リスト 「ピアノソナタ」 ロ短調 (S.178/R.21) | クラシックばっか 時空間

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 今日 1月22日は、フランツ・リストの「ピアノソナタ」 ロ短調が、初演された日である。

 

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リヒテル(Pf)

 

■2019/05/25 0:59 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

  フランツ・リスト(1811~1886)は、ハンガリー出身の、ドイツやオーストリアなどをはじめとしてヨーロッパ各国で活躍したピアニストであり、作曲家である。

 

 

 今日ご紹介する「ピアノソナタ ロ短調」は、フランツ・リストが作曲した唯一のピアノソナタであり、彼の最高傑作の一つである。また単にリストの代表作というだけでなく、ロマン派を代表する重要なピアノ曲の一つであるともいわれている。
 1853年に作曲され、1857年の今日(1月22日)、ベルリンで、彼の高弟(弟子の中でも特に優れている人物)ハンス・フォン・ビューローによって行われた。そして、ロベルト・シューマン(1810~1856)に献呈されている。

 ロベルト・シューマンの妻(クララ・シューマン)は、1854年5月25日の自分の日記に「ただ目的もない騒音にすぎない。健全な着想などどこにも見られないし、すべてが混乱していて明確な和声進行はひとつとして見出せない。そうはいっても、彼にその作品のお礼を言わないわけにはいかない。それはまったく大儀(めんどうで、やっかい)なことだ。」と苛立ち(いらいらする気持ち)を書き残している。
  また、初演の翌月(2月)に、ウィーンで同じくハンス・フォン・ビューローによって演奏が行われたが、その際にも、毒舌家として名高いハンスリック(音楽評論家)によって、「いまだかつて、これほど支離滅裂な要素を用いて、しかも大胆不敵につなぎ合わされたものを耳にしたことはない。(以下略)」と酷評されている。

 この作品の題名が「幻想曲」であったなら、それほどの酷評も受けなかったと思われるが、発表された当時、この曲があまりにも独創的で、独特な作法で書かれており、しかも単一楽章からなる構成であるにもかかわらず、「ソナタ」と名付けられたことから、物議を醸し出したのである。
  本曲は、全体で1つのソナタ形式をなしている(またはソナタ形式の圧縮されたもの)と考えられているが、主題提示部、展開部や再現部をどことするかにはさまざまな意見があり、3つの部分から成っているという考え方もあれば、4つの部分から構成させているという見方もある。

 いずれにせよ、ベルリオーズの「イデー・フィクス(固定楽想)」の技法から影響を受け、主題の要素をさまざまな形に変容させて新たな主題を生み出してゆくという、いわば「主題変容の技法」によって書かれた作品といえるのでないだろうか。

スビャストスラフ・リヒテル

 

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                        (演奏時間:約32分)
■■ 「ピアノソナタ」 ロ短調 (S.178/R.21) □ Sonata in B Minor, by Franz Liszt - YouTube

■参考■(リヒテルの演奏)
■■ 「ピアノソナタ」 ロ短調 (S.178/R.21) □ Sviatoslav Richter plays Liszt Sonata in B Minor - YouTube