豊かな感性を育てよう | onjbのブログ

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 「良好な人間関係を築くためには,何が大事か」と,保育者や看護師,管理栄養士,教員など職業人を目指す大学生に,それぞれの授業で尋ねた時,「信頼」という返答がありました。    

 そこで,児童生徒や保護者,患者,職場仲間,友人などとの触れ合いにおいて,人を大切に扱う心を持って,相手を敬い,誠意ある姿勢で接すると,信頼関係が育まれるということや,「人を大切に扱う心」というのは,その人の豊かな感性によるものだと説明しました。           

 そして,小学2年生の作文を紹介しました。

 その作文では,自分の名前は,武雄なのに,両親は,「たけ」と呼ぶ。兄の秀夫を呼ぶときは,「お兄ちゃん」と呼ぶ。「たけ」と呼ぶなら,にいちゃんを「ひで」と呼べ,と鋭い指摘をしています。

 そして最後に,にいちゃんを「兄ちゃん」と呼ぶなら,ぼくを「弟ちゃんと呼べ」,「たけ」と呼んだらもう返事せんと,武雄君は訴えています。

 大人の立場では,そのような子どもが内面に抱える歯がゆい気持ちに気付きにくいものですが,子供は真剣にこんなことを考えています。

 この両親は,弟を兄と比べて見下げたり,差別する意図はないだろうと思います。それどころか,お兄ちゃんには自覚を持たせて,弟を可愛がって欲しいという気持ちが内在しているはずですが,7歳の武雄君の立場から考えて見ると,心情は逆転します。

 両親は兄を「ちゃん」付けで呼んで可愛がり,自分は呼び切りにされて人権が無視されている。「おかしいじゃないか」,そんな切ない思いを訴えているのです。

 私たちが,自分の立場や目線で見ると,気付かない,あるいは気付いていたとしても,たいしたことではないと思っていることは,武雄君の提起のように日常生活の中にはいっぱいあります。

 弱い立場の人が置かれている境遇に,原点移動して見ることによって見えてくるものが違います。

 弱い立場の人の目で,自分の身の回りを振り返えると,おかしい,不合理だということはないのか,ということについて,いろんなことに当てはめて考えてみることはとても大事です。

 

    

 それでは,身の回りの生活を点検するために留意すべき視点は,何でしょうか。それは,問題意識を持って,弱者の視点から見るということです。

 職業人を目指す者が大事にすべき視点は,弱者の立場に身を置いて,相手が何を望んでいるのか,いやな思いはしていないかを判断の基準にします。問題意識は,個人の尊厳がポイントです。

 人間としての誇りや願いが不当に踏みにじられた場合,人はどういう言動をとるでしょうか。

 武雄君の場合は,自分のプライドが傷つけられたという思いがあって,いくら両親でもそれは決して許せないという気持ちから,おとうちゃんもおかあちゃんも僕をお兄ちゃんと比べて,見下げていると言う率直な感情を作文に表しました。

 鋭い人権感覚は,差別や不合理,社会の矛盾に対する問題意識を持つことによって,身に付けることができます。

 いじめや虐待,あるいは疎外されている弱い立場の人が,どんなに辛く切ない思いを抱いているのか,ということを考えることができる人は,人権感覚に優れていますので,豊かな感性と想像力で,適切な結論を導きだして,優しさや思いやりの行動に表れます。

 いつも力を振りかざし強者の立場で,人権を踏みにじる行動を起こす人は,貧相な感性と貧相な想像力が内面に充満しています。そのことに,本人は気付いていませんが,その悲しい人間性は誰からも見られています。

 武雄君の場合を見てみましょう。両親がそれをたいした問題ではないと一蹴して,子どもの切ない気持ちを封じ込んだままにしたとしますと,子供の豊かな感性の芽を摘み取ることになりかねません。そうしたことを含め,子どもの思いや願いを受け入れない生活が日常になれば,後々の成長に良い結果をもたらしません。

 子どもの提起をしっかり受け止め,その気持ちに寄り添った対応を心掛けることによって,子供の感性は豊かに育っていきます。

「褒めて育てよ」といわれますが,それは肯定的な姿勢によって子どもは,伸びるという実証に基づいています。