読了しました~前回ここで紹介した本📚
『ニホンジン』
所々 訳が読みにくいところはあったものの中々面白かった日系ブラジル人の葛藤や心情を、とある家族を通して知ることができました。
ほんで感想書いてたら長なってしもぉたぁ
(前もって念のため)
以下、あらすじネタバレ含むため少し下げます
📕
📙
📘
📗
📖
自分が日本人であることに誇りを持ち、数年ブラジルで働いてお金を貯め、いつか日本に帰国して都会で雑貨店を開こうとした日系一世の『ヒデオ』がブラジルで家族を持ち、次第にかつて描いた夢を叶えることは難しいことだと気づき、少しづつ不本意ながらも受け入れていく気持ちの変化が、ヒデオの孫『ノボル』の目線から書かれていました。
中でも興味深かったのが3章
日本からブラジルに渡った日系一世『ヒデオ』と、生まれた時からブラジルで生きる日系二世でヒデオの息子『ハルオ』(ノボルの伯父さん)との話かな
ある日『ハルオ』は、自身が通うブラジル・ガッコーで、金髪白人の青い目をした先生にこう教わります。(本文より抜粋)
「あなたたちは日本人じゃない、ブラジル人なのよ。あなたたちはブラジルでうまれたんでしょう?そうでしょう?ポルトガルで生まれた人はポルトガル人、日本で生まれた人は日本人、ブラジルで生まれた人はブラジル人!」
それを聞いた父『ヒデオ』は、『ハルオ』にこう言います。
「魂ではおまえは日本人だ。おまえは日本精神を持っている。そして顔もだ。(中略)みんな一目見れば、おまえが日本人だとわかる」
すると息子『ハルオ』はこう応えました。
「オトーチャン、顔と名前は変えられないけど、それは大したことじゃない。ブラジル・ガッコーの先生は(中略)大切なのはオトーチャンが言うように心だって。で、ぼくは感じるんだ、ぼくの心はブラジル人だと思うんだ」
すると『ヒデオ』は
「ハルオ、おまえはニホンジンになることを学ぶ必要がある!」と、ヤイトを息子に据えるんですね💦
このズレが戦後、ブラジルで日系人内で起こったカチグミマケグミ抗争に巻き込まれ、悲劇を生むことになるのですが…
カチグミマケグミ…戦後、ブラジルで日本の戦勝を信じるグループと敗戦を信じるグループで殺し合いに発展する日系人内の抗争。ネットが普及した現代なら瞬時に真実を調べられるのにね。
後になって真実が分かれば、どうしてそれで同郷人同士が争って命を落とすのかと思うけど、
相手が間違っている
自分が正しいに違いない
という気持ちがそのような抗争を生んでしまうのかねぇ
愛国心は共通しているのに、過程や考え方が真逆だからそうなってしまうのか。なんだかそれって、、、最近のワクチンと重なる所があるな。大切な人を守りたいというのは共通しているのにね💉お互いベストと思うその方法が真反対
話が戻るけど、
日系人でアイデンティティが分からなくなるというのは聞いたことがあります。『ハルオ』がブラジルで友達にはジャポネズと言われ、学校ではブラジル人だと言われ、親には日本人だと言われたように。
昔日系人の方から聞いたことがあるけど、
お互い相手が日本人だと思って日本語で頑張って話していたら、実は二人とも日系人でポルトガルネイティブだった!とか。
日本で道を尋ねたら、「日本人なら日本語を喋れ!」と叱られたとか。(おそらく外国語の日本語が分かりにくかったんだろうな)
特に島国で単一民族(厳密には縄文弥生とか混在してるんだろうけど)に育った日本人にとって、見た目=日本人みたいなとこあるよな
で、現在その『ヒデオ』のように日本人であることに誇りとある意味拘りを持った人々(皆が皆じゃないけど)の子孫が、果たせなかった夢を代わりに抱いて日本に“帰還”しているんですね。実際小説でも孫の『ノボル』がじいちゃんに別れを告げて日本にやってきます。ところがどっこい最近の、ね。。。あの事件。 国際化に賛成!反対!とかじゃなくて、、、『ヒデオ』としてはどんな心境なんだろうなぁ と思いました。
子供の頃めっちゃ仲良く毎日遊んでて友達が、大人になったら全然別人になってて、「あぁ あの子はもういないんだな」と感じるあの淋しさ、みたいなものなんだろうか。
【追記】
戦時中、アメリカ支持のブラジル国内では敵国(日本、ドイツ、イタリア)側からの移民生活を厳しく制限した事を本を通して知りました。ドイツやイタリアからの移民と異なり、日本人は群衆にまぎれても見た目から判断しやすい為、特に取り締まりが厳しかった様です。こういった、教科書では学ばない(…かったハズ 私は)枝分かれした日本史も存在する事に気がつく良いキッカケになりました。読まなかったら多分、気づかなかったなぁ。