前編では、米30年債利回りが約19年ぶりに5.3%台へ上昇した背景と、世界に「金利ある世界」が戻ってきた構造をお伝えしました。

 

では、この高金利時代を私たちはどう生きればいいのでしょうか。

 

住宅ローンも上がる。企業も苦しくなる。高金利なんて迷惑だ。

そう考えているなら、まだお金の世界の半分しか見えていません。

 

なぜなら金利には、必ず「支払う人」と「受け取る人」が存在するからです。

 

借り手には「コスト」、貸し手には「収入」

 

例えば米国の住宅ローン金利は、現在6%台を中心とする高い水準にあります。

住宅購入者から見れば、この金利は重いコストです。

 

しかし、お金の流れを反対側から見てください。

住宅ローンとは、資金を供給する側から見れば、不動産という担保を背景に利息を生み続ける「債権」でもあります。

 

同じ6%でも、

払う側には「負担」。

受け取る側には「収入」。

景色は180度変わります。

 

つまり高金利時代とは、全員が損をする時代ではありません。

 

「金利を払う側」と「金利を受け取る側」の差が広がりやすい時代なのです。

 

では、米国債5%だけでいいのか?

 

ここで当然、疑問が湧きます。

 

米国債で5%前後も得られるなら、それだけでいいのでは?

 

重要な視点です。

 

米国債利回りは、世界の金融市場における基準金利の一つです。

 

ただし日本人がドル建てで保有すれば、当然ながら為替変動の影響は受けます。

そして投資家が、そこからさらにモーゲージなどへ資金を動かす理由が、

「スプレッド=上乗せ金利」です。

 

なぜ国債より高い利回りが提示されるのか。

そこには必ず理由があります。

 

信用リスク。

流動性リスク。

期限前返済リスク。

金利変動リスク。

 

投資家が見るべきなのは、利回りの数字そのものではありません。

 

何のリスクを引き受ける対価として、この金利を受け取るのか、です。

 

年利10%だから優秀なのではない。

年利5%だから安全なのでもない。

 

リスクに対して、十分なリターンが支払われているか。

 

ここを見抜くのが投資です。

 

「値上がり」だけが投資ではない

 

長い低金利時代を生きてきた日本人は、「投資=安く買って高く売る」という発想に偏りがちです。

 

しかし、本来の金融にはもう一つの王道があります。

 

それが、「お金を貸して、利子を受け取る」という方法です。

 

株価が上がることを期待するだけでなく、モーゲージ、収益不動産などを通じて、資産そのものからキャッシュフローを生ませる。

 

私はこれを、値上がりを追いかける「狩猟型」に対して、利子という果実を育てる「農耕型の資産形成」と考えています。

 

金利を恐れるな。「立ち位置」を変えよ

 

多くの人は人生の大半を「支払う側」で過ごします。

住宅ローンの金利を払い、カードの手数料を払い、さまざまな金融コストを負担する。

 

しかし、資産を持てば反対側へ回れます。

 

金利上昇を嘆くだけなのか。

それとも、その構造を理解して「受け取る側」にも資産を配置するのか。

 

これからの資産形成で重要なのは、金利が上がるか下がるかを当てることではありません。

 

その金利の「どちら側に自分を置くか」を決めることです。

 

金利を恐れる必要はありません。

 

支払う側だけの人生から、受け取る側も持つ人生へ。

 

「金利ある世界」は、見方を変えれば、私たちが忘れていた資産形成の王道が戻ってきた時代でもあるのです。