フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -12ページ目

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その6

お客様が英語を習慣化できるよう、より付き添える存在でありたいと思っている。
そのために考えているのはつぎの4つ。

1) お客様がやるべきことを端的に明示できる、そんな存在になりたい
2) 英会話にとどまらず、英語学習全般を習慣づけられる、そんな存在になりたい
3) なぜ英語を話せるようになりたいか、その再確認を手助けできる存在になりたい
4) 外国にいたら自然に言葉を覚える状態を、ネット上に再現したい

今日は、最後の 4) についてお話したい。


レアジョブ英会話というサービスを始めるまで、
恥ずかしながら僕が知らなかった単語に、
reimbursement という言葉がある。

意味は、というと、
直接的には、費用の返済や償還と言った意味だ。
ビジネスの現場で最も多く使われるのは、
「経費精算」 という意味あいで使われることが多い。

僕は最初、それを知らなかった。
レアジョブのフィリピン側の会社を立ち上げるとき、
スタッフとの会話に初めて出てきて、
それはどういう意味かを尋ね、
reimbursement という言葉を理解した。

そしてそのあと、
スタッフとの会話やメールの中で、
何回も何回も、reimbursement という言葉に出くわした。
そして気づいたとき、その言葉を自然と僕は口にしていた。

結果として、
僕は暗記という努力をすることなく、
 reimbursement という言葉を使うようになった。

見慣れない単語に、様々な文脈で何回も出会い、
自分も使う必要に迫られたわけで、
恐らく、これがごく自然な、単語の習得法なのだと思う。

外国で生活していると、こういう機会に恵まれることが多いが、
日本にいると、なかなかない。

だからこそ、ちまたに単語アプリがたくさんあるのだと思う。
英単語をひとつ出して、4択の日本語訳や英文の中から一つ選ばせる、
そういう単語学習アプリだ。

そして僕はそれを1か月ほどやりこんだことがあるか、
そこで思ったのは、
・テストで4択ならば、効率のいい採点方法
・単語習得という観点からは、このやり方は効率が悪い

実際の会話の現場で、4択で日本語が求められることはない。
文脈の中で使えるか使えないか、求められるのはそれだけだ。

そして、英語が使えるというのは、
数千個の単語や表現を、一定の文法とスピードで、想起したり理解したりできる、
ということに他ならない。

だから、同じ表現に様々な文脈で繰り返し出会う、
この環境をオンラインで実現できたとき、
特に、レアジョブの英会話のように、
勉強らしい勉強ではなく、英語を楽しめる環境で実現できたとき、
お客様が英語力の伸びをどんどん実感できるようになると思う。
もちろん、そのときには、決意がそこまでなくても、英語が習慣化できると思う。

ここまで書いていて (今日は少し長くなった) 
レアジョブ英会話というサービスが目指すもの、
これをつくるのは、相当面倒で大変だと思う。

そして、相当面倒で大変だからこそ、僕たちがやりたい、
僕たちがやれば、日本人1000万人が英語を話す日を、早められると思う。

だからこそ、レアジョブに入って、歴史を早める、そんな仲間を募集しています。

・ユーザー目線でコンテンツをディレクション・プロデュースできる人。
・スマホなどプロダクトに特化した形で、自社開発をやりたいエンジニア。
・外国人エンジニアを英語で動かしながら開発できるようになりたいエンジニア。
・レアジョブのUIをどうにかしたいデザイナー。
・日本の生徒様の要望がかなえられるよう、フィリピン側組織を動かせる、コンサルティング&マネジメントの経験者。

その他、レアジョブの方向性に賛同していただける多くの方々の挑戦を、
レアジョブではお待ちしております!

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その5

お客様が英語を習慣化できるよう、より付き添える存在でありたいと思っている。
そのために考えていること。

今日は、その中の3番め。

3) なぜ英語を話せるようになりたいか、その再確認を手助けできる存在になりたい


レアジョブを退会されるお客様に、
なぜ退会されるか、アンケートを取っている。

その中で、常に上位を占めるのは、
「他の英会話サービスを使うから」 ではなく、
「レアジョブ英会話が難しすぎるから」 でもなく、
「仕事が忙しくなった」 というもの。

「仕事が忙しくなった」 
これは、深読みをすると、次のようなことだと考えている。

・英語ができるようになることが、直近の仕事にはあまり影響しない
・その中で、仕事がたまたま忙しくなった
・結果として、英語に時間を使う優先順位が下がった

英語は、伸びが階段状になるものだから、
伸びない期間があると、どうしても優先順位が下がってしまう。

だからこそ、英語の重要性、
英語ができるようになってその先に何があるか、
お客様にリマインドし続けることは、重要だと考えている。

だからこれまで、様々なイベントや情報配信をしてきたが、
「それを一か所にまとめていった方が伝わりやすい」
との広報の意志があり、
人を増やしてでも、ここも施策として取り組むことにした。

具体的な施策については、また会社からのプレスリリースを待ちたいと思う。

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その4

お客様が英語を習慣化できるよう、より付き添える存在でありたいと思っている。
そのために考えているのは次の4つ。

1) お客様がやるべきことを端的に明示できる、そんな存在になりたい
2) 英会話にとどまらず、英語学習全般を習慣づけられる、そんな存在になりたい
3) なぜ英語を話せるようになりたいか、その再確認を手助けできる存在になりたい
4) 外国にいたら自然に言葉を覚える状態を、ネット上に再現したい

このなかの 2) について、今日は書きたい。

うちに、データ戦略室という部署がある。
名前だけみると、謎の部署だが、
いわゆるビックデータを扱ったことのある、
データ・サイエンティストが勤務している。

彼らがやっているのは、データの分析。
先日プレスリリースを出させていただいたように、
レアジョブは累計1000万レッスン以上のデータを持っている。

その分析は、まさにビックデータ。
とくに、僕たちが知りたいのは、
登録や入会といった、1トランザクションをどうやって生み出すか、
ということ以上に、
英語を習慣化できるよう、レッスンをいかに継続していただくか、
というもの。

トランザクションではなく、継続。
これが実は、データ・サイエンティストの分野でもあまり事例がないらしい。

データ戦略室の長を務める大隅が、
「いやー 難しいですね」 と悲鳴を上げていたので、
「逆に言うと、これがうまくいったら、一冊本が書けますね」 と
僕は返事をしておいた。

そして、彼が分析をすること数か月。
色々収穫があったが、その中でもシンプルな発見があった。

それは、
・英語により高頻度で接触すればするほど、継続しやすい
というものだ。

当り前といえば当たり前なのだが、
これが統計的に証明されたことは大きい。

というのも、英語接触回数が増えることの費用対効果が計算できるようになるからだ。
費用対効果が計算できると、会社としてそこに投資しやすい。

だから、レアジョブは、
生徒様が英会話レッスンを受講しやすい環境を整えるだけでなく、
英会話以外でも、英語に接触する機会を増やしたいと思う。

それが例えば、リスニングコンテンツであったり、
単語力強化であったり、
発音、はたまたTOEICなどの試験対策かもしれない。

ただ一つ言えるのは、うちらしいものを提供しなくてはいけない、ということ。
決意がある方が取り組めるものは、世の中にたくさんある。
決意がさほどない方でも、自然と続くもの。
そういった、人々により寄り添えるものを、提供していきたいと思う。

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その3

お客様が英語を習慣化できるよう、より付き添っていく。
これがサービスの方向性。

そして、きのう書いた、
1) お客様がやるべきことを端的に明示できる、そんな存在になりたい
これを少し補足したい。

というのも、
お客様を迷わせないようにするためには、
やるべきことを明示するだけでは不十分。

ウェブサイトのデザインをもっと向上させる必要がある。



最近入ったあるスタッフと、一緒にランチをとっていたとき、
話題がウェブサイトのデザインの話になった。

「レアジョブのUI (ユーザーインターフェース) って、
 もう少し何とか、なりませんか?」

UIがイマイチなのは知っているけれど、
『ウェブサイトをかっこよくしても収益には貢献しない』っていう、
ホリエモンが2005年ごろに言った言葉のまま、
僕の頭はそこから変わっていないんだよ、
と僕は答えた。

すると彼は言った。

「かっこよくするんじゃありません。
 ユーザーを迷わせないようにするんです。」

僕は、はたと膝を打った。

最近、うちの非常勤監査役になっていただいた方のうち1名は、
従来からの熱心なレアジョブユーザー。

その方と、教材の話になったとき、
Daily News Articleの話になった。

これは、25分のレッスンで使いやすい分量・難易度の、
ニュース記事が、毎日更新されるというもので、
レアジョブの教材の中で最もよく使われるものだ。

だが、その方は、このDaily News Articleのことをご存じではなかった。
僕が知らない、講師側の動きもご存じの方なので、
そこまでわかりにくいのかと、少々僕にはショックだった。

どれだけ教材をよくしても、そこにたどり着けなければ、使われない。

だから、彼が言った、
「ユーザーを迷わせないようにするんです。」
この一言は僕に刺さった。

今更そんなことに気付いたのかと、
IT企業の経営者としては少し気恥ずかしい思いもあるが、
そこをきちんと対処していきたいと考えている。

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その2

レアジョブ英会話は、
お客様が英語を習慣化できるよう、
より付き添っていきたいと考えている。

1) お客様がやるべきことを端的に明示できる、そんな存在になりたい
2) 英会話にとどまらず、英語学習全般を習慣づけられる、そんな存在になりたい
3) なぜ英語を話せるようになりたいか、その再確認を手助けできる存在になりたい
4) 外国にいたら自然に言葉を覚える状態を、ネット上に再現したい


今回は1)。

昨年、レアジョブのサービスの方向性を議論していて、
コンシューマ本部の長を務める小野から、こう言われた。

「レアジョブって、なんか、図書館的なんですよね。
 これって、加藤さんや(COOの)岳さんが目指している方向性ですか?」

レアジョブには、1000個以上の教材が存在して、
3000人以上の講師がいて、
使いこなせる人にとってはまことにありがたいと、
彼は言った。

一方で、例えば彼自身はまだ、英語力を伸ばしている段階。
ときどき、何をやればいいのか、この通りにやっていっていいのか、
わからなくなると言う。

現在のレアジョブは、まるで図書館的で、
使いこなせる人にはありがたい。
一方で、より多くの人につきそっていくためには、
予備校のコースのように、
何をやるべきか明示されていた方が、
いいのではないか、と。

それを聞き、僕は、頭を抱えてうなった。

その通り、だと思った。

僕も岳さんも、進学校出身で、何をどう勉強するか、考えるのは得意。
そして自分がほしいサービスをつくったからこそ、
何をどう使うか迷いやすい人には、きちんと寄り添えていなかった。

だから、まず最初に目指すのは、
お客様を迷わせないこと。

やるべきことを一本道として、提示すること。

このつくりこみをきちんとやっていきたいと思う。

レアジョブ英会話というサービスが目指すもの その1


僕は株式会社レアジョブという会社の社長である。

そして、社長の仕事は、一言でいえば、
「こちらに進むんだ、という旗を皆に対して掲げること」
(by うちのCFO)

会社の方向性とは、すなわちサービスの方向性。
レアジョブのサービスをどの方向に進めていくべきか、
そういう議論をよく社内外でさせてもらっている。

(以前は、そういう議論をする余裕がなかったが、
 最近は体制がかなりしっかりしてきたおかげで、
 きちんとできるようになってきている。
 このへんはまた別途書く機会があればと思う)

で、レアジョブ英会話のサービスの方向性。
それは単純で、
お客様が英語を自然と習慣化したくなるよう、より付き添っていくこと
だと考えている。

「25分129円~のマンツーマン英会話」、というのがレアジョブの一つのウリだが、
低価格で毎日できるからこそ、
それまで英会話に手が届かなかったお客様たちからも、
これまで多くのご支持をいただくことができた。

お客様が英会話を習慣にする、
そのお手伝いが少しできたわけだが、
ここにとどまってはいけない。

1) お客様がやるべきことを端的に明示できる、そんな存在になりたい
2) 英会話にとどまらず、英語学習全般を習慣づけられる、そんな存在になりたい
3) なぜ英語を話せるようになりたいか、その再確認を手助けできる存在になりたい
4) 外国にいたら自然に言葉を覚える状態を、ネット上に再現したい

外国にいると、英語で話すのは自然に習慣となる。
日本にいても、決意がある方が英語を習慣にするのは、(ある意味)簡単だ。
だから、そこまで決意がないという方でも、
日本にいながら英語を習慣にできるよう、
付き添っていきたいと考えている。

上記1)~4)について、順を追って説明していきたいと思う。

タクロバン再訪問 その7

市役所、電力会社、障害を持った人が働く施設や、
フィリピン大学タクロバンキャンパスなど、
いくつかの訪問を終え、
夜、NPOのリーダー藤木さんと少しお酒を飲んだ。

現在計画しているNPOは、被災地タクロバンの復興を支援するものだが、
台風前の状態に戻してもしょうがない。
むしろ、台風前よりも上の状態にしないと、
例えば障碍者が働く製作所などは、たちゆかない。

そのために大事なのは、起業家支援。
被災地タクロバンで障碍を持つ人がつくった家具。
このストーリーがあれば、マニラで一定規模の販売は期待できるのではないか?
そのためには、おそらく製作所の現メンバーだけでは不十分で、
デザインや販売、物流を一手に担う起業家が一人必要だ。
(藤木さんは実際に、ベトナムでそのような起業家と会ったとのこと)

そのような起業家をうんでこそ、今回のNPOを立ち上げる意味がある。

というわけで、最後に、今回のNPOの暫定版の目標を書いて、
タクロバン再訪問記を締めくくりたい。

3年後の中期目標 (暫定版の案)
タクロバンでの100人の労働機会・10人の起業家の創出を通じ、途上国の被災地の産業復興のパッケージをつくりあげる

1年後の目標 (暫定版の案)
被災地タクロバンの小さい成功例・ストーリーを何件か積み、さらなる拡大のための資金調達を可能にする



明日からは、また、株式会社レアジョブのことを書いていく予定。

タクロバン再訪問 その6

そして、最後に、レアジョブの講師たち数人と会った。

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まず、フィリピン大学タクロバンキャンパスの一教室を借りて、
Tutoring spaceを仮稼働させる件については、
とても喜んでくれた。

講師が100人はいた都市で、
講師10人を支えきれるかどうかもわからない、
仮設の設備。

とても小さな一歩、というか、
まだ稼働すらしていないので、一歩ですらない。

にも関わらず、とても喜んでくれたのは、
僕はとてもうれしかった。

一方で、講師たちと議論したのは、
越えなければならない課題がいくつもあることだ。
ネット回線の安定性や、レッスン終了後の移動手段など、
まだ見えきれていない壁がいくつかあるはず。

そして、その中で、お客様へのレッスン品質を犠牲にできないことも伝えた。
タクロバンからだという理由で、何かの基準を緩くしたり、
特別扱いすることはできない。
他の都市からと同じ品質が達成できてこそ、本当の復興なんだと。

その点についても、皆、同意してくれた。

また、藤木さんが起こそうとしているNPOについても、
皆、何らかの形で協力してくれる、とのことだった。

レアジョブの講師は、フィリピン全土に散らばっていて、
しかも、学歴などが高いため、各地域のリーダー的存在であることが多い。
このネットワークを活かしていけば、小さな炎を大きくしていくことができると思う。

タクロバン再訪問 その5

障碍を持った人々が働く製作所の後は、フィリピン大学タクロバンキャンパスに向かった。

2か月前に訪れた時とは違い、
数年前に訪れた時のように、
芝生や花園の向こうに穏やかな海が見える、
素敵な環境のキャンパスに戻っていた。

(僕の写真の技術だとちょっとわかりにくかもです)

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さて、そこの学部長のご厚意で、
レアジョブはひとつの教室を借りることにした。

電力やネット回線の復旧は、学校などの公的機関では重点的に行われる。
いっぽう、家庭など民間の小口施設の優先順位は低い。

だから、完全復旧するまでの間、講師の復職支援として、
大学の夜間使われない教室を借り、
そこの電力・ネット回線で、レッスンを行おうとしている。

借りるのは、21番教室。

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中はこのような感じで、普通の教室。

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コンセントは1か所しかないので、タコ足配線になる。

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まだ契約書の問題が残っているが、
それが解決され次第、始められる予定で、
僕は少しワクワクしている。

タクロバン再訪問 その4

障碍者が働く家具製作所を訪ねた。

山の中、舗装されていない道を車で行くと、
このような建物が建っていた。

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中で働くのは障碍者たち。
主に、IHと呼ばれる、聞こえない・話せない人が多いそう。

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作っているのは、学校施設向けの机や椅子。

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そこの前代表に話を伺った。

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彼女の話によると、

・災害後、まだ電力が復旧しておらず、
 自家発電機を回している
・だが、電力は十分でなく、
 生産量が以前ほどには回復していない
・一方で、発電機を回す燃料費が高くついている
・電力が復旧するにはあと3か月はかかる

・トラックや船が流されたので、
 運搬費が倍以上になったり、運搬が間に合わなかったりしている。

・一方、台風前に取り決められた契約書に従って納品せねばならず、
 赤字がかさむ。

・ただでさえ、台風前から、借金の利息がかさんでいたところ。
 経営は非常に厳しい。

・学校向けの家具だけではなく、
 一般向けの、デザインが洗練されたものを提供できれば、
 より高い利益率を出せるはずだが、苦戦している。

下記の写真は、製作所内で話し合われている、
製作所における問題とその解決方法の一覧図。

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台風前の状態に戻すだけでなく、
さらに+αを目指す、
そんな起業家精神が求められていると感じた。

なお、このような状態の製作所であるが、
被災直後の暴動時には、
設備の破壊や盗難を防ぐため、
屋根の4か所にスナイパーを配置せねばならなかったそう。

施設が稼働しているだけでも、まずはありがたいと思わないといけない。