今日 1月21日は、アンリ・デュパルクの誕生日である。
アンリ・デュパルク(ウジェーヌ・マリー・アンリ・フーケ・デュパルク)(1848~1933)は、フランス後期ロマン派の作曲家である。フォーレと並ぶフランス近代歌曲の作曲家として知られている。
大部分の作品を自ら破棄したため、歌曲を中心にごく少数の作品しか残されていないが、「旅へのいざない」などの残された作品のいくつかはフランス歌曲を代表する歌曲とみなされている。
パリ生まれの彼は、ヴォージラール地区にあったイエズス会のコレージュ(フランスの4年制の前期中等教育機関で日本の小学校第6学年から中学校第3学年に相当)にて セザール・フランク(1822~1890)にピアノと作曲を師事する。デュパルクはフランクの最初の作曲の弟子の一人であり、師フランクからは最も才能のある弟子と見なされていた。
普仏戦争へ従軍した後、1871年11月9日にスコットランド出身のエレン・マクスウィニーと結婚。同年、作曲家 カミーユ・サン=サーンス(1835~1921)およびフランスの詩人でパリ音楽院声楽科の教授であったロマン・ビュシーヌ(1830~1899)とともに国民音楽協会を設立する。また、パリ音楽院に対抗してスコラ・カントルム(音楽学校)を設立したヴァンサン・ダンディとも交流をもった。
1885年、37歳の時に「神経衰弱」(精神疾患)を患い、突然作曲ができなくなる。その後は家族との時間や、絵画制作に没頭するが、20世紀に入ると今度は次第に視力が失われていく。
85歳の生涯だったが、そのうち作曲活動を行ったのは、最初の歌曲を書いた1868年から病気のために活動ができなくなった85年までのわずか十数年と短い。
歌曲のほか少数のピアノ曲、管弦楽曲を全部で約500曲ほど作曲したといわれるが、作品の大半は自身の手で破棄し、残された作品は40曲に満たない。
現在デュパルクの歌曲は17曲が知られているが、これらの歌曲は、シャルル・ボードレール、テオフィル・ゴーティエ、ルコント・ド・リール、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテなどの詩に作曲されたもので、いずれも繊細な叙情表現やリヒャルト・ヴァーグナーの影響を受けた劇的表現に優れ、歌曲の最高傑作に数える者も少なくない。
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1.「旅へのいざない」 (L'invitation au voyage, 1870年)
(シャルル・ボードレール詩)(演奏時間約:5分)
■1■ 「旅へのいざない」(L'invitation au voyage, 1870年) □ L'invitation au voyage - Duparc - YouTube
■対訳■「旅へのいざない」 (L'invitation au voyage)
2.「前世」 (La Vie antérieure, 1884年)ボードレール詩)
(シャルル・ボードレール詩)(演奏時間:約5分)
■2■ 「前世」(La Vie antérieure)□ Régine Crespin sings Duparc's "La vie anterieure" - YouTube
■対訳■「前世」 (La Vie antérieure)