さて、三月の閑話休題です。

 

2020年3月のテーマ

ハードボイルド小説を読んでみた!

 

でおすすめしてきました。

 

生粋のハードボイルド小説ファンの方からすると、ハードボイルド小説と銘打って紹介する本ではない!とお叱りを受けてしまうかもしれないラインナップ(一応自覚はある)でしたが、普段手を出さない分野をたしなんでみたということで、お許しいただければと思います。

 

そもそも、私はあまりハードボイルドに惹かれません。

映画なんかでアクションものやスリラー、ミステリーなどをよく観るので、暴力シーンや反社会的な登場人物を目にすることは、実はよくあります。でも、必要以上に残酷なものは、はっきり言って見たくない。苦手です。

ハードボイルド物は主人公が過酷な状況に追い込まれることが多いと思っていますし、必要以上にひどい目に合うという先入観があって、小説も映画もついつい敬遠してしまいがちです。

 

そんな先入観を揺るがせたのが、

 

「ミステリ書店1 幽霊探偵のメッセージ」

アリス・キンバリー著 新井ひろみ 訳

2006年発行 ランダムハウス講談社

 

 

です。

 

おなじみ、ランダムハウスのコージー・ミステリーなんですが、主人公の片割れが1940年代に実在した探偵の幽霊なので、レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットの作品に出てくる探偵たちのようなハードボイルド風のキャラクターなのです。

この探偵の幽霊と、新米の書店経営者のコンビが事件を解決するというストーリー。

探偵の幽霊は、事件を解決するための知恵を授けてくれるのですが、かつての経験に基づいているので、書店主の夢の中で事件を追体験させます。早い話が、夢の中で1940年代にタイムスリップ。その頃流行ったというハードボイルド小説のような世界に飛び込むわけです。

その他に、各章の頭に、いろんな本からの引用文が添えられているのですが、ハードボイルド小説の本や、「ブラックマスク」というダシール・ハメットのような小説家が連載していた雑誌からの引用が中心となっています。

第三回でご紹介した「デイン家の呪い」の一節もこの本の第11章「シャドウ・ボクシング」の冒頭で引用されています。

つまり、この本の引用で、私はレイモンド・チャンドラーダシール・ハメットミッキー・スピレインなどのハードボイルド作家の名前を知ったのです。

ミステリー好きなため、作品名や探偵名はある程度知っていたので、作者が分かったことと、クラシックなハードボイルド小説の世界に興味を持ったことで、実際に読んでみるまでに至った次第です。

 

「幽霊探偵のメッセージ」では、主人公の書店主ペネロピー(女性なんです)が古いミステリーやハードボイルド小説の知識が豊富で、作中でいろんな小説の知識を披露してくれます。

ハードボイルドという分野から距離を置いていた私に、ぐっと距離を縮めさせてくれた一冊といえましょう。

 

きっかけがあれば、新しいジャンルの本を読んでみようと思えます。

もっと読みたいと思えば読めばいいし、もういいやと思えばやめたっていい。

ただ、ページを開いてみないと始まらない。これだけは、言えると思います。

普段、保守的で新しいジャンルの本を拒絶しがちな私ですが、そんな私でもたまにはこういう出会いがあるんですね。

 

さて、次回は、

2020年4月のテーマ

「初心者でも面白かったSFの本」第二弾

 

でおすすめしようと思います。

ご興味ありましたらのぞいてみてください。(*^▽^*)