最近、注目されている金投資。金投資には、「地金(じがね)」や「金ETF」など、いろいろな方法があります。

 

 地金を購入するメリットは、「自分の手元に置いておける」ことだと一般的には言われています。しかし実際は、金を手元に置いておくことは現実的ではありません。

 本当に手元に置くとなると、保管のための金庫などを購入する必要があり、盗難や災害などにも気をつけなくてはなりません。

 

 より手軽な金現物としては、純金積立などがあります。少額からの購入も可能で、購入手数料が2%から3%程度かかります。

 金は、日本ではモノ扱いとなり、購入時に消費税が別途10%かかります。売却時に消費税は戻ってきますが、保有している間は返ってきません。

 購入先で金を保管してもらう場合は、さらに保管手数料がかかります。

 

 このように、金は保有しているだけで様々なコストがかかります。しかも、利回りなどは一切付きません。基本的には、売却差益のみとなります。

 

 地金の扱いが面倒なのは、お金持ちの人たちにとっても同じです。そこで「金を持ちたいけれども、取り扱いが大変」という声に応えて登場してきたのが、金ETFなどの商品です。

 金ETFとは、金価格との連動を目指した上場投資信託のこと。扱いづらい金現物の代わりに、金価格に連動する証券(電子データ)を売買するというもので、一部は本物の金と交換が可能なサービスもあります。

 

 金ETFは株式市場に上場し、株式と同じように売買できるため、流動性に優れています。もしもの時に、すぐに現金化できるのがETFの大きな強みです。

 直接、金を購入するのと比べて、金ETFは保管などの手間がかからず、購入や売却も簡単にできます。

 

 どうして上場している証券が、金と同じ値動きをするのでしょうか。

 金融市場には、一般投資家から規模の大きい機関投資家まで、多くのプレイヤーがいます。その中には、アービトラージ(裁定取引)といって、価格差益を狙ってサヤ取りをする人がいます。

 たとえば金の価格が上がったのに、金ETFの価格が上がっていなかった場合は、金の現物を売ってETFを買えば、そのサヤが閉じた時に差益を得ることができます。「金のETFは金価格に連動する商品」と決められていることから、市場がその前提で動いていくわけです。

 

 だったら、金ETFのデメリットが何かと言うと「現物がないこと」です。

 もともと金ETFは、年金基金などの機関投資家向けに、分散投資先の1つとして開発されたものです。株などとは違う動きをし、流動性を確保できるという点で、大きな資金を動かす投資家にとっては使い勝手の良い商品です。

 

 けれども、「お金の価値が目減りするのを防ぐ」という目的で購入する場合、金ETFはあまり相応しい商品とは言えません。世の中に出回っている金ETFは、世界中にある金の埋蔵量をはるかに上回っているからです。

 

 安易に「金と名前が付いているから」と手を出すのではなく、きちんと自分の目的と合致した投資法を選ぶことが大切です。

 

俣野成敏


 

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