捨離! 中古家具は売れるのか? 粗大ごみになるか? で、数十万円単位のプラス/マイナスがありそうです。
⑤ 家(土地)を探すには?
⑥ 一戸建てかマンションか?
⑦ どの地区・地域に住むか?
おわりに
【BGM】
S選曲:Christopher Cross 「ニユーヨーク・シティ・セレナーデ」
P選曲:The Academy Is 「About a Girl」