四月の閑話休題です。

 

2026年4月のテーマ

「私の忘れ難きヒーロー」

 

でおすすめしてまいりました。

 

今月取り上げたヒーローたちが登場する作品はどれも私が10代~20歳過ぎまでに初読した本です。

今でもたまに読み返す本もあれば、読み返すことこそないけれど折に触れて思い出す本もあり、今では私という人間の一部を構成しているという認識です。

というのも、思春期~青年期にかけて影響を受けたこれらのヒーローたちは、今でも変わることなく私のヒーロー。大人になってから読んではまった作品もたくさんあるし、その中のヒーローたちも私にとっては大好きな存在ですが、"ヒーローといえば"の文脈で真っ先に出てくるのはこれら"忘れ難きヒーロー"たちなのです。

 

ちょうど自分という人間がこれからどんな風になりたいのかを考える時期に出会ったことが、人生の指針として自分にはないものを持っているヒーローへの憧れが強くなった理由かと思います。

生きていくうえでの師匠みたいなものを求めていた気がします。

そんでいつまでたっても同じ師匠を求めているということは、あんまり進歩していないのか…。ないものねだりなんですかね。

 

逆に、このころ読んでいた作品で憧れたヒロインは、師匠って感じではないですね。

以前に書いた記事でいうと、"かっこいいヒロイン"のほう。

手の届かないところにいて、活躍をずっと見ていたいきらめく星のような存在がヒロイン。

 

 

 

30代くらいから、"こんな風になりたいなー"を投影するヒロインが出てきました。

普通じゃないスーパーウーマンばかりなんですけどね。そんでないものねだり。

 

あ、ちなみに今月の"ヒーロー"からはミステリー関連の人物は外してあります。

ポアロホームズも20代に完訳本を読んでドはまりしましたが、ヒーローではあっても師匠ではないのですよ。

"かっこいいヒロイン"に近い感じで遠くからずっと活躍を眺めていたい綺羅星のような存在なのです。

そして決して過去の存在ではない。現在進行形で関連本を読んで情報収集(?)に努めているので…。

まあ、私にとっては、ヒーローもヒロインもいろいろなのです。

 

さて、タイトルの件にまいりましょう。

今年も「先生!シリーズ」が読めた喜びの話、です。

去年八月の閑話休題で、「毎年、鳥取環境大学の小林朋道先生の「先生!シリーズ」を読むのを楽しみにしている」という話を書きました。

 

 

記事を書いた後に読んだ、その時借りてきていた「先生!シリーズ」最新作(2025年1月発行の19冊目)に衝撃の内容があったんです。

なんと、小林先生が鳥取環境大学の学長になられることになった…と。(本が出た時点ではもうすでになっていたかも。)

おめでたいことかもしれませんが、学長になるってことは、研究室で学生の指導ができなくなるということ。

小林研究室はなくなってしまうのです。

これまで幾多の生物たちを研究室で飼育し、研究していく中でのこもごもを書いてくださっていた「先生!シリーズ」も終わってしまうかもしれない…嫌だ!寂しいよう!と思考は暴走するばかりでした。

そもそも本を読んだ時点で出版から七か月経っているんですけどね。

小林先生はSNSで発信もされているので、そちらを調べればどうなるのかはすぐわかるはずなんですが、私は「先生!シリーズ」を通してのご報告にこだわり(なんでやねん)、シリーズ次回作を信じて待つと決めたのでした。

 

そして、今年3月。図書館で「先生!シリーズ」の最新作(2025年11月発行)をようやく手にしたのでした。

毎年1冊のペースだったので、年明けまで次はないと思って油断していました。(だから調べればいいのにね。風の吹くまま気の向くままに本を読むのがモットーさ!)

学長になった小林先生目線の大学の様子や生物とのかかわりが、これまでの本と同様に書かれていて嬉しかったです。

ああ、まだ書いてくれるんだ…とほっとしたといいますか。

しかし、月日の流れるのは早いですね。シリーズも早20冊目です。とはいえ、まだまだこれからも続けられるだけ続けていただきたいです。

 

それでは来月のテーマの話にまいりましょう。

 

2026年5月のテーマ

「シャーロック・ホームズ関連本」

 

でおすすめしてまいりたいと思います。

関連本といっても色々ありますが、最近ホームズのパスティーシュ(模倣)をいくつか読みまして、目の付け所というか、アレンジの仕方が実に様々で面白いなあと思ったので、そのあたりの本をピックアップしたいと思います。

多くのホームズファンと同様に私も原典が一番!ではありますが、如何せん、コナン・ドイルの書くホームズ物の新作は眠っていた作品が奇跡的に見つからない限りもう出てこないので、現代のアレンジ作を楽しむしか道はないとも思います。

それにしても、ホームズのパスティーシュの多いこと!

検索なんかしなくったって、書店や図書館の棚で見つかっちゃう。

ポアロ物のパスティーシュはソフィー・ハナさんの作品くらいしか見つけられてないのに!

ジェラシーを感じずにはいられません。

それでは、来月も覗いていただけると幸いです。(*^▽^*)

 

 

 

2026年4月のテーマ

「私の忘れ難きヒーロー」

 

第四回は、

「ジョジョの奇妙な冒険」(全63巻)

荒木飛呂彦 作

集英社 ジャンプ・コミックス 1987年~発行

 

の第二部~第四部に登場する、

 

ジョセフ・ジョースター

 

です。

 

 

 

 

Pickの一番上が第二部のジョセフ、真ん中(右側の髭)が第三部のジョセフ、第四部のジョセフは…よく見えるコミックスの表紙がPickでみつけられませんでした。

第二部の主人公で、当時(1938年)18歳。

第三部の時点(1989年)では69歳。

第四部(1999年)では79歳。

長く活躍してくれてるところが流石しぶといキャラです。

 

「ジョジョの奇妙な冒険」という作品の概要を説明するのはとても難しいので(なんせ壮大な話なので)、ごくごく基本の話だけ書きたいと思います。

ジョースタ一族の代々の戦いを描いた作品です。

代々といっても同じ敵とずっと戦っているわけではないのですが…。

 

第一部では主人公のジョナサンが吸血鬼になってしまったかつての友(?)ディオと戦う話。

第二部では、人を吸血鬼に変えてしまう石仮面の謎が明かされ、古代の戦士と彼らに対抗する力を持つ波紋の戦士の戦いの話。

第三部からは人が持つ超能力を可視化した存在・スタンドの能力を持つ仲間たちが、蘇ったDIO(第一部の敵ディオ)と戦う話。

第四部は日本の一都市・杜王町(もりおうちょう)を舞台にスタンド能力を悪用する犯罪者と戦う話。

第五部はイタリアのマフィアの世界で酷薄なボスの打倒を目指す話。

第六部はアメリカの刑務所を舞台に初の女性主人公が、父と世界を救おうと戦う話。

 

滅茶滅茶ざっくり書いたんで、知らない方はなんのこっちゃだろうし、知ってる方はうーん…となるだろうと思いますがご容赦願います。

 

で、私の推し!ジョセフは第二部の主人公なんですが、何がよいのか…実は以前のブログにもちょっと書いたことがあります。

 

 

そこで書いたことと重複してしまいますが、ジョセフの敵は常にジョセフよりもはるかに強い相手!それでも立ち向かっていき、知恵を使って負かしてしまうところがかっこいいのです。

心理戦に長けていて、相手の裏をかいたりいかさまを仕掛けたり。

自分の手札をちゃんとわかっていて、それらを使ってどうすれば勝てるかを瞬時に判断、実行する度胸がすごい。

絶対に勝てないと判断した時にはみっともなくても逃げるが勝ち。

名より実を取る…けど、本質的には誇り高いジョースター家の男。

 

もう一つの魅力は、彼の性格。

一見軽薄でひょうきん、いたずら好き。努力するのは嫌いだし、真面目に修行するのは苦手。

だけど本当は友情に熱いし、女の子にも優しい。

どんなに危険でも、やらなきゃならないときには逃げずに真っ向勝負。

この両極への振り切り具合が魅力的です。

 

第三部になると年を取って円熟味を増し、第四部では体力的に衰えたりと言えどユーモアは健在で、若かりし日の彼の戦いぶりを彷彿とするしぶとさに納得です。

 

「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公たちはそれぞれに違った個性を持っていて、どのキャラもとてもかっこいいし、思い入れもあるのですが、その中でやっぱりジョセフがいいと思ってしまうのは、若き日の私が欲しいと思っている資質をたっぷり持っていたからかなと思います。

 

この作品に出会ったのは二十歳前後のこと。

大人になって社会に出る手前くらいのことで、自分の強みや弱み、理想と現実の狭間で悩むことしきり…。

真面目が取りえでもありコンプレックスでもあったので、軽くて努力とか嫌いだけどやるときゃやるぜで結果を出すジョセフのキャラクターに憧れた部分が大きかったのかなと今では思います。

度胸満点なのも羨ましい。

あんまりくよくよしたり後ろ向きになったりしないのも真似したい。

…今も好きなのは、たぶん今でも憧れているから…つまり今だに己のコンプレックスを解消できていないのでしょう。(真面目と書くとなんかいい感じに聞こえるけど、頭が固いとか応用が利かないとかそんな感じかな。)

 

第二部では波紋を習得し、第三部ではスタンド能力を操るなんて、50年経ってるのにまだ進化してる。

そんなジョセフを今でも見習いたい。

ジョセフ以外の主人公たちの物語も、言うまでもなく面白いので私がおすすめするまでもないのですが…それでも…おすすめいたします。(*^▽^*)

 

2026年4月のテーマ

「私の忘れ難きヒーロー」

 

第三回は、

「銀河英雄伝説」

田中芳樹 作

創元SF文庫 2007年発行

 

に登場する、

 

ヤン・ウェンリー

 

です。

作中で階級がどんどん上がっていくので、そこは省略しています。

前回書いたエーベルバッハ少佐は万年少佐の上、作中でも"少佐"として親しまれていますので書きましたが…。

 

 

私が読んだのはPickの下の方、新書版です。90年代に購入しましたが、今では絶版になっているのかな…。

これまでにも何度かこの作品については記事を書いてきたので繰り返しにはなりますが、概要をば。

 

遠い未来、人類が宇宙進出している時代に、専制君主制国家の<帝国>と、そこから逃れて民主主義国家を発展させた<同盟>が互いの存亡をかけて戦争しているお話です。

<帝国>は王侯貴族が贅沢をする一方で庶民は貧困にあえいでいて、身分のあるものが権力を握るのが当たり前。貴族たちはいかに自分たちが利益を得るかしか頭になく、政治も腐敗しています。庶民出身のラインハルトは美貌の姉が皇帝の寵姫になったことで身分を超えて取り立てられ、いつか皇帝を倒して新国家を作るという野望を持ちながら、軍人としてのし上がっていきます。

一方、民主主義国家の集まりである<同盟>では、こちらも政治の腐敗が進み、<帝国>との戦争は政治家たちの権力闘争の道具になってしまっています。中でも、扇動政治家・トリューニヒトは舞台役者のような好感度の高い外見に巧みな弁舌で民衆の人気を集め、一部の過激な支持者たちは暴力行為も辞さない、文字通りの私兵と化していく始末。

<同盟>側の軍人・ヤン・ウェンリーはラインハルトに唯一対抗できる軍略の天才で、士官学校を卒業してすぐに任地のエル・ファシルで多くの民間人の命を救う活躍を見せ、"エル・ファシルの英雄"と呼ばれています。自らは政治にかかわることを良しとせず、民主主義の理念を守ることを信念に、職務を全うしようとしますが、その名声からトリューニヒトをはじめとする政治家たちからは好かれていません。

この二つの理念が異なる陣営による戦いを描いた群像劇です。

 

ラインハルトとヤンがこの作品の二大主人公という感じなんですが、私は完全にヤン派。

理由のひとつ目は、自分が生きていくとしたら民主主義国家で生きていきたいから。

帝国主義は政治がトップの素質(政治センスだけでなく人格や個人の好みにまで及ぶ)に大きく左右されるので、市民が理不尽な迷惑をこうむる確率が高くて嫌です。あと、なんでかなあ…人命が軽く扱われる傾向があると感じるのです。権力者には下々の命なんて自分事ではないのでしょう。(偏見)

民主主義のすべてが素晴らしいとは言いませんが、一人一人に考えたり決断したりする自由があり、政治にも参加できる権利を持っている世界が私はいいです。

ただ、皆に自由の権利があるということは個人個人の思想や意見がぶつかり合うのが当たり前の世界なので、ハッキリとした基準を設けるのはむずかしいし争いごとが多い世界ではあると思います。

 

「銀河英雄伝説」の世界では民主主義の良くない側面が浮き彫りになっていて、

 

・大勢の市民を味方につければ政治家はやりたい放題だということ

・難しい問題について思考することをやめてしまって考えることをトリューニヒトのような政治家に任せるように仕向けられる危険性があること

・市民の利益を鑑みない人物に一度権力を握らせてしまうと解任することは困難であること

 

などを目の当たりにします。決して素晴らしい世界ではない。

それでもヤンは民主主義の可能性を信じています。そのために戦っている。

 

<帝国>と<同盟>のどちらもが政治の腐敗を抱えていて、国家(または共同体)として破綻しかかっている上に理念の異なる外国と戦争している状態です。

<帝国>において皇帝を頂点とする貴族たちを一掃し、政治の腐敗を正すべく台頭してくる革命児がラインハルト。

<同盟>で市民たちが気付かないうちに進んでいく民主政治の腐敗に気付き、己の持つ権限の中で精一杯の抵抗を試みるヤン。

二人のうちではヤンの置かれている状況のほうがはるかに厳しいと私は思っています。

<帝国>では身分が低いものの命はとても軽く、生活面において厳しい状況にあります。その分、腐敗が見えやすく市民にとっての敵ははっきりしているので、皇帝を倒すというのであれば市民はラインハルトの味方になります。

ですが、<同盟>では政治に参加する"権利"を有している市民たちが扇動政治家に踊らされて必要のない戦争に賛成したりしてしまっています。ヤンは戦争の英雄とされて名声を得てはいますが、一軍人の力では世論の流れを変えることなどできません。トリューニヒトに唆された親衛隊のような人たちから襲われたりもします。彼が守ろうとしている民主政治の社会を構成する市民達は必ずしもヤンの味方ではないのです。

だけどそれを受け入れたうえで、自分の信念は曲げない。そこを尊敬します。

(ラインハルトなら、"愚かな民衆ども"とか言いそう。)

 

二つ目はヤンのキャラクターです。

ラインハルトが切れ味鋭い刀のような人物だとすればヤン・ウェンリーは変幻自在の水のような人物。

置かれた状況で、手にあるもので、最善の戦い方を模索するのです。

もともとは歴史学者になりたくて、でも大学に入るお金はなかったから軍隊に入って軍の学校で歴史の勉強をした、という人なので、世の中で起こっていることも俯瞰してみることができる…つまり歴史の一部として客観的な視点で世の中を見ていたりします。

軍人なのにぴしっとしているのは苦手でだらしないところがあって、養子のユリアン君が面倒を見ることもしばしば。

司令官になっても偉そうぶらないでユーモアと本と紅茶を愛していて本当は仕事は好きじゃない。リーダーとかもしたくないタイプ。

私にとっての名場面は、イゼルローン要塞にヤンが仕込んでおいたシステムのパスワードを言った瞬間です。

絶対誰にもわからない、彼独特のユーモアがきいた言葉だったんで。

 

自分の理想の国を作ろうとするラインハルトに対して、民主主義という政治形態は守りたいけど、理想の押し付けはしたくないヤン。どっちの方がフレンドリーかと言ったら(そういう問題ではないことは置いといて…)、もう、決まってますよね。

そうなんです。孤高の天才よりも親しみやすい天才の方が好き。

 

あと、人生選択の自由がある民主主義の社会に生きていながらヤン自身は不自由な生き方をしていて、その中で自分の役割を全うする。自然体でそれができるというところがなんか達観している感じがして、見習いたいです。

自分が望まない人生を歩んで不満を持っている人間はたくさんいるはず。そんな時に「なるようになるさ」と進んでいけるか、不満を手放せずに苦しむか…本人次第ではありますが、比較的簡単にできる人もいれば難しくて立ち止まっちゃう人もいると思います。願はくはヤン・ウェンリーのようにユーモアを持ちながら置かれた状況の中でも前へと進んでいきたいものです。

 

「銀河英雄伝説」については、これまでにも何度も書いていますので、もう耳にタコができちゃうという方もいらっしゃるかと思いますが、おすすめいたします。(*^▽^*)

 

あ、漫画もありますので、そっちを読むのもいいと思います。

原作が長いので、カットされてる部分とか違う部分はあるかもしれません。こちらは全部読んではいないので何とも言えませんが、銀英伝の世界が美しい絵になっているのは心躍ります。

私は道原かつみさん作のものを何冊か読んだことがありますが、藤崎竜さん作のものもあるようです。(*^▽^*)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2026年4月のテーマ

「私の忘れ難きヒーロー」

 

第二回は、

「エロイカより愛をこめて」(全39巻)

青池保子 作、

プリンセスコミックス、 1978年~発行

 

に登場する、

 

クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐

 

です。

 

 

 

 

 

今は文庫版も出ています。(Pickの上から二番目)

Pickの上から3番目と4番目(39巻)表紙の黒髪が少佐です。

でも、私のお気に入りの少佐が表紙のコミックスは、14巻。

リラックスしてるプライベートの貴重な少佐のほぼ全身ショットです。

 

 

伯爵が表紙のお気に入り巻はまた別にあったりして…。

それはさておき、以前の記事でも紹介しましたが、作品の概要を。

男色の美青年、ドリアン・レッド・グローリア伯爵(以下"伯爵"とします)は、気障で華麗な泥棒貴族。窃盗グループを率いて、自らの美意識に適う美術品だけを盗みだします。彼の泥棒家業と、北大西洋条約機構(NATO)の将校・クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐(以下"少佐"とします)の作戦行動がかち合ったとき、両者と敵勢力が絡み合って巻き起こる騒動を描いた漫画です。作品前半は東西冷戦の頃。国際的なスパイが暗躍する諜報活動が少佐の携わる作戦行動であり、任務自体はとてもシリアスな内容のものが多いのですが、そこに伯爵が絡んでくると事態はドタバタ喜劇の様相を呈してくるわけです。

 

少佐はNATO(北大西洋条約機構)の情報将校。A(アー)からZ(ツェット)まで26人の部下がいます。(本名ではなくアルファベットで呼ばれているのです。部下Aとか。)強面で部下を酷使するパワハラ上司ですが、部下たちからは恐れられながらも結構慕われています。

というのも、仕事はすごくできるし大抵のことは器用にこなせる高い能力の持ち主なのに興味の偏りがすごくて、周囲から見るとあれで人生楽しいのかなあ…と心配になっちゃうような人なんです。だから実は部下から心配されている側面もあったりして…。本人的には何も問題ないし、結構人生楽しんでると思うのですが、娯楽だとか人とのつながりだとかにはかなり無関心…に見える人。

そんでしょっちゅう怒鳴ってるし走ってる。せっかち。

 

そんな少佐をなんで私が好きなのかといえば、任された任務は何があってもやり遂げるのがかっこいいからです。

少佐に与えられる任務は世界の経済を狂わせる精巧な偽札の原板を破壊することだったり、重要な情報が入ったマイクロフィルムを回収することだったり、東西冷戦のころのお話だと世界の命運を左右するような内容ばかり。

失敗したでは済まされないのです。

そりゃ青筋立てて激を飛ばしますわ。

世界秩序を守るヒーロー…なんだけど、正義の味方って感じではない。007みたいな凄腕スパイでもない。

 

一方で、任務であれば嫌いな伯爵とも協力関係を築けるし、ツアーコンダクターみたいな仕事を務めたりもします。

任務のためならチロリアンダンスだって踊っちゃう!

とにかく任務最優先なのです。

 

それなのに任務の最中に伯爵が現れると計画が台無しになってしまうので、少佐自ら先頭に立って阻止に動くこともしばしば。まじめで強面、情緒を解さないトーヘンボク…なんだけど、伯爵のせいで人間味あふれるキャラクターになっているところが面白いです。

仕事ができて堅物で怖い人なのに、「がんばれ少佐、負けるな少佐」と応援したくなるのが魅力です。

私は少佐派ですが、伯爵がいなければ少佐はこんなに魅力的じゃないと思っています。

ありがとう、伯爵!

 

さて、最後に私のお気に入り少佐エピソードをいくつか箇条書きにして終わりたいと思います。

 

・ソ連の戦闘機ミグに乗ってかの地より生還

・べろべろに酔っぱらって子熊のミーシャと乱闘

・少佐、同窓会に出席(青年期の思い出編)

・心理実験の被験者になって…むにゃむにゃ(結果は推して知るべし)

・エーベルバッハ中佐!

 

です。(もう長いこと読み返してないけどすらすら出るな…。)

「エロイカより愛をこめて」ファンの方には賛否両論あると思いますが、ここいらでやめておきます。(書いてるときりがないので。)

読んだことない方にはなんのこっちゃな内容でごめんなさい。<(_ _)>

 

シリアスになってもおかしくない内容の作品だと思うのですが、コメディタッチで当時の世界を学べる良い作品です。

スタンドプレーが過ぎる指揮官・エーベルバッハ少佐の活躍に私は今でも胸が躍ります。

おすすめいたします。(*^▽^*)

 

 

2026年4月のテーマ

「私の忘れ難きヒーロー」

 

第一回は、

「剣客商売」[新装版]シリーズ(全16巻、番外編)

池波正太郎 作、

新潮文庫、 2002年~発行

 

に登場する、

 

秋山小兵衛

 

です。

 

 

 

 

実は私が持っているのは1985年発行の旧版なので、ひょっとしたら解説などは私の知るものと違う内容になっているかもしれません。

 

 

私がこの作品に出会ったのは二十歳前後。テレビで時代劇をよく観ていましたが、それまで時代小説は読んだことがありませんでした。(歴史小説はたくさん読んでましたけども。)

初めて手に取った時代小説は、忘れもしない池波正太郎さんの「雲霧仁左衛門」山崎努さんが雲霧仁左衛門を演じられたテレビシリーズを観たのち、書店で小説を見つけたのがきっかけでした。そこから「剣客商売」「鬼平犯科帳」と池波ワールドのとりこになっていきました。

 

上記した三作品は今でも私の好きな池波正太郎作品ベストスリーですが、その中でも「剣客商売」は別格です。

その理由の一つが主人公の老剣客・秋山小兵衛の魅力なのです。

第一話で登場した時は59歳。無外流の達人でかつては四谷に厳しい稽古をつける道場を開いていて江戸では知る人ぞ知る名人でしたが、すでに隠居しています。

息子の大治郎によればかつては厳しい人でしたが、大治郎が長年にわたる剣の修行から帰ってきてみれば人が変わったというか清濁併せ呑み融通無碍なところが出てきたようです。今では悠々自適に日々を暮らしています。

下働きのおはるに手を付けてのちに夫婦になっていますし、隠居の剣客にしては裕福で、どうやら時々持ち込まれる困りごとを解決してあげて謝礼を得ている様子。

剣術の弟子であり、今は岡っ引きの四谷の弥七やその手下の徳次郎に頼みごとをするときはいつもたっぷり心づけを渡して活動資金に充ててもらっています。

周囲からはどうしてあんな爺さんの剣術使いが金持ちなのかと不思議がられてもいますが、小兵衛に助けられたことのある人々からは神か仏もかくあるやと尊敬されています。

風流な一面もあり、食道楽。

一方で、降りかかる火の粉は払うし、身近な人を苦しめる悪には容赦がありません。そういうときの小兵衛はまさに鬼神です。妻のおはるは小兵衛のことを信頼しきっているので、どんな敵が現れても「先生が負けるわけねえよう。」と落ち着いたもの。

 

私は物語の中で小兵衛がとる行動、その時々の判断、語る言葉がすごく胸に刺さって、長年にわたって人生を生きていくうえでの師匠のように感じています。剣の道を極め、数々の勝負をして、切った人の数だけ業を背負っていることを忘れずに生きている小兵衛のように人生を達観することは自分には到底できないと思っていますが、それだけに一つの理想形として私の中に存在しているのです。(架空の人物ではありますけども。)

 

私にとっても神か仏か…に近い感覚の小兵衛ですが、人間臭いところもまた魅力です。

40も年下のおはると夫婦になったのもそうだし時には夫婦げんかもします。大治郎が汚名を着せられた時にも焦燥から怒りをぶつけてしまったりもします。完璧に感情をコントロールしている聖人なんかじゃなくて、機嫌が悪いときも疲れるときも飽きちゃうときもある。でもそれが人間ってものです。

 

私が「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵よりも秋山小兵衛の方が好きなのは、彼が市井に暮らすただの人だからです。

仕える主はなく、大義もない。あるのは己の信念のみ。善悪の判断は自分の心の中の良心に従って下している。

皆が皆勝手に自分の正義を振りかざして自分の思う悪を成敗するようなことは社会的には許されないのが普通です。

許されていては困ります。

だけど、自分の心と法での裁きの間に開きがあることもあります。

小兵衛は善悪の判断とそれに対する対処のさじ加減が私的には絶妙に感じられる(やりすぎ感が少ない)ので、私には響いたのだと思います。鬼平は悪人を恐れさせる苛烈さがあるのでちょっと怖い。

江戸時代は何につけても連帯責任になるので、お上の管轄になるような事件では何もしていない周囲の人たちまで罰を受けることがあって、表沙汰にはしたくないことも多かったのです。だから小兵衛のような人が頼られたりするのです。

 

「剣客商売」シリーズの中でも特に小兵衛の超人ぶりが発揮されるのが、「二十番斬り」。時に小兵衛66歳です。

ちなみに「十番斬り」もあります。

 

 

 

本編を読んで小兵衛の魅力にはまったら、おすすめしたいのが、「剣客商売番外編 黒白(上)(下)」です。

 

 

 

この番外編は、若き日の秋山小兵衛の物語。主人公は波切八郎という剣士ですが、私は小兵衛ももう一人の主人公だと思っています。年頃も近く、剣の達人として互いの腕を認め合っている二人の剣士。

数奇な運命に翻弄される波切八郎と四谷に道場を構えていた頃の小兵衛は真剣勝負の約束をします。

二人はそれぞれに全く違う人生を歩んでいきますが、常にどこかで剣士としてお互いを意識しています。

若かりし頃の小兵衛を描いた貴重な作品であるとともに、剣客同士の真剣勝負にかける思いや剣客としての生きざまを堪能できる作品になっています。

ぜひぜひおすすめいたします。(*^▽^*)