門前小僧、習わぬ今日を読む

門前小僧、習わぬ今日を読む

經世濟民。
世を經め、民を濟う。

そもそも財務省は、実際のところどう考えているのか?

 

一方で財政破綻はしないと言い、

 

 

 

 

また一方で財政は破綻すると言う。

 

 

 

 

このアンビバレンツな姿勢の根源は、

果たして何なのでしょう?

 

文春寄稿で世を賑わせている

現役財務省事務次官・矢野康治氏には、

同期の方がおります。

 

名を、香川俊介氏。

故人です。

 

長きに渡って財務省主計局に努め、

晩年に事務次官に昇進。

在職中に病に侵され、

志半ばで倒れた英雄官僚。

 

ネットで調べたところでは、

そのように評される人物です。

 

 

 

 

ちょっと調べただけでも、

香川氏に対する称賛に近い評価がわんさか出てくる。

 

亡くなった一官僚への追悼という記事がこれだけ多く出てくるのは、

それこそ異例と言ってよい現象ではないでしょうか。

 

それだけ多くの、

主に政治や財界と呼ばれる界隈の人たちにとって、

大きな影響を与えた人物なのでしょう。

 

エリートを絵に描いたような学歴、

優秀な実務能力、

高校時代からの人脈を活かしながら、

なおかつ人望が厚い人物で、

誰からも好かれる人物。

各業界に多くの人脈を持つ方だったようです。

 

「同じく開成高校出身で元次官の武藤氏が会長を務める『金融開成会』('09年発足)のメンバーで、大手証券会社やメガバンク、ベンチャー起業家まで幅広く付き合っています。ちなみに香川氏はIT企業『IIJ』創業者の鈴木幸一会長と旧知の仲で、勝氏を鈴木氏に紹介。その結果、勝氏が同社の社長へ『天下り』することになった」(財務省関係者)

 

<追悼>霞が関のスーパーエリート、財務省トップは執念の人「がん再発」香川俊介(事務次官)の選択と闘い 週刊現代

 

 

下手な政治家などより遥かに強大な“政治力”を持つ官僚。

 

彼の死後の評価を見るだけでも、

どれほどの人物であったかが想像できるというものです。

 

ただ一つ、

問題があるとすれば、

 

彼がゴリゴリの財政均衡論者、

つまり緊縮財政論者であったことです。

 

 

このとき、

枝野氏が消費税増税の中心人物と見做していた人物は、

おそらく香川氏、そして野田元首相のことでしょう。

 

香川氏は、

消費税増税に関わる三党合意にあたり、

必死で根回しや交渉に奔走した、

と読売の記事にはあります。

 

社会保障制度の持続可能性を確保するため、消費税率を5%から10%に段階的に引き上げる方針を決めた12年の「社会保障・税一体改革」。当時、国会対応にあたる官房長だった香川は、政権与党だった民主党と野党の自民、公明の3党合意の調整に奔走した。

進まない交渉にいら立ち、焦燥感に駆られることもあった。香川の友人の神蔵孝之(松下政経塾副理事長)は、「深夜、いくつもの根回しを終えた彼から電話がかかってきて、『腹立ってこのままでは寝られない。30分だけ飲もう』。そんなことが頻繁にあった」と語る。

そしてその後、彼が病に侵されていることが発覚します。

当時首相だった野田は一体改革での香川の活躍を「私は政治生命を懸け、香川は命を削った」と評する。

恐らく、枝野氏が消費増税の中心人物と言われた際、

声を荒げたのは、

消費税増税を達成したのは自分の“手柄”ではない、

ということを強調したかったのでしょう。

 

命を削って消費増税に奔走した人物に対して失礼だろう、

と。

 

もっとも、

消費税減税、廃止を訴える私たちや、

ノンポリの人から見れば、

消費増税を“手柄”と認識するという感覚は

全く理解できないことです。

 

それゆえに、

あの動画における枝野氏の激昂は、

多くの人に違和感をもって迎えられてしまいます。

 

2014年。

 

消費税が8%に引き上げられ、

その後2015年10月には10%まで引き上げられるところを、

安倍政権の判断で2017年4月に1年半延期されることになります。

 

 

その延期が決定される際も、

香川氏は病身に鞭を打って、

延期反対に奔走します。

 香川の同期で日本銀行の理事に転じていた桑原茂裕はその頃、東京・日本橋のカレー店で香川と昼食をともにしたことを覚えている。「彼が紙を持っているので、『何それ』と聞いたら、『(消費増税延期反対の)アジビラだ』という。彼はそれをもって、1人でいろんなところに根回ししている、と言っていた」。香川は、政権の意向に反し、消費増税を予定通り実施するように、独自で根回しを進めていたのだ。

享年58歳、命削り働く…元財務官僚の「遺言」  読売新聞オンライン

「香川氏は、安倍総理の『親友』で香川氏の後任の主計局長である田中一穂氏('79年入省)とともに増税延期には最後まで抵抗しました。公共事業を含む財政支出を拡大させたり、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革を通じて株式市場に巨額の年金マネーを流し込み、株高を演出したりと、あの手この手で消費税10%を実現させようと説得した」(前出・中堅幹部)

<追悼>霞が関のスーパーエリート、財務省トップは執念の人「がん再発」香川俊介(事務次官)の選択と闘い 週刊現代

 

週刊現代の記事には、恐ろしいことが書かれていますね。

 

2013年の財政支出拡大、

株式市場へのGPIF投入も、

 

全て景気回復を演出し、

消費増税への布石とするためだった、

と言うのです。

 

本当かどうかは解りませんが、

もはや景気回復や国民生活の安定や向上といった視点ではなく、

完全に消費税増税が目的化してしまっているのが

この記事からは伺えます。

 

 

優秀な実務能力と経験、

豊富な人脈を併せ持つスーパーエリートが、

手段を選ばず、

命まで賭けてなそうとした消費税増税。

 

むしろよくこの時、

消費増税を延期に持ち込めたものだと

思えてしまいます。

 

香川氏自身は、

2015年9月に死去。

消費税10%増税の達成を見ることなく、

彼はこの世を去ります。

 

享年58歳。

 

しかし、

彼の遺志は、

彼を信奉する人々に受け継がれ、

その5年後の2019年、

彼が切望した消費税10%への増税は

達成されることになります。