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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『過去のない男』(2002/日本公開2003)

フィンランド映画。原題は『Mies vailla menneisyyttä』、英題は『The Man Without a Past』

アキ・カウリスマキ監督による「敗者三部作」の二作目。

 

監督・脚本 アキ・カウリスマキ

 

 

 

 

列車に乗ってヘルシンキへやって来た男M(マルック・ペルトラ)は公園のベンチで一眠りしてる間に三人組の暴漢に身包み剥がされめった打ちにされる。病院に搬送されたが死亡と診断される。しかし実は死んでおらず、フラフラと病院をぬけ出る。そして包帯だらけのまま港の岸辺で倒れてしまう。それを見つけたニーミネン一家はMを家へ運び入れる。家といっても廃棄されたコンテナだ。その一帯はコンテナどころかゴミ箱にまで住みつくホームレスの居住区だった。

夫妻そろって親身になって手当てをした結果、回復の兆候が見え出す。しかしMは殴られたことによって自分の名前もわからない記憶喪失になっていた。これでは職にも就けない。救いなのはニーミネン一家はもちろん、まわりの人間たちが優しいことだ。

ニーミネン夫(ユハニ・ニユミラ)に倣い出かけた救世軍の炊き出しで、救世軍下士官のイルマ(カティ・オウティネン)と出会い恋に落ちる。イルマの助けもあり、救世軍で働けることになり、金の亡者悪徳警察官アンティラ(サカリ・クオスネマン)に空きコンテナを借りてなぜか犬ハンニバルも譲り受け、拾い物で部屋を整え、生活が整い出した。

仕事は段階的に変化を見せ、救世軍バンドの興行もするようになった頃、銀行強盗事件に巻き込まれ、新聞に載ってしまう。そこからMと婚姻関係にあったという女が名乗り出る。夫婦関係は破綻しており、離婚届けを出す寸前でMが行方知れずになったのだった。ヘルシンキから7時間以上かけてヌルメスの自宅まで女を訪ねるとすでに恋人が存在し、Mにもまたイルマがいる、そこは丸く解決し、Mはホームレス居住区に戻るのだった…。

 

今さらだが、アキ・カウリスマキ監督の作品は基本棒演出なのかな。日本語ではないし日本人でもないからわからないけど、淡々と喋る演技が棒に感じる。でもそれが悪いというのではなく、味になっていて笑いにも転化している。独特の雰囲気がやはり面白い。あと、ギャグというか伏線が細かい。文化が違うのでこれまた何とも…だが、寮にかかってきた共同電話を取り合おうとする女は、そのシーンだけでどんな身にあるかがわかる。その行動を入れる目の付けどころが面白い。ジュークボックスを拾うのも。救世軍のマネージャー(アンニッキ・タハティ)の存在も。元妻の新恋人との会話も。ラスト、親睦会でバンドが立つステージの端に座りボーッとしてる救世軍スタッフ女性のその様子もまた面白い。

 

劇中、ニーミネン妻(カイヤ・パリカネン)が「恵まれているのよ」と言う。コンテナの暮らし、食事も粗末でどこが!?と思ったが、「住む所があり、夫は週に2日だけど仕事がある」と言う。普通に考えて腐りそうな生活なのに、ニーミネン夫妻はとてもいい顔をしている。何が幸せかって一口にはまとめられないなと実感した。

また、夫が金曜日だし給料出たからと、正装してMをディナーに連れて行く。おやおやと思ってたら、救世軍の炊き出しだった。これは笑いどころなんだろうけど、やはり生活の潤いは一概に言えない。

悪徳警察官アンティラも、凶暴だという犬ハンニバルをMの見張りにつけて置いていく。ところがハンニバルはちっとも凶暴じゃないし躾のいき届いた犬だ。悪徳とはいえ、心根はいい人なのだ。ギャグかもしれないが、人もカテゴライズ出来ないってことだ。

カフェで無料のお湯しか頼まないMの、こっそり出涸らしのティーパックを入れる様子を見た店員(アンネリ・サウリ)が無料で食事を添える。施しだが、これも人の暖かさだ。

銀行強盗でさえ同情に値する背景がある。

そして、ラスト、例の三人組の暴漢に人が襲われているところにMが出くわす。ホームレス仲間がどこからともなく現れ、暴漢を追いやる。ずっと苦しめられてたのだった。Mによって士気が湧いたのだろうな、そんな展開が見て取れた。人情味があっていい。

そうそう、Mが妻と暮らしていた家はなかなか良い家で、仕事は溶接工だったのに地域によるのかわからないけど、港町の人々とは接点がなさそうな家だった。アキ・カウリスマキ監督の作品には珍しい家屋ではないかな。その不思議なギャップがまた面白い。人を見る時、外見だけで判断する愚かさを見た気がする。

 

造船所の事務員にエリナ・サロ。『浮き雲』でレストランのオーナー役だった人だ。

犬はなんだろう、スムースコリーかなぁ?雑種か。

 

そういえば、ヌルメスからヘルシンキへ戻る食堂車で寿司を食べるのだが(箸の置き位置、すでに割られてある割り箸は残念みが強いw)、BGMがクレイジーケンバンド「ハワイの夜」。アキ・カウリスマキ監督は日本好きとか。

 

敗者…転生。

 

★★★★(★)

 

 

この淡々とした現実を描き心情を映し半ば会話劇みたいな作り方は昔の日本映画のようでそれは…小津安二郎に通じるところがあるのかもしれない。小津安二郎2本しか観たことないけど。

 

 

『浮き雲』(1996/日本公開1997)

アキ・カウリスマキ監督による「敗者三部作」の第一作目。フィンランド映画。

原題は『Kauas pilvet karkaavat』、英題は『Drifting Clouds』

 

監督・脚本・製作 アキ・カウリスマキ

 

 

 

 

レストラン「ドゥブロヴニク」で給仕長を勤めるイロナ(カティ・オウティネン)、市電の運転士を勤めるラウリ(カリ・ヴァーナネン)夫婦。少し金銭にルーズなラウリはソファセットのローンも組んだばかりなのにテレビをリモコン付きカラーに買い替えた、もちろんローンで。そんな矢先、市電の本数を減らすことになりクビになってしまう。さらにイロナもレストランオーナースヨホルム(エリナ・サロ)が騙され店を買収されたため職を失う。

世は不況の最中、次の職もなかなか見つからない。しかもちょいちょい騙されたり運がなかったりでじりじりと苦境に立たされる。もうダメかと思った時、スヨホルムと偶然再会し、新しくレストラン「ワーク」を始める算段となる。元「ドゥブロヴニク」従業員にも声をかけ、人生再生をはかる…。

 

夫ラウリの後先考えないところとか、「ドゥブロヴニク」の元シェフラユネン(マルク・ペルトラ)がアルコール依存症なことや、元クロークだったメラルティン(サカリ・クオスマネン)の夢みがちなところとか、真面目で堅実なイロナと対照的で面白いし、その特徴をネタにしつつもきちんと拾ってるのが気持ちいい。また、我慢はあっても夫婦仲も良好、愛があるのもいい。

もともと豊かではないのに失職し、年齢的にも再就職は厳しいという現実、なんとかしようとチャレンジするものの失敗に終わるなどトラブルもあり、けっこうハードな人生なのに、淡々と描いていて、人生って意外にゆるいのかもと思わせる。コメディだけども。

いい塩梅に気分がラクになる作品だった。

そして相変わらず煙草がおいしそうなのだった。

 

飼い犬がJRT。かわいい。

カティ・オウティネンはお馴染みだけど、イロナという名前は『パラダイスの夕暮れ』と同じだ。何か意味があるのかなぁ。

 

敗者…復活劇。

 

★★★★(★)

 

 

『作りたい女と食べたい女 シーズン2(2024)NHK0129〜全20話

原作はゆざきさかおみの漫画。

野本ユキ(比嘉愛未)は料理好きの派遣社員。同じマンションの同じ階、部屋一つ隔てて住む大食いの春日十々子(西野恵未)と知り合い仲良くなる。食事を共にするうちに恋心が芽生え、野本は自分がレズビアンだと気づいた前回からの続編。

 

脚本 山田由梨

演出 松嵜由衣中田博之八十島美也子

音楽 伊藤ゴロー

 

比嘉愛未、西野恵未、藤吉夏鈴、森田望智、ともさかりえ、他。

 

料理をたくさん作りたい野本と、ごはんをたくさん食べたい春日の一緒に食事を楽しむ仲は続いている。

野本はSNSで知り合った同じレズビアンのyakoさんこと矢子可菜芽(ともさかりえ)におすすめの映画などを紹介してもらいながら、春日への気持ちの相談にものってもらっている。会社でも、唯一春日とのことを知る同僚佐山千春(森田望智)と恋バナをしたり相談したり。また、佐山も騒がしい親族に囲まれ婚活に取り組もうとしていた。

春日も、隣りに越してきた南雲世奈(藤吉夏鈴)と知り合い、親しくなって、野本への想いの相談にのってもらっていた。逆に、南雲も、人前で食事が出来ないという会食恐怖症を患っていて現在無職の身、母親からは無配慮にせっつかれ、現状を春日に話すことで助けられている。

そんな、相手への気持ちを持て余していた野本と春日はバレンタインを機にお互いへの気持ちが恋愛感情であることを確認し合い恋人関係となる。

また、春日は実家の父親との関係性にも悩んでいて、それはマンションからの引っ越しを余儀なくさせるほどの窮地だった。取引先のスーパーのパートさん藤田(島田桃)の家庭の悩みも耳にして勇気をもらい、ついに野本へ引っ越しして一緒に住むことを提案する。だがしかし新居探しでは同性カップルという肩身の狭さに直面する…。

なんだかんだ、自身がマイノリティーであることもあって他人にお仕着せをしない野本、春日、矢子、南雲は居心地のいい友人関係を築き、ホームパーティーを開く仲になる。佐山や藤田含め、互いを尊重し合いながら、それぞれの現実、悩みに向き合い、一歩ずつ未来へ足を進める…。

 

話や構成はいいのにだるい。そもそもが料理漫画なのか(原作未読)、毎回食事やそれに関するものを通すし、それもレシピを紹介するわけではないから、だるくなる。仕事のトラブルなどもあったりするけど表面的。野本は常に春日の出方を気にしているし、春日は感情表現がほぼ皆無なので疲れる。リアルなら当たり前の行動なんだけど。丁寧すぎるのかも。

矢子は同性愛者でありながらAセクなのだが、結局野本はAセクではなく同性愛者だった。それがラストのキスシーンや体に触れたい欲に表現されていた。まあ、主人公にAセクを持ってくるのは難しいだろうなぁと思ったけど、ちょっと残念。

でも続編を作るのは理解できるほどには良かった。

 

比嘉愛未の恋する乙女感がとても良かった。

新キャラクター、矢子も南雲も設定がしっかりしてるというか、カラーがわかりやすく、役者さんが魅力的に見えた。

 

★★★(★)

 

 

 

 

シーズン1感想はこちら。

 

 

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023)

原作は亜南くじらの漫画。

 

監督 新城毅彦(『潔く柔く』『僕の初恋を君に捧ぐ』『午前0時、キスしに来てよ』『四月は君の嘘』他)

脚本 大北はるか(『鈍色の箱の中で』『ユニコーンに乗って』、『午前0時、キスしに来てよ』他)

 

高橋恭平、畑芽育(はためい)、坂垣李光人、莉子、曽田亮典、末永光、中島瑠菜、鈴木美羽、箭内夢菜(やないゆめな)、他。

 

高校生の如月真綾(畑芽育)は半年片想いだった園芸部の山田太郎(曽田陵介)に、親友小原知花(莉子)の押しもあってついに告白する。しかし相手は植物オタク、気持ち悪がられるばかりかブスと言われこっぴどく振られる。傷心のあまり心の声が漏れ出てしまったのを、陸上部で学校イチの人気者千輝彗(高橋恭平)に聞かれてしまう。失恋の痛みは新たな恋で癒えるという仮定のもと、千輝は真綾に「片想いごっこ」を提案する。千輝は恋をすることがよくわからなかった。ただ、好きな人を失って悲しむという一点だけにシンパシーを感じての提案だった。千輝は大好きな家族を失っていたのだ。

「片想いごっこ」が始まり、ノルマをこなしていくうちに二人の距離は縮まり、真綾はいつのまにか千輝を好きになっていた。千輝のほうも、中学時代陸上に出会わせてくれた友達手塚颯馬(板垣李光人)の挑発もあって、真綾への想いが深くなっていく。しかし、「ごっこ」から始まった恋だけに、すれ違いがあってなかなか想いが通じ合わない…。

 

まあ、主人公の女の子はちょっと要領が悪く一途さがあり、男の子はぶっきらぼうだけど一本芯の通った性格でとことんかっこよく、ライバル枠の女子はチャラチャラしていて、横恋慕してくる男子は優しくもきちんと嫉妬深い、親友はフォローが手厚い、という基本の設定。友情もしっかり描き、欲しいものを各所散りばめた少女漫画のお手本のような話だった。

ラストのキスシーンは正解の美しさだったし。これは畑芽育のかわいさと、高橋恭平の顔の輪郭の良さの賜物。

 

でも、交通事故は大袈裟だしお約束すぎて萎えた。

 

この作品の莉子、かわいい。

千輝の子供時代の末永光(Jr.)もいい。

ライバルとなる花咲中島瑠菜は違う役で違う髪型で見てみたい。

 

少女漫画の王子様役、演技は難しいよなぁ。『マイホームヒーロー』は良かったから。でも頑張ってたと思う。

 

ずっと思ってるんだけど、高橋恭平、前歯治せばいいのに。もったいない。唇の形が良いので歯を見せて大笑いする需要ないかもしれないけど、ニコッとしただけでも目立つから。あと、細すぎ。骨が細いのかな。上半身筋肉まんべんなくつけないと服によっては貧相に見える。

 

★★★★

 

 

 

 

制作 松竹撮影所

配給 松竹

 

 

『沈黙の艦隊 東京湾大海戦Amazon Prime Video シーズン1

原作はかわぐちかいじの漫画。

 

監督 吉野耕平(『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』他)

脚本 高井光

 

大沢たかお、玉木宏、中村蒼、松岡広大、前原滉、中村倫也、手塚とおる、水川あさみ、ユースケ・サンタマリア、大河内浩、武田航平、笹野高史、江口洋介、酒向芳、田中要次、上戸彩、夏川結衣、岡本多緒、橋爪功、ジェフリー・ロウ、アレクス・ポーノヴィッチ、リック・アムスバリー、他。

 

日本近海において海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」と米原潜「シーバット」が衝突し、「やまなみ」が圧潰沈没する。「やまなみ」艦長の海江田四郎(大沢たかお)と76人の全乗組員死亡の知らせが入るが、実は「シーバット」に移動し全員生存してることが、同じく海上自衛隊の深町洋(玉木宏)艦長のディーゼル艦「たつなみ」のソナーマン南波栄一(ユースケ・サンタマリア)によってつきとめられる。さらに、「シーバット」は日本政府が極秘裏に建造した高性能の原子力潜水艦であり、米艦隊所属となったものだった。つまり、圧潰沈没、死亡情報は日本政府と米政府の管轄下に置く原潜「シーバット」稼働のための偽装工作だった。

日本では防衛策としての核保持についての意見も分かれている。また、海江田と深町がディーゼル艦「ゆうなみ」に乗っていた頃の事故で隊員の一人入江蒼士(中村倫也)を事故死させたことがあった。それから二人の間にはわだかまりができ、深町は海江田を反目していた。

作戦は遂行されたかに見えたが、突如「シーバット」が逃亡し、海江田によって独立戦闘国家「やまと」の建国が宣言される。目的は平和であり、そのために国家を一つにするという。

反乱だ。

核ミサイルを搭載してるんじゃないかという懸念からも「シーバット」もとい「やまと」をテロリストと認定し、米大統領ニコラス・ベネット(リック・アムスバリー)によって米国第7艦隊の「やまと」撃沈の命が下される。そんなことは織り込み済みとばかり、目的を果たすために海江田は次なる手段、日本との同盟締結へ乗り出し、そして、ニューヨークでの国連総会へとつなげようと行動する…。

 

「やまと」が本当に核ミサイルを搭載してるのかわからないまま、日米両国の国家を背負った対応が進められるのは面白い。文化、社会、国民性、国家観が違うので折り合いの難しさがしっかり描かれていて、どっちがどうとも言えずもどかしいだけに。

原作が発表された時代と今とでは世界情勢も違っており、私自身考え方も変わっているので実写化はどうなんだろうと思っていたが(何より海江田のファンだった)、時代に合わせて多少の改変もあり、これはこれで楽しめるシーズン1だった。当然シーズン2に続くだろうから(入江蒼士の弟覚士:松岡広大が「シーバット」に乗っている関係性もまだ謎)、今後どうまとめていくのか、海江田の理想、成そうとすることは時代に合ってるのか、納得いく反乱となるのかとても気になる。原作を知ってるからなお。

 

橋爪功のシーバット計画黒幕内閣官房参与海原大悟のキャラ作りが素晴らしい。その息子である官房長官海原渉役の江口洋介も安定感がある。この親子間にも見せ場がありそうで期待が溢れる。

そして笹野高史演ずる総理大臣竹上登志雄の情けなさがまたいい。徐々に覚悟を決め力を現していくのだが、その描き方も演技も丁寧で情感が上がる。

玉木宏の深町もいい。「たつなみ」副長速水は女性になっているのだが、その水川あさみもいい。「シーバット」副長山中中村蒼も、外務大臣影山酒向芳も防衛大臣曽根崎夏川結衣もハマってる。

心配なのは報道キャスター市谷上戸彩。演技がどうとかではなく、今後どんなキャラになっていくのか心配…というかウザキャラになったらヤダな、と。

 

これはまず最初に映画として公開され、その後足してドラマ化。だが、もともとドラマ用に撮影したものを映画にしたんだろう。

プロデューサーの名前に大沢たかおが入っているし、かなり力が入ってる。原作未読でも充分楽しめると思う。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

 

『SHUT UP』(2023)

テレビ東京20231204〜全8話

 

監督 児山隆(『猿楽町で会いましょう』)、進藤丈広

脚本 山西竜矢いとう菜のは的場友見

 

仁村紗和、莉子、片山友希、渡辺美穂、芋生悠、一ノ瀬颯、井上想良、野村康太、草川拓弥、他。

 

仁村紗和、片山友希、芋生悠、と好きな女優さんが三人も揃ってるとあっては見ないわけにはいかない。

 

貧しい環境で育った四人の女子大生、田島由希(仁村紗和)川田恵(莉子)工藤しおり(片山友希)浅井紗奈(渡邊美穂)は学業とバイトを両立させながら同じ女子寮で良好な友達関係を築きつつ暮らしている。

ある日、恵が所属するインカレサークルの憧れの先輩鈴木悠馬(一ノ瀬颯)の子を妊娠したと告白。恵は産めないというし、悠馬に話しても、別に本命の彼女露木彩(芋生悠)がおり、無碍にされる。あと数日で中絶費用が一段上がってしまうことから、それまでに20万の金を作る必要があった。由希、しおり、紗奈は恵に内緒で手っ取り早く稼げそうなパパ活に手を出す。お茶と食事までで、それ以上は進まないという約束のもとに。しかしどうしても10万足りないため、由希はそれ以上に進んでしまう。そうして費用は揃えられ、恵は堕胎することが出来たが、由希が体を売った相手田口(池田良)が盗撮をしており、ネットにさらされてしまう。結果、恵、しおり、紗奈だけでなく学内のみんなの知るところとなってしまった。

サイトへ動画削除依頼をしてもらちがあかない。弁護士を立てることを決め、その費用100万を調達しなければならなくなった。四人は悠馬への復讐として、悠馬から100万を盗むことを計画する。ちょうど恵と悠馬のいざこざ場面を見ていた綾とコンタクトが取れる機会に恵まれ、真実を話し、味方につける。作戦は成功し、100万を得るが、間もなく悠馬に気づかれ、綾は窮地に立たされ、由希たちは悠馬に警察か示談金を払うかどちらかを迫られる。その際に悠馬がハプニングで怪我を負い、警察沙汰になってしまう。

事情聴取で女性の警察官(西丸優子)が流れを読んで恵に性暴力について知ることをすすめる。言われるままに高梨塔子(野呂佳代)が主催する被害者たちの集いに参加することによって、恵の意識が変わっていく。一方で、優馬は父親(矢島健一)に告訴を取り下げさせられる。それが我慢ならず、怪我をさせられた時の現場動画を拡散し、四人はストーカーに仕立て上げられる。

すでに大切な友達となってる四人の疑惑を晴らすため、綾は悠馬とはサークルで一緒で幼馴染みの榎本伊月(野村康太)の協力のもと過去に悠馬の手にかかった女性たちの証言集めを提案。しかし証拠は集められず。ただ、バズってる今がチャンスと見込んで悠馬たちが最大規模のイベントを企画していることを知り、由希はそこへ乗り込み悠馬の全てを暴露しようと考えつく…。

 

貧困層の女子大生が富裕層の男子学生に好きなように扱わた、その復讐劇かと思ったら、それだけに終わらず奥が深かった。持つものと持たざるものの違い、保身は自我から切り離せないものであること、などが描かれていた。とてもいいドラマだった。仁村紗和に芋生悠だもんな、と改めて。

 

一番重要なのは現代における性暴力の認知だろう。一昔前の当たり前は通用しない。女の私でさえ、「かわいい」という言葉で傷つく被害者女性の感覚に驚いた。

被害者になる恵が「こらしめるのではなく、自分たちが何をしたかちゃんとわかって欲しい」と言うのも、怒りに任せず、悲観的でもなく、一回受け止めて出来るだけ自分の中で消化を試みる感じがして良かった。生きる強さを感じた。

ラスト、これまで見て見ぬふりをしてきた伊月が内省を込めながら、校内で白い目にさらされながらも何食わぬ顔でとりつくろう悠馬に「逃げちゃダメなことだよ」と友達だからこその言葉をかけるのも良かった。

悠馬にも父親との確執があり、抑圧に苦しんでいる。父親に認められたい一心が根底にあるのも丁寧な作りだと思った。

サークルの仲間山内たける(井上想良)は悠馬に恩義を感じているから悠馬を慕う。どんなことでも協力するし、それが悪だとも思ってない。自覚ない忠誠心、盲目って怖いと思った。

また、紗奈はこっそりパパ活を続けてたり、怪しいビジネス(美容グッズのマルチ商法)を人の良さそうな山際ひかり(岡本玲)にすすめられるまま始めてしまうなどあり、欲と金の怖さも描かれてる。

トラブルが続く中、由希と同じ講義を取ってる宇野陽太(草川卓也)の存在が、友達のラインを崩さず安易に恋愛に進んだりそうでなくても距離を縮めてしまいそうになるところ(本的に)、つかず離れずの微妙な位置を保ち続け、心地よかった。

全てのキャラクターにちゃんと背景が見て取れ、だから物語の流れに無理がないし説得力も増す。

 

わからなかったのは、「自由になりたい」と由希が繰り返す意味。何からの自由なのか。金か、階層か、大きく世間か人生か、はっきりわからなかった。

 

井上想良はもちろんだが、一ノ瀬颯も良かった。そして草川卓也、「みなと商事コインランドリー」と比べると(比べるものが違う気もするが記憶にあるのはこれだけだった)別人のように良かった(そもそも別キャラ^^;)。

 

★★★★

 

 

 

 

このドラマはオリジナル作品のようで、これだけのものが作れるなら、漫画や小説原作に頼るのはいい加減やめたらいいのに。視聴率なんて稼げない時代なんだし。私は脚本家の話が見たいし、監督の世界観が見たいし、演出家のセンスが見たい。

 

 

『新宿少年探偵団』(1998)

原作は太田忠司の小説。

 

監督 淵井正文

脚本 尾張元

 

学校もまともに行ってないような落ちこぼれ羽柴壮助(相葉雅紀)は自ら探偵を名乗り、生活圏新宿で太陽の形のような落書きマークを追っていた。それは謎の少女アリサ(酒井彩奈)が現れた場所。アリサは氷のように冷たい手を持ち、友達を欲しがっているという。でも悪魔か幽霊かと噂され、誘いに乗ったら危険だと言われている。

ある日壮助はアリサが少女に声をかけているところ出くわす。しかし、機械獣シータを携えており、何もできずに気づくと姿を消していた。怪しく光るペンダントを落として。

壮助はそのペンダントが何であるか、小学校の同級生で秀才の神崎謙太郎(松本潤)に分析を頼む。それは信号を発する通信機のようなものだった。二人はアリサの正体を探るべく本格的に動き出す。その過程で、機械獣シータの存在を知る謎の少年蘇芳彰(横山裕)と出会い、芸能活動をする夢野美香(深田恭子)とその友達七月響子(加藤あい)と知り合う。そして蘇芳からもらった通信機BDバッジを介して四人は少年探偵団よろしく交流を深め、美香の悩みを主軸にそれぞれの直面している問題に向き合い、アリサの秘密、蘇芳とアリサの父を名乗る科学者軽部(近藤正臣)の関係、軽部の目的、蘇芳の正体もが明らかになっていく…。

 

アリサは心を持ってしまった人造人間だったという…簡単に言うとジャンルは特撮SFもの。原作はライトノベルとのことで…おそらく原作は面白いのでしょう(^^;;。メインテーマは友情と少年少女時代の清らかな心だと思われる。

 

壮助の父親に金田明夫、謙太郎の母親に深浦加奈子、響子の父親に藤浪辰爾、美香の母親に加賀まりこ、父親に清水紘治、蘇芳の従者に石井愃一(いしいけんいち、ヒントを話す古本屋の店主に不破万作

 

まだ「嵐」デビュー前なので、ジャニーズJr.の映画。

…彼らに関わらず、名のある俳優さん(本当に素晴らしい)以外、つまり主演下手くそ。実年齢も中高生になるが今の子の方がよっぽどうまい。でも、当時はこの程度で良かったんだろうなぁ。アイドルだから。響子は空手好きの設定で練習してるんだけど、やわい。これ、ちゃんと指導したのか気になるレベル。

 

それよか新宿の街が懐かしい。だいぶ風景変わった。軽く四半世紀前だ。壮助の移動手段であるキックボードは当時から人気だったのか、それには驚いた。記憶にない。

 

ラストはジャニーズJr.揃っての歌「Can do! Can go!」とダンスパフォーマンス、ハワイロケ。滝沢秀明二宮和也風間俊介もいた。山下智久や錦戸亮も(デビュー組は他にも)いたみたいだけどわからなかった。そして滝沢秀明が一番ダンスがうまかった。センターにいるし。

 

★(★)

 

 

 

 

 

『関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!』(2017)

 

監督 石川勝己

脚本 西条みつとし(『名も無き世界のエンドロール』『ゆらり』『blank13』他)

 

やはり脚本は大切。

 

中学時代いじめられっ子だった高浜優輔(西畑大吾)は家族旅行で行った旅館「たつのや」でお笑い芸に魅せられる。その頃ちょうど転校してきた稲毛潤(藤原丈一郎)と仲良くなり、いじめから脱却し、二人でお笑いの道へ進む夢を持つ。

高校を卒業し演芸アカデミーに入り、高浜と稲毛のコンビ「エンドレス」の漫才は成績も良く、一番期待されて卒業する。しばらくは人気もあったが、アカデミー時代切磋琢磨する良い関係にあったライバル三人組コントの「ぴんくラクダ」(向井康二、室龍太、草間リチャード敬太)に抜かれて行く。焦り始める高浜に反して稲毛は思案げだ。というのも、高浜は本来目指していたお笑いの真髄からかけはなれ、売れることだけが目的になっていて、稲毛は自分が邪魔になっているのではないかと、ついていけなくなっていたのだった。稲毛が解散をも考え始めた頃、高浜にお笑い強化合宿をしようと言われ温泉旅館へ向かう。その宿こそ、高浜がお笑いに出会い救われた場所「たつのや」だったのだが…。

そこへテレビの仕事で霊媒師(森脇健児)と共に宿泊にやって来た「ぴんくラクダ」。あろうことか宿の女将(森口瑤子)がダブルブッキングをしてしまっていた。番頭(浜中文一)となんとか切り抜けようと画策しつつ、また一方でエンドレスを慕う後輩コンビ(正門良規、小島健)が5周年をドッキリで祝おうと計画していた。そんなドタバタもありながら、高浜は忘れかけていた初心を思い出し…。

 

ダブルブッキングという点で『王妃の館』を思い出した。考える対策法は同じだな、と。そしてその作戦はかなり無理がある。だから面白くもできるわけだ。

女将は高浜のことは覚えてないの。それが冷たいような気もしたけど、でも逆にリアルで良かった気がしてる。記憶や初心なんて時の流れの中に埋まっていく、そんなもんだから。

「エンドレス」のデビューネタがゾンビものなこと、「ぴんくラクダ」のテレビ仕事が心霊スポットであること、高浜と同じいじめられっ子だった後輩がそのゾンビネタでお笑いに助けられ芸人を目指すことになったことなど、きれいななぞりがあって良かった。そして何よりテーマが明確でブレがない。そうした脚本だから西畑大吾も向井康二も活きる。

 

関西ジャニーズJr.の映画を何本か観てきたけど、主演に立つ子はやはり演技もうまい。売れる子は「華」があるとか「光り」だか「オーラ」だかがあるとか言われるけど、納得する。

 

高浜の中学時代は道枝駿佑、稲毛の中学時代は長尾謙杜、いじめっ子には高橋恭平、ラスト「エンドレス」の漫才を見て笑ってる子供に嶋崎斗亜。道枝駿佑とかまだ声変わりもしてない時で、えらい可愛かった。高橋恭平だって幼い。6〜7年前だ。エンディングは関西ジャニーズJr.総出で踊り歌う。

 

★★★(★)

 

 

 

 

『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』(2016)

 

監督 服部大二

脚本 宮本武史(『きさらぎ駅』他)

 

高校を卒業してからフリーターでふらふらしていた水上風太(西畑大吾)は、地域活性化のために作られたご当地アイドル「小姓ズ」のメンバー募集に応募する。ミュージカルスターを夢見て脱退した成瀬満(中山優馬)の穴埋めだった。他にめぼしい応募者もいなかったため、あっさり風太は合格してしまう。現メンバーは4人。リーダーは元ホストの板野次郎(浜中文一)、高校生の橘亮介(大西流星)、とび職の朝比奈和正(赤名竜乃介)、そしてなんと風太の小学生の時の同級生で現役国大生の小柳翔吉(向井康二)がいた。

ところでこの「小姓ズ」、翔吉とマネージャーの橋口武彦(室龍太)以外、どうもやる気に欠けるし、パフォーマンスも微妙。ファンにいたっては次郎のホスト時代から応援してるスナックのママが固定でいるだけ。収益どころか赤字を出す推されないアイドルなのだった。そんなだからついに最後通告を渡される。それは、結成5周年記念ライブを満席にできなければ解散、というものだった。

かつら職人の高島(本田博太郎)の力も借り、「小姓ズ」なりに作戦を練り、タウン誌にも取り上げられ、定期ライブの客足の伸びも期待できたが、目指したミュージカルの出来は悪く、結局固定ファンがつかない。しかも、小学生の頃からの夢、本気でアイドルを目指す翔吉との間に意識の差が表れ、仲間割れを起こす。そうして5周年記念ライブは失敗に終わる。

結局解散となった「小姓ズ」だが、撮影所で働くスタッフの真摯な仕事への姿勢や、まわりの人たちの情熱などを垣間見るうち、みんな徐々に本気になっていく。亮介の担任和久井(野々すみ花)がミュージカル経験者だったことから教えを乞い、喧嘩別れしたままの翔吉を迎えに行き、「小姓ズ」再結成へと動き出す…。

 

昔からなんでも器用にこなすが壁に弱く長続きしない口だけ番長のような風太。失敗が怖くて努力ができない。それを翔吉の本気とまわりの人間たちの頑張りが変える。それは進路を考えねばならない高校生の亮介にも、流れに身を任せて生きる次郎にも、親方が怖くて自分の本心を言えない朝比奈にも影響を与える。という自分と向き合うことの大切さを描いた話。

 

風太と翔吉の同級生に藤原丈一郎大橋和也。銭湯で働いてる若者に草間リチャード敬太。モブには道枝駿佑も。

 

★★★

 

 

公式サイト

 

 

『忍ジャニ参上!未来への戦い』(2014)

松竹とのコラボ企画第二弾とのこと。第一弾は『京都太秦行進曲』か?

 

監督 井上昌典(『京都太秦行進曲』では助監督)

脚本 たかひろや

 

江戸時代。徳川の功績による泰平の世は「忍び」の者たちにとっては生きにくい時代だった。大和國大和郡山。普段は町人に紛れ身を隠す「忍び」としてプライドを持つ五人の忍者、屑拾いカザハ(重岡大毅)、カザハの弟で料理人フウト(小瀧望)、托鉢僧ソラ(神山智洋)、刀研ぎ師ホウジ(平野紫耀)、飛脚キスケ(向井康二)は日々鍛錬をし出番が来る日に備えている…ものの、やはり平和な世の中、このままでは存在意義が見出せなくなる。そしてこの忍者らのトップに立ち面倒を見てるのがゲンゾウ(桂ざこば)だが、「忍び」を引退すると言い出す。

「忍び」として未来を閉ざされた気になったカザハは、自ら手柄を取りに行くことを思い立つ。辻斬り、火付けなど悪さをする奴らを次々に捉えるのだった。彼らの仕事はかわら板売りヨエモン(甲本雅裕)によりすぐに評判になり、本来の目的である播本からの依頼の期待も深まるばかりとなる。だが、カザハとフウトは「忍び」としての意識の差から仲違いしてしまう。そんな状態で、郡山新田藩本多政利(渋谷天外)による謀反に巻き込まれる。同じく不況にあえぐあまり本多に仕えた江戸の忍者ハヤテ(森本慎太郎)カゲマル(京本大我)、本多の刺客剛奇(長江英和)も現れ、事は複雑化していく…。

 

本多政利の家臣寺井主膳京本政樹戸田直時中間淳太で、京本親子共演胸熱。カザハの子供時代が永瀬廉、フウトの子供時代が大西流星で、これまた胸熱。

カザハとフウトの上に兄ライト(桐山照史)がいて、二人がまだ幼い頃亡くなった設定。

紀州和歌山城の徳川貞光若林豪。ヨエモンは実は徳川家御庭番。

 

まあまあ面白かった。脇を固める役者が豪華。殺陣も見応えある。龕灯(がんどう)の存在を初めて知った。今で言うサーチライトのようなもの。やはり日本人は器用だし創造力が高い。

 

最後にジャニーズWESTの結成〜デビューが飾られる。主題歌「バンザイ夢マンサイ!」を披露。

 

★★★