本論文は、中隔子宮+膣中隔(U2bC2V1)の子宮鏡手術を紹介したビデオ論文です。
Fertil Steril 2021; 116: 602(米国、イタリア、ギリシャ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.04.011
要約:ESHRE分類で、中隔子宮+子宮頸部2つ+非閉塞性の膣中隔(U2bC2V1)の3症例の子宮鏡手術をご紹介します。それぞれ、31歳、29歳、32歳の女性であり、いずれも特記すべき異常所見なくオペを完遂し、術後経過も良好でした。
1 まず、膣中隔を切除します(5Frバイポーラ)。→2つの子宮頸部が同時に確認できます。
2 子宮中隔の切除に際して、子宮鏡を挿入しない側にはへガールを挿入し、還流水の流出を防ぐと共に切除部位の指標にします。中隔子宮を切除します(5Frバイポーラ)。子宮頸部の中隔は切除せずそのまま残します。
3 子宮底部はバイポーラではなく、鋏鉗子(5Fr鋏鉗子)で切除します。
4 子宮内癒着防止対策を実施します(IUD挿入、バルーン挿入、ヒアルロン酸、EP製剤など)。
5 2ヶ月後に子宮鏡で確認します。
解説:子宮中隔の子宮鏡による切除術は、ある程度確立されたものです。本論文は、中隔子宮+膣中隔(U2bC2V1)の子宮鏡手術を紹介したビデオ論文です。特に真新らしいことはありませんが、強いて言えば、子宮鏡を挿入しない側にはへガールを挿入すること、中隔の最後は鋏鉗子を用いることがポイントかと思います。
下記の記事を参照してください。
2021.5.14「☆☆中隔子宮は手術すべきか:ランダム化試験」
2020.8.13「☆中隔子宮は治療すべきか?」
2018.5.12「弓状子宮は正常胚の妊娠成績に影響しない」
2018.5.3「弓状子宮の分類について」
2016.9.24「中隔子宮のガイドライン(ASRM)」
2015.11.29「子宮形態異常(子宮奇形)の妊娠経過」
2015.4.7「子宮形態異常の分類の違い(ASRM vs. ESHRE)」
2014.2.6「☆子宮形態異常の妊娠への影響は?」
2013.8.30「☆子宮形態異常の新分類」