文化祭劇の最終公演の日の朝
演鶴子
今日は最終公演よ!!
絶対最優秀賞とるわよ!!
トン子は廊下でありゃりゃに
会う。
ありゃりゃ
トン子ー、おはよう!!今日も狂人やってるか~い、!
トン子
(ヨリックのパペットを出して、
片手にはめる)
狂ってるよー笑笑
(心の中)
ああ、墓堀の道化よ
ありゃりゃ
笑笑
そういえばE組の劇、やばくね?なにあれ?青春の絆?
まぁ、いかにもE組がやりそうだよね。
っていうか、E組やばくね?去年の合唱優勝曲、
未だに時々みんなで歌ってるじゃん!?
トン子
ああ、私ついていけなくて、良く思われてない多分
笑笑
ありゃりゃ
そうなんだ?皆やばいんだと思ってた
笑笑
まぁ、うちらでやってるハムレットの劇も
ワケわからんけどね笑笑
私墓堀りの役って
笑笑
でも練習も意外と楽しかったし、
今日最後の公演がんばろー
トン子
うん!!
(心の中)
ありがとう、墓堀りよ!!
あれ、あれは
あられ!!
あられ
トン子!!久しぶり。
トン子
あられ!!
あられ
私ね、フリースクール通ってるんだ。
美佳とは連絡会とっててね。
彼女は今大検の勉強頑張ってるって。
トン子
そうなのね。
2人とも取りあえず、
元気そうで良かった。
良かったら、これも観にきて。
あられ
ハムレット
生きるべきかとか、省略、
もうええねん!!
何これ、面白そう!!笑笑
見に行くね
ありがとう。
トン子
(心の中)
あられと美佳はここの舞台去ったことで、
こうして生き延びたんだな。
私は狂気を盾にして、
ハムレットとして、…
生き延びようと試みてる。
自分の鏡を奪われないように。
裏方2
トン子さん、久しぶり。
トン子
大丈夫なの?
裏方2
お影さまでね、退院して、
来週くらいから少しずつ登校できそうだ。
文化祭参加できなかったけど、
せめてちょっとみに来たくてね。
トン子は、ハムレットの、チラシを渡す。
裏方2
なんかわからないけど、面白そう。
楽しみにしてるよ。
トン子
ありがとう
(心の中)
裏方2は、正直まだちょっと心配かも。
*****
クラスの上演の準備がはじまる。
トン子と瑠菜、善吉は照明係。
トン子 (呟く)
Life’s but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
(体育館のミキサー室に入る。 )
うちのクラスの劇終ったあと、
キャストの挨拶終わったら、すぐ流してね。
音声データーを渡す。
放送担当
了解
E組の劇がはじまる。
瑠菜とトン子は、照明を担当
マニュアル通りにに、照明をつけたり消したりする。
演鶴子の、大袈裟な演技と涙。
声はよく聞こえない
けど、キャストたちと円陣をくんだり、
抱き合ったりしている。
トン子
(心の中)
上から見ると、またいっそう滑稽に見えるわ。
演劇とは自然に鏡を向けること。
これはまさに、"ゴンザーゴーの殺人"の劇だわ。
しかも、本人が演じちゃってるしね。
演鶴子って、やっぱりなんか狂気をはらんでる気がするな。
あの一見表情豊かな美しい顔も全て仮面。
仮面の下は、
なんといったらいいのか、
真っ白いのっぺらぼうみたいな、
虚しい、空虚な何か…
正気を装った狂気ーー
もしかしたら、正気を装った狂気で、
ヒロインを演じ続けることが
演鶴子にとっての生き延びるための
唯一の方法なのかも知れない。
人は皆弱くて愚かで滑稽か。
劇が終わり、キャストが挨拶。
そして、演鶴子が、マイクを握り、涙を浮かべる。
演鶴子
(涙を浮かべて)
正義と友情の絆の素晴らしさを伝えるために、
私たちはこんなに頑張って……
正義と絆の尊さを…
瑠菜
それは"暴力と支配"
笑笑笑笑
演鶴子がスピーチを続けようとすると、急に照明が落ちる。
ピア爺先生が、そおっと講堂に入ってくる。
体育館に放送が流れる
(録音されたトン子の声)
Life’s but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
人生は、歩く影、僅かな間だけ舞台の上でもがく
哀れな役者
瑠菜
まさか、これトン子の声じゃ!!?
しかも、またマクベス笑笑
(心の中)
うーん、あえてハムレットさけて、
マクベスにいったか?
いや、でも、マクベスの方が、
怖いよな笑笑
放送 (録音されたトン子の声)
埃まみれの死が訪れるまで、
己の舞台に立ち続けるべし。
己の人生は己が主役。
なれど他人の人生の舞台に、
理不尽に巻き込まれしとき、
哀れな役者よ
その恐怖の舞台を降り、
観客席から己の鏡で、
真実を写すべし。
己の鏡を奪われぬように、
しっかりと守るべし。
哀れな役者よ
生き延びるすべは、
他になし。
壊れずに生き延びる。
それが一番難しい役。
瑠菜
続いてはトン子の自作のポエムか?
笑笑笑笑
ありゃりゃ
トン子、マジやばいって、
やっちゃったなー
マジ受ける
笑笑笑笑
放送(録音されたトン子の声)
さて、お昼を挟んで午後の部では、
シェイクスピア同好会による劇
ハムレットを上演いたします。
お時間が、ございましたら、
是非とも、お誘い合わせのうえ、
ご観劇くださいませ。
本日は3年E組の上演、
ご観劇ありがとうございました。
改めましてキャストたちに
盛大な拍手をお願いいたします。
照明がつく
盛大な拍手
キャストが皆でお辞儀をして退場
演鶴子
何よ!!トン子!!ぶち壊して!!
担当の先生
次のクラスの劇の準備あるから、
早く退場してね。
皆でテキパキと片付けていく
ピア爺先生
演鶴子さん、マクベス夫人素晴らしかったですよ。
さすが演劇の女王ですよね。
演鶴子さんにぴったりだ。
おや?
(演鶴子の手に、舞台化粧の塗料が
ついているのを見つける。)
ピア爺先生
(微笑みながら)
その汚れは、洗っても洗ってもとれませんね。
はははは
演鶴子
は??なによマクベス夫人って?
瑠菜
トン子、午後はいよいよ私たちの最終公演ね。
トン子
うん、ラストハムレットだな。
(心の中)
あれ?
トン子が講堂をみると、また一瞬、
髑髏を持った青年が、舞台袖に見えた気がした。
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