ウクライナ侵攻 その2 | onjbのブログ

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 ロシアによるウクライナ侵攻について,緊迫した状況が続いています。その影響を受け,ガソリン等資源価格上昇に伴い輸入物価が上昇しています。さらに円安​​​​が加わり,国内物価の高騰で日常生活は厳しくなっています

 バイデン米大統領は,ロシアによるウクライナ侵攻は,近日中にも起き得ると警戒を強めています。その背景には,2014年にロシアがウクライナの領土であるクリミア半島を強制編入した際の行動と重なる「偽旗作戦」が存在します偽旗作戦は,敵 になりすまして行動し,結果の 責任 を相手側になすりつける行為です。

 ロシアが,クリミア半島を強制編入するに至った経緯等について,見てみましょう。 

 1991年にソビエト連邦国は崩壊しました。それまでのソ連は,ロシア共和国,ウクライナ共和国,グルジア共和国など15の共和国から構成された国でした。これに地理的に大国に隣り合った東ドイツ・ルーマニア・ブルガリア・ポーランド・ハンガリー・チェコ・スロバキアなどの衛星国が加わって東ブロックが形成されていました。

 ソ連が崩壊すると衛星国であった東欧の国々は,EU(欧州連合)に入りました。ソ連を構成していたウクライナもEUの一員になりたいと願い,ソ連から離脱する機会を窺っていました。

 2009年,EUはチェコ・プラハのサミットで「東方パートナーシップ政策」を決定しました。東方パートナーシップは,EUへの加盟を目標とするパートナー国を含んでいるため,将来のEUの境界となる性格があり,ロシアはEUに反発して対立を深めました。その対立が現実になったのが, 2014年のウクライナ内紛です。

 EUの加盟国になるためには,ウクライナはEUと「連合協定」を,結ばなければなりません。そうしたウクライナの動きに対し,ロシアは離反を承諾できない。EUに対抗するためのユーラシア同盟に入るべきだと迫りました。

 当時のウクライナのヤヌコビッチ大統領は,ロシアと結びついた親露派でしたが,腐敗した政府に対し,首都のキエフの市民は,EU加盟を願い,2013年12月にデモを起こしました。

 そして,2014年のソチオリンピック(2月7日 ~23日)の最中に反政府デモが高まり,2月下旬,ヤヌコビッチ大統領はロシアに逃亡しました。      

 

 それに対し,3月,ロシアのプーチン大統領は,国境に軍を動かして,クリミアを編入するという強硬手段に打って出ました。欧州大陸で戦争が起きるのか。緊張が一気に高まりましたが,ドイツのメルケル首相の提唱した「グループによる対話」によって,戦争は回避されました。

 ところが,突然,クリミアの議会が,ロシアへの併合の賛否を問うための住民投票を行うと発表しました。この時,ロシアは軍を,すでにウクライナ領土のクリミア半島に送り込んでいました。クリミア半島は,地中海に出る出口で,ロシア海軍にとっては,極めて重要な位置にあります。ウクライナがEUに入ればクリミア半島は,NATOに入ってしまうから大変だということで,ロシアは,どんな手を使ってでも絶対に奪いとる計画を立て実行しました。

 まずプーチン大統領は,「住民投票」という方法で正当性を主張することを考えました。選挙をやれば,ロシア系住民が多い。事前にクリミアで世論調査を行って,75%がロシアの編入を希望していることをつかんだ上で住民投票をさせました。少数派のウクライナ人や先住民のタタール人は,選挙をボイコットしましたから,「選挙結果は住民の意思である」と言ってクリミアをロシアに強行に編入して,ロシア化を加速させました。

         

 

 クリミアがロシア編入された後,2014年4月上旬,ロシア系住民の多いウクライナ東部のドネツク州やルガンスク州に住むロシア系住民は,分離独立の動きを強め,各地で親ロシア派による反政権デモを起こしました。

 親露派による反政権デモは,州政府などの建物を占拠して,一方的に「人民共和国」の創立を宣言して,ウクライナで内戦が激化することになりました。プーチンは,勢力拡大という野望を実現するため,ロシア系住民の保護を主張して,ロシア軍が後ろ盾となってその暴動を支援する体制を敷きました。勢いを増した親露派は,2014年 5月11日に両州で住民投票を行い,ドネツク州は「ドネツク人民共和国が主権国家であることを宣言する」と表明しました。そして,ルガンスク州でも「人民共和国」の創設を決定して,ロシアに編入を求める考えを示しました。

 ウクライナ政府や欧米諸国は,住民投票は違法で法的有効性が無く,しかも不正投票(重複投票や票の水増し)が行われているとして認めず,そうした親露派の暴動を「テロ」と見なして,対抗措置をとりました。そして,アメリカを中心とする軍事同盟のNATOもロシアとの関係を見直して,体制強化を図ります。

 そのような中,2014年7月,オランダを飛び立ったマレーシア航空機が撃墜される事件が起こりました。ドネツク州の親露派武装勢力のミサイル(「ドネツク人民共和国(DNR)」)による攻撃と見られています。          

 

 この事件で国際世論を敵にした親露派の支援をロシアが継続することは難しくなり,親露派勢力は追い詰められましたが,8月に入るとロシアは,国境から軍を強行突入させてウクライナ政府軍を包囲して,2個戦車大隊を捕獲しました。さらにロシアの兵力は南部のマリウポリに迫り,首都のキエフまで迫ってきたため,ウクライナのポロシェンコ大統領は停戦に応じざるを得なくなりました。

 丁度その時期(9月4,5の2日間),イギリスでNATO首脳会議が開かれていたため,プーチンは制裁強化をされるのを避けようとして,9月5日,ウクライナと停戦交渉を行い,合意内容を発表しました。

 ところが,2015年1月,親露派は停戦合意を破り,ロシア軍の支援によってドネツクの国際空港を占拠しました。  

 1月23日,国連高等弁務官事務所は,ウクライナ東部での紛争の死者は,2014年4月以降5086人,負傷者1万948人であると明らかにしましたが,その後も状況は悪化の一途をたどり,現在,犠牲者も増え,避難民は150万人以上も出ています。

 結局,2014年9月の停戦合意は守られず,ロシアが支援する親露派による力ずくの勢力拡大が見られ,今なお紛争が続いています。ロシア側の停戦合意違反は,2月18日現在1,566件を数えます。

 現在,アメリカはロシアのウクライナ侵攻の口実の一端として,①ロシア国内での爆破事件の捏造 ②民間人によるドローン攻撃 ③化学兵器攻撃の偽装などを含め,でっち上げによる挑発で,これまでの常とう手段として用いている「ウクライナのロシア人やロシア系住民を守るために対応を迫られた」と宣言し,攻撃に移るというシナリオがあると指摘しています。

 ベラルーシでは,2月20日に終わる予定でロシア軍の大規模な軍事演習が続いていますが,「演習後も撤退はない」と,ベラルーシのルカシェンコ大統領は発言しています。ロシアは,いつでも侵攻できる強力な態勢を整えており,軍事力の偉大さを欧米に見せつけています。

 プーチン大統領は,やると決めたら,どんな方法を使っても成功するまでやりきるという剛腕さと狡猾さがあります。軍の特殊部隊や海兵隊を動員してクリミアに侵攻し,事実上支配下に置きましたが,万一クリミア編入で,不利な情勢に陥ることがあった場合は,核兵器を使用する準備ができていたと話しています。

 核兵器使用とは,正気の沙汰とは思えませんが,NATO拡大を許さないという姿勢を貫く限り,ウクライナの主権を侵害する卑劣な行為であっても,それを正当化する偽旗作戦で臨みますから,予断は許されません。