恐怖の舞台~ハムレットにはまった

女子高校生の物語

 

「教室は舞台だった。でもあてがわれた役は、

明らかに自分ではなかった。

だから私はハムレットになった。」

 

 

*****

 

 

 

 

学校の室内プール場では、水泳部が練習している。

その中に善吉もいる。

 

演鶴子とモテ男が、

プールサイドの椅子に並んで腰かけている。

 

モテ男 

なんだよ、こんなところによびだして。

あープール室内は蒸し暑いな。

 

演鶴子 がジャージを脱ぐと、華やかな水着姿になる。

周囲の目が、演鶴子に釘付けになる

 

演鶴子

新しいのパパに勝手貰ったの。 

似合う?

そろそろ仲直りしてあげるわよ。 

 

そういうと、立ち上がって、

プールサイドを歩きだす。

 

 

モテ男

(演鶴子を、追いかけて)

仲直りって? 俺たちさ、もう別れたよね。

 

善吉が

遠くからながめている。

(心の中)

あれ?モテ男と演鶴子さん?

なぜこんなところへ?

 

 

演鶴子

まさか、トン子のこと気にしてる?

あんな陰キャの狂人

あの子はね、あなたを弄んでるのよ、

きっと。

 

モテ男 

だから、トン子は関係ないって

あー、なんか 頭が混乱する…

 

演鶴子 

あはははは

そりゃそうよね。

バッチーン  モテ男の背中を強く叩く

 

バッシャーン モテ男がプールに落ちる

服が水を吸い始める

 

善吉

あっ、大変だ。

(モテ男のほうへ泳いでいく。)

 

他の水泳部員も、助けに向かう。

 

 

モテ男

(心の中)

苦しい、冷たい、体が動かない!!

あーっ、怖い

俺は死ぬのか。これが死なのか。

 

俺は泳ぎは得意だと思っていたけど。

どうしてだ?!!

 

なんでいつも俺は混乱してるんだ!!

俺は何をしているんだろう。

生きている間に何をしてきた?

 

あー、存在とはなんなんだ。

死んだ後はどうなるんだ!!

 

善吉

モテ男さん、大丈夫?

 

モテ男

うっ、うん…

 

善吉がモテ男を支え、

他の水泳部員たちが、

モテ男を水から引き上げる。

 

演鶴子は、水に写った自分に、うっとりしている。

スマホを取り出して操作をする。

 

水泳部員男子たち

すごい美人に凄い水着だな。 

でも誰?

 

水泳部員女子たち

水泳部でもないのになんなの?

イケメンを水中に叩き落として??

 

水泳部員女子1

あれ、確かE組の演鶴子じやない?

 

水泳部員たちは、タオルと毛布を持ってきて、

モテ男にかける。

 

善吉

着替えたほうがいいな。

更衣室に行こう。

 

モテ男を更衣室に連れていく。

 

演鶴子は去っていく。

 

善吉

あれ?演技鶴子さんは?

 

 

*****

 

 

翌日

プン子&オペラ女

 

聞いた?昨日の話

モテ男ったら、演鶴子と仲直りできて、 

嬉しさのあまりプールに飛び込んだんだって

 

キャーッ

 

善吉

(心の中)

いや、そんな感じには見えなかったな。

それにしても、モテ男さん、

妙に沈んでるよね。

 

モテ男

(心の中)

あのとき水に沈んだ感覚。

恐ろしいけど、鮮明に覚えている。

冷たくて、静かで…

存在が消えそうな気がした。

 

そういえば

俺は演鶴子といるとき、

時々自分が消えそうな感覚になるな。

 

モテ男は、黙り込み、

悩んでいるようす。

 

 

 

*****

 

 

休み時間

 

モテ男は教室のすみに飾ってある、 

瑠菜がダンスで使った造花の花束を、

ばらしたり、まとめたりする。

 

 

善吉

モテ男さん、大丈夫ですか?

 

トン子がやってくる。

モテ男の花束から、デイジーの花を抜き取る。

 

トン子 ニヤニヤしながら

偽りの愛!!

 

モテ男 ぼんやりしている

……

 

モテ男は、黙って椅子を繋げて並べ

そこに横たわり、花束をもって目を閉じた。

 

女子たちが、よってきた。

 

女子たち

何してるの?受ける!!笑笑

 

トン子は、デイジーを、

モテ男の持っている花束に戻す

 

トン子

美しい人には美しい花を、さようなら

 

スキップしてでていく。

 

クラスの皆

ざわつく。

 

なんなんだ?

 

 

 

この物語はフィクションです。登場人物はすべて架空の人物です。

無断転載などは禁止します。

内容は随時変更する場合があります。

 

次 21 ハムレット観劇

 

 

 

目次


 

登場人物

 

 

 

目次

 

 

 

序章

 

登場人物

プロローグ ~キューピッドの矢のゆくへ

 

第一章 2年E組

 

1 朝の儀式と鏡と神~鏡に現れた謎の青年

2 to be or not to be…論

3 モテ男の恋

4 トン子の恋~私なんて嫌い

5 モテ男と演鶴子の恋

6 恐怖の合唱練習

7 牢獄と胡桃の殻~消された自分

8 影との戦い~影とは自分の弱さ

9 人魚姫の歌声~声は奪われても

10 ハムレット論

11 オフィーリア論

12 行け!!尼寺へ

13 タピオカの涙~クラスの同調圧力の恐怖

14 真実の混乱~真実はこうして捏造される

15 ビーナスの支配~演鶴子による恐怖の支配

16 オフィーリアの夢~真っ白い死の世界

17 狂気の夢~壊れずに生き延びる、それが一番難しい役

18 笑いと狂気と自由~自分をまもるために

19 観劇の夢 ~観客席はいかか?

 

 

 

第2章 3年E組

 

20 プールサイド~存在とは何だ?

21 ハムレット観劇

22 自由の歌~凍てつく大地に春が来る

23 スカーレットはいかが~それより恐ろしい正義のヒロイン

24 ホレーシオ論

25 出演の夢~私は誰?

26 ハムレット論2~名作"ハムレット"の秘密

27 バーナムの森~食われているのは私たち

27 恐怖の舞台~正義と友情の正体

28 死の舞台とダフネの変身

 

 

終章

 

 

エピローグ~再生の舞台

 

 

 

 

小説家になろうでも公開「恐怖の舞台」~ハムレットに魅せられて(内容は当ブログと同じです。ただし、トン子と瑠奈のハムレットの哲学論の回は省略しております)

 

 

この物語はフィクションです。登場人物はすべて架空の人物です。

無断転載などは禁止します。

内容は随時変わる可能性があります。