浮き雲 | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『浮き雲』(1996/日本公開1997)

アキ・カウリスマキ監督による「敗者三部作」の第一作目。フィンランド映画。

原題は『Kauas pilvet karkaavat』、英題は『Drifting Clouds』

 

監督・脚本・製作 アキ・カウリスマキ

 

 

 

 

レストラン「ドゥブロヴニク」で給仕長を勤めるイロナ(カティ・オウティネン)、市電の運転士を勤めるラウリ(カリ・ヴァーナネン)夫婦。少し金銭にルーズなラウリはソファセットのローンも組んだばかりなのにテレビをリモコン付きカラーに買い替えた、もちろんローンで。そんな矢先、市電の本数を減らすことになりクビになってしまう。さらにイロナもレストランオーナースヨホルム(エリナ・サロ)が騙され店を買収されたため職を失う。

世は不況の最中、次の職もなかなか見つからない。しかもちょいちょい騙されたり運がなかったりでじりじりと苦境に立たされる。もうダメかと思った時、スヨホルムと偶然再会し、新しくレストラン「ワーク」を始める算段となる。元「ドゥブロヴニク」従業員にも声をかけ、人生再生をはかる…。

 

夫ラウリの後先考えないところとか、「ドゥブロヴニク」の元シェフラユネン(マルク・ペルトラ)がアルコール依存症なことや、元クロークだったメラルティン(サカリ・クオスマネン)の夢みがちなところとか、真面目で堅実なイロナと対照的で面白いし、その特徴をネタにしつつもきちんと拾ってるのが気持ちいい。また、我慢はあっても夫婦仲も良好、愛があるのもいい。

もともと豊かではないのに失職し、年齢的にも再就職は厳しいという現実、なんとかしようとチャレンジするものの失敗に終わるなどトラブルもあり、けっこうハードな人生なのに、淡々と描いていて、人生って意外にゆるいのかもと思わせる。コメディだけども。

いい塩梅に気分がラクになる作品だった。

そして相変わらず煙草がおいしそうなのだった。

 

飼い犬がJRT。かわいい。

カティ・オウティネンはお馴染みだけど、イロナという名前は『パラダイスの夕暮れ』と同じだ。何か意味があるのかなぁ。

 

敗者…復活劇。

 

★★★★(★)