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門前小僧、習わぬ今日を読む

反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

人口減少だの少子化だのの一つの要因に、

東京一極集中の問題があるのは明白なのに、

なぜかこれらの問題を繋げて考える議論が少ないのよな。

 

 

 

 

 

戦後の人口移動ピークのときは

大阪名古屋圏みたいな地方の大都市圏への流入も大きく、

まだ分散してたけど、

今は完全に大阪名古屋ですらマイナス、

東京一人勝ち状態。
 

大都市一極集中ではなく

“東京一極集中”

と単純に言い切ってしまえるレベルになっている。

 

 

反対に地方への人口移動がプラスなのは、

第一次オイルショック時やバブル崩壊時。
 

つまり不景気、

それも日本経済が

危機的な状況に陥るレベルになった時ということ。


これは要するに

不況で都市圏での生活が不安定になるために、

地方の実家など縁を頼れる場に生活をシフトする結果だろう。

 

好不況の波というのは、

当然経済規模の大きい地域、

つまり大都市圏ほどその影響を受けやすい。
 

それによって

地方と都市圏の経済規模が逆転するほどではないにしても、

地方の方が不況によるマイナスの影響は受けづらいということ。

 

要するに不況の煽りを食らって

都会での生活が苦しくなっても、

 

低調ながら経済が安定した地方に

生活の場を移して、

生活をリスタートさせることが出来るということだけど、

 

それも地方にかなり親しい縁のある人がいないと難しい。


なぜなら、

地方は都会より仕事の数も種類も少なく、

賃金も安いから。

 

単一世帯で地方に移住するとなれば、

経済的な余力が必要。

 

引っ越し資金は元より、

生活費だってかかる。
 

多少都市部より物価が安くとも、

家賃や光熱費、

何より自家用車が無ければ

日本の地方生活は成り立たないし、

 

ガソリン代はむしろ東京よりも田舎に行けば行くほど高くなる。

 

今はまだそうでもないかもしれないけど、

これから東京移住者の世代が交代して、

ニ世代目から三世代目の割合が増えていく。

 

つまり

 

じいちゃんばあちゃんが地方に住んでる世代から、

じいちゃんばあちゃんも東京に住んでる世代が増えていく。

 

そうすると、血縁を頼った地方への移住が難しくなる。

 

頼れる血縁者というのは、

昔と違ってせいぜいじいちゃんばあちゃん世代が限界だし、

少子化で兄弟も親戚も減ってるから、

東京で不況じゃなくても失業とかで

生活が立ち行かなくなっても、

地方でリスタートってのがほぼ不可能になってくる。

 

要するに、逃げ場がない状況というのが増えてくる。

 

都内の実家に頼ると言っても、

都内に住んでる以上不況の煽りは似たりよったり。
 

下手をすれば親子共々失業で、

とても子供も親も相手の面倒を見切れないなんて状況もあるだろう。
 

今はまだ“今よりマシな”状況だった世代の親のお陰で

暮らしてる人もいるだろうけど、

それもこれからは難しくなってくる。

 

東京は仕事の数も種類も豊富だから、

失業しても選ばなければ次の仕事はすぐ見つかるかもしれない。

 

でも大抵収入は下がるし、

そこからリカバリするのも、

この低賃金社会では難しい。
 

つまり東京一極集中は

賃金下落圧力の一因になってる可能性があり、

格差拡大の一因となってる可能性が高いということ。

 

地方経済が安定していて、

仕事の数や種類や賃金が多ければ、

まだ地方東京間の流入者と流出者のバランスも

均衡方向に向くかもしれないけど、

 

政府ときたら

経済的ディスアドバンテージを背負った地方に

自己責任を押し付けて、

地方創生(自力で)という無策を

ドヤ顔で喧伝してる。

 

バカ丸出しも甚だしい。

 

地方の状況はますます嚴しくなってる。
水害や地震など激甚災害が頻発してるのに、

復興は遅々として進まない。
 

当然そんな状況では経済活性化なんて進まないから、

増々東京一極集中が加速するという悪循環の中、

どうやって自力地方創生などやれというのか。

 

意味が分からない。

 

地方への投資を増やせって話なんだけど、

国の借金とかまだ言い張ってる

頭が悪いだけならまだしも

それを理由に青息吐息で

息も絶え絶えな地方から税金を巻き上げたり、

 

都市部に住めばいいじゃん

とか無責任に言い放つ人でなしが

権力者に多いから、

そんな声が上がってもすぐ揉み潰されてしまう。

 

経済の安定は

低所得者層から中間層の生活の安定がまず必要で、

不況などにより

その安定が崩れたときに

再び安定を取り戻す一因が、

地方と都市圏の人口バランスにある。
 

ビルトインスタビライザーは、

何も財政構造のみに依存してるわけではない。

 

見せかけの豊かさに惑わされて問題から目を逸らし、

株価だ国の借金だなどと酔い痴れて

踊り狂ってる間に、

その足元は確実に崩れつつある。
 

亀裂は目に見えて拡大していて、

亀裂に呑み込まれて行く人々が

周りにいるのも気付かず

 

運良くそれを避けて

踊ってる連中の姿は、

滑稽を通り越して狂気すら感じる。