児童虐待 その3 | onjbのブログ

onjbのブログ

ブログの説明を入力します。

 3月10日のNHKでは,2021年に児童相談所に通告のあった児童虐待件数は108,659件,前年度から1,068件増加したと報道しました。

 警察が摘発した虐待事件は,前年に比べ41件増の2,174件で,被害児童数は,47人増の2,219人となり,虐待による死亡は54人にものぼっています。摘発された加害者は2,199人,その内実父は47・2%を占めています。実母は25・8%で養父・継父は16・9%,内縁の男性は5・2%でした(警察庁統計)。このように,家庭内での虐待は潜在化しています。

 3月に入って半月の間に,大阪府寝屋川市の3歳男児虐待死(2021年7月,介護士の祖母が自宅で孫の頭部などに暴行を加えて死亡させた事件)や岡山市北区の6歳女児虐待死(2021年9月,母親と交際相手による虐待で,救急搬送された後今年1月に死亡した事件),福岡県川崎町の生後11か月の女児虐待死(2018年,母親の頭部強打による急性硬膜下血種による死亡)の新聞報道がありました。

 また,3月7日の新聞には,埼玉県本庄市であった5歳児遺棄事件(母親(30)と交際相手(34),その内縁関係者(54)による死体遺棄事件)が掲載されました。

 この事件では,3人共遺体を自宅床下の土中に埋めたことを認めています。昨年9月6日,市内の飲食店から「子どもが正座し,男性から強く説教を受けている。食事も与えられていない。店に来る度に怒られている。母は男性に叱られているところをスマホで撮っている」と市に通報されました。しかし,市長は「虐待の認識はなかった」と述べていますように,関係機関の認識の甘さが指摘されています。

 2018年6月の船戸ゆあちゃんの虐待死は,心が張り裂けそうな報道でした。十分な食事も与えず,虐待して殺してしまう。わずか5歳の子どもが悲痛な思いで綴ったメモには,余りにも悲惨で残酷な様子が想像できます。

 2019年2月の栗原みあちゃんの虐待死については,周りの大人たちが見殺しにしたのではないかというような事件でした。「お父さんから暴力を受けています。先生どうにかできませんか」と勇気を振り絞って秘密の訴えをしたみあちゃんでしたが,その声が父親に筒抜けになりました。激しい暴力があることを認知していた学校や行政は,なぜ救えなかったのでしょうか。

 このような弱者に対する人権侵害の報道は,心が重くなりますが,大人の責務として黙って見過ごすわけにはまいりません。

           

 虐待には,それぞれの背景があり,様々な問題が潜んでいますが,救えないことはないはずです。どこかに隙や抜かりがあるから,取り返しがつかない事態に至るのです。

それにどう向かい合い,どうかかわっていくべきでしょうか。

 一つは,虐待加害が発生しないための予防対策です。育児不安の親に対する子育て支援が行われていますが,現状は十分か検討の余地があるのではないでしょうか。関係機関には,常に改善の方策を練って取り組む責務があります。

 二つは,虐待通告通告後の行政の対応に問題はないのでしょうか。対応の甘さから悲劇が発生している例が多くみられます。職員の増員も含め,抜かりのない十分な対応ができる体制を整えることが重要です。

 三つは,保育園や学校,病院,警察と児童相談所等関係機関との連携体制は行われていますが,さらに緊密に連携して徹底して取り組んで欲しいと願っています。

 四つは,虐待を受けている児童は,誰かに甘えたい,異変に気付いて欲しい,と思っても自分の感情を見せることをしません。誰にも相談できず孤立しています。寄り添える人や場所が必要です。

 五つは,早期発見,早期対応は何より大事です。常に虐待に関心をもち,子どもの様子がおかしいと思ったら,児童相談所や福祉事務所に通告することはとても大切です。

 

 虐待の相談件数は,増え続けています。私たち大人には,子どもの健全な発達を支援するという使命感をもって,優しさや思いやりで,子どもを見守っていく姿勢が求められています。

 かつての日本の地域共同体のような人々の結びつきで監視ができればいいのですが,現状では行政が中心となって組織化を進めない限り難しいでしょうから,身近で発見すれば決して見逃さず,できることは精一杯やりましょう。

 

 これまでの投稿記事

ブログ⑦

教 育⑩

平 和⑤ 

保 育⑧

沖 縄②