子宮形態異常(子宮奇形)の妊娠経過 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

「子宮形態異常(子宮奇形)で手術しなかった場合に、早産の頻度やどのくらい赤ちゃんが助かるのでしょうか」という質問がありましたが、なかなか該当の論文を見つけられず、ようやく見つけたのがこちらの論文です。

Hum Reprod 1997; 12: 2277(スペイン)
要約:手術しないで妊娠に臨んだ場合の妊娠経過は、下記の通り。

       単角子宮   重複子宮   双角子宮   中隔子宮   弓状子宮
患者数      8      8      26      43      42
のべ妊娠数    16      15      56     145      110
子宮外妊娠     0      1      0       3       3
~11w流産    6(38%)  3(20%) 14(25%) 37(26%)  14(13%)
12~21w流産    1(6%)  1(7%)  2(4%)  9(6%)    2(2%)
22~27w早産   1(6%)  3(2%)  3(5%)  4(3%)    0(0%)
28~36w早産   3(2%)  5(3%)  11(20%) 17(12%)   5(5%)
37w~満期産   5(31%)  3(20%) 26(46%) 75(52%)  86(78%)
生児数      7(44%)  6(40%) 35(63%) 90(62%)  91(83%)

解説:かなり古いデータですので、現在の日本の小児科医療とはかけ離れているかもしれません。たとえば、生児数と早産の人数を見ていくと、22~27wで早産した場合はほとんど助かっていないようです。28~36wの早産でも8割程度です。

単角子宮と重複子宮は子宮内の容積は一緒(子宮半分)、双角子宮と中隔子宮は子宮内の容積はほぼ一緒、弓状子宮と正常子宮の子宮内の容積はほぼ一緒(子宮1個分)と考えられますので、子宮内の容積によってどこまで子宮が大きくなれるかが決まってくるようです。それぞれ、生産率はおおそ4割、6割、8割となります。

下記の記事を参照してください。
2014.2.6「☆子宮形態異常の妊娠への影響は?」
2013.8.30「☆子宮形態異常の新分類」
2013.7.8「☆見逃しやすい子宮と膣と腎臓の形」