ここ南魚沼で大学受験生を数百名指導してきた。だから、時に生徒の思いを知る瞬間がある。思い出は尽きないが今日は特に涙を誘った3人の高3男子の言葉を紹介しよう。

 

その1 母ちゃんへ

監督「お母さんは毎日一体何個の弁当を毎朝作っているの?」

生徒A「5つです。」

監督「4人兄弟だから4つだろうが。」

生徒A[いえ 父ちゃんの分もありますから。」

監督「そうかあ、それは毎日大変だなあ。母ちゃんに感謝しないとなあ。」

生徒がしばらく黙ってから言った。

「この間、普段はそんなこと言わないんですけれど、弁当箱を返した時たまたまかあちゃんにありがとうと言ったのです。」

監督「そうか。母ちゃん喜んだだろう。」

生徒A「それが・・・母ちゃんはお礼なんか言わなくていいよ。おまえが全部食べてくれるのをこうして見たら、かあちゃんはそれで十分だからって・・・」

しばらく2人で黙っていたなあ・・ジーンときたから

 

その2 長いこと話してない父親への気づき

半年に1回、必ず「おまえ、最近父親と何か話したか」と聞いていた生徒がいた。答えは決まって「いいえ 全く話をしていません。」だった。それが高3の夏、授業のあと突然

「監督、俺、昨日・・父親と久しぶりに少しだけ・・・」

「どうした、ついに話したか?」

「それが父が突然おい!肩もんでくれって言ったんです。」

「もんだのか」

「はい。もう数年ぶりです。」

「お父さん喜んだろう」

・・・・しばらく沈黙が続いた。そいつが涙くみながら言ってくれた。

「久しぶりに父親の肩をもんだら目の前の親父の頭を見て俺 俺・・びっくりしたんです。」

「なんで はげてたか?」

「違いますよ!」すこし声を荒げて答えた。

「白髪が多くなって・・・ああ年取ったなあって。そう思うと泣けてきました。」

監督の声も少し震えていただろうな。

「そら年もとるよ。親だから。だけどいいか お父さんの白髪が増える分おまえが大きくなって支えていくんだ。感謝をしておまえなりに頑張れ!」」

 

その3 顔色が変わるほど落ち込んでいても・・・

「なんで?一つ決まっているじゃないか」

「お金を借りて母親は行かせてくれるんです。そこまでやってくれるんだから浪人してもっと上に行きたい・・」

「仮に今きまっている大学にいったら関東圏で働くことになる。お母さんはお前に帰ってきてほしいのか?将来」

2秒もかからなかった。無口なこいつが即答した。

「そうなったら母を呼びます。俺のところに来てもらいます。」

お母さんと弟の3人家族だ。こいつはまだ17歳で大学受験の真っ最中だ。悩みぬいているさなかの強い母親への愛だった。

帰りの車の中でその夜のことを思いだした。17号線を走っていて前が見えなかったのは雪のせいでなく涙のせいだった。こいつは翌日朝から東京に行った。何もしてやれないがお詣りだけはとおもって翌朝、八海山尊神社に行った。

 

この生徒は第一希望に後期で合格した。直後の生徒からのメール

「この数日間、✕△大学か浪人かただひたすら悩み続けました。浪人も覚悟しました。ですが、〇△大後期に合格しました!△△大を落ちてから自信喪失していたんです。ネットに出ている合格した大学の偏差値のあまりの低さにショックもうけていました。自分はこんなレベルかと・・・・が、最後にここが決まるとは夢にも思いませんでした。いい結果になってよかったです!監督にはいろいろ苦しい局面で相談にのっていただき感謝してます。ありがとうございました。」

                                  監督