ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回は、5か月ぶりの『知ったかぶり編』~人生に何の役にも立たない語学屋の独り言と題して小ネタをご紹介します。第18回目の今日は、日本語『鮨屋の符丁』をテーマにします。
先日、とある鮨屋で食事をしていた時のお話です。カウンタ―で鮨をつまんでいた客が、『草だけくれる』、『このラメ、アニキじゃねえの?』、『なに!かすてらヤマなの?』などと職人に語り掛けています。以下、私と一緒に食事をしていた友人と私の会話です。
友:あの客は何を言っているの?全く分からない。
私:鮨屋の符丁で『草』は海苔、『ラメ』は平目、『アニキ』は残りもの、『かすてら』は薄焼玉子、『ヤマ』はお終いを意味しているんだよ。
実は、私は、実家がかつて鮨屋を営んでおり、学生時代に手伝いをしていたこともあることから、鮨屋の符丁をほぼ100%知っています。しかし、鮨屋で食事をする時には、絶対に符丁を使いません。符丁とは客に知らせないための店側の隠語で、通ぶった客がそれを使うと、職人などは口には出さないものの『符丁使うんだったらこっち来ててめぇで握れや』などと心で思い馬鹿にします。
※イラストはネットからお借りしました
前述の通り私は鮨屋で符丁を使いませんが、知っていてよかったことが一度あります。十数年前、知人のご招待で銀座の鮨屋でご馳走になりました。カウンターに座り、ビール2本、お銚子2本を飲みながらお好みで鮨をつまみました。この知人が自称『鮨通』で盛んに鮨屋の符丁を使います・・・これはまずいなと思いましたが、黙っていました。1時間半ほどで河岸を変えることになり、知人が『おあいそ』(これも本来は符丁ですが)と職人に告げます。職人は女将に『オツモ』と伝えました。オツモは25を意味し、この場合には2万5000円になります。ただし、これは職人が出した寿司などの値段で、これにホール担当が出したお通し、酒、吸い物、そして消費税、店によってはサービス料が加算されます。種のクオリティ、つまんだ個数を勘案すると2万5000円は、妥当な金額だと思いました。
暫くすると女将が知人のもとに来て『端数はサービスさせて頂きますので、4万5000円頂戴します』。お金持ちの知人は、財布を取り出し言われるがままに支払おうとしますが、私はそれを制しました。女将を離れた処に連れて行き、小声で『職人はオツモと言ったよね。女将が持ってきたお勘定はダリメ(45=4万5000円)。差額のリャンコ(2=2万円)の明細を教えてくれる』と問いただしました。
すると女将真っ青になり、しどろもどろで『ご、ご同業の方ですか?もう一度計算してみます』と言って電卓を叩きます。そして『す、すみません。1万円計算違いしていました。3万5000円になります』。なんで1万円も計算違いするの、とツッコミを入れたくなりましたが、知人の面子もあるので止めました。
勘定を済ませ外に出ると、知人が『なんで1万円も安くなったの?脅したの?』と人聞きの悪いこと言います。『職人が言った金額に2万円も乗せられていたので明細を教えろと言っただけですよ』と返しました。
『なんでそんなことわかるの?』とさらに聞いて来るので『なんとなくですよ』とごまかしました。そして『鮨屋で通ぶって符丁を使うのは止めたほうが良いですよ』とやんわり忠告しておきました。
知ったかぶり編
次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、東京都台東区新御徒町です。