新入生たちが歓声を上げながら校庭に飛び出していく。

両手をつなぎ、空を見上げ、まるで鳥(うちの高校の上空は肥ったカラス)や雲や国立大までもつかもうとしている。

その姿は2年前の何も知らなかった

この高校に入れば国立大学に届くと信じていた。

 地力が乏しい生徒がいくら量をやってもお勉強の神さまは微笑んでくれない。

生徒の実力が「地面」 国立大学が「空」とすれば

この地球上に空と大地がふれあう彼方は存在しない。

受験から置き去りにされるようなE判定の連鎖の中で、親子そろって大学受験が中学基礎という過去からの旅路だと知った。

 

 伝統的に成績の良い生徒をえこひいきするうちの高校では、あたしはまるで通りすがり。父親の転勤があればまたどこかにいってしまう転校生のようなもの。そんな私を悩ませる 「国立」と最初から入っている進路調査書。その「国立」の2文字を鉛筆で消してみる。小テストと土曜自習会以外何もしてこなかった過去、そして課題をもてあます今の自分がここにいる。できることならこの課題と一緒にゴミ箱に投げすててやりたい!

 

そう叫んだら、学年TOPの親友の良子ちゃんが言った。

「もうこうなったら男しかないよ! 受験なんかその辺の私大でいいよ。みんなそうじゃん!」

説得力があるよね。 おとこ・・・そうか!

いつも上越線の上り電車で、ドア近くのポールによりかかるように一人で立っている男子がいる。かっこいいい。私服だから長高かもしれない。涼しそうな目をして車窓から外だけ見ている。中学生を降ろさせないよう入口の辺にたむろしているばかな高校生たちと大違い!

 

男子高校生って? 浦佐出身 17歳 最後に出てるよ

監督