いよいよハムレットの最後の上演の
主なキャストは
ハムレット トン子
オフィーリア 瑠菜
ホレーシオ 善吉
墓堀り ありゃりゃ
キャッチコピーは
"生きるべきか…とか、省略
もうええねん"
最後の公演とあって、観客も大勢いる。
E組の皆も観にきてくれている。
あられ、美佳、裏方2もいる。
トン子
(心の中)
今日でいよいよ最後の公演。
ああ、今まで夢中になって
ハムレット役を練習してきた。
それが今日で終わってしまう。
終わってしまったら、
なんか自分も終わってしまいそうな気がする。
だって、私はもうハムレット…
明日からどうしよう。
壊れずに生き延びる。それが一番難しい役。
最後のときまで、いかに自分を保ち、
壊れずに自分の人生の舞台に立ち続けるのか。
ああ、この劇の主要人物で生き残るのは、
一人だけだ。
rediness is all
Let be.
ハムレットは、最後に存在そのものを
受け入れた。
でもつまり、死をも受け入れたと言うこと。
だからハムレットとはいわば
死の舞台。
あの、時々現れる青年は
ハムレットか?
いや、ハムレットは架空の人物。
ならば、死神か?
私を迎えにきたのだろうか?
私はハムレットのように
最後には死を受け入れられるだろうか?
放送
只今より、シェイクスピア同好会による劇を
上演いたします。
ハムレット
原作
ウィリアム シェイクスピア
脚本
瑠菜
幕があがる。
拍手
観客席生徒たち
おっ、主役ってまさかあの狂人って言われてる
トン子とかいうやつ?
ナレーション
昔々デンマークという国に、
ハムレットという名前の王子様が
おりました。
ハムレット父王の亡霊があらわれる
ホレーシオ(善吉)
これは、まさしく先代の
ハムレット王
亡霊消える
…
別の夜
また亡霊が現れる
亡霊
私を殺したのは、弟のグローディアス
ハムレット(トン子)
叔父が?
そして母上と結婚して国王になった。
なんと言うことだ、
グローディアスめ!!最低だ!!
ああ、父上!!
ハムレット父王の亡霊
復讐するのだ!!
ハムレット(トン子)
うーん、復讐か。
でもいきなりそんなこと言われてもな…。
ハムレット父王の亡霊
誓え!!
ハムレット(トン子)
うっうん。
ハムレット父王の亡霊
誓え!!
ハムレット(トン子)
しつこいな…
亡霊
誓え!!
…
ハムレット(トン子)
父上の亡霊が現れて、
父を殺したのは、叔父のグローディアス王だと、
言っていたのだ!!
ホレーシオ(善吉)
なんと!!?
……
ハムレット(トン子)
取りあえず狂人のふりをしよう。
……
ポローニアス(オフィーリアの父親)
オフィーリア、ハムレット様と付き合っているのか?
相手は王子様だぞ、
スキャンダルになったら大変。
取りあえずは、
今までにもらった贈り物や、
手紙はお返ししなさい。
オフィーリア(瑠菜)
はい、お父様。
…
オフィーリアの部屋
ハムレット(トン子)
破れたボロボロの衣装をまとい、
オフーィリアのもとへ
そのまま無言でオフィーリアの手首を握り、
謎のジェスチャーをはじめる
オフィーリア(瑠菜)
??
ハムレット様?
……
オフィーリア(瑠菜)
(ポローニアスに向かって)
お父様
言われた通りにいたしましたら、
ハムレット様が…
ポローニアス
恋煩いか?
さすがにショックを受けたのかもしれん。
よし、もう一度試してみよう。
ポローニアス(独白)
ハムレット王子が娘に惚れてるという設定は、
使えるぞ!
ふふふ。
これは王にも見てもらおう。
……
ハムレットが、本をよんでいる。
ポローニアスがやってくる
ポローニアス
ハムレット様、ご機嫌麗しゅう。
ハムレット(トン子)
魚屋の旦那!!
モテ男(観客席)
(心の中)
似たような台詞?
ポローニアス
とんでもない!!
ハムレット(トン子)
日の当たるところで
娘をほっつき歩かせるな。
とんだことまで知ってしまったら、
腐ってしまうからな。
ポローニアス
はぁ。
ところで
その本の中身は?
ハムレット(トン子)
言葉、言葉、言葉!!悪口だ。
(小声で)
お前のな、
ポローニアス
では、お暇をいたただきます。
失礼。
ハムレット(トン子)
お前にやれるのはそのお暇ぐらい。
命は別だな。命、命…
それとも命を奪おうとでも?
(小声で 独白)
親も恋人も奪われた。
命を奪おうというならば、
奪えるものなら奪ってみろ!!
耄碌爺め!!
……
ポローニアス
オフィーリア、いいか、
ハムレット様がくる。
さぁ、ここでこうして…
オフィーリア(瑠菜)
はい、お父様
ポローニアス、グローディアスも
こっそり隠れてハムレットの様子を見てる
ハムレット(トン子)
(生きるべきか死ぬべきか…の有名なフレーズは省略し、
続きの独白へ。)
この世界の理不尽な弓矢に耐えて生きるのが高潔なのか、
それとも、絶え間ない苦しみの波に立ち向かい、
自ら終わらせるのがいいのか?
……
死んだとしても、
死の眠りのなかで、どんな夢をみるのかわからない。
それが本当に恐ろしい。
要は生きていても死んだ後も、どうにもならない!!
救いはない!!
だってもう、存在しちゃってる時点でアウトじゃん!!
オフィーリア(瑠菜)
ハムレット様、頂いたお品物を、
お返しいたします。
ハムレット(トン子)(狂人のていで、
オフィーリア(瑠菜)にむかって、)
何もやった覚えはないぞ!!
ところで、お前は嘘のつけない女か?
父親はどうしてる?
オフィ―リア(瑠菜)
家におります。
ハムレット(トン子)
ならば、しっかり鍵をかけておけ。
外にでて道化をやらないようにな。
かつてはお前を愛していた。
いや、愛していなかった
行け、尼寺へ!
モテ男
(観客席で)
あれ?この台詞?
オフィーリア(瑠菜)
(泣き崩れる)
(独白)
ああ、なんということ!!
この宮廷は何かおかしい!!
神様、どうかあの方をお救い下さい。
グローディアス(隠れている)
これは、本当に恋わずらいか?
ポローニアス(隠れている)
うん?ええ、もちろん、
恋煩いでございますよ。
……
……
夜、女王ガートルードの部屋
(ポローニアスが壁掛けの後ろに隠れている)
ハムレット(トン子)、
(母のガートルードに向かって)
母上!!父上が亡くなって、すぐに叔父と結婚なんて!!
あんまりだ!!
ハムレット(トン子)
おや?誰か盗み聞きしてるぞ!!
さては王か!!
(壁掛け越しにポローニアスを刺す。)
ガートルード
ああ、ハムレット!!なんということを!!
ハムレット(トン子)
(ポローニアスに向かって)
すまない、お前の主人と間違えた
(ガートルードに向けて)
だが、王を殺すことくらべれば、
王を殺したやつと結婚することにくらべれば。
ガートルード
ハムレット!!
それはどういうこと?
私が何をしたというの?
ハムレット(トン子)
ご自分の罪をみなさい。
王の寝室に行くのは謹んで。
いや、やっぱりいま言ったことは忘れて、
王の寝室に行くがいい。
ガートルード
ああ、ハムレット、
もう何も言わないで
ハムレットは、ポローニアスの死体をひきずって、
去っていく。
……
お城にオフィーリアがやってくる。
オフィーリア(瑠菜)
(狂乱のていで
ガートルードに向かって)
デンマークで一番美しい
お妃様!!
ガートルード
ああ、オフォーリア!!
そのような姿になって!!
オフィーリア
梟はもともとパン屋の娘だったんですって。
レアーティーズがやってくる
オフィーリア、レアーティーズに
花を配る
オフィーリア(瑠菜)
ローズマリー。私を忘れないで
レアーティーズ
オフィーリア!!
オフィーリア(ガートルードに)
あなたには忠実なスミレをあげたかったけど、
萎れてしまって。
お父様がなくなったからだわ。
それでは皆様、
食卓が神とともにあらんことを!!
……
オフィーリアが
木に登り、花輪をとろうとして
水に落ちる。
……
墓地にて
(ハムレットとホレーシオ)
墓堀(ありゃりゃ)
(髑髏をもって)
こいつは、俺にワインをかけた!!ヨリック!!
ハムレット(トン子)
(髑髏を受けとる)
ああ、ヨリック!!
面白い道化だったのに
!!
(墓堀に向かって)
お前はこの仕事を何年やってる?
墓堀(ありゃりゃ)
ハムレット王子が生まれて30年!!
……
ガートルード、レアチーズ(オフィーリアの兄)たちが
やってくる
ガードルード
(オフィーリアの棺に花を添える)
美しい人には美しい花を。
さようなら。
ハムレットの嫁になってくれたらって
思っていたのに。
……
オフィーリア(瑠菜)の棺が運ばれ、
墓穴に下ろされる。
レアーティーズ(オフィーリアの兄)
オフィーリア!!わが愛する妹よ!!
あいつのせいで、お前は気が狂ってしまった!
そして…
(墓穴に飛び込む。)
ハムレット(トン子)
オフィーリア?!!!
愛していた!!!
我こそはデンマークのハムレットだ!!
(墓穴に飛び込む)
レアーティーズ、ハムレットの首もとを掴む
レアーティーズ
貴様!!、悪魔に食われてしまえ!、
ハムレット(トン子)
はなせ!!
オフィーリアへの気持ちはお前になんか負けないぞ!!
ホレーシオ(善吉)
ハムレット様、落ち着いてください。
皆で二人を引き離す。
レアーティーズ
ハムレットめ!!父上と妹の敵をとってやる!!
決闘だ!!
……
ハムレット(トン子)
いよいよレアーティーズと決闘だ。
なんか、胸騒ぎがする
ホレーシオ(善吉)
だったら、お止めになったほうが
ハムレット(トン子)
でも、いつ死ぬかなんてわからない
しゃあないなぁ。
誰もこの世に自分が何を残していくかなんて
わからないから
今すぐ死ぬのはまだ早いけど
もうええねん。
……
お城にて
レアーティーズ
(小声で)
父と妹の仇をとるために、
剣の先に毒を塗っておきます。
グローディアス
(小声で)
うむ。では
私は、念のためために杯に、
毒を仕込んでおこう。
国王、女王も見守るなか
決闘が始まる
レアーティーズとハムレット(トン子)の決
が始まり、双方剣を交える。
双方見事な剣裁き!
グローディアス
(杯をかかげ、真珠を見せる)
この真珠はお前に
(杯をのみ、中に真珠をを入れる)
ハムレット(トン子)
後にいたす。
決闘を続ける
ガートルードが
(ハムレットに用意された先ほどの
杯をかかげ)
お前の幸運を祈って、乾杯
グローディアス
飲むな!!
ガートルード
(不思議そうにグローディアスを見る)
いえ、頂きます
(杯をかかげ、飲み干す)
さあ、ハムレットも。
ハムレット(トン子)
この勝負が終わったら
レアーティーズ、ハムレットが後ろを向いた隙に、
ハムレットに切りつける。
剣が入れ替わり、ハムレットも反撃して、
互いに毒刃の傷を負う。
……
破滅のクライマックス
ガードルード
(苦しんで)
どっ毒が!!
(倒れる)
ハムレット(トン子)
母上!!
レアーティーズ
罪は王に!!
そしてすまない、刀に私が毒をしこんだ。
私たちは、もう助からない。
(倒れる)
ハムレット(トン子)
(国王グローディアスに向かって)
貴様の真珠を飲め!!
(毒入杯を飲ませる)
グローディアス倒れる
ハムレット(トン子)、(よろよろと倒れ、
ホレーシオに抱えられる。)
ハムレット(トン子)
毒が回ってきた!!
ホレーシオ、お前は生き延びて、
ハムレットの物語を世に伝えるのだ。
お前が見たことをありのままに、
真実を歪めずに、頼む。
ホレーシオ(善吉)
なにをおっしゃいます
(毒入り杯を飲もうとする)
ハムレット(トン子)
(杯をとりあげて、叩きつけ、倒れる)
ハムレット(トン子)
それでも男か!!
頼む、今しばらくこの世の苦しみに耐えて、
ハムレットの物語を…
そして、次の王位は、ノルウェーの
フォーテインブラスに…
もう、俺は黙る
(目を閉じる)
照明が一段と明るくなる。
ホレーシオ(善吉)
とうとう逝ってしまわれた。
王子様、お休みなさい。
幕が下りる
盛大な拍手
モテ男
なんか訳のわからない劇だったな。
ただ、トン子の演技やばかったな。
…なんか、本人じゃないみたいだ。
*****
翌日
演劇部門で、トン子とたちのハムレットが最優秀賞をとり、
朝礼で、表彰される。
校長
演劇の部、最優秀賞はシェイクスピア同好会
ハムレット
では、部長の瑠菜さん、副部長のトン子さん
(部長の瑠菜と、副部長のトン子がよばれて、ステージにあがる。
賞状を瑠菜が受け取り、トン子は月桂樹の冠を被せて貰う。)
拍手が起こり、トン子たちは、そのままゆっくりとステージを下りる。
演鶴子
何よ!!ただ古い有名な劇をやっただけじゃない!!
(モテ男はトン子を目で追う。
すると目の前にトン子が現れる
ところが、くるりと背中を向けて走り出す。
モテ男が追いかける)
モテ男
おい、待て!!おれの話をきけ!!
(トン子の腕に手をかけようとした瞬間
トン子の手足が伸びはじめ、
月桂樹の木になった)
モテ男
トン子?
*****
善吉
モテ男さん、どうした?もう朝礼終わったよ
笑笑
モテ男
(椅子に座ったまま、居眠りしていて目覚める)
ああ、夢か。びびった。
*****
休み時間
(モテ男が教室のすみにおいてある月桂樹の冠から、
葉を一枚取る。)
モテ男
うん、なんかうまそうな匂いだな。
笑笑
トン子
それは、月桂樹の葉よ。
料理に使われたりするわね。
(去っていく。)
モテ男
(トン子の後ろ姿を見る)
なんかあいつ背が伸びたか?
教室の窓の外で、キューピッドと、
西洋人の青年が話している。
青年
モテ男なんかとくっつかなくて、
よかったよ。
だけどな、鉛の矢はなんとかしないとな。
このままじやトン子はもう一生恋愛できないんだろ?
キューピッド
(分厚い本を見ている)
今、調べてるんだけど、
鉛の矢を抜く方法…。
青年
モテ男の矢もぬいてやれ。笑笑
次 恐怖の舞台~エピローグ~再生の舞台(完結編)
この物語はフィクションです。登場人物はすべて架空の人物です
無断転載は禁止します。
内容は随時変わる可能性があります。

