ラモー命日に聴く『優雅なインドの国々』──クリスティ&レザール・フロリサンの名演
ジャン=フィリップ・ラモー(1683–1764)の命日は9月12日。彼の代表作オペラ=バレエ『優雅なインドの国々(Les Indes galantes)』を改めて味わうのにふさわしい日です。特にウィリアム・クリスティとレザール・フロリサンによる演奏は、この作品の魅力を現代に鮮やかに伝えています。2003年パリ・オペラ座でのアンドレイ・セルバン演出は、カラフルでユーモアに溢れ、伝説的な大ヒットとなりました。作品概要1735年パリ初演のオペラ=バレエ。リブレットはルイ・フュズリエ。当時の「インド」はヨーロッパ以外の異国を広く指し、トルコ・ペルー・ペルシャ・北アメリカを舞台に愛と和解の物語が展開します。形式はプロローグ+4つのアントレによるオムニバス構成。華麗なダンスが豊富で、ラモーの管弦楽法の革新性が発揮された当時の大ヒット作です。あらすじプロローグ青春の女神エベが若者たちに愛を説くが、戦争の女神ベローネが戦場へ引き連れる。愛の神アムールが「遠い国々へ愛を広めよう」と旅立つ。第1アントレ「寛大なトルコ人」パシャのオスマンは捕虜のエミリーに恋をするが、彼女は婚約者ヴァレールを想い続ける。再会した二人を、オスマンは過去の恩を思い出して解放する。第2アントレ「ペルーのインカ人」王女ファニとスペイン将校カルロスは相思相愛だが、大祭司ウアスカルが横恋慕する。噴火を神の怒りと見せかけたウアスカルは、自ら溶岩に飲み込まれて終わる。第3アントレ「花々──ペルシャの祭り」王子タクマスと友人アリが互いに相手の奴隷に恋をし、花の祭りで変装による混乱が起きる。やがて正しいカップルが結ばれる。第4アントレ「未開人たち」先住民の戦士アダリオは、ヨーロッパの将校二人が娘ジマに言い寄るのを見て苦悩する。ジマはアダリオを選び、平和のパイプの踊りで和解が描かれる。聴きどころ- 「平和な森よ(Forêts paisibles)」(第4アントレ) 躍動的なリズムと合唱が一体となる名曲。2003年の舞台では終盤でクリスティや観客まで一体となって盛り上がる演出が伝説的。- 第2アントレの火山噴火 劇的な管弦楽効果が炸裂。セルバン演出ではコミカルな火山が登場し、ユーモアとスペクタクルが同居する。- 第3アントレの花のバレエ ダンサーたちが花のように「咲く」華やかな振付が印象的。- 全体の雰囲気 セルバン演出はカラフルで皮肉めいたユーモアに満ち、愛の勝利を祝う祝祭性を前面に押し出す。クリスティの指揮は古楽器の色彩感とリズムの切れ味を最大限に引き出す。この演奏の意義クリスティ&レザール・フロリサンによる演奏は、バロック音楽の「楽しさ」を体感できる最良の入り口です。異国を舞台にしながら普遍的な「愛」を描き出すラモーの天才が、今も鮮やかに息づいています。Jean-Philippe Rameau - Les Indes galantes / Les Arts Florissants, Christie (Opera de Paris 2003) [DVD] [Import]Amazon(アマゾン)