フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -11ページ目

レアジョブの強み

レアジョブの強みは何ですか、と最近社外でよく聞かれる。

そのたびにお答えしているのは、「人とビジョンです」 という回答だ。

人というのは、ひとつには講師たち。
オンライン英会話事業というのは、会員様のやる気を引き出してナンボの商売。
そしてやる気の源泉は、通常、人から人へと伝わっていくもの。
講師たちが教える情熱にあふれていて初めて、
会員様の心を動かしていけるのだと思う。

レアジョブは、そういった講師たちを3000名以上集めることができた。
フィリピン全土から、多様なバックグラウンドを持った講師たちを集め、
会員様からの予約していただけるか、という競争を通じ、
優秀な講師のみが勝ち残り、この残った3000名たちには、
僕は自信を持っている。


そして、「人とビジョン」のうち、もうひとつの「人」は、会員様だ。
小学校・中学校・高校を思い出してもらえればと思うのだが、
先生から引き出されていたやる気もあると思うが、
もしかしたらそれ以上に、同級生から引き出されていたやる気があったと思う。

CSを僕もやっていた経験から、
または、会員様とのギャザリングなどでお会いした経験からいうと、
レアジョブは本当に、会員様に恵まれていると思う。

自分を向上させたい・より大きな世界で活躍したいという気持ちを持ち、
毎日英語を勉強し続けていらっしゃる会員様たち。
「オンライン英会話の教科書」を出した嬉野さんをはじめとして、
レアジョブで日々学習し、ご家族や知人にも薦めて一緒に使い、
切磋琢磨し合える環境を築いていらっしゃる。

まだまだオンラインに閉じてしまっていて、
会員様同士の交流について、もっとできると思っていることもたくさんあるが、
レアジョブのことを応援して下さる会員様は、
(少し変な言い方なのは承知で言うと)、会社にとって大きな強みと言えると思う。


そして三つ目の「人」は、スタッフだ。
スタッフたちは、直接会員様を教えられない分、
基盤づくりが重要になる。

教材、ウェブ、アプリなどの基盤において、
会員様満足と講師満足とエンジニアリング、
その3つが一気通貫して初めて、
サービスとしての価値が増大し、
会員様や講師にとって、「レアジョブにいる意味」が増していく。

日本やフィリピンのスタッフが、
対等な関係で、妥協なく仕事をしてくれることは、
今後のサービス改善で大きく活きていくと思う。


そして最後に、それら「人」を束ねるだけのミッション・ビジョン。
Chances for everyone, everywhere.
日本人1,000万人を英語が話せるようにする。

一人でも多くの、日本人、フィリピン人、そして世界中の人々が、
国境や言語の壁を越えて活躍できるよう、
これからも頑張っていきたいと思う。

細かいつくりこみが成否を分ける

会社の規模が大きくなるにつれ、
法務や税務をはじめとする、コンプライアンス周りが重要になる。

レアジョブのように国境をこえてビジネスをやっていると、
問題が多岐にわたるから、よけいにそう。

だからこそ、事業を問題なく遂行するうえで重要なのは、
各人の意識・つくりこみが重要になる。

半期目標で定義できる情報量はたかが知れている。
本当に大事なのは、そこに盛り込み切れないこと。

・ユーザーの方を徹底的に向いているか?
・法務や税務など、隠れた問題点を洗い出せているか?
・洗い出したうえで、そこに対してベストなオペレーションやアウトプットを設計できているか?

この事業を成功させたい、
成功させて社会をもっとよくしたい。
そういう思いを、スタッフの一人一人が持てていればいるほど、
半期目標で定義されていないことについてもベストを尽くす。

それが、結果的に、
会社を大きく前に進む後押しになり、
会社をリスクから守る防壁になる。

そういったスタッフに恵まれていることが、
レアジョブの強さの一翼をなしていると思う。

強みと弱みは表裏一体

人の強みと弱みは表裏一体にあると思う。

新しいことに貪欲にチャレンジする人は、
それがリスクテイクの範囲に収まるのならよいが、
「実験的」の水準にまで達してしまうときがあり、
そうすると、不必要な実験までやってしまう。

例えば、本来のプロジェクトや組織の目的を忘れて、
個人の満足を追求してしまう、などだ。

また、分析するのが得意な人は、
それが目的達成上求められる範囲の分析であればよいが、
分析しすぎて、整理がおいつかなくなったときは、
外に対するメッセージが意味が伝わりにくいものになることがある。

こういったことは、個々の人のレベルだけではなく、
国(民族?)のレベルでも同一だ。

日本人の強みは空気を読んで協調的に動くこと。
しかし、空気を読むがあまり、
それが同時に弱みになるときがある。
例えば、本音を言わないときだ。
特に外国人にはわかりにくい。

同じようにフィリピン人の強みは
相手を喜ばせたいと思うホスピタリティだ。
しかし、相手の感情をおもんばかるあまり、
それは弱みにもなる。
例えば、事業上伝えなければいけないバッドニュースを伝えない、等だ。

ビジネス上で成功したいときは、
強みに集中するのが一番いい。

だが、その強みは弱みと表裏一体。
自分の失敗パターンが何かを理解しておき、
「失敗パターンにはまってしまっているな」
と自覚したほうが、
成果は圧倒的に出やすいはず。

同時に、上司がフィードバックするときも、
単に失敗パターンを伝えるのではなく、
本人が持っている強みと合わせて失敗パターンを伝えた方が、
本人に刺さりやすいはずだと思う。

これから日本が、世界一を生み出す可能性は二つ

今日の出会いが面白かったのでメモ。

・これから日本が、世界一を生み出す可能性は二つある。

・ひとつは、課題をチャンスに変える話。
・人口減少や高齢化の前に、労働人口の圧倒的減少が先に来る。
・そこで移民を入れない場合、低賃金労働者が圧倒的に不足する。
 (ちょうど、すき家がお店を今開けていないように)
・そこを、ロボット技術やネット技術で代替できると、
 すさまじいイノベーションが起こりうる。
・例えば、グローバルホークをアメリカから操作し
 アフガニスタンで軍事作戦をやれるのだったら、、
 介護ロボットをフィリピンから遠隔で操作し、
 日本にいる高齢者に介護サービスも提供できるはずだ。

・もうひとつの日本の可能性は、
 金型など鋳造など、
 工業の根幹の技術を持った職人/工場のネットワーク化。
・イタリアが靴で世界一を獲れているのは、
 皮選定、なめし、デザイナーなど、
 職人のネットワークのおかげで、
 そこにしかないものがつくれるから。
・日本にしかないのは、金型や鋳造の技術。
・しかもそれが関東~近畿に固まっている。
・現在だと、大量生産をする大企業がコンペで発注し、
 職人を安く買いたたく構造になっている。
・結果、低賃金・3Kで人がよりつかない。
・だが、それらの職人をコーディネートし、
 顧客価値の高い商品を提案できるようになれば、
 日本にしかない製品をつくれるようになるはず。
・そうすれば、高付加価値商品の中で、
 もっとも粗利の高い部品をつくれる。
・既にその例はあって、京都の金型(?)職人の組合や、
 自転車部品や釣り具で世界トップシェアのシマノ。

(シマノについて、堺商工会議所ウェブサイトから補足: 
 ・技術: 冷間鍛造技術を確立。精密な自転車部品の量産体制を築いた
 ・ネットワーク: 自転車部品にシステムコンポーネンツの考え方をいち早く取り入れた
 ・マーケティング: 操作性に徹した技術開発が同社の強み )


あと、鳥人間コンテストで32キロメートル飛んだときの話も伺い、
こちらも興味深かった。

・飛び始めるときは、飛行機の揚力が重さに勝って、
 100Kg → 90 Kg →80Kg ・・・ と下がっていき、
 0Kgになる瞬間、テイクオフする瞬間がわかる

・テイクオフした後は、無音。
 プロペラがまわる扇風機のような音以外は、
 音のしない世界が待っている。

・32km飛んだときは、1時間半漕いだ。
 1時間半の間、無音の世界、
 琵琶湖から高さ1mの世界を飛び続ける。

・風に大きく左右されるので、
 風の変化を体で感じ、
 漕ぐペースを変えて高度を保つ。

・自転車で走る方が(=つまり地面と摩擦がある方が)
 人力飛行機で飛ぶより効率が良い。
 時速35kmで走る脚力をもって、32kmを時速約20kmで飛んだ。

・鳥人間にとって最高の舞台はエーゲ海。
 風、気温、海など諸条件が整っている。
 100キロメートル以上飛んだ記録があるらしい。

世界を変えたい

やっぱさぁ、

世界を変えたい!

世界を変えるためにビジネスをやっているのだと思うのだよ。

まずは日本を変えたい。

日本を、というより、日本人を変えたい。

新しい日本人像をつくりだしたい。

英語のお手伝いで、もっと世界に出ていく日本人像をつくりたい。

同時に、

日本に入ってくる外国人を、

差別したり距離を置いたりせずに、

対等に付き合える、そんな日本人像も描けるといいなと思う。

利潤は事業拡大のために必須だけれど、

日本を、日本人を、世界を、

変えるようなビジネスがしたいと思っている。

講師、フィリピン人スタッフ、日本人スタッフでのブレスト

レアジョブでは4月、8月、12月に、Tutor gathering をやっている。
最近は、相互理解を深めるため、
インタラクティブ性をより強めたものを実施している。

やはり、
講師たちに聞くと、
いろいろなことがよくわかる。

例えば、
どういうタイプの会員様がどういう状況で困っているか、
を尋ねた。

そうすると、
どういう教材を用意すべきかや、
どういうように講師を探しやすくすべきかが、
よくわかる。

日本で会員様に直接聞くのもやっているのだけれど、
困っている会員様の話を個別に聞くのは結構大変。

でも、毎日レッスンをやっている講師たちに聞けば、
その体験をぐっと凝縮して聞ける。
だから話が早い。

なにより、
講師、フィリピン人スタッフ、日本人スタッフ、
この三者を交えたブレストをファシリテートできるのは、
とても楽しい、
というか、
このビジネスをやっていてやりがいを感じる瞬間の一つだ。

ないからこそ強い

ベンチャーをやっていると、
十分にないことがあまりにも多い。

大企業と比べて、だけじゃない。
上場後何年も経っているIT企業と比べても、
十分じゃないことがたくさんある。

だから、ベンチャーをうまくやるには、
ないことを弱みをいかに克服するかが一つの鍵だと感じる。

だが、一方で、ないからこその強みもあったと思う。

例えば、

お金が十分になかったからこそ、
企業ビジョンや事業内容に共感する人材のみを集めることができた。

マネジメント層をそろいきれていなかったからこそ、
成果次第で早く昇進できると、社内のやる気を引き出すことができた。

社内体制を完備していないかったからこそ、
自分たちにとってベストなものをゼロから考え導入することができた。

サービスにまだ穴があった/あるからこそ、
その穴をちょっと埋めるだけで、お客様から大きく喜んで頂ける。

社会へのインパクトがまだまだ小さいからこそ、
それを最大化してやろうって、社内外、みんなが力を貸してくれる。

十分にあるから強い、だけじゃない。
ないからこその強みはいっぱいある。

レアジョブは、
日本のオンライン英会話市場の中ではでかいが、
インターネット業界の中ではとても小さい。

持てていることの強みと、ないことの強み、その両方がまざった状態だ。
その両方をきちんと活用していくことが、僕の役目だと思う。

ベンチャーで、理想と現実の間にギャップがあるとき

ベンチャーをやっていて、
「こういう組織にしたい!」 
「こういうサービスにしたい!」
という気持ちはあっても、
そうはいかない歯がゆさを、
社長自身が感じることは多い。

リソースが足りないときは、
なかなか実行まで移しきれなかったりするし、
逆にリソースが十分にあるような規模になってしまうと、
規模が故に実行まで時間がかかってしまったりする。

でも、そんなときに大事なのは、
「こういう組織にしたい!」
「こういうサービスにしたい!」
その気持ちをスタッフやメンバーに、伝えていくことだと思う。

誰だって、
理想と現実の間にはギャップがあったり、
時間がかかったりすることはわかってる。
リソースが限られたベンチャーなら、なおさらだ。

でも、だからといって、
「こういう組織にしたい!」
「こういうサービスにしたい!」
トップのこういった気持ちを伝えないでいると、
いつしか、みんな、
「この現実がトップにとって理想なんだ」 と誤解してしまう。

でも、そうじゃないんだとしたら、
「ぼくはこの理想を目指したいんだ」 という気持ちを、
スタッフやメンバーに伝えていくことが大事だ。

伝えた後、
時間がかかったとしてもきちんと実行していかなければならないのは言うまでもないが、
少なくとも伝えたこと自体が、みんなにとってグッドニュースだ。

マネジメントレベルで伸び悩むとき

マネジメントレベルに達して、
そこで伸び悩むとき、
伸び悩みの理由はいくつかある。

その理由の中でよくあるケースは、
・自分の仕事を整理をしていない
というケースだと思う。

ひとりで仕事をしているときは、
整理しなくてもやっていける。
上司からしたら、
何をやっているかわかりにくい部下に映るかもしれないが、
成果が上がっていれば、
まあ評価はしてもらえる。

でも、ミドルマネジメントになったとき、
とくに、他の人をマネジメントする立場になったとき、
そうはいかない。

仕事のやり方が整理されていないと、
部下からすれば、自分が何をやればよいのか、わかりにくい。
他部署やさらにその上の上司からみても、
何がどこまで進んでいるか、わかりにくい。

わかりにくいから、ピンポイントで必要な助力をもらえず、
ひとり、もがいてしまう。

そしてもがけばもがくほど、
自分のやり方が通用しなくなったのはなぜなのだろうと気があせり、
さらに結果が出しにくくなり、スランプに陥り、凹む。

ここで思い出してほしいのは、
マネジメント職のいいところは、
一人で頑張らなくていいことだ。
自分に足りないことがあった場合、
部下や上司や他部署など、
チームの力を借りることが、より容易になっている、ということだ。

だから、まず自分の仕事を整理する。
他人の人にもわかりやすいように、
徹底的に整理する。
そのうえで、助力をあおぐ。
自分はここが不得意で、あなたはここが得意だから、
手伝ってくれないかと、助力をあおぐ。
そうして助けてもらいながら、
いつかは自分でもここができるようになろうと、
必要なスキルはきちんと身に着けていく。

それができれば、いつかはそのポジションで一人前になれる。
整理することを、時間の無駄だと思う人は多い。
だが、それは違う。
整理することは仕事そのものだ。
整理がなくては、仕事が始まっていないのだと思う。

社長の上司

昨年ご出資頂いた、ある株主様のところを訪問して、 ひとつ宿題をもらった。

宿題の内容は、
これからレアジョブが成長していくには欠かせない、
しごくもっともな内容。

僕にでききれるか、という不安も、正直言えばある。
だけど、僕にあったやり方を探しながら、結果を出していくしかない。

7年前、起業する前は、起業することが漠然と怖かった
漠然と怖かった理由のひとつは、上司がいなくなること。
上司がいない状況で、
自分に規律を持たせられるかとか、
自分を成長させられるのかとか、
不安に思っていた。

起業して改めて気づいたのは、
自分が100%オーナーでない限り、社長の上司は株主だということと、
よい株主は、よい上司として、成長のきっかけを提供してくれる、ということ。
だから、上司がいないことを不安に思う必要は、あんまりない。

今でもまだ、どうやってやろうか考えているが、
みんなの助けを借りて、自分らしいやり方で、やりきろうと思う。