《on The train to Paris》
二等のコンパートメントにABGR
G: 密輸業者と説教師
同じコンパートメントに入ったわ
A: あいつらのこと
CⅠAも追っていたのか
B: よくあるパターン
R: CⅠAがルクセンブルク警察に
圧力をかけて
密輸業者を釈放させたんでしょうか
A: 考えられる
B: CⅠAの強引さは並みじゃないからな
G: ましてやごり押しディックよ!
コンパートメントのドアが開いて
カチャ!
ディックがいる
G: あら.. (今の聞こえたかしら)
A: B: ・・・
R: どうかなさったんですか ミスター?
デ: レストランカーに行くぞ
CⅠAの経費でおごってやる
R: あれ 冗談じゃなかったんですね
デ: CⅠAのディックに二言はない!
R: ラッキー! では行ってきま~す!
ディックとR 食堂車に行く
ABG: 行った...
A: あれ マジでやるのかな
B: おれ、知らねぇ
G: あたし 説教師たちを見てくるわ
B: おれも..
BG コンパートメントを出る
A: とりあえず、
今の状況を少佐に報告、と
A 携帯を取り出す
《at the dining-car》
R: ミスター
こんなにたくさん召し上がるんですか?
デ: 腹がへっては戦は出来ぬ
R: 一度に こんなに?
デ: おれ達の仕事は食える時に
食っておく 鉄則だ
さあ食べようぜ
ディック 勢いよく料理を食べてゆく
R: あの もう少しゆっくり食べて
いただけませんか
私まであせってきます
デ: おふくろと同じことを言うな
R: パリまではあと3時間もあります
《at 二等のコンパートメント》
少:〈ごり押しがRに食事をおごってる?〉
A: Rから何か聞き出すつもりでしょうか?
少:〈何かを聞き出すつもりなら
ペーペーは誘わんだろ〉
A: そうですね
《at the dining-car》
R: ね、ミスター
説教師たち
パリのどこに行くんでしょうね
デ: まあ だいたいの見当はついている
R: エッフェル塔とかシャンゼリゼ通りとか
寄ってくれるといいんだけど
デ: あんた、
ほんとに鉄のクラウスの部下か?
R ガイドブックを取り出す
「地球の歩き方 パリ編」
R: ほら ここ
デ: 何だ?
ディック 身を乗り出す
R: シャンゼリゼ通りのひとつ裏の通り
デ: やつらのアジトがあるのか?
R: 私と同じ名前の靴のお店があるんです
象さんマークの
デ: イスラム教徒の経営なのか?
R: いえ 記念に一足、買いたいかな..と
ディック 両腕を広げて頭を振る
デ: (だめだ こりゃ...
あいつも部下には苦労しているのか..!)
《at 二等のコンパートメント》
少:〈なにッ!
ごり押しに盗聴器を仕掛けている⁉〉
A: 声が大きいです 少佐
少:〈フン〉
A: CⅠAと説教師の動きを
同時につかめます
少:〈発案者は?〉
A: こんなこと思いつくのは
R以外いませんよ
少:〈言える.. しかし、ばれたら事だな〉
《at the dining-car》
ディック R 席を立ってレジへ
R: ミスター
ディック振り向く
R: 初対面なのにこんなに
ごちそうになってしまって
ドイツに帰ったら、
部長と少佐に報告します
デ: 天下のCⅠAだ いいってことよ
ま、あんたの上司じゃ
こうはいかないだろうが
ディック ジャケットから財布を出す
R: あっ!
デ: 何?
R: ミスターのジャケット
ポール・スミスなんですね
おっしゃれ~!
デ: たまには英国製も着るさ
ウェーター 飲み物を運んでくる
R: じゃあ、
普段はブルックスブラザーズとか?
R 大げさに手を挙げる
ウ: うわっ!
飲み物 ディックのジャケットにかかる
R: ごめんなさい!
ミスター 早くジャケットを脱いで
ウェーターさん タオルを!
ウ: は..はい 申し訳ございません
R タオルでジャケットの汚れをとる
ポン ポン ポン!
ディック 見ている
R: 私 こういうの得意なんです
ウ: お客さま よろしかったらお会計を先に
デ: そうだな
ディック ウェーターとレジへ
R 盗聴器をジャケットの胸ポケットに入れる
《at 二等のコンパートメント》
R 帰って来る
R: どうですか?
A: ばっちり入ってくる
R: 名案でしょ
A: 少佐はばれたら事だと...
R: 少佐の命令だって言うもん
A: ・・・
R: それにミスターCⅠAとしては
気づいたとしても
ペーペーに盗聴器を仕掛けられたなんて
口が裂けても言わないと思うわ
A: 大胆な深読み...
《数日後 at NATOボン支部
intelligence office 別室》
A 少佐に前述任務の報告をしている
A: 結局ドイツで出した逮捕状で
フランス当局が説教師と密輸業者を
拘束しました
少: 共通逮捕状制度を上手く使えたな
A: 捜査が後手にまわらずにすんで
ほっとしました
少: CⅠAの強引な動きは封じたのか
A: Rの仕掛けた盗聴器のおかげで
彼らの動きを読めましたから
少: フム.. ごり押しからは
何もなかったのか?
A: 帰国する時Rが呼び止められて
〖 デ: やってくれたな
ペーペーのお姉ちゃん
R: ・・・
デ: 今度食事する時は割り勘だぞッ!
R: はい.. ミスターCⅠA 〗
A: .....と
少: それだけか? 盗聴器が機能したのは?
A: 二日
少: ごり押しもプライドが高い
ペーペーからやられたとは
言えんだろ..な
A: ところで少佐
そろそろRに休暇の残りを
とらせては?
少: 忘れとった
A: Rだけまだ未消化です
少: 分かった で、Rは?
A: 支部に帰ってからずっとDに
引っ付いてるんですが
少: やはり...
《at intelligence office》
D 自席で仕事をしている
R: でね、ごり押しの食欲ってすごいの
絶対割り勘なんてしないわ
割り勘負けするもの
D: フーン..
D パソコンを操作
R: D先輩の方はどうでした?
D: ・・・
R: ベルリン楽しかったですか?
D: ・・・
R: (少佐からしっかり口止めされたのね
それなら..)
R コソコソと
R: 先輩 パリでオーバドゥの
今年のバレンタイン限定商品を
見つけたんです
D: オーバドゥ?
R: 知らないんですか?
フランスの超有名下着メーカー
D: 知らないよ そんな.. 女性のだろ?
R: そうです
今年のバレンタイン用のだから、
値切って買って来ました
彼女へのプレゼント用にいりませんか?
D: ・・・
R: 先輩なら仕入れ値でいいですよ
D: 下着って.. どんな
R: フランス人が考えたバレンタイン用です
キュートだけどエロチック
D: ヘェ...
R: 別室で相談しましょ!
《at Rのアパート前》
R 車から降りて 荷物を出して
R: 結局 シードロフことヴィート・ベネシュは
政府間の取り決めにより
ドイツ滞在中はNATO情報部の監視下に
置かれることになった..のか
車のドアを閉める バタン!
R: アメリカ ロシア スロバキアの
エージェントはうようよいたけど
少佐が出張ったら、
みんな遠まきにしていた..と 当然かも
スーツケースを引っ張りアパートへ
カラカラ..
R: で.. Nadiaのことは見かけなかった
と先輩は言った
郵便受けを見る
R: ギャッ! こんなにいっぱいたまってる
ほとんどクレジットの請求書
これは旅行社からのパンフレットか
これは? なんだろう...
シュタイフ社からなんて
注]Rの車はBMWミニです
Fin
11]To B e r l i n に続く