四月の閑話休題です。

 

2025年4月のテーマ

「青春小説に触れよう」

 

でおすすめしてまいりました。

 

第一回から第三回まで、

令和→昭和→明治

と遡って各時代に執筆された青春小説を取り上げてみました。

 

これから独り立ちしていく若者が日々新しい体験をしながら自分の中に湧き上がってくる新たな感情に悩んだり葛藤したり…どの時代においても、青春小説には、主人公が経験を糧にして大人へと成長していく未来が感じられます。

もしも主人公に暗い未来が待ち受けるであろうと予感させるような結末を迎える青春小説があったとしても、誰にとっても未来は未知数なものなので、これからどう転んでいくかわからない。

若さとは可能性に満ち溢れている。

それが青春小説の醍醐味なのかなあと思います。

 

大人になって久しい読者なら、まぶしさを感じるかもしれないし、ノスタルジーに浸れるかもしれないし、一歩引いて冷静に読めちゃうかもしれません。私個人としては、青春小説を読むとこっぱずかしい気持ちになることが多いです。物語の主人公たちと同世代であった頃の自分を思い出してしまい、その頃やらかした数々の失敗が頭をよぎるからです。己に対しては基本ネガティブなので…。でも、たいていの場合、読後には作品から何らかのエネルギーを得ていると感じます。あ、だからたまに読むことがあるのかも…。

 

さて、そろそろタイトルの内容とまいりましょう。

先日ローマ教皇が亡くなられました。

私はキリスト教徒ではないですが、フランシスコ教皇は多様な価値観があふれるこの時代に、他を尊重することを重んじながら世界平和に尽力された方と認識しており、亡くなられたことをとても残念に思っています。

たまたま、先月末に「教皇選挙 コンクラーベ」という映画を見に行ってきたところで、ローマ教皇やバチカンについて(主にウィキペディアで)調べたところでしたので…。

 

というわけで、まず一つ目は、

 

「教皇選挙 コンクラーベ」 2024年

 

です。

コンクラーベというのは、教皇が空位になった際に次の教皇を選ぶ選挙のことで、世界中からバチカンに集まった枢機卿たちによって行われます。選挙は締め切った部屋で行われ、枢機卿たちは外部との接触は禁止されています。

この映画はまさしく教皇が亡くなったところから始まって、コンクラーベの様子を内側から描いてあります。

実際にどの程度リアルなのかはわかりませんが、コンクラーベという儀式のやり方だったり、外部と切り離された教会内での様子などが視覚的に観られるのは興味深かったです。

また、この作品は選挙を扱っているので、政治的なドロドロのお話かと思いきや、中身は完全にミステリー。

改革派の前教皇が亡くなって、これまで進めてきた改革を後戻りさせたくない前教皇派と力を盛り返したい保守派の対立がある中で、人種や民族、出身国もばらばらの枢機卿たちが誰を支持するかという状況で、有力候補を蹴落とす工作が行われ、選挙と並行して謎解きが進行していきます。

それに加えてこの映画では、現代におけるカトリック教会の役割とは何か、平和とはどういうものなのか、というようなことについても語られているし、価値観の多様性についても強いメッセージを放っています。

ストーリーは静かに進んでいきますが、とてもスリリングで、たくさんのものを受け取る映画だと思います。

 

もう一つは、

 

・「天使と悪魔」 2009年

 

です。

映画「教皇選挙 コンクラーベ」を観ているときに、この映画を思い出しながら観ていました。

こちらもコンクラーベを扱った映画ですが、こちらはコンクラーベが行われている外側で起きているテロ事件を解決しようと奔走するアクション・ミステリーです。

ダン・ブラウンの小説が原作で、主人公のラングドン教授はバチカン警察から脅迫状の調査を依頼されてコンクラーベが行われるバチカンを訪れます。脅迫状から秘密結社イルミナティの仕業と分かり、ラングドン教授はそのまま捜査を手伝うことになります。すでに有力候補の枢機卿四人が拉致されており、「一時間ごとに枢機卿を殺し、最後にはバチカンを滅ぼす」という新たな脅迫が…。

コンクラーベが行われているバチカンの外には大勢のカトリック信者が詰めかけており、ローマ市内も大混雑する中で、枢機卿たちを救いテロを止めようと駆け回る、テロリストと追いかけっこに大立ち回りのアクション映画です。

 

同じコンクラーベを扱った映画とはいえ随分と違う二本ですが、先に「天使と悪魔」を観ていたので、"外部のものは決して立ち入れないコンクラーベという儀式の外側で、カトリック教会の根本を揺るがすテロ計画が実行されていた"という内容とまさしく正反対の、閉じられたコンクラーベの内側を描いた「教皇選挙 コンクラーベ」は私の中で対になってしまっています。

 

映画の内容もテイストも全くの別物だし、それぞれの好みもあるかと思いますが、もし興味がありましたら、両方楽しんでみてください。

 

それでは、来月のテーマとまいりましょう。

 

2025年5月のテーマ

「私のあこがれの女性」

 

でおすすめしていきたいと思います。

本の登場人物に私の推しはたくさんいますが、女性として憧れる、こんな風になりたいなあ…と思うキャラクターについて作品と絡めて書きたいと思います。

ご興味ありましたら覗いていただけると幸いです。(*^▽^*)