ハムレットの最終公演
幕が下りる
トン子
はぁ、終ってしまった。
そう、この劇で生き残ったのは、
ホレーシオだけ。
そして、彼は真実を託された。
……
観客たち
アンコール!!アンコール!!
アンコールが止まらない
トン子
えっ、どうする?
瑠菜
トン子はこのまま倒れてて!!
トン子
ええ?
わかった
幕が再び上がる、
ホレーシオ(善吉)
ハムレット様、レアーティーズ様、傷の手当てを!!
毒は塗ってありません。
ハムレット(トン子)
(心の中)
そんな台詞あった?
レアーティーズ、ハムレット、ホレーシオに抱き起こされる。
オフィーリアがシスターの格好で登場
オフィーリア(瑠菜)
ハムレット様のご命令どおり、尼寺にいってにおりました。
ハムレット(トン子)
ええ??笑笑本当に、尼寺いってるし笑笑
(心の中)
瑠菜らしいな。
墓堀り(ありゃりゃ)
棺は空でした。
トン子
心の中
ありゃりゃ!!
レアーティーズ
お前をこらしめるために、
ひと芝居うったのさ。
トン子
(心の中)
さすが、フェンシング部だよね。
ホレーシオ(善吉)
貴様の真珠の方は、睡眠薬にすり替えておきました。
国王と女王もじきに目覚めましょう。
トン子
善吉。笑笑
ハムレット(トン子)
国王は島流しに!!
家臣
ハハッ!!
ホレーシオ(善吉)
ハムちゃん、復讐しなくてすんだね!
笑笑
腕に包帯巻いた、ポローニアスが、よろよろやってくる。
オフィーリア(瑠菜)
お父様、無理なさらないで
ハムレット(トン子)
生きていたか、耄碌爺!!(苦笑)
…
観客席
笑笑笑笑
ハムレット(トン子)
(心の中)
生きている!今生きている!!
(熱い涙が頬を伝る)
こんな気持ちはじめてだ。
今こうして生きているという事実ー
もう、ええねん。
キャストは並んでお辞儀をする。
トン子にマイクが渡される
涙が止まらない
善吉も、
瑠菜も、涙をぬぐっていた
トン子
皆さん、ううっ、ありがとうございました。
盛大な拍手!!
オペラ女が、オペラを歌い出す。
🎶誰も眠ってはならない
(自分の美声に酔いしれる)
再び幕が下りる。
観客は退場。
*****
(片付けながら)
トン子
まさかあれって、準備してたんだよね!!
瑠菜!!
瑠菜&善吉&ありゃりゃ
笑笑笑笑
瑠菜
トン子は台詞覚えるだけでも大変そうだったから
私たちだけで準備した。
どう?喜劇バージョン?
トン子
最高!!
笑笑笑笑
ピア爺先生がやってくる
ピア爺先生
素晴らしかった!!ハムレット
うん、ちゃんと自分達の演劇を、やったんだね。
トン子さん、迫真の演技でしたね。
台詞も覚えるの大変だったでしょう?
舞台は緊張しただろうね。
あの大切なフレーズ飛んじゃうぐらいだもんね。
うん、うん、
まぁ、そもそもあのフレーズなくても
意味通じるしね。
瑠菜さんも、脚本よくまとめましたね。
大変でしたよね。
皆よく頑張りました。
涙をにじませる
皆
先生!!ありがとうございました!!
善吉
よし、片付け終わったら、
打ち上げだ!!
皆
おぉーっ!!
トン子が観客席の方を見渡す。
椅子が少しずつ片付けられていく、
トン子
(心の中)
ハムレットは死んでしまった。
でも私たちはまだこれから生きていく。
人間はあまりにも弱くて、
愚かで滑稽で。
そして世界は恐怖の舞台で満ち溢れている。
いくら考えたって、
世界はちっとも良くならないだろう。
だから誰も結婚してはならぬ
してしまったものは、しかたがない。
他は皆一生一人でいるのだ。
なんてね。
そして自分は壊れずに、もちろん他人も壊さずに、
生き延びること。
それが一番難しい役。
生き延びたのはホレーシオだけ。
ホレーシオは舞台の上にいながら、
観客側の人でもある。
だから真実を託された。
私は狂人のふりをしている。
あくまでも、ふりだ。
To be mad or not to be mad …
狂気は正気、正気は狂気…
(講堂にある、キリストの絵画をみる。)
トン子
(心の中)
十字架にかからないように…
今私のそばには、
それでも去らない人が、少しだけいる。
それが理由かどうかは分からないが、
私はまだ、多分壊れてはいない
多分…
謎の声
自分の鏡を奪われるな
そして、その調子で生き延びろ
あっ?
観客席から
あの青年が髑髏を持って、こっちを観ている。
そしてふっと、その青年が、
大きな襟のついた貴族の衣装の
中年男性に変わった。
トン子
え??
中年男性の声
わしの傑作を、おちょくったな!!
はははは!!
まぁ、そもそもわしも他人の作品を、
おちょくって描いたんだよな。
笑笑笑笑
たまには観客席も悪くない
(消える)
トン子
今のってまさか??

