七月は閑話休題の記事をたくさん書いています。

("閑話休題"というカテゴリーで私事を描いたりテーマのリセットを行ったりしています。)

今月最後として本来書きたかった記事、"映画「ひつじ探偵団」を観た話"をしたいと思います。

 

・「ひつじ探偵団」 2026年公開

 アメリカ・イギリス合作

 

 

 

この映画は日本では2026年5月に公開されており、現在アマゾンプライムで観ることができますが、DVDやブルーレイはまだ出ていないので、Pickにはパンフレットやポスターを貼らせていただきました。

ビジュアルイメージとして貼っているだけなので、情報としてはあんまり役に立たないかと思います。すみません。

 

ストーリーは、愛をもって羊を飼育しているジョージは一匹一匹に名前を付け、夜には本を読み聞かせています。彼に飼われている羊たちもまたジョージのことが大好き。ある日そのジョージが殺されているのを発見した羊たちが犯人を見つけようと奮闘するコメディ・ミステリーです。

 

主演・ヒュージャックマン、映画ハリー・ポッターシリーズトレローニー先生を演じたエマ・トンプソンなど実力派俳優が出演しているのも個人的には良い。

 

事件の舞台がイギリスの田舎町で、怪しい人だらけの容疑者の中で捜査が行われるという古典的な形式のミステリーなのもクリスティー大好きの身にはたまりません。

で、羊が実は人間の言葉を理解していて、彼ら独自の群れのルールに従って行動している様子は、クレイアニメの「ひつじのショーン」を彷彿とさせます。

 

 

つまり、私的には"クリスティー的英国ミステリー×ひつじのショーン"な映画なわけで、好きな要素満載だったわけです。

 

人間からは理解できない羊たちの会話や、彼ら独自の生活ルールはコメディなんだけど、羊たちが悲しみや苦しみを忘れてしまおうとする行動には人間もそんな気持ちになることはあるなと思ったり、仲間を思いやる心に涙したりと感情を揺さぶられる場面もあって、決してコメディとミステリーだけの映画ではないです。

 

言葉の通じない人間相手に、羊たちが知りえた手掛かりをどうやって伝えるのか…ハードルは高いですが、がんばってる羊たちを応援しながら、笑って、自分でも謎解きを考えて…楽しい映画です。

 

私はこの映画を劇場で観て、そのあと配信でもう一回観ました。

私的には、ミステリーとして満足できて、泣ける場面もあって、すごく好きな映画でした。

動物が出てくる可愛くてハートフルな映画…というカテゴリーに入れたくない映画です。ハートフルじゃないとは言いませんが、この映画の一番いいとこはそこじゃないと思うのです。

ミステリー好きの方にはぜひともおすすめしたいです。

 

さて、来月のテーマにまいりましょう。

 

2026年8月のテーマ

「映画と合わせて読みたい本」

 

でおすすめしてまいりたいと思います。

7月におすすめした本がくしくも三冊とも映画の原作本でした。

映画に原作の本があるとき、映画も見て原作本も読んで…映画と違うこの部分を本で知ってほしいとか、本のここを映画で再現しているのを見てほしい、という話を書きたいと思います。

映画と本とどっちを先に体験したかによっても違うと思いますし、人によって着目点も違うとは思いますが、私個人の例として読んでいただけると幸いです。

ご興味ありましたら覗いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。(*^▽^*)

今月は閑話休題を多めにアップしています。

 

この記事は本来書く予定になかった記事ですが、私の心の整理のために書かせていただきたいと思います。

楽しい話ではないので、読みたくない方はここで引き返してください。

 

 

 

 

数日前の夕方ごろ、私が住んでいる地域の役所の職員と名乗る人から固定電話に電話がかかってきました。

曰はく、「四月に保険証と医療証に関する手続きの書類を送ってあるけど締め切りを過ぎても提出されてないんですが、お心当たりないですか」というようなことを言われました。

ちょうど一か月くらい前に区役所からお知らせやアンケートの書類が2,3来ていたので、心当たりはなかったけどいろいろ来てたうちのどれかかもと思って話を聞いてしまいました。相手は私の名前を知っていました。

 

相手の説明が、「去年厚生労働省が保険料と医療費の増額をしたが、軽減措置があるのでその書類を送った」「その書類が提出されてない」みたいなことを言うのですが、制度のことも聞いたことないし書類も見たことないので質問したら「説明してるんだからまずは話を聞け」と返してきたのです。

 

なので我慢して話の先を聞いたら「過去○○年間にあなたが使った医療費のうち○○万円が控除されています」と話が飛ぶので訳が分からなくて黙って先を待っていたら、「メモとってますか?」というではないですか。

メモは取ってましたが、なんの制度の話か分からなくて気になっていたので、"医療費"とか"保険料"とかのキーワードに、質問したいところには"?"マークつけたりしてました。

再び「今の金額メモしましたか?」というので、「あの、軽減措置?の書類や制度の説明はどうなりましたか?何のお金の話ですか?」ときいたら、「あなた人の話全然聞いてないね。」と、強い口調で言ってきました。

相手の話すことは支離滅裂の上質問してもまともに答える気もないし、こちらを小ばかにする態度で論点ずらしばかり。

 

このあたりになるともう詐欺だなって私も確信してきてて、「役所の何課のどなたでしたっけ?」と疑っているそぶりをみせたら(テレビの情報番組で詐欺かなと思ったら所属と名前を聞いて実際に存在する人なのか確認するのも有効と言ってたのを思い出した)「○○課の△△だよ!何度も名乗っただろ!(←名乗ってない)あんたこそほんとに○○さんなの!?(←自分でかけてきたくせに)」とキレ始めて、後は暴言のオンパレード。

 

大声で脅かして女に言うことを聞かせようとする男が大嫌いなので、ムカついて言い返そうとしてしまったんですが、たまたま休みでうちにいた夫がおかしいと気づいて「相手にするな」と横から電話を切ってくれました。

それで終わりかと思いきや、すぐにまたかかってきて留守電に「おーい、○○さーん。あなた、××(住所)に住んでる○○(フルネーム)さんですよねー。名前も住所もばれてんだよ!!電話に出ろや!!」と脅しが入りました。

留守録が10秒くらいで切れたんですが、またすぐ2回目がかかってきました。「早く出ろよ!!ブス!!」と。こんなこと言う役所の職員さんいないよ。お前が騙ってる役所職員さんたちに謝れ!!

 

しつこくまだかかってきたので、夫が出て「通報する」って言ったらかかってこなくなりました。

そのあとすぐに警察に通報して記録を残してもらいました。(有言実行しますよ。)警察官の方は同じような通報が他にもあったと言ってました。それからまたかかってきたときの対処法のアドバイスもしてくれました。

 

ここまで流れをざっとまとめて書いたので端折っちゃったんですけど、我が家から役所も警察もまあまあ近いので、支離滅裂な話を聞くより直接役所へ行って書類とか見せてもらいながら別の人に説明してもらったほうがいい思って(まだ詐欺か確信がなかったとき)、話の途中で「今から役所に行きます」と言ってみたんですが、「何しに来るの?もう期限切れてるのに。窓口もないよ。」とバカにするように言われました。この嫌な態度にすごく違和感があったので、気づけたというのがあります。

 

私の知る限り、制度や書類のことでわからないことを質問したら、役所の職員さんはみんな辛抱強く説明してくださいます。私は自分なりに理解しないと気になって仕方ないので、結構細かい質問とかしてしまいます。職員さんからすると時間を取られるし面倒な市民だと思うんですけど、丁寧に答えてくださる方ばかりです。

質問者をバカにしたり、論点ずらしして質問されたことをごまかすような職員さんには会ったことありません。仮に専門じゃなくて答えられない質問でもちゃんと担当者に代わってくださいます。

なので、電話相手の態度は絶対におかしいと思いました。

 

でも、私はラッキーだったんです。電話の最中パニックにはなっていませんでしたが、詐欺だと気づいてからは感情的になっていました。今は思い出していきさつを書いているので文中で冷静に突っ込んだりしてますが、それはある程度客観的になっているから。

もしかかってきたのが一人の時だったら、詐欺と気づけていたとしても電話を切るまでに相手と言い争いになったでしょうし、もっとたくさん暴言を受けて嫌な思いをしたと思います。留守番電話に入れられた脅しももっとずっと怖かったと思います。

怪しいと気づいても、電話を切るという行動に出るまでに時間がかかって、話す時間が長くなればなるほど不愉快な暴言を受けなければならなかったろうと想像できます。

 

引っかからなかったのだから事なきを得て良かったと思いますが、一方で嫌な気持ちはずっと残っています。

この嫌な気持ちの正体をちょっと考えてみました。

 

・相手の話から自分が何かミスをしたのかと不安になってしまった

・どんなミスをしたのか理解しようとして真面目に相手の作り話を一生懸命聞いてしまった

・自分が悪いかもと思っていたので丁寧に話した結果、相手に強く出られてしまった

→これらのことを恥じている

 

・相手のバカにした態度、暴言に対する怒り

→小柄な女として人生生きてきたので、ごくまれに"バカにした態度をとってくる男性"、"大声を出して言うことを聞かせようとしてくる男性"に遭遇したことがあり、その時に生じた怒りも沸き上がってきて見知らぬ詐欺師へ憎悪として上乗せされている。思い出し怒りで不快度が上がってしまっている。

(私のこの経験については、私の被害者妄想だという知人もいます。ですが、"自分より確実に弱い相手にしかとらない態度"はやられた人にしかわからないし、やられる人は表面的な属性で無意識に選別されていると思っています。私がマッチョな男性だったらこんな態度とらないよねってこと。)

 

・住所と名前を知られている、たぶん何らかの名簿に載ってしまっているという不安

→近年トクリュウの犯罪とかあるので、なんかの名簿に載ってるって思うと怖い。詐欺電話もまたかかってくると思う。

 

大きく分けるとこの三つ(恥、怒り、不安)なのかな…と。

これらネガティブな感情が渦巻いて、いまだに嫌な気持ちです。

こういったことを防ぐには、やっぱり話さないで電話を切ることが一番だと思います。

私はテレビの情報番組で特殊詐欺電話について解説していたのを覚えていたおかげで、"これ特殊詐欺だ"と気づくことはできました。でも心までは守れなかった。かかってきた電話を取って話をしてしまっただけで、何日も引きずっているのです。

というわけで、もし特殊詐欺電話がかかってきたらなるべくすぐに電話を切りましょう。電話を切ってから、相手が名乗った組織(大体公的機関だと思う。怪しい組織ならほっときましょう。)の電話番号調べてそんな名前の人がいるのか確認すればいい(どうしても気になるなら。私は役所にも電話して確認しました)。

 

注意喚起のような書き方でまとめてしまいましたが、そもそもこの記事を書いた動機は私の心の整理…ある意味禊(みそぎ)みたいな効果を祈念してのことです。

個人的な話にお付き合いいただきありがとうございました。

 

本来書く予定だった記事もこの後アップします。よろしければそちらも覗いていただけると嬉しいです。(*^▽^*)

ちょっと早いけれど、七月の閑話休題です。

 

2026年7月のテーマ

「タイトルが"○○の日"の本」

 

でおすすめしてまいりました。

 

どの本も出会ったのは20年以上前。出会ってから比較的早くに読んでみた本もあれば、頭の片隅に置いてあってずっと後になってから読んだ本もあります。けれどもどれも忘れ難く印象に残っているのは、作品の内容が持つ力のせいだけではなく、タイトルがシンプルかつ印象的ということもあったと思います。

「おしまいの日」に関しては、初対面の時にタイトルから世界の終末の日という意味だと解釈し、終末もののSF作品だと思っていました。(作者がSF作家さんだったことも大いに関係していますが…。)

そのため、カバー裏の作品概要を見て最初の印象とは違う内容に大いに興味を惹かれました。

 

今回は、たまたま思いついたのがタイトルが"○○の日"つながりの本でしたが、タイトルつながりで連想する思い出の本って他にも出てきそうなので、そのうちまたやってみたいと思います。

 

それではタイトルの『「地球が静止する日」を観た話』にまいりましょう。

グーグル検索で"「地球が静止する日」 映画"で検索してみたら、真っ先に出てきたのが、

 

・2008年公開の映画「地球が静止する日」(キアヌ・リーブス主演のSF映画)

 

だったんですけれど、私が探していたのはそれではない…。

私が探していたのは

 

・ジャイアント・ロボ THE ANIMATION -地球が静止する日

 

でした。

ウィキペディア(2026年7月現在)によると、この作品は1992年~1998年までに全7話が発売されたOVA作品だそうです。

今月のテーマを「タイトルが"○○の日"の本」にした時から、閑話休題でこの作品のことを書きたかったのです。2年か3年前に配信(たぶんアマゾンプライムだったと思う)で、このアニメ作品を観たのですが、その時観たものは7話もなくて、映画くらいの長さで一本の作品でした。

この後も物語が続くような形で終わっていて、続編がないかと検索したら当時のウィキペディア(だと思うんですけど…)には"声優が豪華すぎて資金が足りなくなり、続編は作られなかった"みたいなことが書いてあって、すごくがっかりしたので余計に記憶に残っているのです。(まじで声優は豪華ですよ~。)

が、今回記事を書こうと思って検索してみたら、ウィキペディアには全7話のOVA、漫画、小説のことは載っていたけど、映画は載ってない…。じゃあ私が観たのは何だったんだ!!断じて7話も観てないぞ。

…しかたがないので、配信サービスでOVA全7話をみつけて観てみました。あ、作品を観るんだからウィキペディアのあらすじとか概要は読みませんでした!先に知ってたらつまらないもの。

実はちょっと期待してたんですよね。私が観た作品は続きがある感じで終わってたけど、7話もあるんだったらその続きまで描いてあるかもしれないって…。

というわけで、前置きが長くなりましたが、「ジャイアント・ロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」について書きたいと思います。

 

ストーリーとしては…公害もなく完全リサイクルのエネルギー、シズマドライブというものが普及している近未来の地球で世界征服を目論む秘密結社BF団とそれを阻止する国際警察機構がしのぎを削っていた。そんななか、国際警察機構の最年少エキスパートとして草間大作ジャイアントロボを操り、BF団と戦っています。

BF団はシズマドライブの開発者たちから黒いアタッシュケースに入った"あるもの"を奪い、地球のエネルギーを停止しようと暗躍しているのですが…。BF団からアタッシュケースの中身を守る過程でエキスパートたちはシズマドライブ開発時に起きた事故"バシュタールの悲劇"の真実を知ることになっていきます。

 

まず、なぜ私がこの作品を好きかって言いますと、横山光輝漫画のキャラクターがわんさか出てきて、一種のオールスター大集合アニメになっているからです。

タイトルの通り、「ジャイアントロボ」がメインのお話にはなっているんだけど、横山光輝さんのキャラクターが悪の組織BF団とそれを阻止するべく戦う国際警察機構との敵味方に分かれて対決するのが熱い!!!

 

私は小学生の頃に横山光輝さんの「三国志」「水滸伝」の漫画を読んで育ちました。うちにおいてあった唯一の漫画だったからです。(小学校高学年になってからは少女漫画を買い集めてましたが。)テレビアニメの「ジャイアントロボ」「魔法使いサリー」「バビル二世」「仮面の忍者赤影」(←実写ドラマ)辺りは知ってますがドンピシャでみていたわけではなく、かろうじて「魔法使いサリー」と「バビル二世」は夕方の再放送で観たかなという程度。

 

「ジャイアント・ロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」では、「水滸伝」のキャラクターがたくさん出ていて、それだけでもう盛り上がっちゃいました。小さい頃に読んだものって結構覚えているものですね。

物語の始めの方で「水滸伝」の鉄牛っていうキャラクターが出てきたんですが、"二丁斧の鉄牛"とか"黒旋風"というあだ名があるんです。名前が明かされる前からわかったよ!(誰に自慢しようというのか。興奮しすぎてお恥ずかしい。)

こんな人がこんな役を!みたいな配役で、それだけでもう楽しい。

 

ストーリーは完全にSFの世界で用語の説明とかあんまりないまま進んでいっちゃうんでちょっとアレな感じもしましたが、キャラクターたちが超人的な能力を発揮するのでそっちのほうを突っ込みたくなっちゃいました。

 

横山光輝さんの漫画がお好きな方にはたまらん作品だと思います。

 

ところで、7話観終わって分かったことが…私が以前に観たものはどうやら全7話OVAの総集編みたいなものだったということ!

7話目のラストはちょうど私の知ってるところで終わりましたし、ストーリーもほぼ一緒。ロボの戦闘シーンがたくさんあったり、知らないエピソードがはさまってたりして、以前観た時にはよくわかんなかったなってところが補完されました。

やっぱり記憶違いではなく、以前観たものと今回観たものは同じじゃない。

どなたか、「地球が静止する日」(総集編?)の作品をご覧になったことがあれば、教えてください。

私が2、3年前に観たバージョンの作品が実在したことを確かめたいです。

 

というわけで、いつもなら来月のテーマの話にまいるところですが、今月はもう一週あるので次回に書きたいと思います。

今月は閑話休題の記事多めです。

よろしければ次回も覗いていただけると幸いです。(*^▽^*)

2026年7月のテーマ

「タイトルが"○○の日"の本」

 

第三回は、

「おしまいの日」

新井素子 作、

中公文庫 2012年発行、2025年新装版発行

 

 

 

です。

 

私が読んだのはもう30年くらい前で、Pick一番下の新潮文庫版です。

 

新井素子さんの作品を初めて読んだのは中学生のころ。

コバルト文庫の「逆恨みのネメシス」というSF作品でした。"星へ行く船"というシリーズの一作品で、このシリーズは人類が宇宙進出している未来の世界で家出して地球からも脱出した少女が火星のよろずや(何でも引き受ける探偵事務所みたいな?)で仕事するお話でした。

設定はSFなんだけど主人公が普通の女の子(?)だったので、「逆恨みのネメシス」をはじめに結局シリーズ作品を次々と読みました。

それゆえ、私にとっては若いころに親しんだSF作家さんといえば新井素子さんと星新一さんが二大作家さんです。(星新一さんはショートショートが国語の教科書に載ってたので知って、のちに新潮文庫で買って読んでました。)

 

20代になって新潮文庫で新井素子さんの名を目にして思わず手に取ったのが「おしまいの日」「くますけと一緒に」でした。SF作品かと思いきや…というわけで、私の中の新井素子作品のイメージを色々と塗り替えてくれた作品です。

ちなみに、「くますけと一緒に」もSFではなかった…。

 

というわけで、あらすじをば。

結婚七年目の三津子(30)と夫の忠春(34)は賃貸ながらも一軒家に住み、喧嘩もなく穏やかな日々を送っていた。夫は仕事が忙しく毎日帰りが遅い上に休日も仕事や接待ゴルフに出かける日々。子供はおらず専業主婦の三津子は夫の帰りを待つばかりで、家に通ってくる野良猫に名前を付けてかわいがるようになっていく。

そんな三津子と12年ぶりに再会した高校時代の友人・久美は、三津子がノイローゼになっているのではと疑い彼女を助けようとするが、三津子は失踪してしまう。久美は三津子の日記を読んで彼女の心を知ることになる。

 

1992年に初刊行の作品なので、その時代の働き方と今の働き方では良いとみなされていることがだいぶ違います。今初めて読む方は三津子の夫のモーレツ社員ぶりが理解できないかも。

にしても、仕事一筋の夫を毎日待ちつづける専業主婦という立場の三津子が心を病んでいくというのは時代を問わず共感できるのではないでしょうか。

 

この小説は夫に顧みられない寂しさから徐々に壊れていく女性の心情を描いたサイコホラーです。心のありようっていうのは目に見えないしたとえ本人であっても言葉にもしづらい、自覚していない部分もある。だから古くより文学ってものは人間の心について書かれているものが多いんだと思います。「おしまいの日」では、孤独が人の心をむしばんでいく様子が垣間見られて、若い頃の私には少なからぬ影響を及ぼしたと思います。

人生で初めて読んだサイコホラーだったかもしれません。好みでないジャンルの本には若い頃はほとんど手を出さなかったので、読む機会もなかったのです。

 

2026年現在では、若い夫婦は共働き主流といっていいですし、家事が女性だけの仕事ではなくなってる、専業主婦で家にいても暇じゃなくて趣味の活動をしたり勉強したりすることだって堂々とできる。(一昔前は養ってもらってる感があって、遠慮する風潮もあったんじゃないかと思う。)つまり、三津子のような人は少なくなっていて、彼女に共感するのは難しい部分があるかもしれません。

でも、好きな人と一緒に暮らしているのに相手を遠く感じて寂しかったり、友達付き合いがうまくできなかったり、孤独を感じる場面というのは、時代を問わず誰にでもあるものだと思います。

皆が忙しくしている時代だからなおさら、他人の時間を自分と共有してほしいと望むことが自分本位ではないかと恐れてしまうという側面もあると思う。

 

この小説は、寂しさから心が壊れていく主婦の心情を覗くサイコホラーです。

2000年にこの小説を原作とした映画「おしまいの日。」も公開されたそうです。私は映画の方は見ていませんが、本より映画の方が好きという方は、そちらをご覧になるのもいいかと思います。

おすすめいたします。(*^▽^*)

 

 

 

 

2026年7月のテーマ

「タイトルが"○○の日"の本」

 

第二回は、

「復活の日」

小松左京 作、

角川文庫 1975年発行、2018年改版発行

 

 

 

です。

 

私が読んだのは、一番上のPickの表紙デザインで、2020年発行(改版6版)のものです。

だけど検索するとPick二番目の表紙デザインの角川文庫もあるし、一番下のものもハルキ文庫である。

上の二つは出版元が株式会社KADOKAWAで、一番下のハルキ文庫は版元が角川春樹事務所。

どうやら二つの会社は別の会社らしいです。

上記三つの中だと個人的には一番上の表紙デザインが好みかな。

 

この小説は、日本SF界の巨人(だと思う!)・小松左京さんの傑作で、ハリウッドともタッグを組んで映画化された有名な作品です。

いつか読みたいと思いながらそのままになっていて、先日ついに初読を果たしたのですが、そのいきさつについてはまた後で。(誰も興味ないかもですが…。)

ちなみに前回記事のコメントで"「復活の日」とかどうですか"とメッセージをいただきまして、その鋭さに驚きつつ、一方で「やっぱりSF界では超々メジャーなタイトルだよねー。気づかれないわけなかったかー。」と己の浅はかさに恥じ入るばかりでした。

 

…さて、あらすじを。

東西冷戦真っただ中の1960年代後半、各国では兵器開発の一方でひそかに細菌兵器の研究が行われていた。ある研究所から盗み出された危険な菌が事故によりばらまかれてしまった。感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を起こし、残りも全身麻痺で死に至らしめるMM菌は爆発的な感染力で世界中へと広まっていく。

人類の滅亡が現実味を帯びてきたとき、残された人々が生き残り、人類という種をつないでいくために何をすべきか。世界の終末を描いたSFの傑作です。

 

私がこの作品を知ったのは多分学生くらいのとき。金曜ロードショーだか他の映画番組だかでこの作品の映画(1980年に映画化)を目にしました。だけどその時テレビでみたのは、映画のラストシーンだけ。たぶん3分か5分くらい。草刈正雄さんが一人で歩いていて、ある場所へたどり着く…ただそれだけしか知らないまま、いつか最初からちゃんとみるか小説を読もうと思って数十年が経過してしまったのでした。

 

そのまま忘れるともなしに忘れていたのですが、この小説がコロナ禍の折に再び注目を集めたのです。

パンデミックの世界を描いた小説として、カミュ「ペスト」なんかと共にメディアで取り上げられていました。

そこからまた私の読書リストに名を連ね、先日ようやく読むところまでこぎつけたというわけです。

 

いやーもう…ねえ。傑作ですよ。

まず、コロナウィルスのパンデミックを経験した後に読んだからこそ、この本に登場するMM菌の恐ろしさや社会の混乱が現実味をもって感じられました。あの時期の医療現場の混乱や価値観の違いからくる人々の対立、それまでの生活が一変してしまう怖さを思い出したくない人は読まないほうがいいと思います。

私も正直つらく感じられる場面がありました。

しかし、実際にパンデミックが起きてはいない1970年代に書かれたこの小説で描かれている社会の混乱が、まるで未来を予言していたかのように感じられるので、それはそのまま作者のイマジネーションのすごさなんだと思います。

 

私がこれまでに観たパニックものや終末ものの映画では、人と人とのつながりがテーマとして描かれていることが多く、もし世界がなくなってしまうとしたら最後にしたいことは何だろう、とか、最後に一緒にいたい人は誰だろう、なんて考えさせられるつくりになっているとよく感じていました。

だけどこの小説にはパンデミックの進行に伴って人々が世界の終末を意識し始めるようになってからも、もし世界がなくなってしまうなら…いう個人への問いかけを促すようなシーンはほとんどありません。

 

一部の人々は運命に抗おうと戦い、一部の人々は自分の運命を受け入れつつも最後に何か役立つものを残そうとする。

個人の幸福を考えることももちろん大事なんだけど、人類の行く末なんていうとても大きなものを見据えてストーリーはどんどん進んでいきます。

 

そして、世界の終末のお話なのに、タイトルは「復活の日」。人間社会はいつの日か復活するのか…。タイトルからはそのような希望を感じます。とにかくスケールの大きいお話です。

 

最後に。私はかなり昔にこの作品の映画のラストシーンだけ見て、それがすごく印象的だったので、ずっと覚えていました。そして、"小説の最後はきっとあのシーンに行きつくはず"と信じて疑わずに小説を読んでいきました。果たして、ラストシーンは…同じじゃなかった!(小説の最後は記憶している場面とちがってた。)

ストーリーとしては矛盾はないと思うので、映画はあれでよかったのかもしれませんが、個人的には結構ショッキングでした。そのうち映画の方もちゃんと見てみようかしら…。

(同じ小松左京さんの小説が原作の映画「日本沈没」は、中学生の時に理科の授業でビデオを見たことがあります。先生が映画好きだったせいかも。あの映画もショッキングだったなあ…。)

 

それから、小説では科学的な説明がきちんと入っているので、MM菌の特性だとか、なぜパンデミックが起きてしまったのかとか、打開策はあるのかとか、今の私なりに理解できました。が、SF(サイエンス・フィクション)ってやっぱ難しいよ。

 

映画だと設定を丁寧に説明する余裕はないからすごく大雑把にまとめてあって、よくわからなくてもストーリーは進んでいくしお話としては分かるからそれでも問題ないんですが、小説だとお話の前提となっている部分がちゃんとしてないと説得力がなくなってしまうので、読み手側もつまらなくなってしまうように思います。だから私のような文系脳のおばさんでも、理解したいと思って読んでます。ゆえに難しい~となってしまうのかな。

 

というわけで、超々メジャーなSF作品「復活の日」。読んだことない、観たことないという方、おすすめです。(*^▽^*)

 

 

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【2026.8.4 追記】

文中で、コロナ禍で取り上げられていた本に言及した部分で"カフカの「ペスト」"と

記述していましたが、正しい作者は"カミュ"でした。

誤記は訂正いたしましたが、謹んでお詫び申し上げます。

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