特別展 眼福 ―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋 その1
静嘉堂文庫美術館に行ってきた。こちらの国宝「曜変天目(稲葉天目)」建窯 南宋時代(12~13世紀)は、当美術館の2022年10月「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ 響きあう名宝 -曜変・琳派のかがやき-」展でも鑑賞している。茶碗の内側に浮かぶ斑文の周りの光彩が本当に美しい。展示室には大きな解説パネルがあり、光彩が「構造色(玉虫の羽やCDディスク表面の色彩だそう)」によるもので…など曜変についての説明や、2009年に中国杭州で曜変天目の陶片が発見された件についても書かれ、写真も添えられており、とても美しいものだった。本展覧会は大きく4つに分けて展示。【Chapter 1 “眼福" を ―岩﨑彌之助、 小彌太父子蒐集の名碗から】重要文化財「油滴天目 附:堆朱花卉天目台」 建窯 南宋時代(12~13世紀)「油滴天目」といえば、今年4月に大阪市立東洋陶磁美術館「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」展で国宝「油滴天目茶碗」を見てきたが、全く違う。こちらは、油滴斑が大きく、落ち着いた光沢で静かなイメージだろうか。大ぶりで、迫力満点。重さは741㎏だそうだ。「灰被天目 毛利天目 附:堆朱屈輪天目台」 茶洋窯 元~明時代(14~15世紀)灰被天目、とてもシックである。「堆朱屈輪天目台」に目が行く。この堆朱の厚み!迫力がある。「赤樂茶碗 銘 ソノハラ」 道入(樂家三代) 江戸時代(17世紀)実物の色がもっとオレンジっぽく、美しい。引き込まれるような色。銘の「ソノハラ」は中山道の宿場名で、そこには遠くから見ると箒を立てたように見えるが、近づくと見えなくなる巨木「箒木(ははきぎ)」があったそうで、それを読んだ坂上是則の恋歌から銘がつけられているとのこと。蓋の裏側も展示。内箱、中箱、外箱の3つの箱があるのか。中箱に坂上是則の和歌「そのはらや ふせやにおふるはゝきゝの 有とはみえてあはぬ君哉」が書かれていた。なるほど。【Chapter 2 憧れの茶入 ―“大名物”、 “中興名物”の賞玩】大名物 「唐物茄子茶入 付藻茄子」 南宋~元時代(13~14世紀)大名物 「唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)」 南宋~元時代(13~14世紀)大変有名な茶入である。大坂夏の陣(1625年)の大阪城落城で大破し、藤重藤元・藤巌父子の漆繕いにより修復された茶入9口のうちの2つ。今年3月のサントリー美術館「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」展で「唐物文琳茶入 銘 玉垣」を見た。こちらも同じ時に発掘され、藤重父子に修復されたものである。あとの6つが気になる。「唐物文琳茶入 銘 玉垣」の平成元年の解体修理時の写真をサントリー美術館で見たが、本展覧会では「唐物茄子茶入 付藻茄子」「唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)」のⅩ線CTスキャン撮影写真が解説パネルに掲載されていた。「松本茄子」の割れっぷり(!)に驚いた。よくまあこれを組み合わせて…。調査によると、約400年前の漆繕いは、龍光院所蔵の「切型」などを参考に実に誠実で修復されていたそうだ。「黒塗小棗」 藤重 桃山~江戸時代(16~17世紀)解説パネルに「「はて。」ーこれは何代目の藤重さん?」とあったので具体的にどなたが、というのは分からないのだろう。又、「藤重は桃山から江戸時代にかけての塗師で、仕覆を作る袋師の仕事も受けている」とあった。え、仕覆も?「中興名物 瀬戸芋子茶入(古瀬戸) 銘 雨宿」 瀬戸 室町~桃山時代(15世紀末~16世紀)小堀遠州のお目にかなった茶道具。銘の「雨宿」は、和歌「何方へ秋のゆくらむ わが宿に 今宵ばかりは雨宿せよ」からと見られているらしい。仕覆も気になる。特に青木間道のこちらの布の合わせ方とか。決まっていて、カッコいい。「中興名物 膳所瓢簞茶入 銘 白雲」 膳所 江戸時代(17世紀)箱書の詩文は小堀遠州。配置がデザインされているようで素敵。解説パネルにもあったが、胴の白濁した釉薬が白雲…だろうなあ。銘「白雲」瓢箪の形が何ともユニーク。(続く)