真梅雨の出来事
彼のバイクに乗って真梅雨の夕方を走り続けた。大きな背中に頬を寄せて六日町大橋を直角ターン,そのままバイクをブイブイふかして銭淵公園まで行った。ベンチに座って彼にもたれながら, ただ優しい言葉が欲しかった。悲しい判定が2度とつかないようにと祈りを込めながら、模試結果のE判定の部分だけちぎってエメラルドグリーンの湖面に投げた。梅雨の生温い風が、家のお風呂のトリートメントが無くなってリンスが出来なかったせいでやけに枝毛が目立つ私の髪に絡みつく。まるで私の模試結果を嘲笑うかのように。湖面に浮かぶ「E判定」の文字が、ぷかぷか浮いたまま中々沈んでくれない。逆に湖面を漂い始めた。ちょうどその時つがいのカモが飛んで来た。遠慮がちに湖面を探索している。一羽が私の浮かべた6個のE判定一つを餌だと思ってくわえた。そして1秒もしないうちに吐き出した。突然「ギャーギャー」と烈しく鳴きながら2羽は西の空に飛んで行ってしまった。カモだって知っているのだ。 E判定が不味いっていうことを・・・ 監督