FIFA(国際サッカー連盟)、IOC(国際オリンピック委員会)、FIBA(国際バスケットボール連盟)など、本部をスイスに置いている国際的なスポーツ競技連盟は60を超えています。オリンピック種目の競技連盟の実に半数以上がスイスに本部があります。

 

何故、スイスにこれほど国際的なスポーツ競技の本部が多いのでしょうか。その理由はスイス銀行の特徴にあります。

 

一般に言われているスイス銀行とは、スイスのプライベートバンクのことを指しています。口座名義人が表示されない匿名口座を開設することが可能で、守秘性が非常に高く、口座番号が漏れても身元を割り出すことができないようになっています。

 

警察や司法当局も、スイス銀行の顧客情報の開示を求めたり強制的に閲覧することはできません。但し、犯罪に関わるお金だと分かった場合には、スイスのマネーロンダリング条項によって当局への通知が義務付けられています。

 

こういった状況から、スイス銀行は不透明なお金や非合法活動の報酬のやり取りや蓄財や脱税などに利用され、世界各国の独裁者や犯罪者が利用していると言われています。スイスの銀行は、マネーロンダリングの巣窟となっています。

 

そして、スイスの法律には、特定個人に対する賄賂の支払いを違法とする規定がありません。2001年に倒産したワールドカップの代理店であるISLの不正経理についての審問でも、ISLからスポーツ団体の有力者への裏金は、法に問われることはありませんでした。

 

FIFA理事やIOC委員への賄賂は、スイスでは罪に問われることはなく、しかもスイスの銀行口座(プライベートバンクに限りますが)に振り込まれれば、受け取ったかどうかも分からなくなってしまいます。

 

FIFAIOCというのは、清廉潔白ではなく魑魅魍魎とした組織です。ワールドカップやオリンピックの開催地決定では、賄賂が飛び交っているというのは公然の秘密となっています。最近でも、2022年のワールドカップ開催地がカタールになったときの収賄疑惑が、大きなスキャンダルになっています。

 

お金を受け取る側にも送る側にとっても、スイスという国は非常に都合が良いところなのです。これ以外にも理由はありますが、スイスに国際的なスポーツ競技の本部があるのは、不透明なお金のやり取りに向いていることも大きな理由の一つになっています。

 

汚職事件が相次いだことによって、スイスに対して汚職対策の強化を望む声がスイス国外から強まりました。スイスは法改正によって、スポーツ競技連盟に対する不正取締を強化をしようという動きがあります。それに対してFIFAは「不正対策を講じているので法律の改正は必要ない」と、政党や議員に対して過去3年間ロビー活動を行い、法改正をしないように説得をしていました。


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