ロシアワールドカップのアジア最終予選で、日本はタイに4-0で勝ちました。勝点を16まで伸ばしてサウジアラビアと勝点で並んでいますが得失点差で上回って、この最終予選で初めて1位になりました。

 

勝点3を獲得して得失点も4点プラスしたという結果を出したことは良かったと思います。但し、内容的には今一つの出来であり、今後に不安を残す内容でした。

 

特にボランチのポジショニングが攻守共に悪いことが多く、攻撃時ではパスが上手く回らず、守備の時には度々危ない場面を作られてしまっていました。

 

ディフェンスラインで日本がボールを保持している時に、ボランチの山口と酒井(高)がパスを受けられるようなポジションを取っていないため、ディフェンスの選手がパスの出し所に困ってしまうことが多くありました。結果として、精度の低いロングボールになったり、パスミスをしてピンチを招いたりする場面が幾つかありました。

 

特に山口は、センターバックの吉田や森重がボールを持っている時に、真っ直ぐ前にポジションを取ってパスを受けられない状態になっていることが多くなっていました。ボールを保持している選手の斜め前にポジションを取ればパスを受けやすくなるのですが(詳しくは「日本サッカーはゾーンディフェンスが苦手?」http://ameblo.jp/orange54321/entry-12198812708.html参照)、山口はそういった意識が薄いようです。

 

また、山口は守備の時も守るべきゾーンから外れてしまうようなポジションにいることが多く、他の選手がボールホルダーにプレッシャーに行っているのに、山口のポジショニングが悪いためにボールを奪えなかったり、相手に余計なスペースを与えてしまったりすることが少なくありませんでした。

 

酒井(高)は元々サイドバックの選手ですが、今シーズンの途中から所属チームでボランチで出場していることもあり、山口よりはゾーンディフェンスに適応できていました。しかし、所属チームではディフェンスからロングボールが出ることが多くて組み立てにはあまり関与していないこともあり、攻撃時にゲームを上手く組み立てることができていませんでした。

 

日本はボランチが機能不全の状態だったため、攻守に渡って内容が今一つになってしまっていました。更に、UAEから移動した疲れなどもあり、2点以上の差がついたことでプレー強度が落ちたこともあり、タイに押し込まれる場面が多くありました。

 

また、この試合は早い段階で日本が2点差以上の差をつければ、タイは戦意喪失すると思っていたのですが、タイは日本に大量リードされても戦意を失うことなくプレーしていました。このことも、日本が苦戦した要因でした。

 

 

一方、UAE戦で出来が良くなかった香川は、UAE戦とは違い得意のトップ下でプレーしたこともあり、良いプレーをすることが出来ていました。1トップで出場した岡崎も怪我で離脱した大迫に劣らないプレーをし、途中出場の本田もしっかりとプレーをし、これまでの主力選手と言われた選手達も能力を見せてくれました。

 

これで攻撃陣は以前よりも選手層の厚みが増し、戦力が充実してきました。これからは、その時に調子が良い選手を起用していけば、選手が変わっても一定以上の戦力が維持できそうです。

 

ボランチに関しては、長谷部と今野は6月のイラク戦も出場が微妙な状況ですので不安が残ります。特に攻撃の組み立てが出来るボランチで、戦力となる選手を見つけることが必要となります。それができなければ、今後も内容的には苦戦が続くことが予想されます。

 

そして、センターバックについては吉田と森重に代わる選手に目処が立っていません。2人とも、もう一枚イエローカードを受けると、その次の試合が出場停止となってしまいます。終盤のオーストラリアやサウジアラビアとの試合で2人が欠けてしまうと、日本にとっては大きな不安材料になります。

 

 

グループB全体では、UAEがオーストラリアに敗れたことで、ワールドカップ本戦出場権争いは、日本、サウジアラビア、オーストラリアの3カ国に絞られました。日本は1位になりましたが、本戦ストレートインとなる2位以内を確保できるかどうかは予断を許さない状況にあります。

 

前回までの3回までの予選では、本戦出場権を得られる2位以内を確保できないかもしれないという心配をするようなことは全くなく、本戦出場権争いはほぼ無風状態でした。「もしかしたらワールドカップ本戦に出場できないかもしれない」という危機感を持って最終予選を戦っているのは、98フランスワールドカップ予選以来です。

 

本来、ワールドカップ予選というのは、こういった危機感を抱きながら戦うのが普通であり、実はそれが予選の面白さでもあります。今回の最終予選は、久々に予選の面白さを味わえる展開となっています。
  
 

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