40代から60代にかけて経験される心理的な危機や葛藤のことを、「ミッドライフクライシス」と言います。
内閣府の「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」によれば、40歳から64歳のミドル層の生活満足度が、他の年代に比べて低いことが明らかになっています。
ミッドライフクライシスへの悩みが深まったのは、人生100年時代を迎えて、老後が長くなったことと無関係ではないでしょう。
かつて、サラリーマンは55歳や60歳が定年だったのに、今では65歳まで働くのが当たり前の世の中です。結婚や出産も遅くなってきており、全体的に人生が後ろ倒しになってきているのが実情です。
この年代の人で、出世が頭打ちになったり、キャリアが限界を迎えたりしている人は、収入もほとんど伸びなくなります。
現在は、自分より年下の人が上司になることや、中途採用の人のほうが、生え抜きよりも給料が高いといったことも普通にあります。こうした事情も、メンタルにダメージを与える一因かもしれません。
「今いる会社では、なかなか認めてもらえない。本領を発揮する機会を与えられず、思ったように収入も増えない。けれども、家庭があるから辞めるに辞められない」。
このような状況に置かれている人は、どのようにして突破口を見つけていけば良いのでしょうか。
個人的には、諦めることが大事だと考えています。つまり、諦めるべきところと、そうでないところをはっきりさせ、諦めてはいけない部分を死守するイメージです。
たとえば、仕事で評価されないことを、受け入れない人は結構いらっしゃいます。「本当の自分は、こんなものではない」「上司の見る目がないのだ」と思いたい気持ちもわかりますし、実際、そうなのかもしれません。
けれど、少なくとも上司は、会社で評価され、今の地位に収まっているわけですから、その上司が認めない以上、自分は上司の及第点には達していないのだと判断せざるを得ないでしょう。
仕事で評価されない自分を受け入れる。それは、確かに苦しいことではありますが、仕事は人生の一部ではあっても、全てではないはずです。
たとえ「仕事は家族がいるから続ける」という理由であっても、良いのではないでしょうか。家族にとっては、十分役目を果たしていることになりますし、生活が確保されていればこそ、自身の生きがいや貢献ポイントを、他で探すこともできるのですから。
仕事人生を、自分の人生の第一ラウンドだとしたら、今は定年後である第二ラウンドのほうが長くなってきています。第二ラウンドに照準を合わせて、これからどう生きていくのかを考えることのほうが、むしろ重要になってきているような気がします。
側から見て、どんなに成功しているように見える人であっても、全てを手に入れている人などいません。必ず、何かを得る代わりに、何かを失っている。
つまり逆を言えば、何かを手放すということは、代わりに何かを得るための場所を空ける行為でもあるのです。
俣野成敏
★最近、歳を取ったなと感じた人には、この一冊をお勧めします↓
『トップ1%の人だけが知っている「若返りの真実」』
https://www.amazon.co.jp/dp/429612238X/winwinproject-22