ワールドダイスターのₙC₅「Etoile」「Farewell song」「ウタカタメロディ」ほか | A Flood of Music

ワールドダイスターのₙC₅「Etoile」「Farewell song」「ウタカタメロディ」ほか

 

はじめに

 

 自作のプレイリストからアーティストもしくは作品毎に5曲を選んでレビューする記事です。第2弾は【ワールドダイスター】を取り立てます。普通に読む分に理解の必要はありませんが、独自の用語(nの値やリストに係る序数詞)に関する詳細は前掲リンク先を参照してください。

 

 

 過去に当ブログで同作品の音楽に言及したのは上掲記事が唯一で、与那国緋花里「てぃだんちゅ MEETS てぃんがーら!」(2023)に軽くふれています。同曲はアプリ『ワールドダイスター 夢のステラリウム』の楽曲ですが僕はこれを未プレイなので、作品知識の仕入先は2023年に放送されたテレビアニメのみです。従って、本記事にはアニメのネタバレが多く含まれます。加えて、本作は作中用語がタイトルになっており文脈上混同する可能性があるため、以降は作品名を略記でWDS、称号をそのままワールドダイスターと書いて区別しました。

 

 前置きは以上で、ここからWDSのₙC₅を書き始めます。現時点でのnの値は15/3[=5*3]、レビューするのは「Etoile」「Farewell song」「New Nostalgic Friend」「ウタカタメロディ」「小さな奇跡の降る夜に」の5曲です。

 

 

「Etoile」(2023)

 

 

 ファーストスポットは新妻八恵が歌う「Etoile」に当てます。アニメ第12話の挿入歌で、作品の性質上劇中劇と表現して『オペラ座の怪人』の一幕に使用された楽曲です。これも紛らわしいので区別しておきますと、以降で「作中」と書いたらWDSのキャラクターないしストーリーの話、「劇中」と書いたら劇中劇の登場人物つまり役どころの話をするマーカーだと捉えてください。また、作中で静香が「原作とは所々設定が変わっているけど」と述べている通り、他のバージョンの知識を持つ方には違和感のある記述が含まれているかもしれません。

 

 

 八恵扮するクリスティーヌは未だ無名の歌手でありながらその歌声は確かで、オペラ座の歌姫カルロッタのゴーストシンガーの立場に甘んじています。この転倒に怒り心頭のファントムによって、重要なコンサートの最中に係る嘘が白日の下に曝されるシーンで歌われていたのが本曲です。これをアニメの視聴者目線で位置付けると、「劇中劇中劇のオペラソング(実際に歌っているのは別人)」と複雑になります。ともかく表向きはカルロッタ延いてはプリマドンナを演出するための楽曲なので、19世紀フランスの史実を意識するとそもテーマからして重いのが特徴です。

 

 というのも曲名が「Etoile」で舞台がオペラ座とくれば、連想されるのはドガの代表作『踊りの花形(エトワール、または舞台の踊り子)』だからで、一見華やかなこの絵に描かれた怖い一面については多くの方が知るところでしょう。重苦しいストリングスにサフォケーション*1、儚げな鍵盤にシンチレーション*2を想起させられるオケに導かれて、"古ぼけた舞台[いた]に ほこりが舞う/爪先潰して 軋む音立てる 踊れバレリーナ"と紡がれる序幕だけでも、本曲(衰退していくグランド[オ]ペラ)が抱える厳しい世界観の提示には十分です。

 

 *1 suffocation(英):窒息。2番の同位置(Aメロ)"吐く息は浅く 乱れる鼓動"にも掛かる。

 *2 scintillation(英):星の瞬き。étoile(仏)本来の意味は「星」。

 

 続く"人のない客席 音のない歓声/時計が 動き出す 幕よ 迫り上がれ"は、孤独な自主練習の模様から羽搏く日を夢見たものとも、"(Inside my mind, Inside your mind)"から繋がって心象風景で理想のエトワールを演じているとも取れるけれど、この一節に限っては劇中人物のメタ的な解釈を推します。即ちクリスティーヌが置かれた状況を歌っているとの受け止めで、カルロッタのゴーストとして歌う自身には観客も称賛もなく、しかしファントムの義憤で強制的に表舞台に引き摺り出されたその瞬間から、クリスティーヌの歌手人生が文字通り幕を開けたというプロットの反映です。

 

 上記のどの理解でもサビが最も眩いモーメントであるのは道理、旋律も伴奏も華やいで美しく舞い始めます。しかしそれは血と汗と涙の軌跡を幻視するような苛烈な流麗さで、"ゆらり ゆらり 揺れている/月明かり 照らされて 光る汗 宝石の粒/パ・ドゥ・シャ アン・ドゥ・トロワ 輝ける日まで"は、軽やかにしかし着実に「星」を目指す可憐な少女が隠した痛みの履歴です。飛んで2番BメロとCメロの歌詞も感動的で、"声のない台詞は こころの調弦/奏でる 琴線歌 生きていくレヴュー"の生存戦略と、"いずれ来る終曲に 後悔がないように/選ばれず 消えた夢に 誇れるように"の生存本能に鑑みて、願わくは本曲の"me"こそが未来のエトワールであれと独り言ちます。自らを高める努力を惜しまないのは勿論のこと、夢破れた他者をも思い遣る心を持ち合わせているのですから。

 

 

 歌詞解釈のフェーズとしてバレリーナの心情に寄り添ったものを第一の視点、クリスティーヌの境遇に照らしたものを第二の視点とするなら、WDSのキャラクターである八恵の視点を第三に据えられます。望有にセンスを見出されて聖歌隊から引き抜かれ何より望有の演技に心惹かれたのに、曰く「シリウスからワールドダイスターを輩出する―― それまでは舞台に立つ気はありません」で裏方へと転向してしまった彼女との再共演を熱望する八恵にとって、一刻も早くワールドダイスターという名のエトワールを掴みたい動機は充分だからです。

 

 

「Farewell song」(2023)

 

 

 引き続き同じステータスの「Farewell song」にフォーカスします。つまりアニメ第12話の挿入歌であり、『オペラ座の怪人』にて使用された楽曲であり、八恵扮するクリスティーヌが歌うオペラソングです。ただし現実のクレジットには差異があって、作詞者が唐沢美帆さんなのは共通していますが、「Etoile」の作編曲者はRyuさん、本曲の作編曲者はSHIBUさんであることを補足しておきます。

 

 ファントムとして真の歌姫・クリスティーヌの誕生に関わり、その後も楽屋裏から聞こえる天使の声として彼女の音楽的才能に資する働きをし続けた彼は、要するにクリスティーヌに恋をしていたわけです。ゆえに彼女が他の男(ラウル子爵)に靡くのは許し難い裏切りで、嫉妬に狂った彼は自分を選ぶかさもなくば死かを突き付ける凶行に走ります。しかしクリスティーヌの心は元よりファントムに向いており、「私の音楽の天使はあなた」と告げて口付けするほどにその想いは深いものでした。ダメ押しの「あなたを愛しているから」で想いが通じてハッピーエンド…とはならず、ずっと人を遠ざけていたエリック(ファントムが打ち明けた本名)にとってその愛は「生まれてきて良かった」と初めて思わせるのに充分で、満たされてしまったからこそ「これ以上彼女を繋ぎ止めるわけにはいかない」と、真にクリスティーヌを想うがために姿を消す決断をします。

 

 だからこそ「Farewell song」"お別れのうた"なのです。劇中ではエリックが作曲した歌という設定で、今夜(凶行と同日)の舞台でクリスティーヌに歌って欲しいと彼自ら願い出ます。果たしてこれはカーテンコールにて実現したものの、聴衆の中に彼の姿はありません。劇中では本曲について「君とレッスンをしたあの歌だ」とも言及されており、要するに凶行の前からその顛末がどうなるかに関係なく"お別れのうた"は存在していたわけで、これが歌われる時がそのまま別離の時になると互いに予感していたことが窺えて一段と涙腺にきます。"ありがとう さようなら/お別れのうたを 最後に捧げよう 愛おしいひとよ"の素直な言葉繰りが空虚に響かないのは、背景にドラマチックな物語があってこそです。

 

 その旋律は熱も色もない炎が次第に本来の姿を取り戻していくかのように展開し、冷たく揺らぐ陽炎の如き美しさと非科学的な形容をしたいAメロに始まるも、Bメロでは"孤独で 自由な メロディ 羽ばたかせる"の歌詞通りに音符の疼きが感じられ、その秘められた熱量が一気に解放されるサビはキャッチーでありながら決して陳腐ではない進行で聴く者の心を強く打ちます。"よろこび かなしみ/忘れないように 心も身体も 音楽に変えて"とあるように、全身全霊が込められた音楽が神韻縹渺たるのは当然です。これには死が匂わされている点も大きく寄与し、"鳴り止まぬ愛と 祈りを捧げよう 生きてゆくひとよ"で生者と距離を置くことや、"波形に揺らぐ日々は今 生きた証となり奈落へ"で己の末路を暗示することに、エリックの抱える苦悩の大きさとそれに比例したクリスティーヌへの深い愛情を読み取れます。

 

 

 「Etoile」が全体的に重厚で歌劇曲の印象を強めていたのに対して本曲はアレンジがやや軽快なので耳に残り易く、アニメ最終話のクライマックスを演出する作中楽曲の観点でも申し分ありません。またもWDSのキャラクター視点を盛り込むなら、本曲に謳われている別離はファントムを演じたここなと彼女のセンスとの間にも成立するからです。前置きでネタバレ宣言はしましたが本件は殊更に重要なファクターなのでズバリとは書かず、知冴が両者の類似性(ここなとセンス・クリスティーヌとファントム)を指して語った「おかしいよね 消えるためにあるセンスなんて ナンセンスだ」を、作中いちばんのお気に入り台詞として引用するに留めておきます。ここは佐々木李子さんの声優としての演技が絶妙で、皮肉交じりに可笑しさを指摘する台詞なのに嫌味がなく流石のさすちさです。

 

 

「New Nostalgic Friend」(2023)

 

 

 前2曲で八恵とここなにフォーカスした流れで、お次は2人のデュエット曲を紹介します。…と本題に入る前に、3曲続けて長縄まりあさんの歌声に迫ることになるので、彼女の歌手としてのポテンシャルの高さについて語らせてください。

 

 僕が最も長期間馴染みのある「CV:長縄まりあ」のキャラクターは『Tokyo 7th シスターズ』のヒナです。ガールズバンドのドラマーというポジションであるため、4Uの楽曲でその歌声を堪能出来るのは主にコーラスではありますが、リンク先にレビューした「パフェ・デ・ラブソング」(2017)のようにメインのボーカル曲も存在します。同曲がとてもキュートな仕上がりになっているのも一例で、そのあどけない声質のせいか他の作品に於いても実際に或いは見た目が幼いキャラクターのCVを担っていることが多いです。当ブログに長縄さんの名前を出している記事から例示すれば、『小林さんちのメイドラゴン』のカンナ『はたらく細胞』の血小板は鉄板でしょう。この性質は当然ながら主題歌ないしキャラソンにも反映され、前者では「迷子のかいじゅう」(2017)を、後者では「先生あのね」(2018)をオススメします。

 

 

 声質に補足すると幼いと言っても活発な感じではなく、何処となくダウナー系というかぽやっとした雰囲気が漂うのも特徴です。同様に当ブログ内から例示しますと、『スロウスタート』OP曲「ne! ne! ne!」(2018)『ステラのまほう』ED曲「ヨナカジカル」(2016)などのきらら作品では、少し陰があるところを買われて起用されている気がします。前者は「ほんわかびより」(2018)を聴けば尚解り易いです。このように数ある中で最も長縄さんの歌声を活かせていると個人的に絶賛したい作品は『オンゲキ』で、今後ゲキチュウマイのₙC₅を書く際にレビューの可能性がありますが、リストの1stに「どうぶつ☆パラダイス」(2019)、「ぱくぱく☆がーる」(2020)、「YAMINABE☆PANIC~ご馳走詰め込みフルコース~」(2021)、「Handmade Good Day」(2022)と4曲も有栖メイン曲を入れているくらいには好んでいます。加えて、始まったばかりの『わんだふるぷりきゅあ!』で主人公に抜擢されている活躍ぶりから、今後もっと可愛い楽曲が増えるのは間違いないと期待大です。

 

 こうして様々な作品の参加楽曲と比較すると、本記事に紹介したWDSのそれらは寧ろ異端の例と言えます。八恵は11歳なので幼いキャラクターに声を当てているという点では王道をおさえているけれど、設定的には作中でも屈指の実力者であるためその歌声に緩さは不要というチャレンジングなCVです。初めて「Etoile」と「Farewell song」を聴いた時は正直驚きまして、従前のイメージを覆す正統派の歌唱に長縄さんの新機軸を見て感動しました。

 

 

 ここでようやく「New Nostalgic Friend」の話に移って、本曲を上述の立脚地から語れば「従前のイメージに近い楽曲」と言えます。八恵がメインの1番は聴けば瞭然ながら、別けても1番Aメロの"眼を伏せたの"の部分が長縄さん成分マシマシです。アニメ第6話の挿入歌で、劇中劇『アラビアンナイト(「アラジンと魔法のランプ」)』の楽曲としての披露と、それに向けて自主稽古に励む2人のシーンのBGMとしての使用が同時だったので、劇伴的にはキュートというかポップに振れてもOKだったのだろうと推測します。さて、またぞろ劇中劇について掘り下げて考察だの歌詞解釈だのを始めると長くなってしまうため、本曲のレビューは音楽的なツボに絞って書くことをご容赦ください。

 

 

 ここなと八恵のデュエットが楽しいナンバーで、フック("新しくて懐かしくて"のスタンザ)は例外として両者の歌声が徐々にリレーじみていくところに技巧性があります。1番は八恵が単独で平歌を歌い切りサビにここなが副旋律で入ってくる程度、ここなメインの2番はサビを持たないのもあってかAメロとBメロで八恵が都度主張し出す程度で、この段階では未だデュエット感は弱いです。ジャジーなピアノソロを経た後のセクションは表現に迷い、Cメロ+Bメロとするか全体で変則Bメロとするか…ともかく長いプレコーラスに突入します。その後半でいよいよサブのメロディが目立ってきて、以降に更なる補完的な進行を期待させる楽想です。

 

 落ちサビでワンクッション入るも"どうしてだろう?君がわかる"のハーモニーにたまらない気持ちになって、満を持してのラスサビで披露される期待通りのハッピーなデュエットに心が弾みます。この有頂天に至って未だ次の展開が控えているのが本曲の真骨頂で、ラスサビ後のフックが英語詞になってコーラスと化しただけでも驚きなのに、Dメロと表したい新たなフレーズの存在に一段と意表を突かれました。特に"初めてなのに懐かしい気持ち/おとぎ話の中で知り合った みたい"の部分が素晴らしく、ここまでの旋律からは凡そ想定されないリズミカルな音運びを俄に前面に出してくるのは良い裏切りです。大衆的なテーマを持ったジャパニーズラップらしいエモさ、もしくはポップゴスペルのクロージングに於けるアドリブっぽい自由さを、長縄さんがやるとこうも素敵かと沁み沁み思いました。

 

 

「ウタカタメロディ」(2023)

 

 

 残す2曲はユメステからピックします。前置きに書いた通り僕はアプリ未プレイ勢で、歌唱を務めているキャラクターのことも楽曲に纏わるストーリーも全くわからないので、レビュー出来るのは楽曲に関してだけです。その1曲目には銀河座に所属の雪とラモーナによる「ウタカタメロディ」を選びました。

 

 仰けから自分の趣味嗜好に全振りして他アーティストの名前を出す無遠慮さをご寛恕願いまして、本曲については2000年代のI've Soundを彷彿させるところを甚く気に入っています。メジャーデビュー後のKOTOKOさん詩月カオリさんの優しいタイプの楽曲にありそうな感じ、クリエイターで言えば中沢伴行さんか井内舞子さんの手に成りそうなオケの質感に懐かしさを覚えました。言わんとしていることの詳細は各種リンク先で熱く語っているのでご覧いただければと思います。

 

 本曲を手掛けたYUU for YOUさんは他のワークス*3でも注目している御仁で、それらに鑑みると本曲に係る一昔前の趣は敢えて醸成されたものであるとの理解です。とりわけ2番Bメロ後の間奏部が顕著で、リード音の好い意味でのチープさが美少女ゲーム全盛期のサウンドスケープに聴こえます。ここに限らず終始現代風の音作りは抑制的、歌声と主旋律を立てることが第一義といった編曲です。そうする意義は十全と言えるほどに本曲のメロディは何処を切り取っても綺麗でキャッチーで、ゲームのための楽曲ということも意識された結果古き良きアウトプットになったのではと分析します。なお、他の作品で花井美春さんと田中美海さんの歌声にI'veの歌姫を重ねたことはないため、ボーカルへの処理またはディレクションで絶妙に当時代性を付与したのだろうとの推測です。

 

 *3 リストに現時点で他に入れているのは、『アイドルマスターシリーズ』の1stに「パステルカラー パスカラカラー」(2021)、2ndに「あおぞらサイダー」(2021)、3rdに「よりみちサンセット」(2019)、『ラブライブ!シリーズ』の1stに「POP TALKING」(2022)の都合4曲で、全て鑑賞すれば多彩なトラックメイキング力を有した方だと腹落ちするでしょう。今改めて聴き直したら「あおぞら~」も「よりみち~」も1stに格上げしたい気持ちが湧いてきましたから。笑

 

 

 

 【追記:2024.2.29】 後に上掲リンクカード記事で「POP TALKING」をレビューしました。 【追記ここまで】

 

 

 
 

「小さな奇跡の降る夜に」(2023)

 

 

 ラストに紹介するのはまたも銀河座から、リリヤとラモーナが歌うクリスマスソング「小さな奇跡の降る夜に」です。せっかく3DMVがあるのでアートトラックではない埋め込みをします。多幸感に満ちた楽曲全体の雰囲気が好きなのは前提として、ピアノが闊達で楽しげなのが本曲を好む最大の理由です。別けても1番のそれに対する2番Aメロでの変化が大胆で、"街中が 賑やかに 装っていくのは"の裏でまさに忙しない動きを見せる自己言及性も、"寂しげな 表情を 忘れるためなの?"でスッと主旋律のフォローに回るのもテクニカルで唸らされます。作編曲を担った松坂康司さんの手腕を絶賛するのは、内田彩さんの「Sign」(2019)をレビューして以来ですね。

 

 

 

おわりに

 

 以上、WDSのₙC₅でした。「小さな~」だけ文章量が少なく最後で力尽きたのかと思われそうですが、書き始める前は全曲ともこれくらいの言及にしようと考えていたので寧ろ理想形なのです。なぜならₙC₅は比較的気軽に書くために考えたフォーマットで、且つWDSはリストに作品名で登録しているタイプとしては最新の17番目;即ち最も聴き込みが浅い部類に属するため、どのみち突っ込んだことは書けないと踏んでいました。

 

 しかしいざ書き始めると、レビューのためには最低限の作品知識が必要だと感じてアニメをざっと観返すことになり、すると当然ふれるべきポイントに気付かされたり書きたい想いが溢れたりしてくるもので、あれもこれもと追加していたら特集記事並のヘビーさになってしまった次第です。『オペラ座~』絡みは2曲扱うのである程度の掘り下げを覚悟していたものの、同じ調子で『アラビアン~』に向き合うと本格的に作品特集になってくるので自制しました。それなのに「New~」の前段階で長縄さんにフォーカスしていたら布教心が芽生えてきて、色んな作品のお気に入り楽曲に脱線して結局長くなる体たらくです。この流れを「ウタカタ~」でも引き摺っています。ゆえに「小さな~」だけが最初に意図した通りに書き終えられた唯一のレビューなのです。

 

 聴き込みが浅いこともある意味怪我の功名的に作用してしまい、本記事を書くために聴き直している過程で聴き込みが深まっていったので、後から後から言及したい要素が浮かんできて盛り込むか否かで悩んでしまいました。それは「本当にこの5曲でいいのか?」と根本的な部分にも及び、バランスを考えるなら幾つかは別のキャラクターの楽曲に入れ替えたほうが…と過りはしたけれど、リストの1stに入れている5曲が現時点で好きのトップ5なのだから偏りは仕方ないと開き直った上での順当な選曲です。2ndから格上げして過去に言及していた「てぃだんちゅ~」を取り立てようとか、個人的な推しはぱんだなので同じく2ndから「革命ダンス」(2023)を紹介しようとかのプランはありました。次にまたWDSのₙC₅を書く機会がきたら『Faith in Expression』(2024)の収録曲も候補となるため、今後の更新に自分で期待しておきます。