『沈黙の艦隊 東京湾大海戦』Amazon Prime Video シーズン1
原作はかわぐちかいじの漫画。
監督 吉野耕平(『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』他)
脚本 高井光
大沢たかお、玉木宏、中村蒼、松岡広大、前原滉、中村倫也、手塚とおる、水川あさみ、ユースケ・サンタマリア、大河内浩、武田航平、笹野高史、江口洋介、酒向芳、田中要次、上戸彩、夏川結衣、岡本多緒、橋爪功、ジェフリー・ロウ、アレクス・ポーノヴィッチ、リック・アムスバリー、他。
日本近海において海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」と米原潜「シーバット」が衝突し、「やまなみ」が圧潰沈没する。「やまなみ」艦長の海江田四郎(大沢たかお)と76人の全乗組員死亡の知らせが入るが、実は「シーバット」に移動し全員生存してることが、同じく海上自衛隊の深町洋(玉木宏)艦長のディーゼル艦「たつなみ」のソナーマン南波栄一(ユースケ・サンタマリア)によってつきとめられる。さらに、「シーバット」は日本政府が極秘裏に建造した高性能の原子力潜水艦であり、米艦隊所属となったものだった。つまり、圧潰沈没、死亡情報は日本政府と米政府の管轄下に置く原潜「シーバット」稼働のための偽装工作だった。
日本では防衛策としての核保持についての意見も分かれている。また、海江田と深町がディーゼル艦「ゆうなみ」に乗っていた頃の事故で隊員の一人入江蒼士(中村倫也)を事故死させたことがあった。それから二人の間にはわだかまりができ、深町は海江田を反目していた。
作戦は遂行されたかに見えたが、突如「シーバット」が逃亡し、海江田によって独立戦闘国家「やまと」の建国が宣言される。目的は平和であり、そのために国家を一つにするという。
反乱だ。
核ミサイルを搭載してるんじゃないかという懸念からも「シーバット」もとい「やまと」をテロリストと認定し、米大統領ニコラス・ベネット(リック・アムスバリー)によって米国第7艦隊の「やまと」撃沈の命が下される。そんなことは織り込み済みとばかり、目的を果たすために海江田は次なる手段、日本との同盟締結へ乗り出し、そして、ニューヨークでの国連総会へとつなげようと行動する…。
「やまと」が本当に核ミサイルを搭載してるのかわからないまま、日米両国の国家を背負った対応が進められるのは面白い。文化、社会、国民性、国家観が違うので折り合いの難しさがしっかり描かれていて、どっちがどうとも言えずもどかしいだけに。
原作が発表された時代と今とでは世界情勢も違っており、私自身考え方も変わっているので実写化はどうなんだろうと思っていたが(何より海江田のファンだった)、時代に合わせて多少の改変もあり、これはこれで楽しめるシーズン1だった。当然シーズン2に続くだろうから(入江蒼士の弟覚士:松岡広大が「シーバット」に乗っている関係性もまだ謎)、今後どうまとめていくのか、海江田の理想、成そうとすることは時代に合ってるのか、納得いく反乱となるのかとても気になる。原作を知ってるからなお。
橋爪功のシーバット計画黒幕内閣官房参与海原大悟のキャラ作りが素晴らしい。その息子である官房長官海原渉役の江口洋介も安定感がある。この親子間にも見せ場がありそうで期待が溢れる。
そして笹野高史演ずる総理大臣竹上登志雄の情けなさがまたいい。徐々に覚悟を決め力を現していくのだが、その描き方も演技も丁寧で情感が上がる。
玉木宏の深町もいい。「たつなみ」副長速水は女性になっているのだが、その水川あさみもいい。「シーバット」副長山中役中村蒼も、外務大臣影山役酒向芳も防衛大臣曽根崎役夏川結衣もハマってる。
心配なのは報道キャスター市谷役上戸彩。演技がどうとかではなく、今後どんなキャラになっていくのか心配…というかウザキャラになったらヤダな、と。
これはまず最初に映画として公開され、その後足してドラマ化。だが、もともとドラマ用に撮影したものを映画にしたんだろう。
プロデューサーの名前に大沢たかおが入っているし、かなり力が入ってる。原作未読でも充分楽しめると思う。
★★★★★